〒242-0021 神奈川県大和市中央3-8-26 杉中央ビル1階
営業時間 | 9:30~18:30 |
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定休日 | 水曜日・金曜日・日曜日・祝日 ※ただし急を要する方には第2・第4日曜日にて 個別対応も可能なこともあります。前日までにご相談ください。 |
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前回の続き。(冷え・食べ過ぎタイプについて解説)
今回は「熱」と「滞り」が原因の上腹部痛について解説をしていきたいと思う。
●「胃かん痛(上腹部痛)」についての東洋医学的分類●
◎「熱タイプ」の胃かん痛(肝火反胃・胃陰虚)◎
④肝火反胃(かんかはんい)タイプ
熱タイプであり感情や飲食が原因となり生じる。多くは長期間抑うつ状態が続くことで怒りが爆発することなどが原因により生じる。辛い物や甘いもの味が濃いもの体を温めるものの食べ過ぎも原因となる。
鑑別ポイントとしては、発症が急激であり燃えるような痛みが生じることか。口の渇きや口の苦みを伴うこともある。
⑤胃陰虚(いいんきょ)タイプ
熱タイプであり、潤いや保湿が不足することにより生じる。ほてりのような微弱な熱である。
多くは慢性病により胃の潤い・保湿成分を損傷してしまったことが挙げられる。
鑑別ポイントとしては、発症はゆるやかでありシクシクとした隠痛であること。口やのどの渇き・ほてり・唇の乾燥を伴うケースが多い。
◎「滞りタイプ」の胃かん痛(肝鬱気滞・お阻胃絡)◎
⑥肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ
全身のはたらきをコントロールする「肝」の機能失調により「胃」のはたらきも低下することで生じる。「肝」の失調は感情の急激な変化・ストレスに由来することが多い。
※鑑別ポイントとしては、停滞によりお腹の強い張り感が伴う。げっぷ・食欲不振・便秘などの消化器系の滞り症状を伴う。
⑦お阻胃絡(おそいらく)タイプ
全身のはたらきの低下が血液運行の停滞も及ぶことで生じる。「⑥肝鬱気滞タイプ」が長期化することにより生じる。
※鑑別ポイントとしては、針に刺されたような痛みであること・痛む場所が一定であることが挙げられる。
少し長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか?
おへそ上の痛み一つとってもいろんな原因があることが分かったのではないでしょうか?
「冷え」・「食べ過ぎ」・「熱」・「ストレス」・「滞り」、いろいろな原因が挙げられます。
お悩みの方はぜひ一度当院へご相談ください。
スタッフ 杉本
●おへそ下(上腹部)の痛みについて●
腹部において「おへそ上〜みぞおち」までのエリアが痛むことを「小腹痛」という。
上腹部に存在・つまり身体の中間部(中焦)に位置する五臓のトラブルによって痛みが出現することが多い。
具体的にいうと「脾(ひ)」・「胃(お)」・「肝(かん)」「胆(たん)」など。
これらの臓腑が単独ないし複数でトラブルが生じることにより、上腹部の痛みが出現するのである。
中医書における上腹部痛は7パターン見ることができた。
●「胃かん痛(上腹部痛)」についての東洋医学的分類●
まずは「冷え」が原因である2タイプを紹介。どうしてお腹が冷えたか?に違いがみられる。
その次に「食べ過ぎ」タイプを紹介したい。
①脾胃虚寒(ひいきょかん)タイプ
上腹部の冷えが主な原因となる。冷えの原因としては、長期間消化器系の疾患を患うことや虚弱体質であることから体のエネルギーが少なく上腹部をあたためる力が弱いことが挙げられる。
※鑑別ポイントとしては、冷えが原因であることから上腹部を温めたり摩ることで痛みが軽くなることが挙げられる。お腹がすいた際に痛みが生じ、何か口にすることで楽になることも。
②寒邪犯胃(かんじゃはんい)タイプ
上腹部の冷えが主な原因となる。冷えの原因としては、外的気候・飲食物などが挙げられる。寒冷な気候や冷たいもの体を冷やすものが胃へ侵襲することが挙げられる。
※鑑別ポイントとしては、①と比較して発症が急であり、短期間で治ることが挙げられる。締め付けられるような痛みが生じる。また冷え由来であることから温めること・摩ること・暖かいものを口にすることで痛みが軽減することが挙げられる。
③食積(しょくせき)タイプ
食べ過ぎによるお腹の痛みがこのタイプである。
※鑑別ポイントとしては、暴飲暴食をしたというはっきりとした原因があること。特徴としては張ってお腹が苦しくげっぷが出ることが多い。時には吐き気・嘔吐を伴うことも。
長くなってしまうため今回はここまで。残りの4タイプは次回紹介します。
スタッフ 杉本
●おへそ下(下腹部)の痛みについて●
「お腹が痛い!」といってもお腹のどこが痛むであろう?
