〒242-0021 神奈川県大和市中央3-8-26 杉中央ビル1階

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定休日
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2024-03-16

肛門裂は肛門の皮膚が切れ、なかなか治らずに慢性潰瘍になったものを刺す。

肛門の前後が好発部位であり、女性や青壮年に好発する。

 

常時の痛みや、血便を伴うこともある肛門裂の原因はなんなのでしょうか。

 

 

燥火内結によるもの

乾燥や熱によって水分が低下し、乾燥した便が肛門を傷つける事で発生する。

便が乾燥する要因は外気の乾燥や熱の影響、濃い食べ物や辛い食べ物の食べ過ぎが多い。

 

乾燥して硬くなった便は強くいきまないと排便できない上に、腸壁を傷つけてしまう。

何度も何度も腸壁を傷つけるうちに傷が深くなり、肛門裂を形成し、ポタポタと血が止まらなくなる

 

 

 

湿熱

お酒の飲み過ぎ甘い食べ物の食べ過ぎ湿熱を産み、大腸に流れる事で裂肛を生じる

肛門は下垂して痛み、流血があり、裂肛部からは膿が出たり肛門周囲が湿っぽく痒くなる

排便時痛や下痢膿が混ざった血便が出るのも特徴だ。

 

 

 

血虚腸燥

血分の不足により、腸に栄養や水分を充分に運べなくなり乾燥した状態。

老人や産後の婦人、強い怒りの感情の後などに発生する事がある。

腸壁と便が乾燥する事で弱くなった腸壁を乾燥便が傷を付ける事で裂肛を生じる。

排便時痛と乾きの症状がある事が特徴で、乾きは口や喉の渇きとして現れる。

また、血の量はそこまで多くない。

不眠が現れる事もある。

 

 

 

燥火内結と血虚腸燥はどちらも乾燥が原因となっているが

前者は熱や外から来る乾燥が原因となっている為に固い乾燥便が腸を傷付ける。

 

後者は体内の水分不足が原因での乾燥で、乾燥した腸壁を乾燥便が傷をつける事で発生する。

 

燥火内結の方が強い痛みや灼熱痛、出血を伴う事が多い。

 

 

 

スタッフ伊澤

2024-03-11

脱肛は直腸やS字結腸などが肛門から脱出する病理であり、排便時や咳をした時に脱出する事が多い。

 

脱肛する原因は脾、腎、湿熱が絡み

脾気下陥、腎陽虚、湿熱結がある。

 

 

①脾気下陥と腎陽虚

元気(大元の気という意味)の不足によって臓器をその場にとどめる力が低下し、大腸が脱出する。

元気が不足する原因は

・加齢

・出産の影響

・長期に及んだ呼吸器疾患

・幼い頃からの虚弱体質

などがあり、どれも脾気や腎気を消耗し気の作用を低下させる。

 

脾気虚による下陥の場合は

痩せ身、顔色が白い、呼吸が荒い、声が小さい、疲れやすい、頭がフラフラしたり眩暈がする(エネルギー不足によるもの)など、虚弱な症状が現れやすい

 

腎陽虚の場合は

寒がり、顔色が青白くなる、腰や膝がダル重くなる、おしっこの時間が長くなったり出きらなくなる、下半身が浮腫む、男性は勃起不全になる、女性は下腹部(子宮)が冷える

といった腎に関わる症状が現れる。

 

 

 

②湿熱

味の濃いもの辛いものの食べ過ぎによって胃に湿熱が溜まり、それが大腸へ流れて脱肛する

あるいは、長期的な便秘や下痢、飲酒後に排便を我慢するなどすると発生する。

脱出した腸は赤くなる事が多く、それは熱を帯びている為である。

また、出血や痛みを伴う。

随伴症状として口の渇きを伴う

 

 

スタッフ伊澤

2024-02-29

痔は直腸の末端、及び肛門の血脈の流れが遮られると形成され

出血や痛み、はたまた脱肛を伴う。

 

その原因は主に風火燥結、湿熱結、気血瘀結、気虚下陥の4つがある

 

風火燥結

風火燥熱、つまりは乾燥と熱によって直腸や肛門に痔を形成するもの。

「熱がある物は必ず痔を生ず」と言う言葉があり、水分の低下が熱を抑えきれなくなって痔を生む。

痔が形成されると出血をきたす事が多い。

血はポタポタ垂れるものから、矢を射ったような勢いのものまで。

 

乾燥が関わってくるので便は乾燥して固くなり、便秘を伴う。

痔そのものは腫脹痛や熱を持つような痛みを起こす

 

 

 

湿熱

飲食の不摂生によって生じる痔。

特に、「濃い味」「辛味」「」は取りすぎると湿熱を生じ、大腸に溜まって血流を悪くする為に痔が形成される。

 

痔が出来ると肛門下垂や灼熱感、肛門脱や出血をきたす。

更には排便がしにくくなり、排便後に脱肛感があることも。

お腹の脈が空っぽになったり、倦怠感が現れるのもこのタイプの特徴だ。

 

気血瘀結

直腸や肛門の気血が滞る事で痔を形成する。

長時間座りっぱなし立ちっぱなし妊娠などによる圧迫の物理的要因

精神的なストレスによって発生する。

長い時間座りっぱなしや立ちっぱなしの人や、肛門の中と外の痔が混ざったり拡大して張った痛みやお腹の張りを自覚する事が多い。

 

 

気虚下陥

長期に渡る出血や下痢、不摂生な性行為によって気の不足を生じ、気の固摂作用(臓器をその場に固定し、血や液体成分が漏れ出ないようにする、気の役割)が働かなくなる事で発生する。

直腸を保持できない、血をとどめておけないという2つの側面から痔を形成し

排便時の脱肛や出血が現れる。

気の不足が原因な為に虚弱体質や高齢の方に多く

顔が白っぽい、呼吸が荒く声が小さい、力が入らないと言った症状が出る。

 

 

 

スタッフ伊澤

声が枯れたり、かすれたり

上手く発声が出なくなることを嘶やと言います。

 

なぜ声が出なくなるのか、主な原因は

風寒、風熱、熱邪、陰虚、血瘀痰聚などが挙げられます。

 

それぞれどんなメカニズムで声が出なくなるのか、見てゆきましょう

 

 

風寒によるもの

風邪(かぜ)を引いた時に声がしゃがれてしまうタイプのひとつです。

外から侵入した風寒の邪が呼吸器機能を障害し、そのうちの寒邪が喉に居座る事で声が出にくくなります。

 

病原菌が喉に居座るよくみるタイプの風邪(かぜ)の見立てとよく似ているかと思います。

 

このタイプで現れる症状は声の掠れの他に

悪寒発熱汗が出なくなる喉が痒くなる(痛くなる)

などがあります。

 

 

 

