胎動不安(流産・切迫早産)A

先日の続き。

胎動不安が生じる原因として、子宮に通じるルートにトラブルが生じることを説明いたしました。

主に@気(エネルギー)・A血(栄養)が不足して胎児を養うことが出来ない(詳細はこちら)。

今回はその他の4パターンの解説になります。


B腎虚胎動不安(じんきょたいどうふあん)

五臓の「腎」に起因するもの。「腎」は胎児へ必要なエネルギー源を保有する他、胎児を子宮内に留めておく作用を有する。ゆえに腎が損傷することで胎動不安が生じる。腰のだるさと腫脹・少量の膣内出血などの主症状の他に眩暈・耳鳴り・頻尿などの症状を見る。

 

C血熱胎動不安(けつねつたいどうふあん)

熱が原因となる。熱が子宮に及べば胎児の生育に必要な成分(エネルギー・栄養物質・水液物質)を焼却させてしまう。ゆえに胎児を養うことが出来ず胎動不安が生じる。体を温める力が盛んな体質・発熱などが原因となる。下腹部が張り、痛み伴うことが特徴。口や咽の渇きなどの身体症状が見られる。

 

D気鬱胎動不安(きうつたいどうふあん)

五臓の「肝」に起因するもの。「肝」は全身のエネルギー循環を調整する作用を有している。「肝」の損傷はエネルギー循環の停滞を生じさせる。子宮においては、エネルギー・栄養物質を子宮に届ける力に停滞が生じてしまう。ゆえに胎児を養うことが出来ずに胎動不安が生じる。腹部に張り感を伴うことが特徴。抑鬱感・怒りっぽいなどの精神症状を伴うことも多い。


E外傷胎動不安 (がいしょうたいどうふあん)

外傷に起因するもの。妊娠後になんらかの外的なショック(転倒・重たいものを持つなど)を受けて衝脈任脈の気血が損傷することによって発症する。腰が重だるく腹部が痛む・陰部からの出血がある者が多い。

 

いかがだったでしょうか?

今回は五臓の「肝」「腎」の失調に由来するもの・「熱」「外傷」に由来するものについて説明させていただきました。

皆様の症状を把握する上での参考になれば幸いです。

 

スタッフ 杉本

 

◎参考文献

「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社

「わかる中医学入門」 燎原出版社

「中医病因病機学」 東洋学術出版社

「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社

「漢方用語大辞典」 燎原出版社

胎動不安(流産・切迫早産)@

胎動不安(たいどうふあん)とは、妊娠中に胎児が活発に動く感覚(下に動く感じ)を感じた後に、軽い腰のだるさを感じるものを指す。甚だい場合には膣内から少量の出血が見られる。流産の前兆として見られることが多い。

胎動不安が生じる原因としては、子宮へ密接にかかわる経絡(東洋医学的なエネルギー・栄養物質の運行ルート)の損傷により胎児を養うことが出来ないことが挙げられる。

身体の中の何の生理物質が足りないか?どこの五臓六腑にトラブルが生じたか?などで分類されるが大きく分けて6パターンある。以下解説を行っていきたい。


@気虚胎動不安(ききょたいどうふあん)

子宮内のエネルギー量が少ないこと・子宮へエネルギー・栄養物質を届ける力が低下することが原因となる。エネルギーは胎児の発育に関わる他、子宮内に留めておく役割を持っている。不足することで胎児を養えない、子宮内に留めておくことが出来ないために胎動不安が生じる。エネルギー不足の症状が全身にも表れ、顔色が白い・心身の倦怠感・息切れ・ボソボソと話す・寒がりなどが生じる。


A血虚胎動不安(けっきょたいどうふあん)

子宮内の栄養物質が少ないこと・子宮内へ供給する栄養物質が少ないことが原因となる。

胎児は養われないために、胎動不安が生じる。栄養不足症状が全身にも見られ、眩暈や動悸・顔色は黄色い・皮膚はカサカサしている・脈が細く力がないなどが出現する。

 

