胃痛

患者さんを診ていると、主訴か随伴症状かはともかく、胃腸が悪い方は殊の外多いように感じます。

病名なら慢性胃炎などに相当でしょうか。伝統医学なら『胃緩』(いかん)という病名になります。

病理になら脾の運化失調が多いでしょう。

一般に食べたくない、もたれる、そこから元気が湧かないなどの症状があらわれ、しまいにやる気がない、かったるいなどの症状が続きます。なんとなく生活のクオリティーが低くなっている状態と考えてください。

その中に案外に下記👇のような方が多くいます。

基本的にこの手の方は食べられる量がそう多くない(食欲不振)のですが、頭(思考)で食べようとする方が多くいます。

『夕方お腹が減ると困るから、昼に食べておこう』『時間が来たから食べなければ』という感じで食事をします。要は胃の状態に合わせた食事を摂るという発想がないわけです。

意外に思うかもしれませんが、食欲がないときは、普通に食べただけで、それが過食と同じ状態をあらわし、ますます胃腸に負担をしいり、その結果胃の正常レベルを下げることになります。

食べたくないときは、量を減らすか?抜いてください。

負担を軽くする(胃の)という視点はとても大事なことだと考えます(スタッフより)


※院長より

胃の痛みで鍼灸院を訪れる方って結構います。大半は脾の運化に問題がある。単純にいえば消化、吸収のトラブル。これを基本に食滞(食べ過ぎ、消化不良相当)はないか、ストレス的な要素による機能停滞はないか、外の寒さは、冷たいものを取り過ぎていないか?などなどを考慮しながらツボと手技を決定します。ときに強い血オ、湿熱など方もおられます。私の臨床例だと膵臓癌、胃癌、今まさに腹膜炎や腸閉塞を起こしている方もいました。

舌診もとても参考になります。

舌診の図

   

胃腸型感冒

最近感染で胃腸炎的な症状が出ることを胃腸型感冒という。 伝統医学ではこれに相当するものに風寒直中(フウカンジキチュウ)があります。 風寒の邪気が口から入り胃まで到達した状態です。

お腹の冷感部でかつ痛みがある場所に直にお灸を据える。※跡を残さないのでご安心を(笑)

その間、合谷穴などで衛気を鼓舞する。軽いものならこれで症状が改善する。 

風寒直中の患者さんはそう多くないが年間で10〜20例ぐらいは診るだろうか。 一般に感冒で鍼灸にかかろうとする発想がないでしょう(大笑) 

最近の例だと、上記の方法に至陰のお灸を加えた。直中に加え、下肢冷感が顕著だったからである。 今時はこの手の感冒も増えるので…夏場の暴飲暴食などで胃腸が機能レベルが低下している方が少なくない。 くれぐれも自重して下さいませ。

あまり知られていませんが、寒伏というものがある。文字通り寒が伏せているということ。例えば冬に感受した寒邪が地面に伏せてじっとしているように体に潜んでいる。それが春先に一挙にあらわれる感じで発症する。

急性胃炎

2016/6 臨床例 60代 男性、公務員。

数時間前から急性の胃の痛み。

食事との連動は薄い。

元より憩室のある方。

こういう時はまず痛みを取ることが優先される。

梁丘に反応がないので、裏内庭に灸。

滑肉門に反応、滑肉門と水平位の手陽明経のに刺鍼。

2時間で治まるだろう。

 

※裏内定

裏内庭.png

 

タイプ別の胃痛

2020/04/17

東洋医学視点の疾患タイプ別シリーズ

〇胃痛

東洋医学では胃痛、または胃緩痛と呼び、胃部の疼痛が主要なものをいう。

原因

@外からの冷え、生もの冷えなどを好んで食べる

A思い悩みや怒りなどの感情によって胃に流れる気が滞り強い痛みが出るタイプ

B脾胃(消化器)の力が長期間落ちると胃を栄養できずに弱く痛むタイプ。

 

治療分類

実証型(余剰型)

・胃痛が強烈、温めると痛みが軽減する→冷えに由来する胃痛

・張って痛み、げっぷや便が腐ったような臭いがする→消化不良に由来する胃痛

・痛みが針に刺されるが如し?キリキリ痛むタイプ→ストレスなどを起因とした血オ胃痛

実証の他症状

・口渇、消化不良や食欲不振、便秘を兼ねる→熱によるものが多い。

※ストレス型と熱型はかなり食欲にムラがある。

 

虚証(パワー不足)

