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「口酸」とはその名の通り、「口内」に「酸味(すっぱさ」を自覚することである。甚だしければ酸臭(すっぱい刺激性のにおい)もする。似たような症状で「呑酸」があるが、これとは異なる。

呑酸はすっぱい水分が胃からのど元まで持ち上がっていきて再び下がる状態を指す。

これに対し、口酸はすっぱい味を自覚するだけで水分あがってくることはない。

以下、解説になります。


①肝熱口酸(かんねつこうさん)
東洋医学上「味」は好んで五臓に入るとされている。味の一つである「酸」は五臓「肝」に入るという特性を有する。つまり、肝の臓の失調し、熱によって酸味が上蒸すること口酸の原因となる。

臓腑の失調や熱を生む原因としては、長期間による精神抑鬱や急激な感情の変化などが挙げられる。

身体症状としては、口が酸っぱい・口が苦い・胸肋部の張った痛み・怒りやすい・顔が赤い・めまい・乾燥した便が出る・黄色い小便が出るなどが見られる。

②脾虚木乗口酸(ひきょもくじょう)肝の臓が過活動状態になった(①肝熱)になったことで、消化器の機能減退が生じてしまったものをいう。「肝」は「脾(消化器)」をコントロールする関係性により成り立つ。

身体症状としては、口の中がすっぱい・げっぷ・食後のお腹の張り感・全身倦怠感・下痢などが見られる。

③宿食停滞口酸(しゅくしょくていたい)
食した飲食物を消化器が消化・吸収できないことが原因となる。
暴飲暴食や脂っこいものや甘いものの過剰摂取が消化吸収能力の低下を招く。

またもともと消化器の弱い体質の人や長期間病気を患うことで体力が低下した人にも見られる。

身体症状としては臭気を伴ったゲップが出る・飲食物を欲さない(これ以上食べれない)・お腹の張感・大便はすっきり排せつできず便臭を伴うなど。

スタッフ 杉本

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載にない症状》に収められています。

毎週楽しみにしていた大河ドラマが終わり、心にポッカり穴が空いてしまった研修生の大久保です。

次回作も楽しみですが、やはり戦国時代は男の浪漫ですね(笑)

さて、前回の「胖大舌」に続き、今回は「歯痕舌(しこんぜつ)」についてご紹介致します。

歯痕舌とは

 ・舌を出した時、両端に歯の痕のような凸凹ができる。

 ・痕がクッキリでる時はノコギリのような形にも見えるので「鋸痕(きょこん)」とも言われる。

考えられる証は

<気虚>

・舌の色はうすピンク、上にある苔はうっすら白い、ぼてっと大きい。

・顔色は白く疲れやすい、食後お腹が張って便が緩い。

<陽虚>

 ・舌の色は気虚より更にうすピンク、口や舌はよく湿っている、ぼてっと大きく丸い。

 ・顔色は白か青黒い、のどが渇きづらい。

 ・お腹が冷えて痛く、尿は透明。

と、ここまでは前回の「胖大舌」でもあるように津液(体内の水)の代謝異常なのはお分かり頂けると

思います。そこで、他の原因は無いかさくら堂図書館にある257枚の舌の写真と弁証が書かれている

本をお借りして歯痕舌が見られる30枚を調べると、上記以外に“脾虚”“血虚”“血オ”“肝うつ”“寒邪”“湿滞”

“陰虚”“痰熱”“湿熱”の証でも現れる事が分かり、これらに共通する「滞り」という新しい原因が見えてきました。

やはり調べる時は色々な本を色々な角度で見なければいけませんね!

また一つ引き出しが増えた休日でした(^―^)

研修生 大久保昌哉

「中医舌苔図譜」 人民衛生出版社

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口膩(こうじ)とは口や舌がネバネバした状態で気持ちが悪い状態を指す。

この口膩も甚だしければ食事の味がわからないといった状態を招く。口の苦さ・甘さ・酸っぱさ・味覚の低下などの味覚異常を兼ねることがある。

主には「湿」つまり体内に存在する余計な水分が原因となることが多い。

余計な水分を生じる原因となるのが、気候などの外的要因や飲食由来のものが挙げられる。

湿は胃腸の活動低下を招いてしまう。つまり、体内に侵入した水分・飲食によって取り込んだ水分を体内へ吸収する力が低下することで体内の水分が余剰な状態を生じてしまう。これが上(口)にあふれることで、口や舌のネバネバ感や味覚障害を招く。

以下、解説を行う。

①寒湿困脾(かんしつこんひ)
体質レベルで消化器に冷えが見られるために体内の余剰水分は寒化する。消化器の冷えと余剰に生じた水分は消化・吸収能力の低下の失調を招き、口や舌のネバネバ感や味覚障害が生じる

湿気の多い環境や雨にさらされること・汗をかいたままの状態でいることなどの外的要因や生もの冷たいもの甘いもの・油濃いものの食べ過ぎなどの飲食由来が原因となる。身体症状としては、味覚の低下・咽が乾かない・飲食を欲さない・腹部の張り感・倦怠感・下痢などが見られる。


②湿熱中阻(しつねつちゅうそ)
消化器に熱が生じたことに加えて、体内の余剰水分が生じる。熱気をおびた余剰水分が口まで上蒸することで口・舌のネバネバ感や味覚障害が生じる。

湿気の多い環境や雨にさらされること・汗をかいたままの状態でいることなどの外的要因や生もの冷たいもの甘いもの・油濃いものの食べ過ぎなどの飲食由来が原因となる。

身体症状としては、食べても味がしない・口は乾くが飲み物は欲さない・腹部の張り感・食事量の低下・小便の色は赤いなどが見られる。

①(寒湿困脾)とは寒熱の違いがあり、比較的本症状のほうが重症である。

③痰熱阻滞(たんねつそたい)
多くの原因は消化器が虚損したことによる消化・吸収能力の低下により体内に生じた余剰水分が長期間とどまることで熱化してしまったことが挙げられる。また水液物質を循環させるエネルギーが停滞、停滞することで熱をもった結果、水液物質は上昇・ネバネバしてしまうことが口膩を生じさせる。