腹部において「おへそ下」のエリアが痛むことを東洋医学では「小腹痛」という。
下腹部に存在する五臓のトラブルによって痛みが出現することが多い。
具体的にいうと「腎(じん)」・「膀胱(ぼうこう)」・「小腸(しょうちょう)」「子宮(しきゅう)」などが下腹部には存在する。
つまり上記の臓腑が単独ないし複数がトラブルを生じることで、下腹部の痛みが出現するのである。
早速だが、中医書における下腹部痛3パターンを紹介していきたい。
●「下腹部痛(小腹部痛)」についての東洋医学的分類●
①膀胱湿熱(ぼうこうしつねつ)タイプ
膀胱に水液物質(尿)が停留すること・排出されることなく膀胱へ水液物質が注がれることなどが原因となる。長時間停留した膀胱内の水液物質は熱化してしまうことで下腹部の痛みが出現する。
※鑑別ポイントとしては、発症が急であること・腹部の張り感が伴うこと。排尿時には小便の色が赤く・灼熱感や痛みを伴うことが多い。
②膀胱湿滞(ぼうこうしつそ)タイプ
何らかの原因で膀胱の活動が停滞することによって生じる下腹部痛である。
停滞する原因としては「気滞」・「オ血」・「砂石」に分類される。
A)「気滞タイプ」
膀胱のはたらきが滞ることにより生じる。腹部の張り症状が著しく重さや痛みも伴うことが多い。
特徴としては、お腹の痛みは排尿後に生じることが多く、排尿後残尿感を伴うことが多い。
B)「オ血タイプ」
血液が停滞ないし凝滞することにより膀胱の活動に障害をもたらすことで生じる。
特徴としては、お腹の痛みは針にチクチクさされるような痛みであり血尿を伴うことも多い。
C)「砂石タイプ」
膀胱内に形成された石が膀胱の活動を妨げることにより生じる。
特徴としては、割れるような締め付けられるようなお腹の痛みであり、はっきりとした血尿となる。
③腎虚寒凝(じんきょかんぎょう)タイプ
下腹部(ここでは主に五臓「腎」)が冷えることで生じる下腹部痛である。
※鑑別ポイントとしては、痛みの程度は弱くシクシク痛み程度・小便の量が多く・排便も水っぽくなることが多い。下腹部を温めることで痛みが落ち着いてくることが最大の特徴か。
※(子宮のトラブルについては「痛経(月経痛)」の範疇であるためここでの説明は省略する)
いかがだったでしょうか?下腹部に存在する五臓のトラブルに加え・冷え・熱・石などいろいろなことが膀胱の活動に異常をきたすことで「下腹部の痛み」が出現します。
同じ下腹部の痛みでも、痛み方も異なり、原因によって行うべき処置が異なってくることが異なります。
お腹の痛みも鍼灸治療の適応疾患ですので、お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
スタッフ 杉本
「腸がグルグル鳴る」症状は、主に消化器系統のはたらきの低下・大腸のトラブルが原因であることを前回説明した。関与する臓腑としては、「大腸」・「脾・胃」・「腎」・「肝」を主とする。
今回はどの臓腑がどのようにして失調して、腸のグルグル音へと繋がっていくのか?解説を行っていきたい。
●「腸鳴」の東洋医学的分類●
①脾腎陽虚(ひじんようきょ)タイプ
消化活動をバックアップする五臓「腎(じん)」のはたらきが弱まることにより生じる。
はたらきの中でもからだを温める作用が特に低下する。
病気が長期間癒えない状況が続く・下痢が長期間続くなどが身体の温める力を消耗させ、その結果体内に「冷え」が生じてしまう。冷えは身体活動の低下させ、大腸においては糞塊を輸送する力が弱まり腸のグルグル音が出現する。
特徴としては、下痢傾向であることや温めると腸のグルグル音が落ち着くことか。
②中気不足(ちゅうきふそく)タイプ
消化器系統のはたらきが低下することにより出現。食べ過ぎ・食べなさすぎなどの飲食の不摂生や過労のため全身が疲弊してしまうことが原因として挙げられる。大腸においても糞塊を輸送する力が弱まり、腸のグルグル音が出現する。
特徴としては、パワー不足症状か。全身倦怠感が伴うこと・お腹の張り感や脱肛・子宮脱が伴うことが挙げられる。
③中焦寒湿(ちゅうしょうかんしつ)タイプ
消化器の冷えが原因となるのがこのタイプ。同じ冷えタイプである「①脾腎陽虚タイプ」の違いとしては、消化器をバックアップする「腎」の機能低下はみられず、消化器系単独の冷えである。普段の食生活から身体に冷えや余剰な水分が出現することが原因。体を冷やす食べ物とりすぎや味の濃いもの・甘いものの取りすぎなど。
特徴としてはおへそ上の冷えが顕著であること・腸の音がゴロゴロ雷のようであることが挙げられる。
④痰湿中阻(たんしつちゅうそ)タイプ
消化器系統に余剰な水分がためこまれることが原因。日ごろからの飲食の不摂生により水液代謝が低下してしまった結果、消化器に水がため込まれることで出現することが多い。
特徴として、「ひゅうひゅう」・「ざーざー」という音が生じるということが記載されている。
⑤肝脾不和(かんひふわ)タイプ
腸のはたらきがスムーズでないことが原因である。多くは気持ちの部分が身体に影響を及ぼすことで生じる。特徴としてはグルグル音のほかに必ず痛みが伴い、用を足しても痛みが変わらないことが挙げられる。
⑥腸胃湿熱(ちゅういしつねつ)タイプ
腸のはたらきがスムーズでないことが原因である。梅雨から夏場にかけての高温多湿な気候が身体に影響することで生じる。「高温=熱」・「多湿=余剰水分」であり、これらが腸管へと波及することでグルグルという音が出現する。
特徴としては、余剰水分や熱が多いことから排便が済んだとしてもスッキリしない・肛門部に灼熱感を伴うことが多い。
スタッフ 杉本
※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。
●腸がグルグル鳴る●
「腸がグルグルを治したい」という目的で鍼灸治療にかかること中々ないだろう。
ただここ数日臨床で消化器の不調を訴えつつお腹が「グルグル」となる場面に遭遇する。
指摘するほどナンセンスではない。そして私もよく腸がなることが多い。
ちなみにグルグルではない「ゲコゲコ」とカエルのように聞こえる。
はて?どうしてこのような状況が生じるのか?