風熱によるもの

暑い環境下でかかる風邪(かぜ)や、①の風寒タイプが長引いて熱に変わったものがこのタイプ。

発生の機序は風寒と同じで風熱の邪が

熱は燃え上がるように、症状が激しくなります。

喉の痒みは焼けるような感じになり、黄色い痰を吐くようになります。

発熱はもちろんしますし、声帯が腫れることもあります。

 

 

熱邪犯肺

乾燥と熱の邪が肺を犯す事で発生します。

とりわけ、熱く乾燥した時期に多いと言えます。

乾燥や熱が身体の水分を蒸発させる事で粘度が高い痰を生成し、それが喉の機能を邪魔する為に声が出なくなります。

 

症状の特徴は「乾き」で、喉や口の乾きが強く出ます。

乾くけど、ネバネバして声が出しづらい、そんな時はこのタイプを疑います。

 

 

 

肺腎陰虚

肺は水分の運搬、腎は水分の分別や排泄をする作用があります。

また、水分は身体の熱が強くなり過ぎないように調節する機能があります。

元々潤いが少ない体質や、加齢による潤いの低下はこれら臓腑の働きが弱くなっている事が多く

水分の低下が熱を抑えられない

熱が暴走する

(呼吸器)に関連のある喉に影響がでる

 

という流れで声に擦れが生じます。

乾きを伴いますから、風熱タイプと同じく喉や口の渇きや粘ついた痰を生じますが

声の掠れが長引く傾向にあり、口周りだけでなく粘膜全体の乾燥が現れます。

 

 

 

血瘀痰聚

声帯が肥厚したり、できもの腫瘍ができる事で声が出なくなるタイプです。

なんらかの原因によって血の流れる脈絡が阻滞する事で発生します。

異物が取り除かれなければ声の掠れは取れませんから長期化し、段々と悪化していきます。

腫瘍やできものなどが発見されたらこのタイプと考えます。

 

 

スタッフ伊澤

 

 

2024-01-25

こんな経験はありませんか?

朝起きたら喉がイガイガする、風邪で喉が痛い、お酒を飲んだら喉が痛くなった

 

風邪や乾燥でよく起こる「咽頭痛」はどんなメカニズムで発生するのか、詳しく見てゆきたいと思います。

 

 

 

風寒咽痛風熱咽痛

これらは外から侵入した風の邪によって引き起こされるもの。

風の邪が寒邪を連れてくるか、熱邪を連れてくるかによって症状が少し変わります。

これらは、風邪を引いた時によく現れるタイプです。

 

喉は気道や食堂の入り口、つまり、内臓の入り口に位置しており

風の邪が始めに襲いにくる場所のひとつです。

ここで風の邪が喉を制圧すると痛みが現れるのです。

 

冬場や夏の冷房に当たった時に多い、風の邪と寒邪が侵入した風寒タイプでは喉の痛みは弱い或いは軽く刺すような痛みで

悪寒、発熱、無汗(汗が出なくなる)が現れ

痰の絡む咳、鼻詰まり、鼻垂れ、頭痛や身体の痛みを併発します。

 

夏場や高温の環境でよく現れる風熱タイプでは

喉の痛みは刺すような痛みで物を食べた時に痛みが増す傾向にあり

喉は赤く腫れ、発熱、悪風(身体の中で風が吹いているような感じ)、汗出などが現れます。

 

 

湿熱咽痛

消化器系の失調による湿気の停滞や外からくる湿気と、熱邪が結託して喉を塞ぐ為に咽頭痛が発生します。

湿と熱の特徴を併せ持ち、痛みは強く喉に小さな水泡を形成し、水疱は破れると跡になります

多くの場合は発熱や咳嗽、胸苦しさ、黄色がかった痰を伴います。

 

 

鬱火咽痛

急性で現れる咽頭痛で、物を飲み込むのが非常に困難な程の痛みを発生させますです。

鬱火とは、熱が籠って炎上した状態をイメージしていただくと分かりやすいかと思いますが、これが喉の気の流れを強く阻害します。

症状は急激に進み咽頭に水腫を形成し呼吸をする事さえ辛くなる咽頭痛です

 

 

 

陰虚咽痛

身体の潤い成分の不足により、身体の温と冷のバランスが悪くなる

冷が不足して温が相対的に強くなる状態です

 

潤いが減っている為に身体は乾きの症状が現れ、温が強い為に熱症状が現れます。

 

喉は乾き痛みネバネバした痰がこべりつくような感じが現れます。(これは痰の水分が少なくなりこべりつく)

また、熱の所見として

粘膜の赤み手足の火照り、夕方頃からののぼせ寝汗便が硬くなる尿が少なく黄色になると言った症状も現れます。

 

 

 

気陰両虚咽痛

陰虚咽痛で現れる症状の他に疲労やエネルギー不足の症状を表します。

具体的には喉の痛みが疲労で悪化する、声が小さく弱々しい、身体の無力感や力が入りにくくなるなどです。

 

 

 

風邪(かぜ)による喉の痛みだけではなく胃腸からくるもの、身体の中からくるものなどがありますね

その違いはどんな喉の痛みか、他にどんな症状があるかによって見分ける事ができます。

 

咽痛も鍼灸の治療ができますので、気になる方はご連絡頂ければと思います。

それでは!

 

 

スタッフ伊澤

2024-01-16

脇を通る経絡は主に2つ。

足の厥陰肝経と、足の少陽胆経。これらの経絡あるいは肝や胆に不具合があると脇が痛くなります。

厳密には脇から肋骨の側面にかけてに痛みが現れます。

 

どんな原因で痛みが出るのか、詳しく見て行きましょう。

 

 

 

①邪入少陽

冷気によって経絡が侵されて痛みを生じます。

脇を通る経絡が侵されると脇の痛みが生じます。

特徴としては脇や胸部の痛みや張った感じが現れ、発熱や寒気を繰り返す事です。

 

 

②痰飲内阻

消化器の働きが弱まっている時に外からの冷えや不摂生な食事を行うと、水分代謝が悪くなり、

貯留した水分が脇に留まると気の動きが悪くなって痛みを生じる様になります。

脇に詰まりがある為に呼吸運動を妨げ

息が吸いづらい吸った時に脇の痛みが強くなる唾液の多い咳が出るといった症状を伴います。

 

 

③肝鬱気滞

怒った後ストレスによって肝の働きが弱くなり、気の流れが悪くなって発生する脇痛です。

肝は気の流れの調節をする臓腑ですが、怒りやストレスの影響を強く受ける性質を持っています。

また、肝に繋がる経絡が脇や横腹などの身体の側面を通っているために痛みが脇に現れるのです。

痛みは張った様な痛みで、場所が移動するかの如く変わります。

ストレス症状のため息や精神の抑うつ感が現れるのは言うまでもないでしょう。

 