身体症状としては、口は乾くが飲み物は欲さない・胸部の張り感・動悸・黄色い痰が生じるが吐き出しづらい・食事量の低下などが見られる。

スタッフ 杉本

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口淡無味とは、味覚の減退で口の中が淡く飲食物の味のないことを言う。

 一般には食べ物の香りがなく、食欲不振をともなうものを指す。「口淡」「口不知味」という表記も見られる
古典において、「味覚は脾胃と関連がある」とされている。脾の機能は口に通じ、脾が健やかであればよく食物の味を近くすることができる。
つまり、味覚障害は脾胃の運化失調と関係があり、原因は脾の機能失調による消化吸収能力の低下(①)と余剰水分による脾胃の消化・吸収能力への阻害(②)にあるとされている。

以下、①・②についての解説を行いたいと思う。

脾胃気虚(ひいききょ)
消化器の虚損が原因となる。飲食の不摂生・激しい嘔吐や下痢・長い病気を患うことによって、胃腸が弱ってしまう。これにより食物の消化吸収や運搬能力が低下した結果、運化転輸の機能が低下したことで食欲不振や口淡が生じる。
飲食に味も臭いもしない・飲食物を欲さない・心身の倦怠感・腹部の張り感・大便がやわらかいなどの身体症状がみられる。


湿困脾胃(しっこんひい)
体内に生じた余剰水分が原因となる。湿気の強い環境に身を置く・飲食の不摂生により消化吸収機能の低下が生じるなどによって余剰水分が体内に生じる。この余剰水分が消化機能の低下を招いた結果、口の中のネバネバ感や口淡が生じる。
口の中がネバネバする・飲食物が味がしない・消化不良・食欲不振・胃のもたれ感・吐きたいけど吐けない・大便がやわらかいなど身体症状がみられる。

スタッフ 杉本

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「味覚の異常」について以前記事を書いたと記憶している。

そこでの記載はなかったが、中医書を目を通していると「舌不知味」という記載がみられた。

舌で飲食物を味わえないことをさすようである。しかし「味覚障害」や「木舌(舌が腫脹して木のように固くなるもの)」とは別物であるとされる。

●舌不知味の東洋医学的分類●

舌についての古典上の記載を見てみる。「心は舌をつかさどる・・・。キョウにたっては舌となす」という記載があるよう「舌は五臓の心と密接にかかわっている」ことが理解できる。

中医書の記載でも「心」の不調によるものが多く見受けられる。

①心血虚タイプ

栄養不足により心が正常に働かないことが原因。心と関連のある舌も正常に働かないことで味を感じないようになる。出産などによる失血過多などが原因で血の不足が生じる。

鑑別ポイントとしては、舌の赤味が淡いことが挙げられる。

②痰迷心キョウタイプ

体内に停滞した余剰水分が心キョウに詰まることで生じる。余剰水分は多湿な環境や身体の水液代謝機能が低下することにより出現する。

鑑別ポイントとしては、発声の際に痰がからむ・舌の苔がベッタリついていることが挙げられる。

③食中毒タイプ

毒物が「心」に作用することで生じる。関連する舌も心と同様に正常な活動を行うことができなくなるために味を感じないといったエラー症状が出現する。誤って毒性を有するものを口にすることで生じる。

鑑別ポイントとしては、はっきりとして原因が存在し(●●を口にした等)悪心・嘔吐・腹痛などの症状を伴うことが挙げられる。

舌が正常なはたらきには「心」に十分な気・血(エネルギー・栄養)が必要であることを理解していただけたら幸いである。

スタッフ 杉本

中医書には物を口にしたわけではないが、口の中に味を感じる症状が何件か記載されている。

その中でも「口の中が苦い」状態を「口苦」という。

以下、口の中が苦い状況についての東洋医学的解説を行いたいと思う。

●口苦の東洋医学的解説

 口苦とは、口中に苦味を自覚することである。中医書には「口苦」のほか「胆疸(たんたん)」という表記が見られる。

多くは、五臓六腑の「肝」「胆」に熱があることによって、「胆」のエネルギーが熱で蒸されて上昇することが原因であるとされている。(胆汁が口に上がるイメージ)


①邪在少陽口苦
気候(特に寒冷性の強いもの)が原因となる。これらが体内に侵入した結果、「胆」腑は機能失調を起こしてしまう。胆は熱で蒸され上昇し口の苦さが生じる。

そのほか、咽の渇き・頭痛・眩暈・口が苦い・悪寒と発熱が交互にみられる胸脇部が張って苦しい・吐き気を催すといった症状がみられる。

肝胆鬱熱(かんたんうつねつ)
「肝」で生じた熱が「胆」に移動したことが原因となる。抑鬱感や過剰な精神刺激は「肝」に熱を生じさせる。この熱が「胆」に移行し、熱によって胆のエネルギーが上昇(口へ向かう)し口苦が生じる。
口が苦い・咽が渇く・眩暈などは①と同様に生じる。違いとしては、起こりやすい・ため息をつく・顔や目が赤いといった症状がみられる。


スタッフ杉本

  ※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載にない症状》に収められています。

まだまだ寒い日が続いていますが、そろそろ花粉症の症状が出ている知人を見て「明日は我が身」と

毎年ビクビクしている研修生の大久保です。

さて、皆さんはご自分の舌がどのような形をしているか見たことはありますか?