気になるので少し調べてみることとした。
●「腸鳴」とは?●
お腹がなることを中国伝統医学では「腸鳴(ちょうめい)」という。
腸の動きに伴い発生する音を指し、主に腸管のはたらきに異常が生じている際に見受けられる。
多くは、①消化器系統のはたらきの低下・②大腸にトラブルが発生することにより生じる。
臓腑の観点からすると、「脾」・「胃」(上記①)・「大腸」(上記②)ほか
全身のスムーズな運行の司令塔である「肝」・消化器系統のはたらきを補助する「腎」
のトラブルが原因であるとされている。
※東洋医学では、「脾」は飲食物の初期消化・「胃」は小腸への消化物の輸送を担う・大腸は糞塊の輸送を担うとされている。
これらの臓腑が失調することにより、消化系統や腸管のはたらきが低下することで「腸鳴」が出現するのである。
では?どのようにして五臓に失調がみられるのか?
中医書に記載されている「腸鳴」の6パターンについて次回以降解説していたいと思います。
スタッフ 杉本
食欲不振。広辞苑によると「食欲」は「食べたいという欲望・食意・くいけ」を指し、「勢いがふるわないこと」を指すそう。食べたいという欲望がふるわないという解釈でよいであろうか。
この食欲不振はどのようなシーンで生じるであろう。
・大事な会議を前にして緊張してしまった時
・仕事が忙しく疲れ果ててしまいついつい夕食を抜いてしまった
・発熱して寝込んでとてもではないけど食事はとれない
・食べ過ぎ・飲みすぎてしまった翌日
・夏の暑い日に食欲がわかない
…などが簡単にあげられる。
●食欲不振の東洋医学的分類●
食欲不振は古典では「不欲食」・「不欲飲食」・「納滞」・「納差」などと記載されている。
はなはだしければ食事を嗅いだり・見るだけでも気持ちわるくなるとされる。
中医書には7パターンの「食欲不振」が記載されているが共通してあげられることとして飲食物の初期消化に携わる「胃」の機能失調であることが挙げられる。「何が原因」で胃の機能失調が生じたか、「他の五臓」が影響して胃の機能失調を招いたかがポイントか。
①肝気犯胃食欲不振(ストレスタイプ)
いわゆるストレスで食欲がなくなってしまうタイプ。五臓の「肝」は全身の機能をスムーズに運行させる働きを有するが、ストレスにさらされることで「肝」の機能が失調する。全身の一部である「胃」においても働きがスムーズに行われなくなることで食欲不振が生じる。胸の張り感やのどのつまり感が生じてしまうことが特徴。ストレスの原因がなくなることで寛解する。
(例)重要な会議があり食事がのどを通らない。会議が終わったら安心してお腹がすいてきた。
②脾胃湿熱食欲不振(暴飲暴食タイプ)
「脾」「胃」の消化系統の機能失調によるが原因が飲食の不摂生や高温多湿な環境である。甘いもの・味の濃いもの・油が濃いものの食べ過ぎで生じる。おなかの苦しさ・嘔吐・便が柔らかいがすっきりと排出されないなどが身体症状として出現する。
(例)・宴会で食べ過ぎ・飲み過ぎてしまったもう何も食べたくない
・夏場湿気が強くて暑いためなんだか食欲が落ちてきた
③胃陰不足食欲不振(栄養状態低下タイプ)
胃自身の栄養状態・うるおい状態が低下することではたらきが悪くなったものを指す。栄養・潤いが低下する原因としては主に長期間続く発熱であり、熱が栄養・潤いを消耗することにより生じる。口の渇き・唇や舌の乾燥症状がみられる。
(例)発熱して寝込んでしまった。なんだか食欲がわいてこない。
④脾胃気虚食欲不振(疲労タイプ)
過労や食生活が原因。全身のエネルギー不足は消化活動にも影響が生じてしまう。特徴としては、食欲減退が徐々に進み、飢餓状態に気付かない。多くを食べてしまうと吐いてしまうことが挙げられる。
(例)疲れきってしまって夕食を食べる元気がない
⑤脾胃虚寒食欲不振(冷えタイプ)
「④の疲労タイプ」が進行したもの。冷たいものや体を冷やすものの食べ過ぎによりエネルギー不足に加えて消化器の冷えが生じる。④の症状に加えて、温めると緩解し、冷えると食欲減退がさらに進むことが挙げられる。
(例)寒い日にキンキンの冷えたビールの進みが悪い
⑥脾腎陽虚食欲不振(慢性化タイプ)
「④の疲労タイプ」が進行したもの。⑤同様冷えが原因となるが、消化器の温める役割を有する五臓の「腎」まで冷えが波及したものを指す。温めて軽減することが共通点として挙げられるが、慢性化しやすい・下腹部も冷える・朝明け方に下痢してしまうなどの症状がみられる。
⑦傷食食欲不振(食べ過ぎタイプ)
食べ過ぎ・消化に悪いものを食べることで胃の中に食べ物が停滞することにより生じる。「②暴飲暴食タイプ」と類似しているが、はっきりとした原因が挙げられることが特徴である。食べ物のにおいをかぐのも気持ち悪かったり、げっぷがでる・便に異臭がするなどの症状が出現する。
(例)お腹がいっぱいで何も食べたくない。
※例はあくまで正確性よりもイメージしていただくことを優先させていただいております。ご了承下さい。
●終わりに
7パターンの解説を行いましたが、いかがだったでしょうか?