@のエネルギー不足タイプについては、全身のエネルギー(気)を補うツボ

Aの栄養不足タイプについては、栄養を補うツボを用いて治療致します。

またエネルギーや栄養が不足している原因を把握して、生活上におけるアドバイスもさせていただきます。

 

少し長くなってしまいそうなので、残りの4パターンはまたの機会に…。

 

スタッフ 杉本

 

◎参考文献

「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社

「わかる中医学入門」 燎原出版社

「中医病因病機学」 東洋学術出版社

「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社

「漢方用語大辞典」 燎原出版社

滑胎(習慣性流産)について

習慣性流産を東洋医学では「滑胎」・「数堕胎」という。

連続して3回以上自然に流産するものをいい、不育症の大半を占める。

多くは腎虚・気虚・血熱・外傷などの原因によって起こる。

 

@腎気不固滑胎

気の作用として「物質を一定位置に留めておく」ものがある(固摂作用)。

妊娠中においては、子宮内に胎児を留める役割を有する。

五臓の「腎」の不調により、胎児を子宮内に留めておく力が弱くなってしまうため滑胎が生じる。

歳を重ねることや過剰な性生活が原因となることが多い。

身体的な症状としては、妊娠後膝腰が重だるくなる・眩暈耳鳴り・排尿回数が増えるなどが出現する。

 

A脾胃気虚滑胎

胎児に十分なエネルギーや栄養物質が供給されないことが主な原因となる。

消化器の失調によることが多い。飲食物を消化・吸収する力が低下し胎児が育つのに必要な量を取り込めない結果、滑胎が生じる。

飲食の不摂生他、働き過ぎや考えすぎも原因となる。

身体症状として、顔は黄色くわずかにむくむ・精神疲労・声は小さくボソボソと話す・食欲はあるが食べられない・下痢傾向などが現れる。


B相火妄動滑胎

子宮内に熱が生じ、エネルギー・栄養分・水分などを損傷させることが主な原因となる。

熱を生みだす原因としては、人の情欲が亢進して欲望が思うように満たされないことや過剰な性生活が挙げられる。

身体症状として、両方の頬は赤い・口が乾き飲み物を飲みたがる・膝腰の痛み・陰部より出血などが出現する。


C虚寒相博滑胎

子宮の冷えにより胎児が生命活動を行う上で必要な栄養・体温が奪われることが原因となる。

冷え体質であること。その他、寒冷な環境が母親の体内に侵襲し、子宮に達することで生じる。また虚弱な体質であるほど、外的気候の影響(ここでは寒冷刺激)を受けやすいとされている。

身体症状としては、下腹部が冷え痛む・手足の冷え・膝腰が重だるい・下痢・尿の色は淡く量は多いなどが現れる。

 

D外傷滑胎

外傷による滑胎。躓きこけるなど妊娠後明らかな外傷歴がある。

@〜Cと比較し明確な原因があるために鑑別しやすい。陰部からの出血が見られる。

 

スタッフ 杉本

 

◎参考文献

「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社

「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社

「漢方用語大辞典」 燎原出版社

「病気がみえる 産科 第2版」 メディックメディア

最近の逆子治療の状況

2021/5

最近、何故か逆子の患者さんが続く。 

昨年の総数と同じくらいの方が、この数週間でお見えになる。

半分以上の方が他院からのご紹介である。 

他院からのご紹介のケースでは簡単に胎児が返ってくれるケースなどほぼ皆無。

難しいからオファーが来るわけだから、当然と言えば当然💦💦💦


臍の緒が巻いていることを確認出来るケースなども少なくない。

 

大概の方は35週前後でお見えになるわけなのだが、今までの検診で正常な状態(逆子ではない状態)が一度も確認されたことがなく、担当のドクターから「まだ週数がありますから大丈夫です。逆子体操をしていてください」と言われている方が多い。


