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2024-12-09

絶汗とは、「大量の汗が止まらない」状態の事で、玉の様な汗が大量に出ます。

 

汗が出ないではなく、絶え間なく出るなのですね。

 

 

この様な症状は大病と共に現れる事が多く、とりわけ

重篤な高熱と汗、重度の嘔吐や下痢、大量出血の際などといった、液体成分が大量に失われた時に現れます。

 

液体成分が失われると陽気が巡らなくなり、陽気が巡らなくなると液体を作り出す事が出来なくなり、そうして気と液体のバランス即ち陽と陰のバランスが崩れてしまいます。

 

気陰脱証は、発熱により汗腺が開き、気も陰駅も大量に漏れ出す事で益々悪化し、汗が止まらなくなります。

やがて気と陰が衰退してゆきます

特に心の気と陰を消耗しやすい傾向にあり、粘りの強い油の様な汗と身体の熱さ、唇や舌の熱さなどが現れます。

 

陽気脱は気がなくなりかける事で気の固摂作用(物が漏れ出ないようにする働き)が弱まり、汗が止まらなくなります。

こちらは長引く病や重病の際など、気を沢山消耗した時に現れ、大汗が現れる場合には"亡陽"と呼ばれる、気が急速に消耗する状態に陥ります。

気の不足による症状を併発し、手足の強い冷えや重度の疲労感、意識がフワフワするなどの症状が現れます。

 

 

 

 

伊澤

2024-11-21

寝汗②

寝汗の原因、まだまだあります。

 

③脾虚湿阻

消化器の不調が寝汗に繋がるケースです。

消化器は体内の水分輸送の一旦を担います。

 

冷たい飲食物や生物、甘いもの、お酒、飢餓などは消化器の働きを悪くするので

体内で水の停滞を起こします。

停滞が起こると気が巡りづらくなるので、頭に気が巡らなくなると水を保持できなくなり、汗となって流れ出ます。

 

この他に頭痛や身体の重さ、口や舌が浮腫んで粘っこくなるなどの水分停滞症状を伴います。

 

 

 

④邪阻半表半裏

風邪のひき始めに見られる寝汗で、邪気が身体の表面で闘争を行う際、身体側は侵入を防ぐ為に汗をかくことで応戦します。

その時に見かけ上汗をかいて見えるのがこの寝汗。

邪気が身体の中に入るかの瀬戸際なので、半分外で半分中、「半表半裏証」と言います。

 

風邪の症状を伴い、寒気と熱、胸の痛み、口の中の苦味、嘔吐などが随伴症状として現れます。

 

 

 

 

スタッフ伊澤

2024-11-12

睡眠中にのみ汗をかく寝汗は、中医学では「盗汗」と呼ばれています。

不思議な事に、寝ている間は汗をかくのに起きると汗は止まります。

 

どんな時に寝汗が発生するのかみて行きましょう。

 

心血不足

心を養う血の不足により、心の気が浮かび上がり、気が持つ「固摂」の力が弱まる事で汗が流れ出します。

 

どういう事かと言うと、昼間活動している心の気は脳の辺りで仕事をしています。

夜になると仕事を終え胸の中()に帰ってゆくのですが

この時心の血が不足していると帰るに帰れなくなってしまうのです。

 

そうすると、気が本来あるべき所に居られなくなり、機能を果たせなくなり、現れる異常のひとつとして寝汗が現れます。

 

 

血は眠っている間に蓄えられるので、寝不足が続いたり、また、多量の出血等で血が不足すると発生しやすいです。

 

 

血の不足の為に顔色が青白くなる、疲れやすくなるなどの症状も現れます。

 

 

陰虚内熱

上の血虚や、長患いなどにより、身体の液体成分の減少が起こり引き起こされるものです。

 

液体成分は身体の熱を抑える作用があります。

液体成分が減少すると熱を抑えられなくなる為、身体は熱を帯びるようになり、様々な内熱の症状を表すようになるのです。

 

寝汗、午後に上がる微熱(潮熱)、赤みがかった頬、手足や胸の火照りなどは全て内熱によって現れる症状です。

 