 

④瘀血阻絡

③のストレスや怒りによる脇痛が長く続き、性質が変わりこのタイプになります。

気の流れが悪いまま時間が経ち、今度血のは血の流れまでわるくなります。

血は気の「物を流す力」を受けて流れてゆきますから、気の力が落ちれば血の流れも悪くなります。

そうなると痛み方も悪化し、刺す様な痛みが、場所は固定される様になります。

また、舌の色が瘀血を表す紫色など、悪い色になる事も特徴です。

 

 

⑤肝胆湿熱

高温多湿な外的状況や、食事の不摂生による消化器の機能低下が引き起こす水捌けの悪さにより

身体に余分な水分が溜まる

それが熱を帯びて肝や胆の機能に影響すると発生します。

脇が痛くなるのは肝や胆の経絡が脇を通るから。

痛みはかなり強く、胸の痞え感が起こるほどです。

熱の症状を含みますから、小便は黄色くなり、舌の苔は黄色くなります。

 

 

⑥肝陰虚

肝に栄養を送る血がを肝血と呼び、肝のエネルギー管理や熱冷ましの役割を持っているのですが

この肝血の不足で肝の効能失調や、熱冷まし作用の低下により熱を帯びるタイプです。

こちらは「不足」が起因する経絡の痛みの為、痛みの程度は鈍く、またずっと痛み続けます。

熱の症状である口の乾き、顔の火照り、頰の赤み、胸の辺りの暑さ悶え、眩暈や耳鳴り、目のチカチカ感などが同時に現れます。

 

 

 

脇の痛みには肝が大きく影響をしているようです。

上述していますが、肝はストレスや怒りに弱い臓腑です。

ストレスはどんな時にもつきものではありますが、なるべく心穏やかに過ごしましょう。

 

 

 

スタッフ伊澤

2023-12-23

夜間多尿は、夜寝ている時間帯に23回以上トイレに起きる、或いは1日の内の1/4の量が夜間に排泄される状態を指し

いづれも夜間にのみ多くなる。

夜間のみという点が頻尿とはこのなる。

 

その為、頻尿とは病理も異なってくるので

ここでは夜間多尿について解説します。

 

 

一般的に原因となるのが腎陽虚と脾腎両虚。

察しの良い方ならお気付きだろうが、「腎」が大きく関わってくる。

それは、「腎」が尿の生成と排尿を行っているからだ。

 

 

腎陽虚

腎の陽気が少なくなる状態。

膀胱に尿を貯めたれるのは、腎の気の「固泄作用」(物が漏れないように支える力)が働く為で、腎陽の不足が尿の溜まる力の低下を引き起こす

 

また、夜間は陽の力が弱まり陰の力が強くなる為に夜間多尿を引き起こす。

 

高齢の方は勿論、長患いなども腎陽を損なう為に発症する事がある。

 

 

 

脾腎両虚

腎陽虚と同じで、陽虚の不足によって起こる。

違う点のは、こちらは脾陽虚を伴うということ。

 

尿を留めて置けない点はどちらも同じで、

腎陽虚であれば鈍い腰痛や耳鳴りなどを併発するが

脾陽虚が加わると下痢や未消化便といった消化器症状や、四肢の冷え、体型が痩せこけていく

と言った症状が現れてくる。

 

 

 

西洋医学で腎臓は尿の生成を行うが、東洋医学の腎も同じ様に尿との関わりが強い。

腎は水を司るという言葉があり、水分代謝を担当しているという含みを持つ。

 

尿の問題があれば、腎を疑うことが多くある。

 

 

 

スタッフ伊澤

寒さ、そして乾燥

霜焼けや乾燥肌と、何かと痒みに悩ませる季節になりました。

 

掻くのを我慢するけれど、やっぱり掻いてしまう。そして痒みが悪化してしまう

そんな経験がある方がいらっしゃるのではないでしょうか

 

今回は、冬場の痒みに加えて、肌の痒みの原因をご紹介してゆきたいと思います。

 

 

風寒によるもの

冬に起こる肌の痒みは風寒の邪によるものが多くあります。

気の量が少なくなり、皮膚の防御作用の低下から外邪が入りやすくなっている人が、冬場の寒い空気による「風寒の邪」に当てれる事で起こります。

顔や頭部、首、手といった露出した部位は外気に超絶触れる為、特に痒みを引き起こしやすくなっています。

霜焼けや乾燥肌は手によく現れますよね。

 

外から来る寒さが原因なので、暖めたり・汗をかいて外邪を外に出すと痒みが収まります。

 

 

 

風盛によるもの

こちらも皮膚の防御機能の低下により、「風の邪」が侵入し、熱を持つもの。

風寒の邪は冷たい外気によるものですが、風の邪は強い風に乗って侵入してきます。

特に、春先の風が強く吹く季節に起こりやすい痒みです。

 

特徴的なのは、痒みの場所がコロコロ変わること。

まるで風が吹いているように場所が移り変わります。これが風の邪の特徴でもあるのですが。

 

掻きむしることで皮膚が粉を噴いたり、厚くなったりする事もあります。

 

 

 

 

血虚によるもの

お歳を重ねた方に現れやすい皮膚の痒み。

原因は気血の減少により皮膚を栄養できなくなることで

皮膚が乾燥して屑がでてしまい、掻いても掻いても痒さは続き、掻き跡も残りやすくなります。

痒みが長期に渡ると皮膚組織が変化していまうことも。

 

気血を補う事で痒みを抑える治療を行います。

 

 

 

血熱によるもの

比較的若い方に見られ、夏場に痒みが現れるのが特徴。

若く血気が盛んな人は熱を持ちやすい傾向にあり、そこに外からの熱が加わる事でより熱化し、熱が風を産んで痒みを発生させます。

熱が原因なので冷やすと楽になる傾向にあり、引っ掻くと血痕が残ります。

 

 

風湿によるもの

水疱や発疹を伴う痒みです。

中医学的には、暴飲暴食や辛いものの食べ過ぎにより体内の水分が増えた状態と、風の邪に当たった状態が重なると発生するとされています。

デキモノを引っ掻くと中から間質液が流れてきます。

風の邪による痒み、湿による液体成分の漏出が合わさったものと考えて良いでしょう。

 

 

 

スタッフ伊澤

沢山食べてお腹いっぱい!

そんな時に現れるのが噯気、いわゆる「げっぷ」です。

 

胃から漏れ出てくる空気によって発生するげっぷですが、中医学の病理に当てはめるとどんな理屈になっているのでしょうか?

