タイプ別での不正出血の原因を挙げましたが、今回は残りの2タイプについて。
「子宮から血液が漏れ出るタイプ」(①子宮内に血液を留めておく力の低下・②月経時に血液がすべて排出されず残存する)について解説致します。
〇固摂(血液を子宮に留める力)低下タイプの不正出血
子宮内に血液を留める働きを担う五臓六腑は「脾」と「腎」。「脾」と「腎」により子宮から血液が漏れ出ないように約束されている。ゆえにこれらの働きが弱まることは、約束する力が低下することとなり、月経期以外にも出血が生じてしまう。
①消化器虚弱(脾気虚)による不正出血
五臓「脾」は血液を統括し、血液を脈内に留めておく役割を有する。脾の損傷は血液が子宮および子宮への気血供給ルート内へ留めておくことが出来ず、外溢してしまうために不正出血が生じる。
消化器がもともと虚弱である体質・飲食の不摂生・過労・考えすぎなどが原因となる。
経血色は淡紅、さらさらとした性状であることが多い。
(身体に出現する症状)倦怠感・息が切れて話をしたがらない・心・胸部の閉塞感・食欲不振・四肢の冷え・顔面蒼白・浮腫み・軟便など
②冷え(腎陽虚)による不正出血
冷えによる「腎」の機能低下が原因となる(腎は物質を臓腑に閉じ込めておく作用を有する)。
もともと身体を温める力が少ない体質・若年での出産・出産過多などが原因となる。
(身体に出現する症状)めまい・目が眩む・精神不振・寒さを恐れる・四肢の冷え・下痢など。
〇血液残存タイプの不正出血(血オ)
子宮や子宮への供給ルートから血液が溢れでることで生じる。月経期または出産後において子宮内の血液を全て排出が出来ず残存していたり、気候やストレスなどの精神的な影響から体内の巡りが悪くなることで発症する。古い血液が排出されていないために、新しい血液が流入することが出来ずあふれ出るイメージ。出血は持続的であることが多い。経血色は紫暗色・出血には血塊を伴うことが多い。
(身体に出現する症状)腹痛が激しい・舌の色が紫暗色。
上記一例に過ぎないのですが、不正出血一症状でも東洋医学で見れば様々な原因が考えられます。
出血症状に以外にも、生活習慣や体質などから原因を特定し、各々の身体に合った治療を行います。
お悩みの方は、是非一度ご相談くださいませ。
スタッフ 杉本
◎参考文献◎
「中医基本用語辞典」 東洋学術出版
「漢方用語大辞典」 創医会学術部
「430種疾病鍼灸表解」 中医古籍出版社
「中医症状鑑別診断学」人民衛生出版社
※新着時期を過ぎると左サイドバー《不正出血》に収められています。