 

 

①②共に血虚を起因とする寝汗です。

血の不足は生殖器系にも影響を及ぼし、男性であれば精液の減少や夢精。女性であれば経期の乱れや経血量の減少などが現れます。

そして、身体は痩せ細ってゆきます。

 

 

 

スタッフ伊澤

手足が火照る、胸の辺りが火照る

手足2本ずつと胸を合わせて「五心煩熱」と言い、実際の体温が上がっていないにも関わらず熱感を感じる事があります。

 

これは、陰虚によく見られる症状で

身体を冷やす作用を持つ水分の低下で、身体を温める気の作用との均衡が破れ

見かけ上で熱が更新して火照りを表します。

 

 

では、どの様な要因で五心煩熱は現れるのでしょうか?

 

 

①陰虚五心煩熱

最も一般的な五心煩熱で、臓腑の陰の低下がきっかけとなります。

肺の陰が不足した場合には、夕方から夜にかけての火照り、寝汗をかく、空咳や息切れを起こす、血痰などの症状を併発させます。

これは、肺の病が長引いた時に起こりやすいです。

 

肝の病が長引いたり過度の出血があると肝陰虚となり、口の渇きや不眠、疲労感などが現れます。

 

これらの陰虚が治らずに居ると腎に波及し腎陰虚となります。

性生活の不摂生でも起こる事があるのですが

五心煩熱と同時に耳鳴り、寝汗、夢精、膝の痛みなどを引き起こします。

 

 

②血虚五心煩熱

脾と肝の機能失調によって起こる事がある五心煩熱です。

脾は消化器系を包括し、飲食物から気血を作ります。

肝は血を貯蔵し、血の量をコントロールします。

 

このどちらか、あるいは両方に問題が生じると血の量が不足します。

 

血は栄養と水分を全身へ運びますから、血の不足によって陰虚と同じ様な五心煩熱が現れるのです。

特に肝の血が低下すると、気が旺盛な肝の陰陽バランスが崩れてより現れやすくなります。

 

血虚の症状である皮膚や毛の低栄養化、顔色が青白くなるなどの症状と

肝が絡むと頭や目の栄養が不足する為に頭部の微痛や熱が現れ

心の血虚では動悸や舌の赤い色が白に近づくなどの症状が現れます。

 

 

③邪伏陰分

風邪を引いた後、治すのに時間がかかっていたり、治りきらなかったりする時に現れる五心煩熱です。

夜間に少しの時間現れる事が多く、これは、外邪が夜になると身体の浅い所まで浮かんでくる為に、身体の気が外邪と戦う事で起こります。

朝方になると外邪は身体の奥へ戻ってゆくので熱も治ります。

 

風邪なのに、外邪は皮膚表面にはいないので汗は出ません。

また、長い戦いの消耗で身体は痩せてしまう事が多くあります。

 

 

スタッフ伊澤

2024-10-24

潮熱とは、1日の中で発熱の温度が高くなったり平熱まで戻ったりするような熱を指し

まるで潮が満ちたり引いたりする様に似ている事から潮熱と呼ばれるようになりました。

 

1日の中でも特定の時間だけ熱が上がるという現象が現れ、何度も熱が上がり下がりする発熱とは別の病理として考えられています。

 

今回はそんな潮熱についての解説です。

 

 

①陽明潮熱

風邪と共に現れる潮熱。

身体の表面で邪気と身体の気とで戦った後、邪気の勢いが強いと身体の内側の経絡へと進行してゆきます。

 

その時に侵入するのが、胃腸との関連が強い「陽明」の経絡。

発熱と共にお腹の強い張りや便秘をもたらし、熱は日没辺りに強くなる性質があり、熱が上がると汗を伴います。

 

日没に熱が強くなるのは、陽明の経絡に気が多く巡る時間帯である為です。

 

 

 

②陰虚血失

身体の潤いが低下することにより、熱を抑えられなくなるタイプ

汗、嘔吐、下痢、出血などによって身体の液体成分が減少したり

寝不足や加齢によって不足する事で発生します。

 