※この疾患もある程度の治療法則が固まってきている。 

古典の記載から応用・発展させたものに、現状で逆子の因となる病理を加えたものである。

後は個々の方の状態に合わせ出し入れする。

少しでも返る確率を上げたいと思う。


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※新着時期を過ぎると左サイドバー《妊娠中/産後の諸症状》に収められています。

安胎のツボ

2020/3

安胎の治療とは、心拍確認〜15週めくらいまでで、胎児が未だ不安定な状態の際に、流産しないようにするための治療と考えてください。

 

通常は2系統あります

1、温陽のツボを使う

ツボの効能が子宮に効く、かつその効能が子宮を温める効果のあるツボをセレクトします。子宮を温めるツボには、子宮内のものを下さない効果(この場合は胎児)も兼ねることが多いからです。白環兪穴など。


2、帯脈をツボを使う

帯脈はちょうどベルトの同じ位置にあり、お腹〜腰をぐるっと一周する経絡。ここを刺激することで、お腹回りが締まり流産しにくくなります。維道穴など


特殊なケース

これは抗リン脂質抗体やプロラクチンA、プロラクチンC、第12因子の欠乏で血栓ができるケースです。俗にいう不育症に当たります。東洋医学の眼からだと血オという状態に当たるケースが大半です。このケースでは活血といって子宮の血オを取り去るツボを常用します。地機など。

 

大きく安胎治療は2系統+1(特殊ケース)で対応しております。

 

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※新着時期を過ぎると左サイドバー《妊娠中/産後の諸症状》に収められています。

妊娠中のむくみ

ここ数日「むくみ」について調べるが、非常に範囲が広いことに気づく。

中医書でも「月経期」・「産後」・「妊娠」・「小児」etcと細かく分類されている。

全部を調べるにももう少し時間を要しそうであるため、今回は「妊娠中のむくみ」について解説していきたいと思う。

 

まず前提として「妊娠中」の身体状態は特殊である。

母体は胎児を育てるために、子宮内に多くの生理物質を必要とする。そしてその消耗は著しい。

母体は主に必要な栄養物質は飲食物から得ている。(五臓の「脾」が担う)

また子宮内の栄養物質は生殖機能に大きくかかわる臓器「腎」によって供給されることが多い。

この「脾」・「腎」をフル稼働させることによって胎児育成が行われているのである。

 

また五臓から離れるとお腹が大きくなってくる物理的圧迫・活動量低下・出産へのプレッシャーで「気滞(流れの滞り)」が生じやすい。

このように中医書では、「脾」「腎」の衰弱・「気滞」から妊娠中のむくみが解説されている。

 

@脾虚(湿盛)型

 消化器の消化・吸収トラブルにより水液物質の停滞が生じる。

むくみの特徴…全身から徐々にむくむか、四肢からむくむこと・押すと戻りにくい・皮膚に湿り気がある

その他見られる症状…食後に眠くなる・水分量の多い便が出る等

 

A腎虚(水犯)型

必要な水液を身体に再吸収する、不要な水液を尿へ化生させる機能の失調により水液物質の停滞が生じる。

むくみの特徴…下腿・特に足首からむくむことが多い・押すと戻りにくい・皮膚に湿り気がある

その他見られる症状…耳鳴り、眩暈、腰・下肢の冷え・小便の回数が多いが量は少ない等

 

 B気滞(湿阻)型

生理物質の運搬する力に滞りが生じた結果、水液物質の停滞が生じる。

・むくみの特徴…押してもすぐ戻る・足の甲からむくむことが多い・起床時や同じ姿勢が続くことで悪化

・その他見られる症状…お腹と肋骨の境目あたりの張り感・腰部の張った痛み・便秘等

 

直接の治療対象となることは比較的少ないかと思いますが、自身の体の状態を判断する上での参考となればうれしいです。

 

