血の流れが停滞しておこる病態を血オと言います。
「運行がスムーズでない」・「脈から血が漏れ出て吸収されない」ことが発生原因であると前回説明しました。今回詳細について解説していきます。
◇運行がスムーズでない
血は脈の中を流れている。気(エネルギー物質)の力で運行し、気・津液(液体物質)とともに流れている。
このことから、①運搬する力の不足や停滞が生じること、②液体物質がベタベタ、③寒熱、④脈がカチカチなど血がスムーズに運行できなくなる原因として考えられる。
①気虚タイプ(推進の力低下)
血の運搬する役割を担う「心」と「肺」。これらの臓腑のエネルギーが不足することで血を運搬する力が弱まり血オが形成される。
②気滞タイプ(運搬する力が滞ること)
全身の気の動きをコントロールする役割を担う「肝」。この「肝」の失調は運搬するエネルギーにも作用する(主に停滞)。運搬力が停滞することで血も滞り、血オが形成される。
③水湿過剰タイプ(水液物質ベタベタ)
血と一緒に脈内を走行している液体物質。これらがベタベタになってしまうと血の運行を一緒に阻害されてしまい、その結果として血オが形成される。
④冷えタイプ(血が固まる)
冷えは物質を固める作用を有している。液体が固体に変化するように、冷えにより血が固められることで、血オが形成される。
⑤熱タイプ(煎じ詰められる)
熱もまた血オ形成の一因と考えられる。茶を煮ることで成分を出し尽くすイメージか。
⑥陰虚(脈カチカチ)タイプ
脈が硬く、運行ルートの狭くなってしまう。狭いルートを通ることは血のスムーズな運行が阻害されてしまい、血オの形成が生じると考えられる。
◆脈から血が漏れ出て吸収されない
脈中を流れている血が何かしらの原因により脈の外に漏れ出てしまう。漏れ出た血が吸収されないことにより血オが形成される。
血が脈の外に出る原因としては、①血を脈内にとどめるエネルギーの低下・②物理的圧力、が考えられる。
①気虚タイプ(脈内にとどめておくエネルギーの低下)
気の作用の一つとして、血が脈を流れる際に、脈外に漏れ出すことがないよう防ぐ働きを有する。
五臓六腑の「脾」がこの働きを担い、失調することで各種出血症状が出現する。血が脈外に漏れ出ることで、血オが形成される。
②物理的圧力(外傷・打撲等)
外傷・打撲などの物理的圧力によって脈が損傷してしまう。その結果、脈外へと血が漏れ出てしまい、血オが形成される。
2回に分けて血オの形成ルートを解説させていただきました。
血オひとつとっても多くの原因が存在するのですね。
どうやったら悪くなるか、どうやったら楽になるかを確認しつつ原因を考えていきます。
(冷えたら悪化、温めると楽なのであれば④冷えタイプなど)
少し専門的な話になりましたが、自分の症状を把握する上での何かしらの力になればうれしいです。
詳しく知りたい方は、ぜひスタッフまで。
スタッフ 杉本
※新着時期を過ぎると左サイドバー《基礎中医学》に収められています。