特徴的なのは午後から夜間にかけて微熱が現れる事です。

手足や胸の火照り、頬が赤くなる、寝ている間に寝汗を沢山かくなどの症状が現れ

人によってはホットフラッシュといった形で現れることもあります。

 

 

③血瘀内熱

打撲などの外傷や、強い寒さ、また鬱々とした感情などは血の流れを悪くし停滞させます。

停滞した物は熱を帯びる性質を併せ持つ為、血が熱化します。

 

陰虚と同じ様に、午後や夜間に熱を発生させ、同時に痛みや肌の荒れ、青や紫かかった斑を表す事もあります。

 

 

④脾胃気虚

過度の疲労や食事の不摂生などを起因とする、気の不足がもたらす潮熱です。

脾胃は気の動きに大きく関与するのですが、その力が弱くなる事で気が下に停滞、溜まって熱を持つ事で発生します。

多くの場合は午前中に熱がでて、午後には落ち着く事が多く、熱と共に気虚の症状

疲れやすや倦怠感、呼吸のしずらさ、滲む様な汗が発生します。

 

疲労や空腹によっても増減し、熱は微熱で現れる事が多いです。

 

 

⑤暑熱傷気

子供に、夏場に見られる事が多いこのタイプ。

子供は身体未熟な為、夏場の蒸し暑さに耐えられません。

この時に陰液や気を損傷する事が潮熱の原因となります。

 

 

 

スタッフ伊澤

2024-10-07

近視、近眼、遠くがぼやけて見づらくなる。

遺伝によって近視になりやすい人と、体調不良によって近視が一時的に現れる人がいますが、ここでは一時的に見え辛くなるタイプについてご紹介します。

 

 

 

①気虚によるもの

過度の疲労や眼の使いすぎ、暗いところで細かい文字を見たなどをすると眼の気が消耗されるので

遠くの物が見えづらくなります。

 

全身的に強い倦怠感を感じている事が多く

夜眠れなかったり、物忘れがひどくなっていたりといったエネルギー不足の症状がよく現れます。

 

 

 

②肝腎虚損

肝や腎の精気不足によって起こる近視で、心尽きる程の思い悩みやストレス、怒りによって起こります。

また、性生活の乱れによる精気不足でも起きる事があります。

 

精気の不足は気の不足をもたらし、気虚と同じように眼の機能を発現できなくなる事で近視が発現します。

 

 

このタイプでは全身の症状として、足腰の弱りや勃起不全、残尿感などを併発します。

 

 

 

 

スタッフ伊澤

白内障は眼の中に濁りが現れ、だんだんと視界を遮り、視力低下や失明を引き起こします。

古い時代では「内障」や「圓翳内障」など呼ばれていました。

白内障の中医学的な機序を見てゆきます。

 

 

①脾虚白内障

消化器系の失調により気が不足し、目に気が回らなくなり、目がぼんやりとしてゆくタイプ。

瞳に濁りが現れ、だんだんと悪化して最後は白内障に発展するのが特徴です。

 

消化器の不調により、身体が痩せこけたり肌艶が白っぽく不健康に見えたり

倦怠感や気力の低下、食欲の低下などをきたします。

 

 

 

②陰虚によるもの

年齢を重ねる事で身体の水分量がへり、身体の全体的な栄養不足が眼の霞を引き起こし

これもだんだんと白内障に発展するタイプ。

古典では「精散ればすなわち眼に分かれる、故に物を見られる」という文があり、""という栄養源が眼を養う事で眼が見えています。

 

年齢を重ねると精が減少する為、眼がぼやけてゆくのです。

随伴症状としては精の不足が関わるものが多く

眩暈(ふらふら)や耳鳴り(低い音)、足腰の虚弱化をていします。

 

 

 

③火盛によるもの

体内の熱が強まる事で眼の水分を蒸発させ、濁りを生じます。

濁りは、熱が影響した特徴である黄色を帯びた色をしており、それにより目の霞みや飛蚊症のような異物漂う感じ、やがては失明へと至ります。

熱が口や頭などにも影響すると、口の渇き・焦感・不眠なども現れます。

 