スタッフ 杉本

出産間際

2020/12

うちは不妊治療の方が割りに多い。

すると妊娠したら終わりというわけではなく、必然にその後のトラブルに対処することになる。

その流れで、出産間際まで関わることも少なくなく、今日も35週を過ぎた方をお二人診た。

中には子宮口の開きが悪く、予定日間際でも陣痛の気配のない方もいる。

概ね、三陰交、合谷、肩井、次リョウ辺りを使用すると良いと古典にはあるが、それだけでもないし、使う意味や周期も違う。


※産道をやわらかくするため。

※子宮周囲の衛気を益すため。

※出産時の勢い、つまり下方への気の動きを強化するため。

※子宮収縮を促すため等々、それぞれにツボごとに役割が違うわけである。

 

今日はある目的で至陰を使う。

比喩的な言い回しをすれば「胎児に、お〜いわーい(嬉しい顔)もう出ても良いのでは?」とお伺いを立てた感じだろうか?

 

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※新着時期を過ぎると左サイドバー《妊娠中/産後の諸症状》に収められています。

出産後の腰の痛み

前回、出産後の身体の痛みについて解説しました。

今回では出産後の「腰」の痛み。中医書には「身痛」、そして今回の「産後腰痛」は分類して記載されております。

産後の痛み症状の中で、よく見られる症状の一つである「腰痛」。

これは、各種内科由来の腰痛とは別の原因・治療法があると考えられ、後世の医師は伝記で論述しております。 

 

基本的な「産後腰痛」の原因として挙げられているのは「血不足型」・「気候由来型」「オ血型」  

 

・「腎虚血虚型(エネルギー・栄養不足型)」…生殖機能に大きく関与する五臓六腑「腎」。出産時活発に活動を行うことで産後「腎」は疲れている(エネルギー不足)状態となります。加えて出産は多くの出血を伴うことから、血の不足も伴います。「腎」は伝統医学上、「腰」に関与していること、加えて血(栄養)不足ゆえ筋肉を滋養されないことから腰の痛みが生じる。

よくみられる症状…めまい・耳鳴り・顔色が彩りがない・手足の知覚障害etc.

 

・「気候由来型(冷・湿気型)」…産後エネルギー不足である身体は外的環境から身体を守る力が減弱しているために気候の影響を受けやすい(特に寒さ、湿気)。冷えや湿気はエネルギー・栄養物質の運行障害を生じやすく、血(栄養物質)の滞らせ、腰の痛みが生じる。

よくみられる症状…冷えにより悪化、動かしづらい、お腹とともに冷えるetc.

  

・「オ血型」…エネルギー不足(運動量低下や物理的圧迫も加わるか)ゆえ全身の供給エネルギーの低下が生じてしまう。滞りが生じた結果、血オが発生。刺すような腰の痛みが生じる。

 よくみられる症状…活動後に少し柔らかくなる、下腹部の痛みetc. 

 

上記基本的な産後腰痛の代表的な3例を述べさせていただきました。

共通することとして、出産を通じて女性は伝統医学上の物質(エネルギー・栄養)の損傷がが生じていること。それが各種症状として出現(今回は腰痛)していること感じていただけたかと思います。

 

実際には主にお話を通じて、産後の腰の痛みを特定し治療を行っております。

お悩みの方、該当される方は当院へぜひ一度ご相談下さい。

 

スタッフ 杉本

 

※新着時期を過ぎても《妊娠中/産後の諸症状》に収められています。

出産後の体の痛み

ありがたいことに最近は婦人科系疾患の患者さんの治療に携わらせていただく機会が多いように感じます。

勉強不足なこともありますが私は性別が異なる故、分からないことが多い領域です。

そして男性は経験することがないこともあり、女性特有の身体の辛さや心理的状況は完全に理解することは難しいのではないかとも思います。

ただ、分からないゆえ少しでも寄り添えるように力を入れて学ぶべき分野であるとも感じています。

同性だからこそ話しづらい・異性だからこそ話しやすいこともある。

そんな時にそっと寄り添えることが出来るような治療ができればと感じております。

 