 

①食滞胃腸

お腹いっぱいの時がこれに相当するでしょう。

不摂生な飲食が胃脘部を詰まらせ、胃の気が上に登ることで起こるゲップです。

ゲップの音は濁った・澱んだ音で、

満腹時を思い出すと分かりやすいですが

胸苦しさや、もう食べたくない!という状態になります。

それに加え、ゲップや大便が酸味を帯びた臭さになります。

 

 

②肝気犯胃

怒りやストレスといった感情が肝の気の流れを悪くし、胃の気の流れに影響したもの。

肝は全身の気の流れを調節する作用を持ち、また、胃の働きを助ける作用を持っています。

 

それ故、肝が不調になると胃にも影響する事がしばしばあります。

 

ゲップの音は、今度は高い音で、しかも頻繁に繰り返すゲップになります。

 

その他には胸のつかえ感、肋骨の鈍い痛みなどを伴います。

 

 

 

③脾胃気虚

虚弱体質や、病気が治った後に発生するゲップで

虚弱体質も、病後も気の不足で胃の働きが落ち、断続的なゲップを発生させます。

ゲップの音は弱く、低めの音で、とにかく弱々しい印象になります。

 

食滞胃腸では酸味のあるゲップ

肝気犯胃では高い音、そしてつかえ感

脾胃気虚では弱々しいゲップ

 

それらの違いに注目して観察してみてください。

 

 

 

スタッフ伊澤

2023-11-13

胃脘痛とは胃痛や心窩部に現れる痛みのこと

文献には、「胃脘は心の痛みが当たる」、「心腹痛」、「心胃痛」との記載がある。

痛み方には虚痛、熱痛、寒痛、瘀痛、食痛、虫痛などがある。

 

古代文献では、心痛(心臓疾患を起因とするもの)も胃脘痛として記載されているが

実際の心痛は左の側胸〜肩に、突然発生する、鍼で刺されているような強烈な痛みが発生し

胸の悶えや窒塞が起こり、耐え難い苦痛が発生する

 

対して胃脘痛は上腹部にのみ発生する痛みで

全くもって症状の現れ方は異なってくる。

 

では、胃脘痛が発生する機序はどんなものなのだろうか

 

 

①脾胃虚寒

虚弱な体質の人や長患いにより脾胃の気が減少し、温める力や栄養する働きの低下によって

胃の栄養不足、冷えを生じさせた状態。

不栄即痛(栄養できないと即ち痛む)の法則に則り、胃脘部の痛みや冷えを生じる。

痛みは「しくしく」や「もやもや」といった鈍いような軽いような痛みがいつまでも持続し、お腹を抑えたり温めたりすると痛みが和らぐ。

 

その他、四肢の冷えや下痢、頻尿などが現れる

 

 

寒邪犯胃

寒邪とは冷えが原因で身体に不調をきたす事。

外的要因の寒さや、刺身といった生食、冷たい物の食べ過ぎ飲み過ぎが脾胃に影響して起こる。

 

締め付けられるような強い胃痛が突然起こるのが特徴である。

 

 

肝鬱気滞

怒りという感情により、肝の働きが鈍る。

肝は気の流れを調節する為に、気の流れが悪くなる。

その影響が真っ先に出るのが胃で、食物を下()へ降ろす力が弱くなり、降りない気機が痛みを生じる。

 

気滞で特徴的な張ったような痛みが現れ、痛みは移動するかの如く場所が不安定である。

また、胸や肋骨部に関しても張ったような感じがするの特徴だ。

 

これにプラスして、胃の気が上がっている事を示す(げっぷ)が現れる。

 

 

 

瘀阻胃絡

肝鬱気滞の状態が長引くと血の流れを悪くする。

また、胃痛が血の通り道を損傷する。

そういった理由で瘀血が生成される胃脘痛。

 

特徴は針で刺された様な痛み。痛む場所は、気滞とは異なり一点から動かないといったところ。

 

随伴症状として、血便がでたり、吐血が出たりする。

ここまで行くとかなり重症と考えられるだろう。

 

 

 

肝火犯胃

こちらも肝鬱気滞から発展するもの。

滞った気が熱を帯びたり、辛いものや味の濃いものを食べすぎて熱が籠ったりすると発生する。

 

熱化してるが故、胃痛は突然に現れ痛みの程度も強い。

熱の症状として口の乾き、顔や目が赤くなる、呼吸が荒くなるなどが現れる。

 

 

 

⑥胃陰虚

長患いや熱病によって胃の潤いが消耗した状態。

肝火犯胃と同じように口の渇きや身体の熱さや火照りといった症状が現れるが、

違う点は、胃脘痛がシクシクとした、鈍い痛みであると言う事と、

肝火犯胃は顔や頭部に熱感があるのに対し、胃陰虚では手足や胸部に熱感を覚える。

 

 

 

食積

暴飲暴食をきっかけに現れる胃脘痛。

食べ物が詰まっていると考えて頂けると想像しやすいだろう。

胃脘痛は、押圧すると嫌な感じがし、食欲の低下やゲップの匂いが腐ったような臭いになるなどの症状が現れる。

滞りの点では肝鬱気滞と似た症状があるが、こちらは胸の詰まり感や、張ったような痛みがないのが特徴的である。

 

 

食欲の増す季節ではあるが、食べ過ぎにはくれぐれも気をつけましょう

 

 

伊澤

2023-11-04

前回の食欲不振の反対、今度は食欲が旺盛になり過ぎてしまう「善食易飢」についてのお話です。

 

善く食べ飢え易い

食べても食べてもお腹空腹感がある状態になる事を指します。

 

 

食欲不振が体調不良のサインなのは理解に容易いでしょうが、食べ過ぎも不調のサイン

程よく、バランスよく食べれる事が健康にとっては大事なのです。

 

 

では、実際に、善食易飢がどのようにして起こるのか見てみましょう

 

 

 

胃火

暑い外部環境やストレスによって、胃の機能が異常行進した状態

ストレスにおいては気の流れを悪くし、流れが悪くなった気が熱を帯び、その熱が胃に影響する流れになるのですが

暑さもストレスも、最終的には熱が胃に悪さをする形となります。

 

熱が胃に入りますから、胃の機能が行進し、どんどん消化をする為にお腹が空きっぱなしになるのです。

また、多量の熱は水分を蒸発させますから、口の水分が蒸発すれば口の渇き、身体の水分が蒸発すれば痩せてゆく、大腸の水分が蒸発すれば便秘になる

といった随伴症状が現れます。

胃の水分を補い、消化をする治療をする事で症状を抑えます。

 

 

 

陽明畜血

血の巡りが悪い状態が長期に渡り続く、或いは血の巡りの悪さに邪が加わり、胃腸に影響を及ぼすと起こります。

特徴としては瘀血の症状を有することで、具体的には下腹部が硬くなる、下腹部が満たされた感じがする、小便が出にくくなる、顔色が暗くなる、物忘れが増える、性格が狂暴になるなどです。

 

 

 

 

どちらも食欲旺盛で、口が渇きやすいという似た症状が現れますが、胃火盛は何か飲みたいとは感じず、陰明畜血では飲みたいと感じるという違いもあります。

 

 

 

食事は多すぎず少なすぎずがベストです

食欲と体調をコントロールしながら、冬を超えてゆきましょう!

