呑酸(逆流性食道炎)

酸っぱい液体が胃の中から口の中にあふれ出た時すぐに嚥下することを「呑酸(どんさん)」という。嚥下せず液体を吐き出した場合は別の症状とされ、「吐酸(とさん)」と呼ばれている。

この呑酸は現代医学的での「逆流性食道炎」に相当する


●呑酸を話すまえに…

呑酸はいわば胃の中にある液体(胃液)が口の中に昇っていく状態を指す。

胃は口から取り入れた飲食物を消化し、小腸に輸送する作用を有する。

胃の機能失調によって、「胃の中に留まる」or「胃→口という逆転現象」が起こることが原因と考えられる。

上述の内容を踏まえて、解説に移りたい。

 

@肝気犯胃(かんきはんい)による呑酸
精神的なストレスにより消化器のはたらきが悪くなることが主な原因となる。五臓の「肝」は五臓六腑の働きをスムーズにする役割を有するが、精神的ストレスなどが原因で停滞が生じる。「肝」の失調が消化器に及び、胃の内容物を小腸に輸送する働きが低下することで呑酸が生じる。

ストレスや精神的刺激により症状が誘発されることが特徴。口が苦い・のどが渇く・怒りっぽい・お腹が脹るなどの身体症状が出現する。


A飲食積滞(いんしょくせきたい)による呑酸

いわゆる食べ過ぎ。飲食の不摂生は消化器の活動を低下させてしまう。

「胃」における飲食物の消化・小腸への輸送する力双方が低下してしまった結果、呑酸が生じる。

食物の臭いがするゲップを伴うことが特徴。お腹の張り感・吐き気・嘔吐など食べ過ぎを想起させる身体症状が出現する。

B寒湿内阻(かんしつないそ)による呑酸
冷えや余剰水分が消化器に生じることが原因。生物や冷たい物の摂りすぎ、湿度の強い環境で長時間過ごすことなどにより生じる。生じた冷えや余剰水分は消化器の機能の低下をさせ、胃の消化・輸送する力が低下した結果、呑酸がおこる。お腹が冷えると症状が悪化し、温めると軽減することが特徴。食欲不振・胸腹部のつかえ感が生じるなどといった身体の症状が現れる。


スタッフ 杉本

胸やけ

引っ越しをした先が撮影スタジオに近いせいか時々ドラマか何かの撮影をしています。

それを「何だ?騒がしいなぁ」という表情と「誰か知っている俳優さんいないかなぁ」という気持ちの

温度差で野次馬しているのを楽しんでいる研修生の大久保です。実際はミーハーな気持ち100%です。

 

さて、今回は私も時々なる『胸やけ』についてお話ししたいと思います。

中医学では『そう雑』と呼ばれ、「胃部周辺の不快感。空腹のようで空腹でなく、痛いようで

痛みはない。胸のむかつき、呑酸、げっぷ、空えずき」など全てをそう雑の一種だと考えられていたそうです。

 

面白いですねぇ。この「空腹のようで…」や「痛いようで…」みたいな何となく感。

ただ、これこそが中医学の良いところですね!体調が大きく変化する前に戻す。健康な状態の範囲内に

修正する。まさに『未病治』だと思います。

 

脱線してしまいましたが、この『そう雑』は大きく分けて(熱・寒・傷・肝)の4タイプになります。

当てはまるものがあるか症状も見ながら確認していきましょう。

 

1.傷食タイプ

 症状 :呑酸、むかつき、吐き気、胃部の張り、口臭、大便臭が酸っぱい、吐くと楽になる

 ※ 原因が暴飲暴食や不衛生なものの摂取なので、食あたりに近い状態でしょうか。

   胃に収められたものが上手く消化されず降りていかない為に逆流してしまいます。

 

2.胃熱タイプ

 症状 :胃の中がヒリヒリや酸が染みたように熱い、呑酸、日中は無いが早朝に吐き気がする

     便秘、舌が黄色い

 ※ 辛い、濃いものの食べ過ぎ、アルコールの飲み過ぎにより胃気が停滞して熱化してしまう。

   黄色い舌や便秘が熱証のサインとなります。

 