前置きが長くなってしまいましたが、今回は「出産後の体の痛み」。

具体的な症状としては、「腱鞘炎」、「腰痛」、「肩甲骨周囲の痛み」、「恥骨痛」を述べられる方が見受けられました。

中医書には「産後身痛」という表記があり解説したいと思います。

(「産後腰痛」は別の単元が見られたため、また別の機会に解説します。)

 

原因としては大きく3つ。「血虚」・「血オ」「風寒」

@「産後血虚身痛」…栄養不足のために筋肉を養うことが出来ない。ゆえに筋肉が硬くなってしまい身体の痛みとして出現する。動きがスムーズでない・顔色が青白い・動悸・体がだるくて力が入らない等のその他身体症状が見られることが多い。

 

A「産後血オ身痛」…運行ルートに滞り(詰り)が生じることで筋(腱)と脈が通じなくなる。張り・引きつり・はりで刺したような痛みが出現する。顔色や唇は血色悪い・下腹部は痛む・患部を押されると嫌な感じがする等のその他身体症状が見られることが多い。

 

B「産後風寒身痛」…産後は諸エネルギー物質の消耗が激しいゆえに、気候からの影響も受けやすい。気圧や寒さがエネルギー・栄養物質の運行ルートにおよぶことで身体の痛みをして出現する。首の後ろや背部は硬い・寒さを嫌がる・食事量の減少等のその他身体症状が見られることが多い。

 

上記三例はあくまでも中医書における代表的な体の痛みの原因となります。

概要把握のための参考になれば嬉しく思っております。

 

「産後の身痛」は実際に身体に置き換えて考えてみるとその他にも様々な原因が考えられます。

お悩みの方は、痛みを生じる原因の解説を含め治療をさせていただきたいと思っておりますので是非一度当院へご相談下さい。

 

スタッフ 杉本

 

※新着時期を過ぎても《妊娠中/産後の諸症状》に収められています。

 

妊婦さんの恥骨痛

2020/8

妊娠20週目くらいになると恥骨あたりの痛みを訴える方がいます。

そう珍しい現象ではなく、良く起こる現象と言われています。

出産に備え恥骨結合部が徐々に開いてくることが大きな原因とされています。

逆にこれが弱いと出産自体が難産になってちゃうでしょ💦💦💦

 

この徐々に開いてくる恥骨結合部に、大きくなったお腹の下方への圧力と、場合によっては胎児の蹴り?(胎動)が相まって痛みが増強されます。

※間違えやすいのはこの時期の鼠径部の張りです、これは頸管が短かったり、力が弱かったりするために流産しやすい状況のこともありますから安静が必要になります。

 

●行気のツボに恥骨外側の緩みをつくる治療を加えますとかなり痛みは軽減されます。

妊娠って色々な変化がありすぎて大変なことではありますが、ゆとりを失わず、余裕をもって対処していく気もちが肝要かと思っています。

ご苦労様です。

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※新着時期を過ぎても《妊娠中/産後の諸症状》に収められています。

乳腺炎の鍼灸治療

2020/5

乳腺炎は産後に最も多い。

乳児の母乳の吸い方などによるものもある。

プロラクチン高値などでは排卵後にあらわれることもある。

常用するツボは乳根、ダン中、肩井、天宗あたりが患部取穴となろうか。

いづれも母乳を通じさせる効が高いツボである。

もちろんその原因を東洋医学の立場から探ってゆく。

肝、脾、腎および心の病証が多い。とくに肝の病証が多いように認識する。肺の病証は見たことがない。

当院ではこの類の疾患は女性スタッフが対応する。


産後腱鞘炎になる方が急増中

2020/04

時間が取れたので産後半年以内に再診する方の疾患を調べてみました。

多い疾患は疲労症候群、腰痛、乳汁不全などでしたが、最も多いのは腱鞘炎でした。

主婦としての力仕事が激減した昨今です。またお勤めの際でも担ぐ、持つなどの仕事はほとんどないものと察します。

ということは・・・・育児で初めてのこのような力仕事?と遭遇するといえなくもありません。

『日常使っていなかった上肢の筋肉の使い方や、手首自体への直接の負荷に対して抗しきれなくなる』

これが腱鞘炎多発の原因だと考えています。

数回の治療で良好になりますが、元よりの強さに欠けるため、再発しやすいという特徴があります。

体の使い方を学習する必要があります。

全体の筋肉を使いながら、部分への負荷を軽減させるのがそれ(はっきり申しますと皆さんこういう体の使い方が下手)