 

伊澤

2023-10-28

秋は食欲の季節!とは言っても、どうしても食欲が湧かない時ってありませんか?

 

特に今年は暑さが長引き、ようやく涼しくなっても1日の内の寒暖差が大きい

体力も消耗して、疲れを感じやすい秋になっていますよね

 

せっかく食べ物が美味しくて、体力を付けるのにもうっけつけの時期ですから

しっかり食べられる身体を作ってゆきましょう!

 

 

という訳で、「食欲不振」に関するお話

始めてゆきます。

 

 

肝気犯胃

よく見られる食欲不振のパターンひとつで、「ストレスで何も食べたくなくなる」というもの

思い当たる方結構居るのではないでしょうか?

 

ストレス過多は肝の疏泄作用を失調、簡単に言うと、気を動かす力を鈍らせます。

口に入った食べ物が口から胃へ、胃から腸へ…と流れてゆくのは消化器と肝の共同作業による賜物なのですが

肝の働きが鈍ることで消化器の働きも鈍ります。

 

消化器の働きが鈍ると、食欲が落ちるのです。

当然、放置すれば便秘や嘔吐など更なる症状に繋がりますが

先ずは何も食べたくないという状態になるのです。

 

 

イライラして何も食べたくない、ストレスで食欲が出ない

そういった時はこのパターンを疑ってみてください。

 

 

 

脾胃湿熱

食事の不摂生、特に甘い物や脂っこい物の食べ過ぎによって消化器の働きが悪くなった物です。

 

偏った食事や、甘い物や脂っこい物の食べ過ぎが身体に悪い事は広く知られていると思いますが

消化器の働きの低下に繋がり食欲不振に繋がるというお話です。

 

特に、消化器は水分を運ぶ役割も担っていますから、このパターンの食欲不振では水の停滞による症状も一緒に現れます。

主に口臭や身体の重さ、緩い便が出るなどがそれに当たります。

また、脂っこい物を食べたくない…となる事もあります。

 

 

食べ物の影響だけでなく、夏の雨天のような、高温多湿な状況でも起こりうることがあります。

 

 

 

胃陰不足

陰とは潤い成分を表す言葉です。

それが不足するのですから、身体には乾きの症状が現れます。

喉の渇きや舌の渇き、口の乾燥、便の乾燥など

そして、胃の渇きがありますから、それは食欲減退として現れます。

 

胃の陰の不足が起こる原因は、主には発熱を伴う風邪。

熱が水分を蒸発させてゆきます。

 

風邪などの病が長引いた時に渇きを伴う食欲減退があればこれを疑ってみましょう。

 

 

 

胃気虚

胃の気の不足によって、胃の機能低下が起こり食欲減退が起こります。

胃の気の低下は暴飲暴食といった食生活の乱れや、疲れなどから起こります。

 

胃は食べ物を貯める機能があり、その機能が低下する為に

食べるとお腹が張る、食べたのに戻してしまう、お腹が空かない、食欲の増減が激しい

と言った貯蓄に関する症状が現れます。

 

 

 

脾胃虚寒

胃気虚が悪化し、冷えを伴うようになったものです。

脾気虚と同じような症状に加えて冷えの症状が現れるのが特徴で

身体が冷えたり冷たい物を飲み食いすると症状が重くなる、逆に温めると寛解する

お腹を下す、腹痛がなかなか治らないなどの症状がでます。

 

脾胃虚寒は特に、胃気虚を含む虚弱体質の方が冷たい物や生物を食べ過ぎることで、胃気虚を加速させるメカニズムになっています。

 

 

 

脾腎陽虚

脾胃虚寒が長期化すると、腎にまで影響をきたす様になります。

脾胃虚寒自体が気虚の発展型ですから、かなり悪化した状態とも言えます。

腎の陽気までもが不足し、腎との関わりが深い腰や膝には重だるいような痛みが現れ

腹痛も腰痛もある様な状態になり、

陰部においては未消化便が出る様になります。

もちろん、食欲不振も現れます。

 

 

 

傷食

食べ過ぎなどの暴飲暴食で脾胃を傷つけた状態です。

上腹部の張りや痛み、ゲップがでる、便秘や大便の臭さが強くなると言っ症状が現れます。

 

 

 

以上、食欲不振の原因たちでした

どれか心当たるものはありましたか?

 

 

美味しい物、おいしいものを沢山味わえると良いですね!

前回の「不足による生理の遅さ」に対し、今度は「詰まりによる生理の遅さ」のお話です。

 

改めて、「詰まる」のは「子宮へ注ぐ経絡」。

子宮への気血の供給元が足りない不足型に対し、

供給経路で止まってしまい子宮へ辿り着きにくいのが今回のお話。

 

主に詰まるのは衝脈、任脈と呼ばれる経絡達。

 

 

①衝任寒凝

生物や冷たい飲食物の食べ過ぎ、雨に打たれた後に放置したなどの「冷えが原因」で衝脈、任脈の流れが悪くなる状態。

水を冷やすと氷になる様に、「冷え」には物を固まらせる「凝滞性」があります。

身体に冷えが入ると、気血を凝り固まらせて流れを悪くするのです。

これが衝脈や任脈を流れる気血の流れを悪くすると血が溜まるのに時間がかかる為に、生理が来るのも遅くなります。

 

他の症状としては、下腹部の痛み、詰まり故の血塊が出て血塊がでると楽になる。

その他冷えると悪化するなどがあります。

 

 

 

②肝鬱気結

精神面の影響、特に鬱々とした感情が気の流れを悪くし、血の流れも悪くしている状態。

感情によっても気の流れは変わりますから、気持ちと身体の健康は繋がっているのです。

「鬱々とした感情」は具体的には、何をするのも面倒でやる気が起きない様な、胸が塞ぎ込む様な、感情が動かなくて怠いような感じでしょうか

身体も気持ちも動かしたくない様な状態。

とにかくマイナスな感情です。

 

気が停滞した状態ですから、身体の気の流れも悪くなって、血の流れも悪くします。

その影響で子宮に溜まるのに時間が掛かるのです。

 

気の停滞をベースにしているので、症状も気の停滞でよく現れる

下っ腹や乳の張るような痛みを伴う事が多く、経血の色は赤紫色で血塊を伴う事があります。

 

激しい怒りの後や、イライラしっぱなし!という時の痛みの時は当てはまっているかもしれないですね

 

 

③痰湿阻滞

消化器系の機能低下や、甘い物・脂っこい物の食べ過ぎ、肥満などは水分の流れを悪くして「痰湿」を形成します。

痰湿も言い換えれば「水の詰まり」なので、他の病態と同じように気血を滞らせます。

特に衝脈や任脈を滞らせると生理が遅れるのです。

他の病態との区別は

経血の色が薄いこと、経血自体の粘り気が強いこと、帯下の量が多くなるなどが挙げられます。

 

最近10㌔体重が増えた〜といった、いわゆる肥満化の時に現れやすいです。

元々痩せ型の方が健康的な体重、体型になるのはまた話が別ですけどね。

 

 

 

 

以上、不足と詰まりによる生理の後退のお話でした!