東洋医学では舌も証を確定する重要な部位で『舌診』と呼ばれています。診るところは、大きさ・

形・色・表面に付着している苔・舌の裏などです。正常な舌であれば出した時に口の両端に余裕があり、

ピンク色で、ほどほどに苔が着いている状態なのですが、今回は大きくてぼてっとしたような舌『胖大舌

(はんだいぜつ)』についてご紹介しようと思います。

胖大舌とは

 ・舌を出した時に口の両端いっぱいまでぼてっと広がる舌で、力なく柔らかい

 ・舌の両端に歯型が着いている場合がある。(歯痕舌)

 ・色は薄いピンクで苔は薄く白い

続いて考えられる証は

<脾気虚>

 ・疲れやすく小食、お腹が張って便が緩い

 ・脾気虚証に“寒”“湿”の邪が入ると →さらに舌の色が薄くなり、吐き気、めまい、浮腫みが出る

<腎気虚>

 ・腰から下が重だるく、小便が少ない、手足の冷え

となります。イメージしやすいように言い換えますと、元気の低下で消化器系などの水を代謝する能力が

落ち、行き場を失った水が舌に溜まったという感じです。これが腎気虚では腰から下に水が溜まった為に

足腰に力が入らないと考えたらスッキリ納得頂けると思います。

舌診は簡単に身体の状態を知れる部位ですし、嘘もつけない所なので是非ご確認ください!

研修生 大久保昌哉

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「排便困難」は排便に要する期間が通常よりも延長し、排便がスムーズに行えない状態を指す。似たような症状で「大便秘結(便秘)」がある。(排便困難では隔日、大便秘結では排便間隔は4〜7日/回といった違いが見られる。)

①大腸熱結による排便困難大腸に存在する熱が原因となる。もともと熱が盛んな体質であること・または辛いものの食べすぎることで体内に熱が生じる。胃腸に生じた熱が大腸に下降し、水分を飛ばすことで排便困難を招く。(特徴)便は乾燥している・兎糞便・腹部の張感を伴うなど
(身体症状)顔、耳が赤い・口の渇き・尿の色は黄色い・脈が強いなど

②湿熱による排便困難

 湿気と熱が原因。高温多湿な環境や甘いもの・油濃いもの・味の濃いものなど飲食の不摂生により体内に「余剰水分」と「熱」が生じる。体内の余剰水分は胃の消化・吸収能力や大腸の糞塊を運搬する能力の低下を招く。

(特徴)ネバネバとした便・先に硬いものが出た後水様便が出る

(身体症状)体の重だるさ・口が苦い・小便の量が少ない・小便の色は濃いなど

③脾肺気虚による便秘

消化器の糞便を運搬する力の不足が原因。飲食不節、思慮過度、疲労や過労などによって消化器自体の活動力が低下し、排便困難を招く。

(特徴)すっきりと排便できない・力んでも出すことが難しい
(身体症状)精神疲労全身倦怠感・ボソボソと話す・脱肛など。

④肝脾気滞による排便困難長期にわたるストレスや強い精神的な刺激を受けることがきっかけになり大腸の動きが悪くなることが原因となる。大腸の動きが悪くなった結果、糞便の運搬する力が低下し排便困難を招く。

(特徴)便意が急に迫ってくるも排便できない
(身体症状)おならが比較的多い・お腹の張り・精神抑鬱・ゲップが多い・生理前の胸の張りなど。
 

⑤脾腎陽虚による排便困難冷えが原因。加齢や過度な疲労は身体を温める力の低下をもたらし、生じた冷えは大腸の機能の低下を招きその結果、排便困難が生じる。

(特徴)乾燥した便が出る

(身体症状)四肢の冷え・寒がる・腰膝の重だるさ・小便の量は多く色は薄い・夜間頻尿など。

⑥血虚(陰虚)による排便困難胃腸の潤い物質の不足により腸道が狭くなることが排便困難の原因となる。長い期間病気を患うこと・産後の出血・加齢によるものが多い。
(特徴)硬い兎糞便
(身体症状)頭部の揺れ感・不眠・顔色は青白い・両ほほが赤らむ・口やのどの渇きなど

スタッフ 杉本

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嘔吐と水様便の下痢が同時にあるいは交互に発生するものを指す。

中医書には「上吐下瀉」の他、「霍乱(かくらん)」・「吐瀉」という記載も見られる。

多くは気候由来のもの、消化器のトラブルなどが原因で引き起こされる。

現代医学におけるコレラ・パラコレラ・細菌性食中毒などとよく似ている。

①暑湿による嘔吐下痢高温多湿な気候が原因で発症する(夏に多い)。この気候由来の熱や湿気が体内に侵入し消化器に影響をもたらす。胃が損傷されることで嘔吐が出現し、大腸に下注することで下痢が生じる。
(特徴)発症は急激・腹部は絞ったような激しい痛み・黄色い水様便・あるいは粘液便を下痢する
(身体症状)口の渇き・腹部のつかえ感・発熱・頭痛・四肢や体の痛み・小便は量は少なく色は濃い

②寒湿による嘔吐下痢寒冷・多湿な気候により生じる。生もの冷たいものを食する・夜風にあたるなどが原因となる。

冷えは胃腸の消化・吸収能力の低下を招き、身体の栄養・不必要な物質を循環・排出されるメカニズムに障害が生じることで嘔吐・下痢が生じる。
(特徴)水分量豊富な嘔吐・下痢となる・臭いは少ない・腹痛を伴う・温めたりさすると楽になる
(身体症状)胸やお腹の張り・むくみ・四肢、身体の冷えなど

③虚寒による嘔吐下痢もともとの冷え体質が原因となることが多い。胃腸の消化・吸収機能の低下(胃⇒小腸⇒大腸に降ろす機能が低下する)を招き、嘔吐下痢となって現れる。

(特徴)温めると軽減する・水様便・未消化便を下痢する
(身体症状)汗が出て四肢は冷える・寒がり・食欲不振など

④食積による嘔吐下痢食物が胃腸に停滞し、消化できないことにより生じる。暴飲暴食や不衛生なものを口にすることが原因となる。これらは胃の機能(消化・吸収)の低下をもたらし嘔吐・下痢が生じる。
(特徴)腐酸臭のする嘔吐と下痢となる・下痢をした後痛みは軽減する
(身体症状)腹部が張って痛む・ゲップが出る・嘔吐の後下痢することが多いなど