3.胃寒タイプ

 症状 :生唾が溢れる、胃部が冷えたようなツーンとした痛み、暖かいものを摂取すると軽減す

     食欲不振、顔色が悪い

 ※ 原因によって虚証と実証に分かれるようですが、胃寒そのものの治療はどちらもほとんど変わり

   ません。虚証であればこれに補気や健脾を加えます。

 

4.肝胃不和タイプ

 症状 :呑酸、胸のむかつきや張り、胸肋部痛、口の中が苦い

 ※ 胸肋部痛と口苦は肝証のツートップみたいなものですね!精神的なストレスによって肝気が

   うっ滞し、胃にも影響が出た為です。ここから痰が発生すると頭重感やめまいが見られる

   ことがあります。

 

昔から『医食同源』という言葉がありますが、せっかく良いものを摂取しても、吸収してくれる場所が

機能しなければトイレで流れてしまうだけですよね(>_<)

 

「何となく胸がムカつく」や「空腹なようで空腹でない」場合は消化器が疲れているサインかもしれません。

また、胃や脾だけでなく、身体全体が疲れている場合も同様の症状が出る場合もあります。

 

季節の変わり目で少しずつ調子を崩す期間にもなりますので、身体の声にいつもより多く耳を傾けて

あげましょう。

 

研修生 大久保昌哉

 

※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。

嘔吐について

今回は「嘔吐」について。

嘔吐は、胃の内容物を吐出することを指す。先日解説した悪心を伴うことが非常に多い。悪心・嘔吐も胃の機能失調により、「口→胃→小腸」という下方向のベクトルが、「胃→口」と逆方向のベクトルへ作用することによって生じる。

内容物の吐出の有無の違いはあるが、発症機序は類似している。以下の解説にも「悪心」のものと重複するものが多いが、復習の意味でもご覧いただければと思います。


@外邪干胃による嘔吐
高温・多湿・寒冷な外的環境が原因となる。高温多湿な環境は胃の「熱」を寒冷な気候は胃の「冷え」を招く。熱や冷えは胃に悪さをすることで、胃の働きは低下してしまい嘔吐が生じる。特徴・身体症状もそれぞれ異なってくる。

(特徴)
嘔吐のほかに上腹部の不快感が生じる(熱によるもの)

嘔吐のほかに必ず発熱がみられる(冷えによるもの)
(身体症状)
重い頭痛・体の重さなど(熱によるもの)

発熱・寒がり・頭痛・体が重いなど(冷えによるもの)

 

A傷食による嘔吐
暴飲暴食や不衛生な飲食物を口にすることにより胃がダメージを受けたことで生じる。

食べ過ぎ・賞味期限切れの口にしてしまい吐いてしまうイメージか。

(特徴)
嘔吐ほか上腹部の張り感がある・吐くとスッキリする
(身体症状)
飲食を欲さない・酸腐臭のするゲップが出る・上腹部の張り感など。


B胃寒による嘔吐
消化器の冷えが原因となる。冷えはもともと体質・体を冷やすものの(冷たいもの、生もの)の食べ過ぎなどにより生じる。冷えは胃の機能の低下をもたらした結果、嘔吐が生じる。
(特徴)

嘔吐物は少量。温めると緩解し、冷えると悪化する。体質によるものは症状は比較的長く続くが、食事からのものは発症は急激であるが症状は比較的すぐ落ち着く。

(身体症状)

上腹部の痛み・食欲不振・声が小さく力ない・下痢など。(体質由来のもの)

上腹部がかなり痛むなど食欲不振・下痢・全身倦怠感・脈は弱弱しいなど。(冷たいものの食べ過ぎによるもの)

 

C胃熱による嘔吐
胃に熱が生じることが原因となる。辛い者や味の濃い者の食べ過ぎ、飲酒過多が熱を生じさせる原因となる。熱は上に昇るという特性のもと、胃から口方向への力がはたらくため嘔吐が生じる。

(特徴)

時には上腹部痛を伴う・口の中が苦い
(身体症状)

口臭や便秘・脈が速い・舌の苔が黄色いなど熱症状が伴う

D胃陰虚による嘔吐
胃が滋養されないことによる機能失調が原因となる。激しい嘔吐の後・発熱後の身体の水分損傷・慢性的な胃の疾病などにより濡養不足となる。滋養不足は胃の機能の低下と微弱な熱を生じさせるため、嘔吐が生じる。
(特徴)
反復して嘔吐の発作が起こる。まず固形物が出て、出尽くした後液体を嘔吐する。その後胆汁を嘔吐する。
(身体症状)