中には類似した原因も多い印象があるかと思われます。ただ似ていても原因が異なれば治療方法も異なります。
原因となる生活習慣を見つけ出す作業も一緒にできればと考えておりますので、食欲不振でお悩みの方はぜひ一度当院までご相談下さい。
スタッフ 杉本
【参考文献】
①岩波書店「広辞苑」 新村出編
②「第二版中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社
※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。
酸っぱい液体が胃の中から口の中にあふれ出た時すぐに嚥下することを「呑酸(どんさん)」という。嚥下せず液体を吐き出した場合は別の症状とされ、「吐酸(とさん)」と呼ばれている。
この呑酸は現代医学的での「逆流性食道炎」に相当する。
●呑酸を話すまえに…
呑酸はいわば胃の中にある液体(胃液)が口の中に昇っていく状態を指す。
胃は口から取り入れた飲食物を消化し、小腸に輸送する作用を有する。
胃の機能失調によって、「胃の中に留まる」or「胃→口という逆転現象」が起こることが原因と考えられる。
上述の内容を踏まえて、解説に移りたい。
①肝気犯胃(かんきはんい)による呑酸
精神的なストレスにより消化器のはたらきが悪くなることが主な原因となる。五臓の「肝」は五臓六腑の働きをスムーズにする役割を有するが、精神的ストレスなどが原因で停滞が生じる。「肝」の失調が消化器に及び、胃の内容物を小腸に輸送する働きが低下することで呑酸が生じる。
②飲食積滞(いんしょくせきたい)による呑酸
いわゆる食べ過ぎ。飲食の不摂生は消化器の活動を低下させてしまう。
「胃」における飲食物の消化・小腸への輸送する力双方が低下してしまった結果、呑酸が生じる。
食物の臭いがするゲップを伴うことが特徴。お腹の張り感・吐き気・嘔吐など食べ過ぎを想起させる身体症状が出現する。
③寒湿内阻(かんしつないそ)による呑酸
冷えや余剰水分が消化器に生じることが原因。生物や冷たい物の摂りすぎ、湿度の強い環境で長時間過ごすことなどにより生じる。生じた冷えや余剰水分は消化器の機能の低下をさせ、胃の消化・輸送する力が低下した結果、呑酸がおこる。お腹が冷えると症状が悪化し、温めると軽減することが特徴。食欲不振・胸腹部のつかえ感が生じるなどといった身体の症状が現れる。
引っ越しをした先が撮影スタジオに近いせいか時々ドラマか何かの撮影をしています。
それを「何だ?騒がしいなぁ」という表情と「誰か知っている俳優さんいないかなぁ」という気持ちの
温度差で野次馬しているのを楽しんでいる研修生の大久保です。実際はミーハーな気持ち100%です。
さて、今回は私も時々なる『胸やけ』についてお話ししたいと思います。
中医学では『そう雑』と呼ばれ、「胃部周辺の不快感。空腹のようで空腹でなく、痛いようで
痛みはない。胸のむかつき、呑酸、げっぷ、空えずき」など全てをそう雑の一種だと考えられていたそうです。
面白いですねぇ。この「空腹のようで…」や「痛いようで…」みたいな何となく感。
ただ、これこそが中医学の良いところですね!体調が大きく変化する前に戻す。健康な状態の範囲内に
修正する。まさに『未病治』だと思います。
脱線してしまいましたが、この『そう雑』は大きく分けて(熱・寒・傷・肝)の4タイプになります。
当てはまるものがあるか症状も見ながら確認していきましょう。
1.傷食タイプ
症状 :呑酸、むかつき、吐き気、胃部の張り、口臭、大便臭が酸っぱい、吐くと楽になる
※ 原因が暴飲暴食や不衛生なものの摂取なので、食あたりに近い状態でしょうか。
胃に収められたものが上手く消化されず降りていかない為に逆流してしまいます。
2.胃熱タイプ
症状 :胃の中がヒリヒリや酸が染みたように熱い、呑酸、日中は無いが早朝に吐き気がする
便秘、舌が黄色い
※ 辛い、濃いものの食べ過ぎ、アルコールの飲み過ぎにより胃気が停滞して熱化してしまう。
黄色い舌や便秘が熱証のサインとなります。
3.胃寒タイプ
症状 :生唾が溢れる、胃部が冷えたようなツーンとした痛み、暖かいものを摂取すると軽減す
食欲不振、顔色が悪い
※ 原因によって虚証と実証に分かれるようですが、胃寒そのものの治療はどちらもほとんど変わり
ません。虚証であればこれに補気や健脾を加えます。
4.肝胃不和タイプ
症状 :呑酸、胸のむかつきや張り、胸肋部痛、口の中が苦い
※ 胸肋部痛と口苦は肝証のツートップみたいなものですね!精神的なストレスによって肝気が
うっ滞し、胃にも影響が出た為です。ここから痰が発生すると頭重感やめまいが見られる