生理周期が早くなるには、熱によって早く来る物、エネルギー不足で保持ができなくなる物とありましたが、

生理周期が遅くなるのはなんでなのでしょうか

 

今回はその原理のお話です。

 

 

遅くなる場合のポイントは大きく分けて2つ。

気血が溜まるのが遅いか

 

 

 

ではなぜ、溜まるのが遅くなるのかというと

①全身の気血の総量が少なく、子宮に貯まるのに時間がかかる。

②子宮に気血を送る経絡に詰まりがあって、子宮に気血が行き届かない。

この2つのどちらかが関わることが多く、症状の特徴も変わっていきます。

 

ではまた更に細かく、何が気血の流れを妨げているのかをみてゆきましょう。

 

 

衝任血虚

これは①の、血の量が少なくなるタイプ。

長患いや長期的な出血、産後と言った、血を消耗した人や

虚弱体質の様に胃腸が弱く血が少ない人に起こりやすいです。

 

症状は周期の遅れの他にも血の不足に由来して、経血量が少ない、経血の色が薄くなると言ったものが現れます。

その他、脈は弱く、舌の色も薄くなります。

 

 

②衝任虚寒

虚寒とは、気の不足が悪化した時に現れる気虚の発展型の1つで、気の温める力が弱くなり冷えをきたしている状態のこと。

生育環境や慢性病など、気が供給されなかったり大量に消耗したりすると起こることがあります。

子宮に送られる気も不足するので周期が遅れる事になります。

 

症状は周期の遅れに加え、経血量の減少。

他の部位では舌が淡くなる…と、衝任血虚ととても似ていますが、衝任虚寒は経血の濃度が薄く、色は黒め、痛みが続くといった違があり、

最も特徴的なのは手足の冷えや顔色の悪さ、脈が沈んで遅くなると言う、冷え症状が現れることです。

栄養不足+冷えがでたら、これを疑いましょう。

 

 

③陰虚月経後錯

陰虚は、身体の陰分の不足を指します。

陰分とは血液や組織液といった液体成分の事。

血虚を発展させたものと捉えることもできます。

 

この陰虚もこれまで挙げた虚証と同じく、長患いや感情の変化によって液体成分が減少する事で起こります。

これまでと違うのは、性生活の不摂生が陰の不足に関わる事ですね。

 

月経血量は減少し、経色は黒くなり、血塊ができることもありますが

顔や手足の火照り、口の乾きなどが同時にら現れる事が特徴になっています。

 

液体が不足しているのだから、乾燥するのは当然ですね。

 

 

これまで虚証によるものを挙げましたが、次回は詰まりによるものを紹介します。

 

伊澤

 

月経の期間は28日を標準とし、早い人や遅い人でも28±3日以内が正常になります。

 

この範囲よりも早く終わったり長引いたり、そんな経験はありませんか?

 

どうして正常な範囲から外れてしまうのか、そんなお話です。

 

 

まずは月経周期が早くなるパターン。

28日で来るのが20日で来てしまったりという。

 

主な原因として挙げられるのは「熱」によるものと「保てない」によるもの。

 

 

熱というのは物質の活動を早める力があります。

水を熱すると流れを生じさせたり、水蒸気へと変化させたりするようにです。

 

逆に考えると、冷えると氷のように固まって動きにくくなります。

 

 

身体のどこかしらの熱が子宮に影響すると、月経周期までも早くなるのです。

 

 

その熱の主な原因のひとつは

血熱

外部からの熱が血に籠る事ではっせいします。

その多くは体質的に熱を持ちやすい、辛いものばかり食べる、高温の環境に身を置いているといった事が要因になります。

その血が子宮に注がれるために生理に影響するのです。

 

主な症状として月経期間が短くなる事に加えて

経血量が増える、経血の色が濃くなる、粘り気が強くなる

その他に便秘、舌が赤くなる、脈が早くなるといった熱の影響による症状が現れます。

 

 

 

陰虚血熱

こちらも熱が血に籠るもの。

しかし、こちらは熱冷ましができなくて籠ってしまうタイプです。

火を水で消火するのと同じ様に、身体の熱も水分によって抑えられています。

この水分が不足することで熱を制御できずに熱が籠ってしまうのです。

 

原因として多いのは、元々水分が少ない体質の方や、長患い、多産など、消耗することなど、いずれも消耗が鍵になります。

 

生理期間の短さと同時に現れる症状も

月経量の減少、色が赤っぽくなる

身体症状としては気持ちが落ち着きにくくなる、不眠といった、精神活動の抑制力の低下

手足の火照り、寝汗、舌の渇き赤みなどといった熱冷まし作用の低下や渇きの症状が現れるとこが多くあります。

 

 

肝鬱化熱

血熱の様に生理周期の早まりに加え、胸や肋骨周りの張り、下っ腹の張りなどの張り症状や

口の苦み感や渇きといった症状が現れます。

肝の流れを調節する機能が不具合を起こすことで、気の流れが停滞し、留まれば熱化する法則に則って熱化します。

 

肝はストレスに弱いために、ストレスや不快な感情によって症状が悪化します。

 

 

脾気虚弱

これまでとはいっぺん変わって保てなくなるタイプ。

気には物質を留める力があり、臓器の場に留めたり、血が血管から漏れないようにしたり、尿を溜めたり出来るのも気が働くからなんです。

もちろん、子宮に溜めた血が漏れ出ないのも気のおかげなのですが、気が足りないと溜めて居られなくなって漏れ出してしまうんです。

 

結果、生理が早くきてしまうということ。

 

気の不足にも色々タイプがありますが、このタイプは「脾」つまりは消化器系の気の不足が原因です。

 

食べ過ぎや疲労、激しい思い込みは脾(消化器)を痛め、その気を消耗させます。

気は食べ物から摂取され、その過程は西洋と同じで消化器によって行われますから、全身の気の量も不足するのです。

そして子宮の気も少なくなり血が漏れ出てしまう。

 

症状と特徴としては、血が薄くなり、顔色も悪くやつれる。お臍の下がぺこぺこと空になったようになって、弱い痛みが出る事も。

消化器を健やかにする治療で回復させます。

 

 