飲食ができない・水分を摂るとすぐ吐き出してしまう・口や咽が乾く(飲むことはできない)

 

E肝胃不和による嘔吐
ストレスや精神抑鬱が胃の機能に影響することが原因となる。ストレスは全身の各部位の機能低下を生じさせる。胃においてもストレスにより働きが悪くなった結果、嘔吐が生じる。

(特徴)
心の動きと連動しており、特に精神的ストレスなどで症状は加重する。たびたび吐き気が起きるが嘔吐はさほど激しくない。

(身体症状)
お腹の張り・胸肋部の痛み・口の苦みなど。

 

スタッフ 杉本

 

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悪心について

以前、主訴とは別であるが発症時の随伴症状として「悪心」を訴えられる方がいらっしゃった。

悪心とは、吐き気を感じるのに吐けない状態を指す。「泛悪(はんお)」とも言われる。

悪心は、胃の中にある内容物が小腸へ輸送されるメカニズムに異常をきたすこと際に見られる。口から入った食物は「胃→小腸→大腸」へと輸送されるのが正常であるが、これが逆流(胃→口)することで悪心が生じる。内容物が伴うことで「嘔吐」となるが、これについてはまた後日論じていきたい。

 

@胃寒による悪心
冷えが胃に生じることが原因となる。寒冷な環境・冷たいもの、生ものの食べ過ぎなどにより冷えが生じ、胃の機能が低下することで内容物は小腸へ移送されず、悪心が生じる。
(特徴)
時には上腹部の痛みを伴う・症状は冷えると悪化し暖めると緩解する。

(身体症状)
食欲不振・下痢・全身倦怠感・脈は弱弱しいなど。

 

A胃熱による悪心
熱が胃に生じることが原因となる。辛い者や味の濃い者の食べ過ぎ、また高温な環境などが胃に熱を生じさせる原因となる。熱は上に昇るという特性があり、胃から口方向への力がはたらいた結果、悪心が生じる。

(特徴)

時には上腹部痛を伴う
(身体症状)

口臭や便秘・脈が速い・舌の苔が黄色いなど(熱症状のため)

B胃陰虚による悪心
胃が滋養されないことによる機能失調が原因となる。激しい嘔吐の後・発熱後の身体の水分損傷・慢性的な胃の疾病などにより濡養不足となる。滋養不足は胃の機能の低下と微弱な熱を生じさせるため、悪心が生じる。
(特徴)
激しい嘔吐を伴うことが多い
(身体症状)

咽が乾く・飲み物を欲する(しかし飲むとすぐ吐くこともある)・食欲はあるが食べられない・全身倦怠感など。

 

C肝胃不和による悪心
ストレスや精神抑鬱が胃の機能に影響することが原因となる。ストレスは全身の各部位の機能低下を生じさせる。胃においてもストレスによる機能低下により悪心が生じる。緊張しすぎて吐きそうなイメージか。

(特徴)
時の嘔吐を伴う・ストレスや精神抑鬱がトリガー、悪化要因となる。
(身体症状)
お腹の張り・口の苦み・のどの渇き・食欲不振・月経不調など。

 

D傷食による悪心
暴飲暴食により胃にダメージが生じたことが原因となる。食べ過ぎて吐きそうなイメージか。

(特徴)
悪心は強い
(身体症状)
飲食を欲さない・ゲップ・上腹部の張り感など。

 

スタッフ 杉本

 

新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。

胃痛

患者さんを診ていると、主訴か随伴症状かはともかく、胃腸が悪い方は殊の外多いように感じます。

病名なら慢性胃炎などに相当でしょうか。伝統医学なら『胃緩』(いかん)という病名になります。

病理になら脾の運化失調が多いでしょう。

一般に食べたくない、もたれる、そこから元気が湧かないなどの症状があらわれ、しまいにやる気がない、かったるいなどの症状が続きます。なんとなく生活のクオリティーが低くなっている状態と考えてください。