ことがあります。
昔から『医食同源』という言葉がありますが、せっかく良いものを摂取しても、吸収してくれる場所が
機能しなければトイレで流れてしまうだけですよね(>_<)
「何となく胸がムカつく」や「空腹なようで空腹でない」場合は消化器が疲れているサインかもしれません。
また、胃や脾だけでなく、身体全体が疲れている場合も同様の症状が出る場合もあります。
季節の変わり目で少しずつ調子を崩す期間にもなりますので、身体の声にいつもより多く耳を傾けて
あげましょう。
研修生 大久保昌哉
※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。
嘔吐は、胃の内容物を吐出することを指す。先日解説した悪心を伴うことが非常に多い。
「胃」は五臓六腑のひとつに該当し、飲食物の初期消化を担っている。
胃の機能低下により、嘔吐が出現するが、まずは胃のはたらきを見ていきたい。
●胃の機能(はたらき)について●
口から摂取した飲食物を「①受け入れ(受納)」・「②消化(腐熟)して」・「③小腸へ輸送する(降濁)」ことが「胃」のはたらきである。この3つの作用がいずれかが低下することで消化器の不調症状として出現する。
●嘔吐の原因について(胃の機能低下)●
消化器の不調として嘔吐は「口から摂取した飲食物を出す」ということが特徴として挙げられる。
上述の通り、「①受納」・「②腐熟」・「③降濁」の3つのはたらきが低下することで生じる。
まずは「①受け入れ(受納)・②消化(腐熟)能力」の低下から考えてみたい。
食べ物を受け入れる容量が少なくなるためにキャパシティーオーバーを起こすことで口から出てしまうことが考えられる。消化能力が低下することは飲食物が未消化の状態で排出することも考えられる。
次に「③降濁」の低下の視点から述べる。
通常飲食物の流れは「口→胃→小腸」という下方向のベクトルが低下して「胃→口」と逆方向のベクトルへ作用することによって生じる。また漢方の熱の炎上性(上に昇る)という特性も逆方向のベクトルを生じさせるものとなる。
これらの内容を踏まえて、「何が原因」で胃の働きが悪くなるのかの解説を行っていきたい。
●「嘔吐」についての東洋医学的6分類
中医書の記載によると「気候の影響を受けたもの」・「食べ過ぎ含む胃の機能が低下したもの」・「ストレス」が大きな分類として挙げられる。
①外邪干胃による嘔吐(気候タイプ)気候が影響するタイプ。口から胃へ高温・湿気・冷えなどの環境が原因で胃のはたらきを低下させることにより生じる。
一例として、浴室など湿気が強い環境で長時間作業していると嘔吐してしまうなどが挙げられる。
何が胃のはたらきを低下させる原因であるかによって、嘔吐の様子や内容物に違いが生じる。
熱によるものは嘔吐の勢いが激し、冷えタイプは未消化物や水様のものを嘔吐する。
全身的にも、熱タイプは発熱症状(発熱・強い頭痛)や冷えタイプは風邪の初期症状(発熱・悪寒・軽度の頭痛)などが出現する。
②傷食による嘔吐(暴飲暴食タイプ)
暴飲暴食や不衛生な飲食物を口にすることにより胃がダメージを受けたことで生じる。
忘年会での食べ過ぎ飲み過ぎで吐いてしまうのがこのタイプに該当する。
嘔吐症状以外に、臭気の強いげっぷが出たり・飲食物を見るのも嫌になることが特徴。
上腹部の張り感が強く・吐くとスッキリするという症状も。
③胃寒による嘔吐(冷えタイプ)
胃の冷えてしまいはたらきが悪くなっていまうことが原因となる。体を冷やすものの(冷たいもの、生もの)の食べ過ぎ・もともとの体質や加齢により体を温める力が弱くなることなどにより生じる。
嘔吐は少量であること・お腹を冷やすと悪化し温めると嘔吐が楽になることがこのタイプの特徴である。冷えのため水っぽい便を排出するといった症状も出現しやすい。
⑤胃陰虚による嘔吐(乾燥・栄養不足タイプ)胃の栄養成分や保湿成分が損傷されることにより生じる。胃の栄養状態の低下・潤い不足は胃の慢性病を患っていることや発熱後などに生じる。繰り返し嘔吐の発作が生じることがこのタイプの特徴。
未消化の固形物が出たのちに液体を嘔吐、さらにひどければ胆汁を嘔吐することもある。潤いが不足しているために、のどの渇きなどの乾燥症状も伴う。
⑥肝胃不和による嘔吐(ストレスタイプ)ストレスや精神抑鬱など気持ちの部分が胃のはたらきを低下させる。緊張しすぎて吐いてしまうイメージ。ストレスの重さによって症状が変化し、軽度のストレスであれば吐き気を催す程度であるが、ピークに達することで嘔吐してしまう。ストレスの原因から解放されると吐き気・嘔吐は収まる。
いかがだったでしょうか?