⑤時疫霍乱による嘔吐下痢感染症を感受し、胃腸が侵襲される・腐敗したものを口にするといったことが原因で嘔吐・下痢を生じる。
(特徴)発症は急激・激しい嘔吐下痢となる(噴射状に嘔吐・下痢ははじめは泥状便が出た後水様便が出る)・臭いはない・はっきりとした腹痛が生じる
(身体症状)口の渇き・両目の陥凹・皮膚は青白い・冷や汗をかく・唇や爪の色は青白いなど

スタッフ 杉本

  ※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載にない症状》に収められています。

便失禁は、排便のコントロールができず、自分の意思に反して便が漏れてしまう状態を指す。

原因は肛門部の筋肉(肛門括約筋)の衰えや損傷が挙げられる。

衰える原因の一つは加齢であり、肛門を占める力が弱くなることで失禁が生じる。

また損傷の原因は分娩、痔、大腸がんなどの病気が挙げられる。

以下、東洋医学的な解説を行いたいと思います。

●「大便失禁」についての東洋医学的解説

便失禁は、自分の意思に反して便が漏れてしまう状態を指す。ひどい場合には排便したことを自覚していない状態となる。

ただ排便回数が多くとも自身でコントロールできる状態・肛門部の外傷・手術の後遺症によるものは
含まれない

脾腎陽虚による大便失禁長期間の下痢症状などにより五臓六腑「脾」「腎」が虚損したことが原因となる。「脾」「腎」の虚損は消化器の冷えを生じさせ飲食物の消化・吸収能力の低下を招く。双方の虚損は、しばらく下痢が止まらない・飲食物は未消化のまま排せつされるといった状態が生じる。
(特徴)慢性的な下痢症状・排便回数は頻回・時折粘液便を排泄
(身体症状)寒がり・四肢の冷え・小食でお腹が張る・腰の重だるさ・耳鳴り・尿量多く色は薄いなど

②気虚による大便失禁加齢による体力低下・長期間病気に患うことなどでエネルギー(固摂機能)が虚損することが原因となる。固摂機能には①内臓位置を一定に保つこと・②物質が漏れ出ないようにすることがある。

つまり固摂機能の低下により、内臓の下垂・肛門部おいて便が漏れ出る、という症状が出現し、大便失禁となる。
(特徴)大便は時々漏れ出るが、便が出ている自覚はない・ひどい場合には脱肛が生じる

 (身体症状)痩せ・精神疲労・食欲不振・息切れ・ボソボソと話すなど

③疫毒による大便失禁伝染性のウイルスや細菌などが原因となる。これらは腸道のうっ滞やエネルギーの虚損を生じさせる。エネルギーの虚損はこれらの邪から体を守ることが出来ず、一過性の意識障害が生じた結果便失禁を招く。

(特徴)急激に発症し、鮮やかな紫色の膿血便あるいは水様便となる
(身体症状)高熱・口の渇き・ひどい場合は意識がはっきりとしない状態となる

スタッフ 杉本

  ※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載にない症状》に収められています。

「テネスムス」とはどのような状態か?

テネスムスは便意をもよおしても排便がなかったり、便意があっても便が少量しか排出されないにもかかわらず頻繁に便意をもよおす症状を指す。いわゆるしぶり腹である。

このテネスムスは、中医書には「裏急後重」と記載されている。

「裏急」は腹痛をともなう我慢できないほどの便意を指し、「後重」は急激に排便するが便意は解消されず肛門の下垂間を伴うことを指している。

「①湿熱」「②気滞」が原因となるものが多く「湿熱」と「気体」は同時に見られることが多いとされている。 

①大腸湿熱によるテネスムス飲食の不摂生(アルコール・甘いもの・油濃いものなどの過食)・湿度、気温の高い環境によって胃腸に湿熱が生じる。湿熱が大腸に下降することが原因となりテネスムスが生じる。

(特徴)腹痛・差し迫った便意・膿血性の下痢・肛門に灼熱感が生じる
(身体症状)発熱・口が渇く・小便の量は少なく色は濃い

②気滞によるテネスムス大腸内の便を運搬する力「気」が滞ることによって生じる。気が滞る原因としては、①に挙げた「湿熱」や寒冷、多湿、高温な環境・五臓六腑の失調などが挙げられる。
(特徴)お腹の張り(甚だしくなると側胸部へ移行)・お腹がいたくなるとすぐ排便したくなる・排便後には腹痛は軽減する・すっきりと排便できない・膿血便
(身体症状)力強い弓の弦のような脈となる

③気虚によるテネスムス慢性の下痢・疲労などによって胃腸の消化・吸収能力の低下が生じる。大腸においても運搬能力の低下がみられテネスムスが生じる。また内臓を定位置にとどめておくことができず下垂傾向となる。
(特徴)持続的なはっきりとしない腹痛・肛門の下墜感(甚だしいときは脱肛となる)
(身体症状)精神疲労・息切れ・ボソボソと話すなど

④津少血虚によるテネスムス多くは慢性的な下痢症状により、身体の保湿・栄養物質を虚損することが原因となる。

乾燥症状が特徴・身体症状によく出現する。
(特徴)腹痛を伴い我慢できない便意となる・排便時に力んでも便が出ない・あるいは粘液が数滴出るのみ
(身体症状)口の乾き・目の乾燥・午後に体温が上がる(甚だしい場合に夜間に高温)・痩せなど

スタッフ 杉本

前回血便についての解説を行いました。

引き続き、排せつ関係について調べてみると、「大便膿血」という表記がみられます。

ネバネバした液体や血液をともなう下痢があり、排便回数が頻繁であること、裏急後重(急激な腹痛がおこり、常に便意があるが、排便によって便意が解消されず肛門の下垂感を伴う疾病))を伴うものを指す。ゼリー状であり血液を含む疾患としては、「痔」、「感染性腸炎」、「潰瘍性大腸炎」、「大腸がん」などが考えます。

東洋医学的に考えると、身体がどのようなことが生じているのか?