その中に案外に下記👇のような方が多くいます。

基本的にこの手の方は食べられる量がそう多くない(食欲不振)のですが、頭(思考)で食べようとする方が多くいます。

『夕方お腹が減ると困るから、昼に食べておこう』『時間が来たから食べなければ』という感じで食事をします。要は胃の状態に合わせた食事を摂るという発想がないわけです。

意外に思うかもしれませんが、食欲がないときは、普通に食べただけで、それが過食と同じ状態をあらわし、ますます胃腸に負担をしいり、その結果胃の正常レベルを下げることになります。

食べたくないときは、量を減らすか?抜いてください。

負担を軽くする(胃の)という視点はとても大事なことだと考えます(スタッフより)


※院長より

胃の痛みで鍼灸院を訪れる方って結構います。大半は脾の運化に問題がある。単純にいえば消化、吸収のトラブル。これを基本に食滞(食べ過ぎ、消化不良相当)はないか、ストレス的な要素による機能停滞はないか、外の寒さは、冷たいものを取り過ぎていないか?などなどを考慮しながらツボと手技を決定します。ときに強い血オ、湿熱など方もおられます。私の臨床例だと膵臓癌、胃癌、今まさに腹膜炎や腸閉塞を起こしている方もいました。

舌診もとても参考になります。

舌診の図

   

胃腸型感冒

最近感染で胃腸炎的な症状が出ることを胃腸型感冒という。 伝統医学ではこれに相当するものに風寒直中(フウカンジキチュウ)があります。 風寒の邪気が口から入り胃まで到達した状態です。

お腹の冷感部でかつ痛みがある場所に直にお灸を据える。※跡を残さないのでご安心を(笑)

その間、合谷穴などで衛気を鼓舞する。軽いものならこれで症状が改善する。 

風寒直中の患者さんはそう多くないが年間で10〜20例ぐらいは診るだろうか。 一般に感冒で鍼灸にかかろうとする発想がないでしょう(大笑) 

最近の例だと、上記の方法に至陰のお灸を加えた。直中に加え、下肢冷感が顕著だったからである。 今時はこの手の感冒も増えるので…夏場の暴飲暴食などで胃腸が機能レベルが低下している方が少なくない。 くれぐれも自重して下さいませ。

あまり知られていませんが、寒伏というものがある。文字通り寒が伏せているということ。例えば冬に感受した寒邪が地面に伏せてじっとしているように体に潜んでいる。それが春先に一挙にあらわれる感じで発症する。

急性胃炎

2016/6 臨床例 60代 男性、公務員。

数時間前から急性の胃の痛み。

食事との連動は薄い。

元より憩室のある方。

こういう時はまず痛みを取ることが優先される。

梁丘に反応がないので、裏内庭に灸。

滑肉門に反応、滑肉門と水平位の手陽明経のに刺鍼。

2時間で治まるだろう。

 

※裏内定

裏内庭.png

 

タイプ別の胃痛

2020/04/17

東洋医学視点の疾患タイプ別シリーズ

〇胃痛

東洋医学では胃痛、または胃緩痛と呼び、胃部の疼痛が主要なものをいう。

原因

@外からの冷え、生もの冷えなどを好んで食べる

A思い悩みや怒りなどの感情によって胃に流れる気が滞り強い痛みが出るタイプ

B脾胃(消化器)の力が長期間落ちると胃を栄養できずに弱く痛むタイプ。

 

治療分類

実証型(余剰型)

・胃痛が強烈、温めると痛みが軽減する→冷えに由来する胃痛

・張って痛み、げっぷや便が腐ったような臭いがする→消化不良に由来する胃痛

・痛みが針に刺されるが如し?キリキリ痛むタイプ→ストレスなどを起因とした血オ胃痛

実証の他症状

・口渇、消化不良や食欲不振、便秘を兼ねる→熱によるものが多い。

※ストレス型と熱型はかなり食欲にムラがある。

 

虚証(パワー不足)

・痛みは軽度、温めることや、さすることなどを好む。空腹時に痛みが出現しやすく食事をとると痛みは減少→気が不足

※胃の保湿機能が落ちている方は胃部に焼灼感を伴うこともある。

虚証の他症状

・足や手が冷え寒さを嫌う、力が入らない、ドロドロ便、食欲不振→活動能力が著しく減少する。

タイプによって使うツボは変わるが、足三里や内関、腹部の穴を用いるケースが多い。夏場の時期も含め生ものや冷たいものはほどほどに。

 