「嘔吐」一症でもいろいろな種類があることがわかったと思います。
原因を把握することで、どのように養生すればいいのかもヒントを得ることができます。
(例えば「冷え」が原因であれば、冷たい飲み物や体を冷やす食べ物は避ける・あたたかいものを当日は食すなど)
原因がわからない…といった場合はぜひ一度当院にご相談ください。
治療はじめ、あなたの身体にあった養生法をお伝えいたします。
スタッフ 杉本
※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。
「悪心」とは心持ちが悪く吐き気を催す感じ・むかつきを指すらしい。
吐き気を感じるのに吐けない状態でもあり、「泛悪(はんお)」とも言われる。
●悪心が生じる原因について
悪心は、「胃」の機能の低下が大きな原因として考えられる。「胃」の機能は「①口から入った飲食物を受け止めること(受納)」・「②飲食物を消化すること(腐熟)」・「③小腸へ移送すること(降濁)」を担っている。
気候・飲食など何かしらの原因が「胃」に悪影響を及ぼすか、また他の五臓六腑が「胃」に作用することで悪心が生じるとされる。
以下、中医書に記載されている5パターンを解説していきたい。
●「悪心」についての東洋医学的分類
主に「胃に冷え・熱が生じたもの(①・②・③」・「ストレス④」・「食べ過ぎ⑤」によるものが挙げられる。
冷えにより胃のはたらきが悪くなったことが原因となる。寒冷な環境に身を置くことなどの「気候」・冷たいもの、生ものの食べ過ぎなど「生活習慣」が冷えを生じさせる原因となる。胃の食物を受け入れる能力・初期消化能力が低下することにより、悪心が生じる。あたたかいものを摂取したり、おへそ上を温めることで症状が楽になることが多い。
②胃熱による悪心(いねつ・熱タイプ)熱により胃のはたらきが悪くなること(ここでは過活動状態も含まれる)が原因となる。高温な環境などの「気候」・辛い者や味の濃い者の食べ過ぎなどの「生活習慣」が熱を生じさせる原因となる。灼熱感を伴う胃の痛みを伴うこともあり、熱の上に昇るという特性上、口臭が強くなるという特徴もある。
③胃陰虚による悪心(いいんきょ・渇きタイプ)栄養状態の低下や潤い不足により胃が滋養されないことが原因となる。発熱による身体の水分を損傷したこと・慢性的な胃の疾病を患うことが濡養不足の原因となる。胃のはたらきが低下していることから食欲不振や食べてもすぐに吐いてしまうといった症状がみられる。渇きが強いため、口の中が渇き・水分を欲することが特徴である。
④肝胃不和による悪心(ストレスタイプ)五臓「肝」の失調が「胃」に影響を及ぼすことが原因なる。「肝」は全身のはたらきをコントロールする役割を有している。ストレスや精神抑鬱状況が長期間続くなど精神面が「肝」機能の低下をもたらし、「胃」のはたらきまで波及することで悪心が出現する。お腹の張り感・食欲がなくなるといった症状を伴うことが多く、ストレスから解放されると悪心がおさまってくるといった特徴がある。
⑤傷食による悪心(暴飲暴食タイプ)暴飲暴食が原因。胃が疲れてしまうことで悪心が生じる。何も食べたくないし、匂いも嗅ぐのも嫌になるのが特徴か。本人自身も原因に心当たりがあることが多い。
5つのパターンを紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
「胃」のはたらきが悪くなることが原因ですが、どのような原因が胃のはたらきを悪くしているのかで出現する症状が異なってくることが分かってくるかと思います。
私たちは皆様のお話を通じて、かつ脈やお腹・舌の状況を確認させていただいて原因を特定し治療を進めております。
症状の軽減ないし、再発防止のためのお手伝いも行いますのでお困りの方はぜひ。
スタッフ 杉本
◎参考文献◎
『広辞苑』 岩波新書
『中医症状鑑別診断学』 人民衛生出版社
※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。
患者さんを診ていると、主訴か随伴症状かはともかく、胃腸が悪い方は殊の外多いように感じます。
病名なら慢性胃炎などに相当でしょうか。伝統医学なら『胃緩』(いかん)という病名になります。
病理になら脾の運化失調が多いでしょう。
一般に食べたくない、もたれる、そこから元気が湧かないなどの症状があらわれ、しまいにやる気がない、かったるいなどの症状が続きます。なんとなく生活のクオリティーが低くなっている状態と考えてください。
その中に案外に下記のような方が多くいます。
基本的にこの手の方は食べられる量がそう多くない(食欲不振)のですが、頭(思考)で食べようとする方が多くいます。
『夕方お腹が減ると困るから、昼に食べておこう』『時間が来たから食べなければ』という感じで食事をします。要は胃の状態に合わせた食事を摂るという発想がないわけです。
意外に思うかもしれませんが、食欲がないときは、普通に食べただけで、それが過食と同じ状態をあらわし、ますます胃腸に負担をしいり、その結果胃の正常レベルを下げることになります。
食べたくないときは、量を減らすか?抜いてください。
負担を軽くする(胃の)という視点はとても大事なことだと考えます(スタッフより)
※院長より
胃の痛みで鍼灸院を訪れる方って結構います。大半は脾の運化に問題がある。単純にいえば消化、吸収のトラブル。これを基本に食滞(食べ過ぎ、消化不良相当)はないか、ストレス的な要素による機能停滞はないか、外の寒さは、冷たいものを取り過ぎていないか?などなどを考慮しながらツボと手技を決定します。ときに強い血オ、湿熱など方もおられます。私の臨床例だと膵臓癌、胃癌、今まさに腹膜炎や腸閉塞を起こしている方もいました。
舌診もとても参考になります。