「大便膿血=膿血便」についての解説を行っていきたいと思います。

①大腸湿熱による膿血便原因としては、飲食不摂生や高温多湿な環境などにより胃腸に湿熱が生じ、大腸へと下降することにより生じる。

「湿」が多いものはネバネバした液体の割合が多く血液は少ない。

「熱」は反対に、ネバネバした液体の割合が少ないが血液は多い。

もちろん「湿」「熱」双方に盛んな場合には、粘液と膿血(赤白の夾雑物)を下痢する。

(特徴)排便回数は頻繁・腹痛、肛門の灼熱感を伴う・最初は水様便が出て膿血便が出る・量は少ない
(身体症状)小便は赤色・量は少ない・嘔吐・身体が熱い、など

②寒湿阻滞による膿血便普段より寒冷の食事を摂取しすぎて胃腸を冷やしてしまい、消化吸収能力が低下することが原因となる。生じた余剰水分が腸内にとどまり、腸の動きが停滞することで膿血便が生じる。
(特徴)。膿が多く血液が少ない下痢(豆乳のようと例えられる)・長く続く腹痛・暖めることや按ずることで軽減する
(身体症状)飲食を欲さない・小便は薄くて量が少ない、胸腹部のつかえ、など

③感受疫毒による膿血便

伝染病由来。胃腸を侵襲し全身に高熱症状を発症させる。

(特徴)発病は急速で高温・激しい腹痛が生じる・紫色の膿血便または水様便となる・便は悪臭

(身体症状)唇は青紫色・顔色は青白い・舌色は深い赤色など

④下焦虚寒による膿血便慢性の下痢が続き、身体のエネルギー・栄養・潤い物質が損傷することが原因となる。

エネルギーが不足することで「脾(消化器)」「腎(排泄器・生殖器)」に冷えが生じる。

冷えは消化・吸収や食塊の運搬作用に影響を及ぼし、大腸の吸収や排せつ機能の低下が生じるため膿血が生じる。
(特徴)水様便・白色ゼリー状や薄い血液が混じる・我慢できる程度の腹痛・温める按ずることで楽になる
(身体症状)四肢の冷え・痩せる・食欲不振など

⑤陰虚内熱による膿血便慢性の下痢症状によって身体に必要な保湿物質が失われることが原因となる。

体を冷ます成分が少ないために相対的な熱が生じ、大腸に停滞することで膿血便が生じる。

慢性的な下痢がきっかけになることは、「④」と共通するが、身体症状で顕著な違いが現れる。
(特徴)耐えられる程度の腹痛が長時間続く
(身体症状)午後に体温が上昇する(甚だしければ夜間発熱)・便秘・尿が濃いな

⑥時発時止膿血便初期治療時に下痢を止めることが早すぎることで治療がうまくいかなかったことが原因となる。

下痢を止めることが早すぎると腸内に熱を残してしまい、膿血便が生じる。

(特徴)発作時には血液が多く粘液は少ない下痢を排泄する・悪臭を放つ・非発作時はお腹の張りやはっきりしない痛みが続く・便秘と下痢が交互に続く
(身体症状)顔色は黄色い・心身疲労・食欲不振・痩せなど

スタッフ杉本

こんにちは!ミカンほど人によって食べるまでの手順が人それぞれな食べ物は無いだろうなぁと

しみじみ思う研修生の大久保です。因みに私は全体を揉むと甘くなり、頭のヘタがある部分から

剥くと繊維が残りにくいと思い込んでおります。

さて、そんな食べ物の話から始まりましたが、今日は食後に時々やってくる「しゃっくり」について

原因をご紹介しようと思います。西洋医学では「吃逆」(きつぎゃく)中医学では「口に厄」と「逆」

と書いて「あくぎゃく」と呼びます。古典では『声が出て、物がでるものを「嘔吐」、声が出て物が

出ないものを「あくぎゃく」とする』と定義していたようです。現代でもなかなか嘔吐としゃっくりを

結び付けられませんが、当時の人たちは口から逆流するものを「食べ物」なのか「気」なのか考えられ

ていた事が読み取れますね。

それでは誰でも多分一度はなったであろうしゃっくりを思い出しながら読んでみてください!

①胃寒気逆タイプ

 症状 :低くゆっくりな力のあるしゃっくり声、お腹の冷え

 原因 :冷たいものの飲食や寒邪が胃腸に侵入した為

 ※夏の日のビールでしゃっくりが出るのはこれですね!

②胃火タイプ

 症状 :大きくてよく響くしゃっくり声、勢いもある。口が乾き口臭がする

     お腹が熱く、尿が黄色、便秘傾向

 原因 :辛い物を食べたり、熱の邪が胃に入る。精神的な事も原因になる

 ※韓国料理を食べた時にしゃっくりが出たことを思い出しました。

③脾腎陽虚タイプ

 症状 :絶えずしゃっくりが出て苦しい、手足の冷え、顔が白く食欲が無い

     足腰に力が入らず、尿が多く、便がゆるい

 原因 :慢性の病や肉体疲労により胃気が低下する

 ※元気も無い。胃腸も調子悪いとなれば何かしら症状は出ますよね。長引くようなら注意が必要です。

④胃陰不足タイプ

 症状 :早いしゃっくり声で呼吸が苦しく、止まったり出たりを繰り返す。口が乾き精神不安

 原因 :慢性の病や肉体疲労により胃陰が低下する

 ※勝手な解釈ですが、空腹時にそれ程急いで食べてもいないのに出るしゃっくりはこれのような

  気がします。

胃の作用の一つに「食べた物や気を降ろす」という作用があります。これが上記の4つのタイプの原因に

よって逆流してしゃっくりとなる訳です。③のタイプにも書きましたが、2日以上長引くようなしゃっくり

は病院の受診をおすすめ致します。

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のなげnい症状》に収められています。

血便は文字の通り、赤い血が混じっている便を指す。

大腸、肛門、下部消化器からの出血するが、肛門からの出血だと鮮やかな赤で大腸からの出血だと暗赤色となる。

疾患としては痔・大腸がん・大腸ポリープ・潰瘍性大腸炎・クローン病などが挙げられる。

以下、東洋医学的な解説をしていきたいと思います。

●血便(大便下血)