院長より

以上が中医書による模範解答。

臨床は多種多彩。それだけはダメ。

長時間の座位による胃の圧迫、広背筋の弱さなどからくる猫背による圧迫などは比較的によく見る。

膵臓癌による食欲不振、お腹の張りなどではことさらに背中の痛みも併発する。

長期の飲酒過多の方も気をつけよう。胃上部の炎症や潰瘍があることも。

食べるスピードも大事。一食毎に3回は休憩を挟むとよい。休憩ごとにお茶かお湯を60CCくらい飲んで欲しい。

 

問診とともに舌診も大事になってくる。

舌診の図

急性腹痛

2012/5

臨床例

この患者さんは、腹膜炎、腸閉塞などを繰り返す方。

腸内のオペ歴も数回あり、今回は急性発作で冷汗をかきながら来院。 

鍼灸院の場合、比較的慢性疾患の患者さんが多いのですが、今例のように普段からお通いになっている方が、何かの急性病を起こし来院するケースもまれではありません。

どうみても腸閉塞の痛みではないのですが、息するだけで痛む持続痛であることから本来ならば救急外来の領域だと思います。

ただ、よく診ると患部が大腸ではなく、胃にあるようです。

通常の排便後に悪化していることも、大腸疾患ではない証左になります。

中医でいう直中の部類に入るでしょう。

ここは吐方を用います。

鳩尾、内関で胃の上部を緩め、太衝から気を上に上らせました。

10分後に大量の嘔吐。

お顔の色は血色が戻りました。

これで治れば申し分ありません。

治らなければ救急車です。

 

 



泄瀉(せっしゃ)の分類と治療

R1,6/25

◆泄瀉(せっしゃ)

泄瀉とは大便の回数が増えることを指すのであり、糞質は溏薄(薄くドロドロしている)か未消化便で甚だしければ水様に至ることを言います。

泄と瀉の単体での意味は、大便溏薄を゛泄゛といい勢いが緩いもの、大便清稀(サラサラで水分量が多い)を゛瀉゛といい、水様で勢いが急なものをいう。

余分な水(寒湿や湿熱)や脾胃の生理作用の失調(消化器)が主要の原因であり、消化吸収が上手くいかず腸に流れ、瀉となる。

夏秋の季節に急性の腹瀉は多くみられ、慢性の腹瀉の原因は脾胃がもともと弱いもの、慢性症状が中気不足(消化器系のパワー不足)を起こすもの、脾腎(お腹~下腹部)の温める力、活動力が落ちることによって起こしやすい。

 

・タイプ別

急性腹瀉

主な症状:腹痛・腹張・腸鳴・急に下す・便質は食物が混じっている・便の回数は多い

兼ねる症状:口渇・小便の量が少なく、黄色い・胃の上部の気持ち悪さ、もたれるような感じ

治療方法:余分な熱や身体に溜まった水を捌く(清熱利湿)

 

慢性腹瀉

主な症状:大便溏薄或いは食物の未消化・腹痛および飲み食べは情緒と関連する・朝起きて下す人は腎陽の不足(下腹部の温める力)からくるものである。

兼ねる症状:飲食を望まない・精神疲労と手足のだるさ・腹痛は弱く痛む

治療方法:下腹部・お腹の温める力を強める(温補脾腎)

 

清熱利湿に対応するツボは熱が溜まりやすい陽明経を使い、余分な水を捌きやすい脾経のツボに腹部のツボを使用することが多いように思います。

慢性系の腹瀉は温める力をつけるために灸を多用する。

急性系は食あたりや暴飲暴食など一過性で終わることが多いですが、慢性的に泄瀉が続くと気血の生成が落ち、痩せていくか太れないなどが出てきます。太れない方はには脾腎のパワー不足が絡んでいることも多く感じます。

 

〜院長より〜

泄瀉は下痢のことです。本当のところ、もう少し意味はに広いですが・・・。

急性・慢性の違い、原因の違いで使うツボが相当に変わってきます。意外に難しいのですよ。

下痢

下痢は便が水のような状態になることを指します。

細かく説明すると、「水のような便の回数が増えること」・「1日に200ml以上の便をすること」が下痢の定義とされています。

小腸・大腸の水分吸収が減ることと胃腸から出る水分が増えることが原因とされている。

急性症状としては暴飲暴食などの生活習慣から生じるものが多いが、慢性症状としては、ウイルス・細菌の感染や潰瘍性大腸炎・過敏性腸症候群・大腸がんなどによって生じます。