腎気不固

脾気虚弱と同じ、気の不足から溜められなくもので、

こちらは腎の気の不足を原因とする物。

腎の気も、生理の際に子宮に送られますが、それが不足している状態です。

 

どんな時に不足しやすいかというと、身体の変化が起きている時。

成長期だったり、閉経の直前だったり

腎には「天賦」といって身体の成長や老化を起こす役割もあるので、そちらに気を使用した時、元々の腎気の総量が少ないと子宮の気の減少に繋がります。

 

腎の気が少ない時は、気の供給元である脾も弱っている事が多いので、便秘や痩せ気味などの脾気虚弱(消化器不良)がある場合も多いです。

 

 

瘀血停滞

産後や、気候による外邪、感情の昂りによって血の流れが悪くなり、子宮に血を送る経絡を詰まらせることで

血の行き場をなくしてしまうタイプ。

 

これまで紹介した物と明らかに違う症状として、経血が黒や紫といった暗い色になること、そして、血の塊が混ざること

血の流れが悪い時の特徴的な症状です。

 

これに加え、舌の色が暗くなったり、下っ腹に張る様な痛みが出たりします。

 

 

以上、月経周期が早まる原因でした。

 

 

伊澤

生理痛の痛みはお腹だけでなく、人によっては腰部に現れたりもしますよね

 

なんで腰にも痛みが出るのか?そんなお話です。

 

 

生理痛の原因をいくつか挙げてきましたが、あれらは「お腹の痛み」を指している事が多く、大体の痛みはお臍の下に現れます。

 

物によってはお腹全体に出る事も。

 

 

しかし時々、お腹に留まらず腰の方にまで痛みが及ぶ事があるのです。

 

 

 

その原因の①血虚気滞によるもの

気血両虚による生理痛が腰にも現れます。

 

血虚は血の不足。虚弱体質や長患いの後の人というのは気や血を消耗してしまっているのですが

これは経絡内を流れる物質の総量が減っているという事を表します。

 

するとどうなるかというと、流れる物が少ないので流す力が弱く、流れが止まりやすくなるのです。

例えるなら、水の少ない川の方が流れが弱くなる様にです。

 

流れの弱くなった経絡が詰まる、それが、子宮に気を送る経絡に起こる。

その経絡が腰にもある為に腰痛が発生します。

 

気血両虚による腹痛と併発する事がありますが、痛み方もシクシクと弱い痛みが持続的に続く様な痛み方です。

 

 

 

その次の原因は

②肝腎損虚によるものです。

 

肝腎陰虚の生理痛が腰にも現れた物です。

ストレスや怒り、出血が多かったり、性生活の乱れや出産経験が多かったりすると肝と腎を傷します。

その結果、肝の血や腎の気と精の不足が起こると生理痛となる事があります。

特に、腎は腰部にある臓で、経絡も腰部を通る為に腰痛に繋がる事がしばしばあります。

火照りや寝汗など、肝腎陰虚型の生理痛がある方で、腰にも痛みがある時はこの病理を疑ってみてください。

 

 

以上、生理痛に現れる腰痛でした。

 

スタッフ伊澤

生理痛の原因の後編になります。

前編はこちら→http://www.sakuradou.biz/blog-post/372814

 

寒湿凝滞衝任虚寒
「寒」という文字がつく通り冷えが痛みの原因となっています。
血の流れの悪さの為、痛むは血を排出する月経前から月経中に起こり、下っ腹に冷えを伴う痛みが起こります。

子宮に気血を注ぐときに通る経絡に衝脈、任脈があるのですが、これらから注がれる気の不足によって起こる「寒」という意味で衝任虚寒と言います。

気血が溜まるのに時間がかかる為に、月経が遅れる事もあり、来たとしても血の量が少ない事が多いです。
寒湿凝滞も、衝任虚寒もお腹や身体全体を温めると楽になる事が多いです。
肝腎陰虚
原因としては、生まれつき肝腎が弱かったり、疲労が溜まっていたり、性生活の乱れがあったりなど。
また、肝腎の弱まりに由来する頭痛や耳鳴り、腰痛、火照りなどが、生理痛と一緒に現れるのが特徴です。

虚弱体質の人や、長患い・大病の後に現れやすい生理痛で、すごくすごく疲弊しているイメージをしていただければ分かりやすいかと思います。病の後など、すごく体力が落ちますからね。
血の量は、多い事も少ない事もありますが、いつもと違うな?と感じるところがあるかと思います。


とまぁ、生理痛の原因は以上の6通りになります。

基本的には、詰まっているか、溜めるものが足りないかのどちらかになります。
足りないものは痛み鈍め、生理の後くらいに現れるものが多くなっています。

生理痛にお悩みの際はご相談ください!



スタッフ伊澤

生理期間中にお腹や腰が痛くなる「生理痛」

皆さまもご自身やご家族、ご友人の中に生理痛や生理前症候群(PMS)で苦しむ方がいませんでしたか?

 

日本では「生理は痛いのが当たり前」とか、「みんな同じ」と軽く扱われる傾向にありますが

「生理痛は病気です!!」

 

邱紅梅(きゅうこうばい)先生が発売された図書のタイトルにもなっていますが、

生理痛があるのは異常な事なのです。

 

そもそも、異常があるからこそ痛みや体調不良が出るわけで

放っておくと将来的には不妊、子宮筋腫、子宮内膜症などの婦人科疾患に繋がったりもします。

 

 

そこでこの記事では生理痛が起こる原因を中医学的な観点から、見てゆきたいと思います。

 

 

 

①生理痛の原因とは?

 まず、生理というのは「卵子を育てて、卵子に最適な子宮環境を作る」目的があります。

 

その為に、気血が子宮や卵巣(中医学では総括して胞宮という)にそそがれていますが

 

この時、流れる気血が少ないと、卵子が育たなかったり子宮内膜が厚くならなかったりします。

 

また、気血の流れが悪いと

これもまた卵子や子宮内膜の妨げになります。

 

上手く卵子が育たない、子宮内膜が正常にならない。

こういった不調が生理痛として現れるのです。

 

 

では、気血の不足、流れの悪さはどう言った原因があるのでしょうか

 

 

1,肝鬱気滞

「気の流れ」を主な仕事とする「肝」の気が滞る為に胞宮の気も滞ったもの。

肝はストレスの影響を受けやすく、何かしらのストレスや怒りの感情の後に、下っ腹・胸・乳などに張った様な感じや痛みが現れます。

痛みを感じる時期としては月経の前が多く、排卵時にも痛みを感じるケースも。

 

2,胞宮瘀阻

胞宮内の血や、胞宮に注がれてる時の血の流れが悪くなっている状態です。

「切られるような」痛みが出る事が特徴で、程度も強く現れる事が多いです。

また生理血には、血の流れの悪さ故に血塊が混ざり、色も黒くなります。

この血塊を出すと流れは一時的に改善される為、痛みは軽減します。

強い生理痛がある方は、血瘀を疑ってみてください。

 