・痛みは軽度、温めることや、さすることなどを好む。空腹時に痛みが出現しやすく食事をとると痛みは減少→気が不足

※胃の保湿機能が落ちている方は胃部に焼灼感を伴うこともある。

虚証の他症状

・足や手が冷え寒さを嫌う、力が入らない、ドロドロ便、食欲不振→活動能力が著しく減少する。

タイプによって使うツボは変わるが、足三里や内関、腹部の穴を用いるケースが多い。夏場の時期も含め生ものや冷たいものはほどほどに。

 

院長より

以上が中医書による模範解答。

臨床は多種多彩。それだけはダメ。

長時間の座位による胃の圧迫、広背筋の弱さなどからくる猫背による圧迫などは比較的によく見る。

膵臓癌による食欲不振、お腹の張りなどではことさらに背中の痛みも併発する。

長期の飲酒過多の方も気をつけよう。胃上部の炎症や潰瘍があることも。

食べるスピードも大事。一食毎に3回は休憩を挟むとよい。休憩ごとにお茶かお湯を60CCくらい飲んで欲しい。

 

問診とともに舌診も大事になってくる。

舌診の図

急性腹痛

2012/5

臨床例

この患者さんは、腹膜炎、腸閉塞などを繰り返す方。

腸内のオペ歴も数回あり、今回は急性発作で冷汗をかきながら来院。 

鍼灸院の場合、比較的慢性疾患の患者さんが多いのですが、今例のように普段からお通いになっている方が、何かの急性病を起こし来院するケースもまれではありません。

どうみても腸閉塞の痛みではないのですが、息するだけで痛む持続痛であることから本来ならば救急外来の領域だと思います。

ただ、よく診ると患部が大腸ではなく、胃にあるようです。

通常の排便後に悪化していることも、大腸疾患ではない証左になります。

中医でいう直中の部類に入るでしょう。

ここは吐方を用います。

鳩尾、内関で胃の上部を緩め、太衝から気を上に上らせました。

10分後に大量の嘔吐。

お顔の色は血色が戻りました。

これで治れば申し分ありません。

治らなければ救急車です。

 

 



泄瀉(せっしゃ)の分類と治療

R1,6/25

◆泄瀉(せっしゃ)

泄瀉とは大便の回数が増えることを指すのであり、糞質は溏薄(薄くドロドロしている)か未消化便で甚だしければ水様に至ることを言います。

泄と瀉の単体での意味は、大便溏薄を゛泄゛といい勢いが緩いもの、大便清稀(サラサラで水分量が多い)を゛瀉゛といい、水様で勢いが急なものをいう。

余分な水(寒湿や湿熱)や脾胃の生理作用の失調(消化器)が主要の原因であり、消化吸収が上手くいかず腸に流れ、瀉となる。

夏秋の季節に急性の腹瀉は多くみられ、慢性の腹瀉の原因は脾胃がもともと弱いもの、慢性症状が中気不足(消化器系のパワー不足)を起こすもの、脾腎(お腹~下腹部)の温める力、活動力が落ちることによって起こしやすい。

 

・タイプ別

急性腹瀉

主な症状:腹痛・腹張・腸鳴・急に下す・便質は食物が混じっている・便の回数は多い

兼ねる症状:口渇・小便の量が少なく、黄色い・胃の上部の気持ち悪さ、もたれるような感じ

治療方法:余分な熱や身体に溜まった水を捌く(清熱利湿)

 

慢性腹瀉

主な症状:大便溏薄或いは食物の未消化・腹痛および飲み食べは情緒と関連する・朝起きて下す人は腎陽の不足(下腹部の温める力)からくるものである。

兼ねる症状:飲食を望まない・精神疲労と手足のだるさ・腹痛は弱く痛む

治療方法:下腹部・お腹の温める力を強める(温補脾腎)

 

清熱利湿に対応するツボは熱が溜まりやすい陽明経を使い、余分な水を捌きやすい脾経のツボに腹部のツボを使用することが多いように思います。

慢性系の腹瀉は温める力をつけるために灸を多用する。

急性系は食あたりや暴飲暴食など一過性で終わることが多いですが、慢性的に泄瀉が続くと気血の生成が落ち、痩せていくか太れないなどが出てきます。太れない方はには脾腎のパワー不足が絡んでいることも多く感じます。

 

〜院長より〜

泄瀉は下痢のことです。本当のところ、もう少し意味はに広いですが・・・。

急性・慢性の違い、原因の違いで使うツボが相当に変わってきます。意外に難しいのですよ。

胃腸由来の症状その2

お疲れ様です。金澤です。

さて年末年始といえば食べ飲みが多い時期です。

そして食べ過ぎ、飲み過ぎてしまう人が多いかもしれませんね。

飲み食べ過ぎで代表的な証を2つに絞ってあげていきたいと思います。

1、食滞

食べ物が胃や腸管などに停滞している状態を指す。多くは食べ過ぎにより、腸管系の動きが悪くなっている病態。症状は胃の脹痛、強い痛み、吐き気、嘔吐、あい腐(胃の内容物の腐った臭いがこみ上げる)。自身の消化能力を超えた飲食量、もしくはスピードによって、いわゆる消化不良や急性胃炎を起こしているもの。