中医では大便下血といい、便に血液が混ざるものを指す。大便下血には①出血のみ・②排便の後半に出血するもの・③出血した後排便するもの・④便に血液が付着しているもの、がある。

肛裂(切れ痔)・肛漏(痔ろう)などによって生じる。

1)大腸風火タイプ
気候・高熱な外的環境が陽明経脈(大腸と関係がある)に侵襲・熱が腸胃に停滞し脈絡を損傷するたことが原因で血便が生じる。

(特徴)

 出血後便が出る・鮮紅色・急激に発症するが期間は短い・肛門の灼熱感を伴う
(その他の症状)

唇が乾燥・咽が乾き冷たい飲み物を欲する・歯茎の張れ・口が苦い・口臭がする・便秘など。

2)大腸湿熱タイプ飲食の不摂生・また多湿な環境に長時間さらされることによって胃腸に余剰水分が生じる。

これが下降して大腸に留まり熱をおびる。この熱により血絡が傷灼されることによって血便が生じる。
(特徴)
 便に血液が付着・暗黒色or黒豆汁のような色の便

(そのほかの症状)
 顔色は黄色・口は渇き苦い・飲食を欲さない・お腹の張り・排便後すっきりしないなど。

3)肝腎陰虚タイプ身体の栄養物資・保湿物質の不足によって生じる。保湿物質の不足は相対的な熱(身体を冷ます物質が不足することによって生じる)を生み出す。この熱が大腸に停滞することによって血便が生じる。

(特徴)

排便後出血・深紅色・血液が点滴する・出血量は多くない
(その他の症状)

頭部の揺れ・めまい・両ほほが赤らむ・不眠・寝汗・足腰の重だるさなど。

4)脾腎陽虚タイプ
働きすぎ、長期間病気を患うことによる体力低下などによって「脾」と「腎」の気が低下することにより生じる。「脾」は血液を脈内にとどめておく作用を有し、「腎」は物質を漏れ出ないようにおさめる作用を有する。この「脾」「腎」双方の作用が低下した結果、下血が生じる。

(特徴)

排便後出血・黒い・粘稠度が高い・出血量が多い。
(そのほかの症状)

顔色にツヤがない・手足がだるい・ボソボソと話す・下痢・ひどい場合には手足の冷えなど。

スタッフ 杉本

肛門部の皮膚については「そう痒=かゆくて掻いてしまう」といった症状が見受けられることがあります。これまで述べてきた「痔」も一つの原因ですが、炎症性腸疾患含む肛門直腸疾患他、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患、疥癬などの感染症、大量発汗などの衛生面などのかゆみが生じる原因が多くにわたります。

以下、東洋医学的な「肛門部周囲のかゆみ」についての解説を行いたいと思います。

●肛門そう痒とは?

 肛門周囲の皮膚がかゆくなり、しばらくたっても治らない症状を指す。

痔・列肛・肛門周囲のできもの・皮膚病など多様な疾患みられる。

①風熱(ふうねつ)型

五臓六腑の「肺」に熱が侵襲する。この肺に存在する熱が下降して大腸へと到達することが原因の多くとされる。(漢方上では「肺」と「大腸」は経絡で密接につながっている)

(特徴)虫にかまれたような熱感があり耐え難いかゆみ・ひどい場合には皮膚がさけて出血する

(そのほかの身体症状)胸苦しさ・不眠・口が苦くのどがかわく・便秘・精神不振など

②風湿挟熱型

 湿気や熱由来。湿度が高い・高温な気候など環境要因が関与したり、また飲食の不摂生や消化機能の低下により体の中に余剰な水分が生じることが原因となる。これらが肛門皮膚部にうっ滞することでかゆみが生じる。

(特徴)皮膚に湿り気がある・活動して皮膚が擦れることで傷みはさらに強くなる

(その他の身体症状)倦怠感・体が重だるい・お腹が張る・小食など

③血虚生風型

体の中の栄養物質・保湿物質が失わると乾燥症状が生じる。肛門皮膚の栄養物質・保湿物質の不足が原因となりかゆみが生じる。

(特徴)皮膚は乾燥している・ツヤや張りがない・クモの巣状のシワとなる

(その他の身体症状)口、舌の乾燥・痩せ・不眠など

身体症状として「かゆみ」を伴うことは多く見受けられますが、今回は肛門部について解説させていただきました。自身の体を知る上での何かの参考になれば幸いです。

スタッフ 杉本

 ※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載にない症状》に収められています。

こんにちは!正月休みの夜更かしグセが治らず、夜中の三時まで眠れない研修生の大久保です。

さて、突然ですがジャンケンのパーをした時に皆さんの手の指は真っ直ぐ伸びていますでしょうか?