古武道における体の動かし方に似ていますね。

とくにお子さんが小さいときはお母さんは寝不足になりがち、寝不足は血・陰不足を起こします。

これがあると筋肉の保湿力が落ちるので、硬く伸びない筋肉に変化します。この辺りも腱鞘炎の誘因になるでしょう。


 

 

 

つわりの対処法

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 確かに悪阻(つわり)は個性的ですね。それこそ千差万別です。今回は、悪阻の機序というか仕組みを東洋医学で説明します。
 今回は気と血がキーワードです。
 気には大きく
 @《動かす働き:推動作用》A《温める働き:温く作用》B《形を変えてゆく働き:気化作用》の3つがあります。
 血は胎児の栄養補給物と考えてください。


 まず妊娠初期〜中期の胎児は意外なほど小さいものです。栄養を与え、どんどん大きくするのはもう少し後の話です。この時期の特徴は、将来に向けあらゆる組織を造りだすために小さな変化を繰り返すことです。いわば「人プログラム」に沿い基盤造りをしているわけです。

 これを支えるのがBの気の形を変えてゆく働きの役割です。
ここで先の気血の話に戻りますと、気血は通常の場合には同程度が適当とされています。しかしこの時期は気が血より少し多めになります。

 これを気の超過状態といいます。これが正常です。
 ちょっと気が多いとバランス的に良いのです。気の温める働きで子宮の温度が少し高くなり、その分体温が高くなります。また形を変えてゆく働きで、あらゆる組織の基礎固めを行います。しつこいですが、ちょっと多いのがいいのです。

 気が余りに多すぎると、@の動かす働きがあらわれてしまいます。胎児が非常に小さいうちに動かす働きが起こると、想像して見てください。流産になります。そこで多すぎないように余剰の気を排出するわけです。


 《余剰の気の排出ルート》
  余剰の気は一般に気血の道である経絡(けいらく)に流すか、体外に排出するかのどちらかになります。月経があるときなら出血とともに外に出すことも可能でしょうが、残念ながら妊娠中なので適いません。

 残る道は経絡に余剰な気を流すしかありません。子宮に繋がる経(けいらく)絡は任脈(にんみゃく)と衝脈(しょうみゃく)です。併せて衝任脈と呼びます。子宮から出た余剰な気は、まずこの衝任脈に入ります。衝任脈は気街(きがい:鼠径部:股のつけ根)で3つの経絡と交わります。胃に到達する胃経、肝に到達する肝経、腎に到達する腎経です。


 【余気が胃に到達】
 余剰の気が胃に入ると、胃本来の下降(消化して物を腸に送り込む)の働きを抑え、膨満感、胃もたれといった停滞的な症状をあらわします。さらに余剰の気の勢いが増すと、逆に上行エネルギーが強まり、悪心嘔吐があらわれ、甚だしいと水まで吐くようになります。悪阻で最も見られる症状です。
 ツボは解谿(かいけい)、足三里(あしさんり)、内関(ないかん)などを用います。


 【余気が肝に到達】
 余剰の気が肝に到達すると、専門的には肝鬱化火(かんうつかか)〜肝火上炎(かんかじょうえん)と呼ばれる状態になります。発汗過多、のぼせ、熱くて眠れない、頭痛や頚痛、イライラ感、煩躁、爆発しそうな怒りなどがよくあらわれます。また、常識や判断力を乱し、極端な行動に走ることも少なくありません。その代表が奇食(極端な偏食)や常軌を逸した過食などです。
ツボは太衝(たいしょう)、風池(ふうち)、地五会(ちごえ)、光明(こうみょう)、陽輔(ようほ)などを用います。