熱の出所としては

考え事のしすぎが原因の心火

辛い食べ物や熱い食べ物の食べ過ぎ

激しい怒りによる肝火

などが挙げられます。

 

 

④胎患白内障

新生児の白内障で、眼の濁りを確認できます。

もちろん、赤ちゃんが「見えづらい」や「視界が変」と教えてくれる事はないので、よく観察しなければ発見できません。

原因の多くは母親の胎内にいる時に、不摂生な食事であったり何かの病であったり

発育に影響があった事で起こります。

 

 

⑤外傷によるもの

外傷によって水晶体を損傷し、白内障を起こします。

中医学では、「精」と呼ばれる物質がある事で視力や聴覚などの力が発揮されるとされているのですが

これが白っぽい色をしており、外傷によって漏れ出ることで白い濁りが現れると考えられています。

 

 

 

 

スタッフ伊澤

喉の異物感、吐き出そうとしても吐き出せず、飲み込もうにも飲み込めない。

時々起こるこの現象の謎を説明いたします。

 

 

①肝気上逆によるもの

所謂「梅核気」と言われるもの。

実際に異物があるわけではないにも関わらず、咽の異物感が拭えません。

 

この理由は、気の運行を行う「肝」の機能低下によって気が巡らなくなり

咽での気の停滞が異物感に感じられる為にあります。

 

異物がある訳ではない為、飲み込む事も吐き出す事も、また飲食物が通るのを邪魔する事もありません。

 

肝の気が停滞している為、イライラしやすかったり、季肋部(胸の下部)に貼ったような痛みを伴う事があります。

 

 

 

②痰凝気滞によるもの

消化器系の機能低下により水分の代謝が落ち、水の停滞が咽に現れる事で発生します。

痰が咽に絡みますが、粘稠度が高く吐き出しづらいです。

痰は気の停滞よりも強い停滞性を持ち、水分と同時に気の停滞、つまりは気滞も引き起します。

 

 

 

 

③肺熱陰虚によるもの

肺に熱が籠る事で、水分が蒸発する。或いは、何かの原因で水分が少なくなった時に起こりやすい咽の異物感です。

肺は呼吸によって気を全身に送付する役割があります。

その役割が肺の水分減少によって行えなくなると咽の気も動かなくなり、異物感を生じます。

 

水分の減少や熱を生じるので、咽の赤みや微痛、渇きを感じる事もあります。

痰は少なく、全身の微熱や寝汗を生じる事もあります。

 

 

 

 

スタッフ伊澤

声が出ずらい、かすれると言うことを中医学では「嘶」といいます。

 ここでは、声が出ずらくなる原因をご紹介いたします。

 

風寒によるかすれ

風邪を引いた時に声が掠れる事を指します。

風邪が肺を犯すので、声を出すと言う肺の働きを鈍らせます。 

発熱や悪寒といった風邪症状の他、喉の痒み、声帯の腫れや酷いと充血、また汗が出にくいといった症状が現れます。

 

 

 

風熱によるかすれ

風寒タイプと同じく風邪を引いた時に起こるもの。

違う点は、熱が強いために喉の焼けるような灼熱感がある事です。

喉も痒みより痛みが現れる事が多いです。

 

風寒よりも全身の強い熱感が発生やすく、汗も沢山かき、痰も黄色くなるなど熱の所見を表します。

 

 

熱邪犯肺によるかすれ

上記の風邪が悪化したタイプ。

熱がより侵攻しているために、粘膜の炎症や充血が現れます。

また、風邪はまだ身体の浅いところに居るのに対し、このタイプは深いところまで侵攻している為

肺の関連領域である胸や大腸にも影響を及ぼし、胸苦しさや血便などを伴います。

 

 

 

 

 