 

●下痢についての東洋医学的解説

東洋医学では「腹瀉(泄瀉)」という。形のある大便ではなく、泥状、水様、未消化の大便を排便するとともに排便回数が増加する。

ちなみに「泄」は排便時に希薄な大便が緩やかに排出させる症状を指し、

「瀉」は排便時に清希な大便が水の様にまっすぐ流れ注ぐ症状を指す。

大便の性質・五臓六腑のどこに失調があるかなどによって分類されている。

 

 @湿熱による下痢(熱タイプ)
多くは高温多湿な気候が原因。胃腸の機能や糞便を排出する機能が過剰となった結果下痢が生じる。

(特徴)急な発症・黄色い水様便あるい膿血便が出る・匂いが強い・肛門の灼熱痛が伴う
(身体症状)口の渇き・多くの水分を飲みたがらない・小便は赤色で渋る・腹部膨満感など

 

A寒湿による下痢(冷えタイプ)
冷えが原因。なま物や冷たい物の過剰摂取・寒冷、多湿な環境によって活などによって胃腸が冷えてしまう。冷えは胃腸の消化吸収能力の低下を招くため下痢が生じる。

(特徴)サラサラとした水様便がでる・悪臭は生じない・お腹の痛み(温めること・さすることで軽減)・お腹の張り
(身体症状)食欲不振・四肢の重だるさ・頭痛・小便の量が多く無色など

 

B食積による下痢(食べ過ぎタイプ)
食物が胃腸に停滞し、消化できなくなることが原因。暴飲暴食などにより飲食物の消化吸収から排せつまでの一連の流れに停滞をもたされた結果、下痢が生じる。
(特徴)お腹が痛むとすぐ下痢する・下痢した後は傷みは軽減・臭いを伴う
(身体症状)ゲップもにおいがする・食欲不振など

 

C肝気犯脾による下痢(ストレスタイプ)
ストレスや感情の急激な変化に伴い発症する。精神的な刺激が「肝」の物質をスムーズに流す機能に影響を及ぼす。この機能の低下が消化器にも波及することで、消化吸収能力が低下し、下痢が生じる。
(特徴)下痢する前にお腹が張る・未消化便・下痢した後も痛みはおさまらない・精神的刺激によって誘発される
(身体症状)側腹部の脹り・食欲不振・ゲップなど

 

D脾虚による下痢(胃腸が弱いタイプ)
消化器の弱い体質によく見られる。飲食の不摂生・過度の疲労・長期間大病を患うことなどが原因となる。消化・吸収機能の低下により下痢が生じる。

(特徴)大便が希薄で未消化物が混ざる・脂肪分の多い食事の摂取排便回数が増加

(身体症状)食欲不振・食後にお腹が張る・顔色は黄色い・心身疲労

 

E腎虚による下痢
長期間下痢が続くことや加齢が原因。消化・吸収能力の低下を招き、下痢が生じる。
(特徴)
下痢は長期化して治癒しない・夜明け前に下痢することが多い・未消化便

(身体症状)体が冷える・膝腰の重だるさ・下腹部の冷感など

 

上記代表的な6つの原因を挙げました。

「下痢」一症も調べれば調べるほど様々なことが記載されております。

ブログの更新が滞ってしまったため、またの機会に改めて掲載したいと思います…。 

 

スタッフ 杉本

※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。

胃腸由来の症状その2

お疲れ様です。金澤です。

さて年末年始といえば食べ飲みが多い時期です。

そして食べ過ぎ、飲み過ぎてしまう人が多いかもしれませんね。

飲み食べ過ぎで代表的な証を2つに絞ってあげていきたいと思います。

1、食滞

食べ物が胃や腸管などに停滞している状態を指す。多くは食べ過ぎにより、腸管系の動きが悪くなっている病態。症状は胃の脹痛、強い痛み、吐き気、嘔吐、あい腐(胃の内容物の腐った臭いがこみ上げる)。自身の消化能力を超えた飲食量、もしくはスピードによって、いわゆる消化不良や急性胃炎を起こしているもの。