学生時代にバスケットやバレーボールで突き指をしてから曲がったままという方もいると思いますが、

治療をしていると『いつからか一本だけ指が隣の指に向かって曲がっているんだけど何で?』というお声も

少なくありません。今回はそんな関節が変形する理由を中医学的に説明したいと思います。

まず、関節の変形で考えられるのがリウマチですが「朝のこわばり」や「熱っぽさ」などの定義があります

ので、ネットなどでチェック項目を確認して頂いて当てはまるようなら病院を受診されたほうが良いと思い

ます。中医学で考えるリウマチも下記の原因とは少し異なりますので、今回は「リウマチ以外の関節の変形」

という形で三つご紹介致します。

①気滞血オパターン

 症状 :針で刺されたり刃物で切られるような特定の場所にだけ起こる鋭い痛み。

     腫れや動きの制限がある。

 原因 :風寒湿熱の邪が体内に長期間入り込み、気血の動きを悪くして変形させる。

     また、外傷により引き起こされる。関節以外での変形も見られる。

②痰オヒ阻パターン

 ※説明で出てくる「オ血」=血の流れが悪くなると出る病変。「痰」=津液(身体に流れる水分)の流れ

 が悪くなると出る病変。とイメージして頂くと分かりやすいと思います。

 症状 :慢性的に痛く、繰り返す。関節は硬直し変形する。激烈な痛み。

     曲げ伸ばしできず、腫れやしびれが出る場合がある。

 原因 :気血の閉塞(ヒ症)が反復された為オ血や痰が生じ、それらが合わさって引き起こされる。

     特定の場所が激烈に痛み、関節の曲げ伸ばしができない。

③肝腎の気が無くなりかけパターン

 症状 :慢性的な関節痛。筋肉や関節の引きつり。疲れ、寝汗、めまい耳鳴り、もだえ暴れる、

     夕方の決まった時間に熱を出す、足腰に力が入らない、関節の熱感腫れ、日中は動けるが

     夜になるとダルくなる。

 原因 :病気の長期化で筋肉を主る肝と骨を主る腎が力を失い、徐々に関節が変形する。

となります。冒頭でお話ししました『いつからか曲がっていた』の理由は③の「徐々に関節が変形」

する為にご自身でも気づかない内に変形が進んでいたのだと思います。また、突き指などで関節が

曲がってしまう理由も、回復期に気血の流れを良くする処置をしていなかったり、そのまま運動を

続けていた為に気滞血オが進んでしまったのだと考えられます。(私もそうでしたが、休んだら

レギュラー落とされるから休めません><)

中医学は色々な事が説明できるので面白いですね(o^―^o)

↑指体操の一つです。

研修生 大久保昌哉

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20201/1

明日から本格的に21年の臨床が始まる。

今年はどんなドラマが待っているのだろうか?

少し前の話だが、滅多にお目にかかれない患者さんと遭遇する。

この患者さんは中医でいう「言語錯乱」の変法。丹渓心法なら『錯語』に当たる。わけのわからい言葉が次から次へと留めなく出てくる状態をいう。自身でもこの状態になると自制できないらしい。

今回はお葬式でこの症状が現れる。

スピリチァル的のいうなら三次元と四次元に境界を彷徨う感じで、鬼籍に入られた方の思いを被ってしまうらしい。霊が乗り移ったとでも表現するのだろうか。

その前の時は文字通り「言語錯乱」で自分の意識がなくなり、わけのわからない言葉がどんどんと出てくる感じであったが、今回は意識が遠のき、言語錯乱もあったが、非常に強い口渇を自覚し、異常に水を飲むという異常行動で現れる。

その後は疲労困憊になるり、悪夢を見るようである。自分でもそうなっているという意識があるも、止められないので、とても恐怖感じるという。

一介の鍼灸師が治療の対象としていいのかどうかわからないが、少し落ち着いたご様子であったので引く受けることに。

現状の弁証は心脾両虚。

顔に赤みが戻っているので良しとする。

発作時は心火であろう。安定時の心脾両虚からトリガーになる不安感が潜行し一挙に心火に移行するのだろう。

今回、言語錯乱より飲水異常が強く現れたのは、本人が過去の数回の体験から無意識に学習されたのであろう。その証左になるかどうか微妙だが、ご自身の意識が遠のく(乗って取られる?)前に強い口渇を感じている。そこで心火の熱を冷やすための行動であったと解釈している。

その後耳鳴りで定期的に通われているが、10年以上はこの症状は出ていない。

ついでに耳鳴りも


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数回に渡って泌尿器についての症状を解説をしてきました。

本日は「尿失禁」について解説していきたいと思います。

◎「小便失禁」とは?

「尿失禁」を中医学では「小便失禁」という。この「小便失禁」=日中・夜間を問わず意識下で尿を漏らしてしまい、排尿を自制できない状態を指す。類似した症状で「遺尿」と「尿後余瀝」がある。

相違点として、「遺尿」は夜間無意識下に尿を漏らしてしまうことで、「尿後余瀝」は排尿は自制できるが、尿の切れが悪く排尿後に少量の尿が点滴する状態が挙げられる。

◎「尿失禁」の現代医学的な分類

現代医学上でも尿失禁は自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことと定義づけられている。

 ①腹圧性尿失禁

重い物を持ち上げたり、咳やくしゃみなどにお腹に力が入り腹圧の上昇したために起こる尿失禁。

女性の尿失禁の中で最も多い。加齢や出産を通じて、排尿にかかわる筋肉が緩むために生じる。膀胱の過活動はない。

②切迫性尿失禁

急に尿がしたくなり、我慢できずに漏れてしまう。不随意の膀胱収縮を伴う。

急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまうのが切迫性尿失禁です。
多くの場合は特に原因がないのに、膀胱が勝手に収縮してしまい、尿意切迫感や切迫性尿失禁をきたす。
③溢流(いつりゅう)性尿失禁

排尿障害が基礎疾患としてあるために自分で尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつ漏れ出てしまうの状態。男性に多くみられる。



