●五色帯とは?
女性の膣から悪臭を伴う多色(五色)の帯下が絶え間なく排出されるものを指す。
子宮頸がん・子宮がんを考慮すべき状態であり、早期診断が大切である。
●五色について
「青」・「赤」・「黄」・「白」・「黒」を指す。五色は「五臓」を密接に関連しており、肝=「青」・心=「赤」・脾=「黄」・肺=「白」・腎=「黒」と分類されている。各臓腑失調は身体の各部分から色として出現することが多い。(イメージとしては、肺(呼吸器)の失調により顔色が真っ白になるなど)
●五色帯についての東洋医学的解説
前述のとおり、五色帯とは五臓すべての不調により確認することが出来る。その他の原因として、中医書の記載によれば、体内(特に下半身)に貯蔵および停滞していた水液物質が熱化した後に血液や粘稠性の液体と結びつき腐敗することで発生するとされている。代表的な4パターンを挙げる。
①湿熱(しつねつ)五色帯
子宮が虚(エネルギー不足)の状態に乗じて、湿熱が注がれることが原因となる。排出・循環されることなく体内の水分が長期間体内に存在すること・湿気などの外的環境も身体に影響を及ぼすことで余剰水分が熱化。その熱化した水分が血液・粘稠性の液体と結びつき腐敗することで五色帯が生じる。
(特徴)水ないし米のとぎ汁のようなおりもの・血液状のおりもの・膿のような分泌物がでる・臭いが伴う
(身体症状)頭がクラクラして力ない・身体はやせ細っている・舌の苔は黄色くて厚い
②陰虚(いんきょ)五色帯
湿熱五色帯(①)が発展したもので、熱により体内の潤い物質が消耗されたことにより生じる。
(特徴)おりものは赤色は多く白色は少ない・強い臭いが伴う
(身体症状)お腹の痛み(痛みは大腿部・背中へ放散する)・小便が頻回・排尿時痛など
③気鬱(きうつ)五色帯
ストレスなどによる身体のはたらき(消化機能・血液水液循環)の低下し体内に余剰な水分・熱が生まれることによる。消化器の機能の低下により水液物質が吸収されず体内に余剰水分が生じること・精神抑鬱や急激な感情の変動により体内に熱を生じさせる。この余剰水分と熱が結合し、子宮へと流入されることで赤白帯が生み出される。
(特徴)白帯の量が多い・時に血液状のものが加わる・粘稠性強く臭いが伴う
(身体症状)お腹の張り感・眩暈・怒りっぽくなる・精神抑鬱症状など
④虚寒(きょかん)五色帯
慢性病などにより体内の温める力が低下することがきっかけとなる。長患いは身体エネルギーの損傷をもたらし、帯下病が長く続くことが原因となる。冒頭に説明した五臓失調による五色帯に類似。
(特徴)おりものは数色混じっている・量は多くさらさらしており臭いを伴う
(身体症状)腰痛は強い・顔色は白い・心身疲労・眩暈・耳鳴りなど
スタッフ 杉本
◎参考文献
「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社
「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社
「漢方用語大辞典」 燎原出版社
「実用中医婦人科学」
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