肺腎陰虚によるかすれ

歳を重ねてかすれるようになった、大病の後などに声のかすれたりしたらこのタイプでしょう。

これらの要因は体内の水分を減少させます。

水分が少なくなると喉自体を潤せませんし熱冷ましの機能が働かなくなるので熱が亢進しやすくなります

そうして強くなった熱が喉に影響する事で声が出にくくなったりもします。

 

口や喉が渇きやすくなったり、粘っこく黄色い痰が絡むようになります。

 

 

 

血瘀痰聚によるかすれ

聚とは集まるという意味。

何らかの原因で血の巡りが悪くなったり、余分な水分が集まる事で

声帯が肥厚したり、出来物が出来たりして発声しづらくなるタイプです。

 

 

 

スタッフ伊澤

2024-08-29

喉の渇き感、喉の乾燥は体外からの要因でなる事もあるし、体内からの要因でなる事もあります。

ここでは、どんな時に喉の渇き、乾燥を感じるのか見てゆきます。

 

①風熱襲肺

外部からの熱、或いは長期化した冷えが熱化した事で発生する、熱による喉の渇きです。

喉の痛みを伴うことがあり、咳や黄色がかった痰、飲み物をたくさん飲みたくなるなどの随伴症状が現れます。

 

 

②燥熱傷肺

乾燥が肺を傷つけるタイプです。

喉だけでなく鼻にも乾き感が現れ、乾いた咳がよく出ます。

気道の乾燥がありますから、痰はほぼ出ないか粘っこいのが少し出る程度。熱があるのでたんの色は黄色になります。

 

 

③脾胃熱盛

辛い食べ物や濃い味の食べ過ぎや胃腸炎が原因で、消化器系に熱が篭ることで発生します。

熱は水分を蒸発させるので喉の渇きが発生し、とりわけ冷たい飲み物を欲するようになります。

その他の特徴的な症状としては口臭が起こる、胃脘部(みぞおちの辺り)が痛む、胸焼けがすると言ったものが現れます。

 

 

 

④肝胆鬱熱

これも熱の影響で起こる口の渇きですが、外からの暑さや加齢、怒りのエネルギーなどを原因として肝の機能が邪魔される事で起こります。

喉の渇きと併発して、頭痛や目の充血・痛み、耳鳴りや難聴といった頭部の症状を表す事が多いです。

 

 

⑤肺陰虚

長患いや、発汗過多などによって肺の渇きを生じるものです。

肺は呼吸器官全てと関わりが深い為、喉や口の渇きを生じます。

その他、渇きを起因として、喉の痒み、乾いた咳、発音障害などを現すこともあります。

 

 

 

⑥腎陰虚

年齢を重ねる、長患いなどで腎の水分が少なくなったタイプ

肺陰虚から発展する事もあります。

肺と同様に、腎と関わりのある場所に渇きや熱の症状を発生させ、

喉の渇き、耳鳴りや難聴、腰や膝の滑液泡減少による変形や痛み、不眠、精力減退

などが現れます。

 

 

 

 

スタッフ伊澤

喉の痒み、咳や喉の痒みと一緒に現れる事があり、呼吸器症状のひとつとして見ることもできる。

ではその発声機序とはなんなのでしょうか。

 

①風寒によるもの

いわゆる風邪によるもの。

冷えによって肺の機能が阻害されると、関連領域である喉に症状が出る。

冷えによる風邪では喉の痒み、あるいは軽い痛みとして現れ、発熱や悪寒、熱があるのに発汗しない、くしゃみなどの症状が現れる。

影響範囲が広い場合には鼻水(冷えでは透明で水っぽいものが出る)が垂れ出てきたり、頭痛も発生する。

 

 

 

②風熱によるもの

同じく風邪であるが、こちらは熱によるもの。

冷えよりも喉粘膜の腫脹(炎症)がはっきりし、喉の痒みよりも明確な痛みが現れることもある。

このタイプの風邪では布を掛けると和らぐ悪寒が現れ、発熱も高い温度で現れる傾向にある。

 

 

 

③肺燥によるもの

乾燥によって生じる喉の痒みで、もっぱら秋冬に多く見られます。

乾燥によって喉の水分を害し、潤いが落ちると痒みを生じます。

 