最近感染で胃腸炎的な症状が出ることを胃腸型感冒という。 伝統医学ではこれに相当するものに風寒直中(フウカンジキチュウ)があります。 風寒の邪気が口から入り胃まで到達した状態です。
お腹の冷感部でかつ痛みがある場所に直にお灸を据える。※跡を残さないのでご安心を(笑)
その間、合谷穴などで衛気を鼓舞する。軽いものならこれで症状が改善する。
風寒直中の患者さんはそう多くないが年間で10〜20例ぐらいは診るだろうか。 一般に感冒で鍼灸にかかろうとする発想がないでしょう(大笑)
最近の例だと、上記の方法に至陰のお灸を加えた。直中に加え、下肢冷感が顕著だったからである。 今時はこの手の感冒も増えるので…夏場の暴飲暴食などで胃腸が機能レベルが低下している方が少なくない。 くれぐれも自重して下さいませ。
あまり知られていませんが、寒伏というものがある。文字通り寒が伏せているということ。例えば冬に感受した寒邪が地面に伏せてじっとしているように体に潜んでいる。それが春先に一挙にあらわれる感じで発症する。
2020/04/17
東洋医学視点の疾患タイプ別シリーズ
〇胃痛
東洋医学では胃痛、または胃緩痛と呼び、胃部の疼痛が主要なものをいう。
原因
①外からの冷え、生もの冷えなどを好んで食べる
②思い悩みや怒りなどの感情によって胃に流れる気が滞り強い痛みが出るタイプ
③脾胃(消化器)の力が長期間落ちると胃を栄養できずに弱く痛むタイプ。
治療分類
実証型(余剰型)
・胃痛が強烈、温めると痛みが軽減する→冷えに由来する胃痛
・張って痛み、げっぷや便が腐ったような臭いがする→消化不良に由来する胃痛
・痛みが針に刺されるが如し?キリキリ痛むタイプ→ストレスなどを起因とした血オ胃痛
実証の他症状
・口渇、消化不良や食欲不振、便秘を兼ねる→熱によるものが多い。
※ストレス型と熱型はかなり食欲にムラがある。
虚証(パワー不足)
・痛みは軽度、温めることや、さすることなどを好む。空腹時に痛みが出現しやすく食事をとると痛みは減少→気が不足
※胃の保湿機能が落ちている方は胃部に焼灼感を伴うこともある。
虚証の他症状
・足や手が冷え寒さを嫌う、力が入らない、ドロドロ便、食欲不振→活動能力が著しく減少する。
タイプによって使うツボは変わるが、足三里や内関、腹部の穴を用いるケースが多い。夏場の時期も含め生ものや冷たいものはほどほどに。
院長より
以上が中医書による模範解答。
臨床は多種多彩。それだけはダメ。
長時間の座位による胃の圧迫、広背筋の弱さなどからくる猫背による圧迫などは比較的によく見る。
膵臓癌による食欲不振、お腹の張りなどではことさらに背中の痛みも併発する。
長期の飲酒過多の方も気をつけよう。胃上部の炎症や潰瘍があることも。
食べるスピードも大事。一食毎に3回は休憩を挟むとよい。休憩ごとにお茶かお湯を60CCくらい飲んで欲しい。
問診とともに舌診も大事になってくる。
2012/5
臨床例
この患者さんは、腹膜炎、腸閉塞などを繰り返す方。
腸内のオペ歴も数回あり、今回は急性発作で冷汗をかきながら来院。
鍼灸院の場合、比較的慢性疾患の患者さんが多いのですが、今例のように普段からお通いになっている方が、何かの急性病を起こし来院するケースもまれではありません。
どうみても腸閉塞の痛みではないのですが、息するだけで痛む持続痛であることから本来ならば救急外来の領域だと思います。
ただ、よく診ると患部が大腸ではなく、胃にあるようです。
通常の排便後に悪化していることも、大腸疾患ではない証左になります。
中医でいう直中の部類に入るでしょう。
ここは吐方を用います。
鳩尾、内関で胃の上部を緩め、太衝から気を上に上らせました。
10分後に大量の嘔吐。
お顔の色は血色が戻りました。
これで治れば申し分ありません。
治らなければ救急車です。
R1,6/25
◆泄瀉(せっしゃ)
泄瀉とは大便の回数が増えることを指すのであり、糞質は溏薄(薄くドロドロしている)か未消化便で甚だしければ水様に至ることを言います。
泄と瀉の単体での意味は、大便溏薄を゛泄゛といい勢いが緩いもの、大便清稀(サラサラで水分量が多い)を゛瀉゛といい、水様で勢いが急なものをいう。
余分な水(寒湿や湿熱)や脾胃の生理作用の失調(消化器)が主要の原因であり、消化吸収が上手くいかず腸に流れ、瀉となる。
夏秋の季節に急性の腹瀉は多くみられ、慢性の腹瀉の原因は脾胃がもともと弱いもの、慢性症状が中気不足(消化器系のパワー不足)を起こすもの、脾腎(お腹~下腹部)の温める力、活動力が落ちることによって起こしやすい。
・タイプ別
急性腹瀉
主な症状:腹痛・腹張・腸鳴・急に下す・便質は食物が混じっている・便の回数は多い
兼ねる症状:口渇・小便の量が少なく、黄色い・胃の上部の気持ち悪さ、もたれるような感じ
治療方法:余分な熱や身体に溜まった水を捌く(清熱利湿)
慢性腹瀉
主な症状:大便溏薄或いは食物の未消化・腹痛および飲み食べは情緒と関連する・朝起きて下す人は腎陽の不足(下腹部の温める力)からくるものである。
兼ねる症状:飲食を望まない・精神疲労と手足のだるさ・腹痛は弱く痛む
治療方法:下腹部・お腹の温める力を強める(温補脾腎)
清熱利湿に対応するツボは熱が溜まりやすい陽明経を使い、余分な水を捌きやすい脾経のツボに腹部のツボを使用することが多いように思います。
慢性系の腹瀉は温める力をつけるために灸を多用する。
急性系は食あたりや暴飲暴食など一過性で終わることが多いですが、慢性的に泄瀉が続くと気血の生成が落ち、痩せていくか太れないなどが出てきます。太れない方はには脾腎のパワー不足が絡んでいることも多く感じます。
〜院長より〜
泄瀉は下痢のことです。本当のところ、もう少し意味はに広いですが・・・。
急性・慢性の違い、原因の違いで使うツボが相当に変わってきます。意外に難しいのですよ。
下痢は便が水のような状態になることを指します。