3,湿熱

このタイプのポイントは「湿」と「熱」

湿気の持つ「粘体性」により、子宮内の血の流れが悪くなり痛みを生じます。

これらが生じる原因は

ストレスによる肝気の失調は熱を産むこと、また、脾気を傷付けます

脾は水分を流す作用もありますから、失調により湿を身体に溜め込み、肝気から生じる熱を含む形となります。

 

このタイプの特徴は痛みよりも平常時にあり

低温期の体温の起伏が激しくなる

おりものの色が黄色っぽくなる

尿の色も黄色が濃くてトイレの回数が増える

などの傾向が現れます

 

原因としては、ストレスの他には辛いものの食べ過ぎや天気の影響によるものが多いです

 

 

④より先は多くなる為、前後編に分けたいと思います。

後編へ続く→http://www.sakuradou.biz/blog-post/373209

 

 

スタッフ伊澤

暑くなったこの季節、治療中の患者さんのお洋服を捲る時に皆さんそろってこうおっしゃいます

「汗かいちゃっててごめんね。」

 

暑くてしっかり汗をかいているのは寧ろ良いこと

中医学的にいえば、心や肺の機能が働いている証拠でもあります

 

それでもあえて、疑問を問いかけて見ましょう。

 

なぜ人間は汗をかくのか?

 

 

暑くなれば当たり前にかく汗。

哺乳類の中には汗をかく動物は他にもいますが、体温調節の為に、全身的に汗をかく動物は珍しいのです。

 

なぜ我々はこんなにも汗だくになっているのでしょうかね

 

 

その答えは人類の進化の歴史にあります。

 

 

人類が初めて地球上に現れたのはおよそ400500万年前。

アフリカの森林に生息していた我々の祖先は、木の根や木の実を食べる菜食家で、見た目もチンパンジーやゴリラのように毛むくじゃらな姿をしていました。

 

しかし、約258万年になるとアフリカの乾燥化が始まり、森が減る事で、木の根や木の実が少なくなり食糧難となっていったのです。

 

そこで彼らは仕方なく狩りへ出るようになるのですが、ここで1つ問題がありました。

それは、当時の猛獣の存在です。

アフリカといえばライオンやハイエナと言った肉食動物が生息しますが、それらの様な、当時の肉食動物との狩猟競争に打ち勝てなかったのです。

 

困った先祖たちはどういう行動をとったか

 

それは、肉食動物の活動しない時間帯を狙って狩をするという方法でした。

具体的には、肉食動物が活発的に狩を行う夜間、明け方を避け

それらが活動を休止する日中に狩をする様になりました。

 

実に策士ですよね

 

この方法は大成功し、人類は新たに肉食を手にする事になります。

 

 

 

しかし、昼間に狩を行うのにも問題点がありました。

それは「暑さ」です。

毛むくじゃらな祖先達はアフリカの蒸し暑い日中に狩りを行うのにとても困難な身体をしていました。

 

 

この暑さを解決するべく発達したのが、「汗腺」

祖先達は、毛むくじゃらな体毛を重要な部位以外は消し去り、代わりに汗腺を発達させる事で

暑い中狩を行っても汗が身体を冷却し、暑さに耐える事ができる様になったのです。

 

 

そう、狩をする為に昼行性になる為、素晴らしい冷却装置を身体に備えたのです。

 

 

これが、我々人類が汗を沢山かく様になって、毛が少なくなったプロセスです

(「冷却装置の仮説」と呼ばれ、人類が他の霊長類に比べて体毛が少ない理由として、もっとも信ぴょう性の高い仮説とされています。)

 

 

汗をかいたおかげで肉を食べれる様になり、摂取カロリーが増える事で脳が発達し、人類は更に高度な頭脳を得て、文明が発達し

今の我々へと進化してゆきました。

 

 

うっとうしい様な「汗」、この冷却装置のおかげで今の我々が在ると考えると、なんだか有難いものの様に感じますね。

 

 

汗と進化と我々のお話でした

 

 

スタッフ伊澤

ソース)サイエンスドリーム

2023-08-22

妊娠した女性の半数以上が経験するというつわり

お腹はへれども気持ちが悪くて食べられない。匂いすらにも嫌に感じる

妊娠の初期に現れるこれらの症状の原因はなに?

 

中医学的な目線で説明してゆこうと思います。

 

・胃気虚型

胃の気の不足を素因とする悪阻です。

 妊娠をすると受精卵の保持・胎児の育成の為に子宮に気血を溜め込むのですが、子宮に気を溜め込むルートから胃の経絡に気が溢れてきます。

この時、胃の気が健全でないと溢れてきた気に上へ上へと流されて悪阻になります。

普段よりお腹が弱い人がなりやすいタイプです。

症状としては食べたものをすぐに吐く、頻繁な嘔吐があるといったものがあります。

 

 

 

・胃寒型

上記の胃気虚より発展したものです。

こちらも普段からお腹の調子が悪い人がなりがちですが、特にお腹に冷えがある人に起こりがちです。

気血を子宮に溜め込む際に冷えも一緒に溜め込み、強い冷えと化して逆上する事で悪阻となります。

症状としては、お腹を冷やすと強い痛み(切られるような痛み)が現れ、吐瀉物は水っぽさが強くなります。

冷えや顔色の悪さ(白っぽい)、お腹の張りが現れることもあります。

 

 

・痰湿型

痰湿とは、水の流れが滞って停滞したものです。日本人は湿気の多い国に住んでいる分、体の水捌けが悪い人が多いためにしばしば見受けられます。

症状としては胸や胃(みぞおち)のつかえ感、動悸、息の吸いづらさなど。いづれも胃の辺りのつかえを起点に、呼吸や心拍を妨げられる事で起こります。

そして吐瀉物の粘りは強く、水分の粘稠度が高くなっていることがよく表れています。

 

 

胃熱型と肝熱型

胃と肝に熱が溜まって起こるもので、それぞれ別の素因ではありますが、同じ熱による影響を受けたものです。

温かい空気が上に登るように、熱によって気が上逆する為に吐き気や嘔吐に繋がります。

胃熱では胃の熱によって、口の渇き・冷たい食べ物を好む・便秘などが一緒に現れ

肝熱では肝が上に昇る性質がある事から、目眩・口の苦味感・口臭などが現れます。

 

 

 

上記のような嘔吐が続くと、想像に容易いですが、胃液を消耗し胃の栄養状態が悪くなります。

そうなると口や周りや便秘といった「渇き」の症状が現れるようになります。

 

吐きすぎて渇きの症状が出た場合には「陰虚型」に移行したと考えられるでしょう。

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