 【余気が腎に到達】
 余剰の気が腎に到達すると腎陰虚(じんいんきょ)と呼ばれる状態になります。ほてり、寝汗、熟睡できない、不安感、声のかすれなどがあらわれやすくなります。今風に言えばマタニティー・ブルーに似ています。
 ツボは志室(ししつ)、照海(しょうかい)、復溜(ふくりゅう)などを用います。



 各ツボの位置に関しては『始めてのたまごクラブ09年秋号』に記載してありますので、参考にしてください(難しすぎるという理由で8割カットされましたが((´∀`*))ヶラヶラ

里帰り出産

H31、3/28

お疲れ様です。金澤です。

◇症例◇

 

前回のブログから一文ずつ、間を空けるようにしました。結果的にナイスでしたね(*^^)v僕的には

 

今年度もあと一週間で終わりですね。振り返ってみるとあっという間です!

 

春の季節は出会いの季節・別れの季節・新しい環境への変化と身体もこころも忙しくなります(+o+)

 

春の季節とは関係なかったのですが(笑)不妊治療をされていた方が里帰り出産のため治療を卒業?終了しました。

 

このお方は鍼灸治療を始めた頃は仕事のストレス大!不妊治療の不安、焦り、妊娠後はつわり、寄食、下陥症状、最後には逆子になりましたが何とか落ち着きました。

 

帰省して身体を休めつつ出産の準備をしてほしいと願っています。出産後も忙しくなりますからね。

 

年賀状でもいいので報告頂けたら嬉しく思います(≧▽≦)

 

おしまい

妊娠中の腰痛

2018/01

◇症例◇

妊娠時の腰痛は鍼灸院ではよく見る疾患です。 妊娠後期ではお腹がせり出す分、腰椎は前弯するので当たり前に腰痛を起こします。 今回はちょっと違うケースで11週めの、まだまだ不安定の時期のぎっくり腰。 伝統医学の見立ては寒邪による気滞血オ。

うちで2年かかり妊娠までこぎつけた患者さん。 

どちらかいうと、着床に問題があり、ここまでやったもってきた感じです。 脾腎の固摂に問題があり、すぐにでも流産となる傾向があります。

 基本は散寒行気活血なのですが、胎児に影響しないように、子宮に効かせないように、腰部の筋肉のみを行気します。 このあたりがテクニック論として大変でした。

鍼の角度と穴性論が決め手となります。

後舌診も決め手になりますね。

 

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卵巣早衰

おはようございます。金澤です。

雑誌を流し読みして、面白い記事があったので紹介しますダッシュ(走り出すさま)

 

近年では卵巣早衰ではなく卵巣反応低下という呼び方が主流になってきているそうです。

卵巣早衰はあくまで卵巣が衰える最終段階の状態を指します。

卵巣機能低下は様々なパターンがあり徐々に進行することが多く、半数以上には一時的あるいは予期しない卵巣機能の回復が見られることがわかっています。

 

一時的に卵巣が疲れているだけだよと、早く衰えてしまったとでは捉え方が全然違いますね。

言葉って難しいですね…

 

 

 