細かく説明すると、「水のような便の回数が増えること」・「1日に200ml以上の便をすること」が下痢の定義とされています。
小腸・大腸の水分吸収が減ることと胃腸から出る水分が増えることが原因とされている。
急性症状としては暴飲暴食などの生活習慣から生じるものが多いが、慢性症状としては、ウイルス・細菌の感染や潰瘍性大腸炎・過敏性腸症候群・大腸がんなどによって生じます。
●下痢についての東洋医学的解説
東洋医学では「腹瀉(泄瀉)」という。形のある大便ではなく、泥状、水様、未消化の大便を排便するとともに排便回数が増加する。
ちなみに「泄」は排便時に希薄な大便が緩やかに排出させる症状を指し、
「瀉」は排便時に清希な大便が水の様にまっすぐ流れ注ぐ症状を指す。
大便の性質・五臓六腑のどこに失調があるかなどによって分類されている。
①湿熱による下痢(熱タイプ)
多くは高温多湿な気候が原因。胃腸の機能や糞便を排出する機能が過剰となった結果下痢が生じる。
②寒湿による下痢(冷えタイプ)冷えが原因。なま物や冷たい物の過剰摂取・寒冷、多湿な環境によって活などによって胃腸が冷えてしまう。冷えは胃腸の消化吸収能力の低下を招くため下痢が生じる。
(特徴)サラサラとした水様便がでる・悪臭は生じない・お腹の痛み(温めること・さすることで軽減)・お腹の張り
(身体症状)食欲不振・四肢の重だるさ・頭痛・小便の量が多く無色など
③食積による下痢(食べ過ぎタイプ)食物が胃腸に停滞し、消化できなくなることが原因。暴飲暴食などにより飲食物の消化吸収から排せつまでの一連の流れに停滞をもたされた結果、下痢が生じる。
(特徴)お腹が痛むとすぐ下痢する・下痢した後は傷みは軽減・臭いを伴う
(身体症状)ゲップもにおいがする・食欲不振など
④肝気犯脾による下痢(ストレスタイプ)ストレスや感情の急激な変化に伴い発症する。精神的な刺激が「肝」の物質をスムーズに流す機能に影響を及ぼす。この機能の低下が消化器にも波及することで、消化吸収能力が低下し、下痢が生じる。
(特徴)下痢する前にお腹が張る・未消化便・下痢した後も痛みはおさまらない・精神的刺激によって誘発される
(身体症状)側腹部の脹り・食欲不振・ゲップなど
⑤脾虚による下痢(胃腸が弱いタイプ)消化器の弱い体質によく見られる。飲食の不摂生・過度の疲労・長期間大病を患うことなどが原因となる。消化・吸収機能の低下により下痢が生じる。
(特徴)大便が希薄で未消化物が混ざる・脂肪分の多い食事の摂取排便回数が増加
(身体症状)食欲不振・食後にお腹が張る・顔色は黄色い・心身疲労
⑥腎虚による下痢
長期間下痢が続くことや加齢が原因。消化・吸収能力の低下を招き、下痢が生じる。
(特徴)下痢は長期化して治癒しない・夜明け前に下痢することが多い・未消化便
上記代表的な6つの原因を挙げました。
「下痢」一症も調べれば調べるほど様々なことが記載されております。
ブログの更新が滞ってしまったため、またの機会に改めて掲載したいと思います…。
スタッフ 杉本
※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。
お疲れ様です。金澤です。
さて年末年始といえば食べ飲みが多い時期です。
そして食べ過ぎ、飲み過ぎてしまう人が多いかもしれませんね。
飲み食べ過ぎで代表的な証を2つに絞ってあげていきたいと思います。
1、食滞
食べ物が胃や腸管などに停滞している状態を指す。多くは食べ過ぎにより、腸管系の動きが悪くなっている病態。症状は胃の脹痛、強い痛み、吐き気、嘔吐、あい腐(胃の内容物の腐った臭いがこみ上げる)。自身の消化能力を超えた飲食量、もしくはスピードによって、いわゆる消化不良や急性胃炎を起こしているもの。
2、脾胃湿熱
脾胃(胃腸)に湿(余分な水)と熱が停滞した状態。湿と熱は邪として捉えられ、食べ飲みが湿熱になることが多い。その因子はお酒、油、生魚、肉などがなりやすく、居酒屋ではなくてはならない人気食品たちです。笑
脾胃(胃腸)に湿熱の邪が停滞しているので消化器関連の症状が多く
悪心、嘔吐、お腹のもたれ、大便がベトベトするなど
それに熱邪がどこの部位に、どれくらい影響するかで他の症状も変わってきます。
頭部に影響すると…拍動性の頭痛、めまい、口が苦いなど
下腹部に影響すると…排尿痛、大便がベトベトで臭いが強い、女性であればオリモノに影響することもある
下肢に影響すると…腫れや関節炎様の症状など
影響する部位は人によっても違い体調によっても変わるので上記に挙げたのは少ないですが例になります。
湿熱の症状は二日酔い症状に似ているかもしれませんね。
次回はセルフ灸について書いていきたいと思います。
2015/12/11
12月に入ってから、徐々に忘年会シーズンが
始まっています。
普段、食べない量のお食事やお酒など。
ついつい・・・。
忘年会・クリスマス・お正月と・・・。
ますますイベントは続きます。
胃腸がびっくりして、疲れてしまいます。
そうなると、風邪をひきやすくなったりと
体調を崩しやすい条件がそろいます。
食べ過ぎた日は胃腸を休ませてあげる。
温かな胃腸に優しいものを食べる。
などといった工夫がとても大切です。
気持ちよく年末年始を迎えるにあたり
どうぞ胃腸を労わってあげましょう。
受付時間:9:30~18:30
休診日:水曜日・金曜日・日曜日・祝日
※ただし急を要する方には第2・第4日曜日にて
個別対応も可能なこともあります。前日までにご相談ください。
不妊症や生理痛、陰部神経痛、腰痛、坐骨神経痛などでお悩みの方は神奈川県大和市のさくら堂治療へ。ぎっくり腰、椎間板ヘルニア、五十肩、膝痛、寝違えなど、急性期の治療も対応します。
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