2、脾胃湿熱

脾胃(胃腸)に湿(余分な水)と熱が停滞した状態。湿と熱は邪として捉えられ、食べ飲みが湿熱になることが多い。その因子はお酒、油、生魚、肉などがなりやすく、居酒屋ではなくてはならない人気食品たちです。笑

脾胃(胃腸)に湿熱の邪が停滞しているので消化器関連の症状が多く

悪心、嘔吐、お腹のもたれ、大便がベトベトするなど

それに熱邪がどこの部位に、どれくらい影響するかで他の症状も変わってきます。

頭部に影響すると…拍動性の頭痛、めまい、口が苦いなど

下腹部に影響すると…排尿痛、大便がベトベトで臭いが強い、女性であればオリモノに影響することもある

下肢に影響すると…腫れや関節炎様の症状など

影響する部位は人によっても違い体調によっても変わるので上記に挙げたのは少ないですが例になります。

湿熱の症状は二日酔い症状に似ているかもしれませんね。

次回はセルフ灸について書いていきたいと思います。

胃腸由来の症状・ツボ編

爪楊枝灸.pngおはようございます!金澤です。

寒すぎです(´・ω・)夏に比べて朝は行動するのが寒くて遅くなります。時間は待ってくれないのでバタバタしやすい最近です…

さて食べ過ぎ飲み過ぎで胃腸由来症状の病態を前回挙げました。

その病態によく使う代表的なツボを数個挙げていきたいと思います。

まずは食滞から挙げます。病態は前回のブログを参照ください。

・裏内庭(うらないてい)

場所:足の人差し指の裏側シワから1寸(1〜1.5cmくらい)のところ

方法:爪楊枝で軽く痛いくらいの刺激・せんねん灸で3回くらい行う

・梁丘(りょうきゅう)

場所:膝のお皿外から上に向かい3〜4cmのところ

方法:上に同じ

人によってツボの反応は違うのですが概ねこのツボを使うことが多いように思います。

内関(ないかん)というツボよく使います。内関・ツボの記事

お灸はドラックストアやさくら堂でも売っています。

もし症状がでていたら試してみるのも良いかもしれませんね。

もちろん食べ過ぎ飲み過ぎないことが理想ではありますが応急処置として覚えておいてください〜

裏内庭.png

    

梁丘.png

写真センスゼロではありますが温かく見てください(´-ω-`)

胃腸を労わって

2015/12/11

12月に入ってから、徐々に忘年会シーズンが

始まっています。

普段、食べない量のお食事やお酒など。

ついつい・・・。

忘年会・クリスマス・お正月と・・・。

ますますイベントは続きます。

胃腸がびっくりして、疲れてしまいます。

そうなると、風邪をひきやすくなったりと

体調を崩しやすい条件がそろいます。

食べ過ぎた日は胃腸を休ませてあげる。

温かな胃腸に優しいものを食べる。

などといった工夫がとても大切です。

気持ちよく年末年始を迎えるにあたり

どうぞ胃腸を労わってあげましょう。

 

腹痛

   バッド(下向き矢印)腹痛バッド(下向き矢印)


    腹痛を論じると、とても項が足りません。日頃よく見る症状からお話しします。
 まず腹痛があり、排便して後も痛むのはガスが溜まっています。中医学では大腸の気の滞りです。ストレスにより大腸の動きが悪くなっています。ただしこの場合の腹痛は脹った感じの腹痛です。

 

 差し込む感じなら、里急後重(りきゅうこうじゅう)といって暴飲暴食や胃腸型感冒の一部で見られます。

 全く排便がなくなるケースもあります。激痛なら腸閉塞も疑えますので、緊急外来に駆け込んで下さい。御願いします。
 食欲がなく、細い便や軟便なら脾気虚といって消化吸収の力低下状態にあります。足の三里のお灸だけでも十分改善されることも少なくありません。
 ときおり憩室炎と思われる方に出会すこともあります。症状は多くは左下腹痛、下痢、ときに仙骨痛などです。慢性化したものは鈍痛のケースが多いようです。

 憩室とはいわば大腸の壁にできたポケットです。超単純にいえばここにゴミが溜まった状態と考えてください。炎症時は悪寒、発熱を見ることもあります。繊維食嫌いの人は、腸管の内圧が高くなりやすいため、憩室を起こしやすい条件を形成します。豆類や野菜を良く取るようにしてください。