④機能性尿失禁

排尿機能は正常にもかかわらず、運動機能の障害や認知症などのためにトイレに間に合わないことで起こる尿失禁。

◎「尿失禁」の伝統医学的分類

①腎陽虚による小便失禁(加齢型失禁)
長期間病気を患う・加齢によって「腎」のエネルギー(あたためるエネルギを含む)が虚損する。腎は排尿コントロールを担うが虚損することで尿の貯蔵・排出機能が低下するために失禁が生じる。
・主な症状・・・回数頻回・尿色は薄い・尿量は多い
・その他の症状・・・倦怠感・腰の重だるさ・四肢の冷えなど

②脾肺両虚による小便失禁
慢性的な咳症状による「肺」の損傷や疲労感や素体の虚弱により「脾」が損傷することによって生じる。「脾」「肺」ともに虚損することで水液の運行や膀胱の排尿コントロールに障害が生じるために失禁が生じる。
・主な症状・・・頻繁に失禁
・その他の症状・・・心身疲労・食後お腹がはる・食欲不振・下痢など。

③膀胱湿熱による小便失禁

 環境要因(暑い・また湿気が強い気候)や辛いもの・味の濃いもの・甘いものの過食などの飲食不摂生により消化器(中焦)に湿熱が生じる。消化器に生じた湿熱が膀胱に流注することで、膀胱の貯蔵・排出エネルギーを損傷させることが失禁が生じる。
・主な症状・・・頻尿・尿意の切迫感を感じる尿量は少ない・尿色は濃い・排尿時灼熱感をともなう。
・その他の症状・・・口が苦い・口が乾く・身熱など。

④肝腎陰虚による小便失禁
津液の損傷や加齢などによって陰液が損傷する。体を冷ます作用を有する津液が損傷することで体の内部に相対的な熱が生じる。この熱が膀胱の貯蔵・排出エネルギーを損傷させるため失禁となる。
・主な症状・・・尿量は少ない・色は濃い
・その他の症状・・・頭のふらつき・耳鳴り・両ほほが赤らむ・側胸部のシクシクとした痛みなど

尿失禁は高齢者以外にも、40代以上の女性の4割以上患うとされている。

この「尿失禁」は症状以外にも心理的負担も負うように感じる。

また介護を有するような方に関しては、同居する家族にも同じように心理的な負担・介護負担の増加をもたらしてしまうでしょう。

当院では上記のような症状に対して、主に手足・腹部のツボを用いて治療を行っていきます。

相談しづらい疾患ではあると思いますが、お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

スタッフ 杉本

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2021/1

微熱は発熱とは違い、体温計で表れない自覚的熱感を指す。仮に現れても37度前後までだろう。

時間帯により高い自覚があったり、、平熱になった感覚になったりする方が多く、数カ月続くこともまれではない。

当院でもこれを主訴に来院する方は結構おり、更年期以後の女性に多い。

大きくは胃腸の亢進型、乾き型、疲労型に分類する。

胃腸亢進型は感冒から展開するケースもあるが、微熱は午後から夕方辺りに表れやすく、手足の発汗、腹部の違和感、便が出にくいなどを特徴とする。

乾き型は午後あるいは夜間に微熱する。手足や顔などがほてり、不眠、寝汗傾向も顕著になる。これに類似するが腹部の硬結があり、口が乾くも水分を取らないケースでは、背後に炎症性疾患が隠れていることもあり注意する。

※疲労型はほとんどが自覚のみの熱で体温計には表れない。午前中に微熱が表れることが多い。あるいは読んで字のごとく過労・心労と連動し表れることもある。慢性的な疲労感、息切れなどがある。

食欲との連動なら疲労型に多そうだが、疲労型は食の進み方が遅くなるが食べられないというほどではなく、むしろ胃腸亢進型の方が食べたがらない。

そのほか免疫機能が弱い方で季節性を持つ方もいる。梅雨から真夏にかけてのみ表れるケースもある。子供に多いが大人でもある。

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「排尿」ひとつ着目しても体の色々な情報が得ることができます。

今回は「尿の切れがわるい・残尿感(尿後余歴)」について解説を行っていきたいと思います。

「小便の切れが悪い」・「排尿が終わったあとにも尿が点滴する状態」を「尿後余瀝」という。

「尿が点滴する」という状況は「小便失禁」と共通している。

ただ「小便失禁」は排尿を自制できずに漏らしてしまう状態である。

対して「尿後余瀝」は排尿自体は自制できるが、排尿後に点滴する状態を指している。

◆腎虚による尿後余瀝(高齢の方に多い)
膀胱内にある尿は五臓六腑の気の作用によって膀胱内にとどまることが出来ている。加齢・長い間病気を患うこと・産後の消耗などが原因となって腎の損傷されることで排尿コントロールができなくなるために尿後余瀝となる。

(主な症状)頻尿・尿の色は薄く透明・尿量は多い。
(その他の症状)膝腰の重だるさ・四肢の冷え低下、耳鳴りなど。
 

◇中気下陥による尿後余瀝(働き世代に多い)
飲食の不摂生などにより消化器にダメージが生じる。東洋医学上の消化器(脾胃)の役割として内臓の位置をその場にとどめておく作用を有している。消化器が損傷することで昇挙無力が生じ、膀胱を約束できないことによって尿後余瀝となる。

 
(主な症状)尿色は透明で薄い・排尿後にポタポタと出る・疲れにより生じやすい
その他の症状精神疲労・食欲不振・下痢・内臓下垂など。

◇膀胱湿熱による尿後余瀝(飲食不摂生の方に多い)
飲食物は尿や便として体外へ排出される。味の濃いもの・アルコールの過剰摂取は体内に湿熱を生じさせる。この湿熱が消化器から膀胱に移動した結果、膀胱の排尿コントロールの機能が失調されることによって尿後余瀝が生じる

(主な症状)回数頻回。尿色は黄色く濁っている・尿や尿道の灼熱感をともなうことも。
(その他の症状)口が渇く、身体のほてりなど。

年末年始。自宅の清掃も終えたのですこし時間を見つけて勉学に励みたいと思います。

本年も引き続き精進していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

スタッフ 杉本

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