2、脾胃湿熱

脾胃(胃腸)に湿(余分な水)と熱が停滞した状態。湿と熱は邪として捉えられ、食べ飲みが湿熱になることが多い。その因子はお酒、油、生魚、肉などがなりやすく、居酒屋ではなくてはならない人気食品たちです。笑

脾胃(胃腸)に湿熱の邪が停滞しているので消化器関連の症状が多く

悪心、嘔吐、お腹のもたれ、大便がベトベトするなど

それに熱邪がどこの部位に、どれくらい影響するかで他の症状も変わってきます。

頭部に影響すると…拍動性の頭痛、めまい、口が苦いなど

下腹部に影響すると…排尿痛、大便がベトベトで臭いが強い、女性であればオリモノに影響することもある

下肢に影響すると…腫れや関節炎様の症状など

影響する部位は人によっても違い体調によっても変わるので上記に挙げたのは少ないですが例になります。

湿熱の症状は二日酔い症状に似ているかもしれませんね。

次回はセルフ灸について書いていきたいと思います。

胃腸由来の症状・ツボ編

爪楊枝灸.pngおはようございます!金澤です。

寒すぎです(´・ω・)夏に比べて朝は行動するのが寒くて遅くなります。時間は待ってくれないのでバタバタしやすい最近です…

さて食べ過ぎ飲み過ぎで胃腸由来症状の病態を前回挙げました。

その病態によく使う代表的なツボを数個挙げていきたいと思います。

まずは食滞から挙げます。病態は前回のブログを参照ください。

・裏内庭(うらないてい)

場所:足の人差し指の裏側シワから1寸(1〜1.5cmくらい)のところ

方法:爪楊枝で軽く痛いくらいの刺激・せんねん灸で3回くらい行う

・梁丘(りょうきゅう)

場所:膝のお皿外から上に向かい3〜4cmのところ

方法:上に同じ

人によってツボの反応は違うのですが概ねこのツボを使うことが多いように思います。

内関(ないかん)というツボよく使います。内関・ツボの記事

お灸はドラックストアやさくら堂でも売っています。

もし症状がでていたら試してみるのも良いかもしれませんね。

もちろん食べ過ぎ飲み過ぎないことが理想ではありますが応急処置として覚えておいてください〜

裏内庭.png

    

梁丘.png

写真センスゼロではありますが温かく見てください(´-ω-`)

胃腸を労わって

2015/12/11

12月に入ってから、徐々に忘年会シーズンが

始まっています。

普段、食べない量のお食事やお酒など。

ついつい・・・。

忘年会・クリスマス・お正月と・・・。

ますますイベントは続きます。

胃腸がびっくりして、疲れてしまいます。

そうなると、風邪をひきやすくなったりと

体調を崩しやすい条件がそろいます。

食べ過ぎた日は胃腸を休ませてあげる。

温かな胃腸に優しいものを食べる。

などといった工夫がとても大切です。

気持ちよく年末年始を迎えるにあたり

どうぞ胃腸を労わってあげましょう。

 

腹痛

   バッド(下向き矢印)腹痛バッド(下向き矢印)


    腹痛を論じると、とても項が足りません。日頃よく見る症状からお話しします。
 まず腹痛があり、排便して後も痛むのはガスが溜まっています。中医学では大腸の気の滞りです。ストレスにより大腸の動きが悪くなっています。ただしこの場合の腹痛は脹った感じの腹痛です。

 

 差し込む感じなら、里急後重(りきゅうこうじゅう)といって暴飲暴食や胃腸型感冒の一部で見られます。

 全く排便がなくなるケースもあります。激痛なら腸閉塞も疑えますので、緊急外来に駆け込んで下さい。御願いします。
 食欲がなく、細い便や軟便なら脾気虚といって消化吸収の力低下状態にあります。足の三里のお灸だけでも十分改善されることも少なくありません。
 ときおり憩室炎と思われる方に出会すこともあります。症状は多くは左下腹痛、下痢、ときに仙骨痛などです。慢性化したものは鈍痛のケースが多いようです。

 憩室とはいわば大腸の壁にできたポケットです。超単純にいえばここにゴミが溜まった状態と考えてください。炎症時は悪寒、発熱を見ることもあります。繊維食嫌いの人は、腸管の内圧が高くなりやすいため、憩室を起こしやすい条件を形成します。豆類や野菜を良く取るようにしてください。