前置胎盤

2016/2

症例

この患者さんは、当院で初めて妊娠され、一度めは残念ながら流産、

数か月後に2度目の妊娠、何とか20周近くまで来ました。

しかし、前置胎盤・・・・

この週数だと胎盤がまだまだ伸びるため、低位胎盤といったほうが正確でしょう。

血オもありますが、胎児のことを考えると、まずは子宮内の衛気を増やし、子宮を伸びやすい状態にするのがベストという判断をしました。

安静は必要ですが、お仕事をしている関係で、そうそう安静というわけにもいきません。

腹圧を過度にかけることだけ注意して頂きます。

頑張りましょう。

※その後、無事ご出産されました。

産後の視力低下

2015/11

◇症例◇

45歳、第2子出産後の眼精疲労、視力低下。

40歳のおりから見ている患者さんです。

第1子は42歳。そして今回45歳で第2子を出産。

お産自体は4時間ほどの超安産。

その後の眼に症状が現れます。

高齢出産に加え、おひとりで2人の子を見る心労および肉体疲労で疲れ切っている様子。

脈状からの判断でも気血ともに消耗。

ヘロヘロ・・・状態。

ご自身の睡眠もままならないでしょう。

体内で血の消耗の激しい器官のひとつは眼。

気血の消耗が激しいので眼を養うことができません。

そこで早急の気血の回復を図ります。

お灸を多用。

それにしても連れてきて隣のベッドに寝かせた赤ちゃん。

かわいいですね。

むちゃくちゃ。

2頭身だからかわいい・・・ドラえもん理論???(失礼しました💦)

違います。

無垢だからかわいいのです。

 

 

早めのつわり

2015/11

◇症例◇

このケースは早めのつわり。

8週目です。

出るとしたら着床時反応の続きでしょうが・・・・

症状的には明らかな食べづわりです。

子宮の活動期で、

子宮から出る熱が大腸に届き、

大腸中の津液を乾かします。

そこで初めての便秘。

踏ん張ると胎児が下りて、流産してしまうかも?という心配で力まない。

便秘悪化気持ち悪いつわり悪化という機序です。

軽く大腸の熱をさばきながら、陰液を増す治療をします。

強い熱取りは子宮の活動を低下させかねませんので、注意深く進めます。

 

口角流涎(こうかくりゅうてい)

2014/12

◇症例◇

口角流涎(こうかくりゅうてい)は涎(よだれ)が湧き出て止まらないこと。

内経、傷寒論にすでに記載があります。

今回はつわりの随伴症状でした。

妊娠で起こる余剰の熱が脾胃、胃経に流れることで起こります(他のケースもありますが・・・・)。

元来から脾胃湿熱、痰湿か脾虚があると、この症状が出やすいと考えます。

ただ、今ケースは痰湿の強い方で、

日にペーパータオルを4個使うこともあるそうです。

 

豊隆内関の使い方が鍵になりました

 

 

 

 

 

羊水減少

2013/6

羊水減少は比較的年齢の高い方の妊娠では良くみられる現象です。

ある高名な漢方家との対談で面白い話を聞きました。

詳細は省きますが、この先生はの意識は母体ではなく、胎児に向いています。

自分には全くない視点だったので驚愕しました(+_+)

羊水の材料は知っての通り嘔吐や尿などです。つまり胎児の排泄物です。

これがないと圧力の関係で肺などの脆弱な臓器を傷めます。

この先生はある生薬で胎児の利尿を高めるそうです。

もちろん弁証の枠内で母体を診ることも忘れません。

この発想というか視点は研究の余地が大いにあります。それを鍼灸でどう表現するか。

また、新しい課題が増えました。なかなか辞められませんね。

妊娠中の膀胱脱

2012/5

《妊娠前期における膀胱脱(膀胱瘤)の例》

一般に骨盤内内臓は骨盤基底筋に支えられてる。

加齢、エストロゲンの減少、加圧などにより骨盤基底筋がゆるむと、これら臓器が体外に露出する。

膀胱脱は膀胱の一部が膣の上辺りから露出する。

子宮脱との区別は視覚上は難しい。

ピンポン玉程度の大きさのものが挟まっている感じがあり、頻尿も出る。

とにかく違和感が強い。

TVM手術などもあるが、妊娠前期なので無理。

膀胱が出できたら押し込めながら、骨盤基底筋群の鍛える体操をする。

患部を保護しながら落ちないように圧をかける器具も登場しており、それも良し。

骨盤ベルトの類は圧迫強化につながり、逆効果になることもある。

 

鍼灸では血オが無い限りは、中気下陥、腎気不固で弁証することが多い。

まれに肝気鬱が加わり痛みが強く出ることもある。

気の固摂作用をアップさせることが主体となる治療を取る。

過去2例のみ診た。

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