乾燥の他に熱や冷えを伴う事があり、

発汗、痒みが痛みに変わる、痰に血が混ざる、痰が黄色くなる、という時には熱の影響を

悪寒がする、汗が出ず発熱する、舌の苔が白くなる、という時には冷えの影響を受けています。

 

 

 

④肺陰虚によるもの

長患いや熱病を持った方、発汗のしすぎは肺の水分を損ない、肺の栄養が減るために呼吸器に症状が現れます。

そのうちのひとつとして喉の痒みが現れます。

肺燥と違うのは、肺燥は体外の乾燥が起点になるのに対し、肺陰虚は体内の病理が起点になっています。

 

水分が低下するので喉や口の渇きをきたし、痰の粘り気も増えます。

呼吸器に影響がありますから、呼吸が浅くなり声を出すのに疲れたり喉から異音が出たりといった症状が現れます。

 

 

 

スタッフ伊澤

呼吸をした時に鼻から臭いがする事を「鼻臭」と呼び、鼻の淵(ふち)などから臭いが発生します。

酷いと悪臭となる事もあります。

 

その臭いの原因はなんなのでしょうか

 

①肝胆湿熱

鼻に通ずる経絡がいくつかあるのですが、そのうち、「肝」と「胆」の経絡に問題が起こる事で生じる鼻の臭いです。

問題というのは水捌けが悪くなる事で、余分な水分が「停すれば即ち熱化する」に則って熱を持つようになると

腐ったような臭いが鼻から立ち込めます。

 

湿度と熱の高い夏場や、甘いもの脂っこいものの食べ過ぎでなる事があります。

 

この他の症状としては口の中に苦味を感じる、喉がよく乾くようになる、胸肋骨部の苦しさを感じるなどの症状が現れます。

 

 

 

②脾虚湿熱

脾胃(消化器)の働きが悪くなり、水分を捌く事ができなくなって余分な水分が溜まると、①の肝胆湿熱と同じように熱を持つようになります。

こちらは消化器の働きの低下を元にしますから、食欲の低下や胃幹部の張り感などの消化器問題や

疲れやすい、意識がぼーっとするなどの疲労問題が起こったりもします。

また、喉が渇きやすいが飲みたくはないという状態にもなります。

 

 

以上の様に、余分な水分が熱を持つ事で発生しやすい鼻の臭い。

時には嗅覚の減退や鼻の圧痛を伴う事もあります。

 

 

スタッフ伊澤

コロナの後などに現れる嗅覚の異常。

ここでは、嗅覚の異常がどの様に発生するのか調べて行きます。

 

 

肺経風熱によるもの

風邪を引いた後に嗅覚が減退するもの。

主に発熱した時に鼻に影響を及ぼす。鼻水が沢山出て鼻詰まりを伴い、嗅覚減退は鼻詰まりの程度に比例する。

つまり、鼻詰まりが解消されると嗅覚も戻ってくる。

 

そのタイプは風邪を引いて鼻水が出るようになると早い段階で発生する。

「風邪」で発生するのがポイントだ。

 

 

胆鬱熱によるもの

外界の暑さなどから身体に熱が籠り、胆経という経絡に入り込んだもの。

熱が少し深部に入り込んで嗅覚に影響を及ぼしている。

 

このタイプでも鼻水が多くなったり痰がよく絡む様になったりと、呼吸器に影響を与えます。

風熱との違いは熱がどれだけ進行しているかという点で、こちらの方が深部にある関係で熱症状が広く出て、頭痛や口の苦味感・喉の渇き、全身の倦怠感などが現れます。

 

 

 

脾経湿熱によるもの

湿熱が脾胃の消化や運搬作用を阻害する。

特に運搬作用の低下は清きを上げ、濁きを下げる機能を妨げ、口や鼻の通りを悪くする事がある。

すると胆鬱熱型と同じ様に涎や痰が多くなり、呼吸を阻害する事で鼻の機能が低下する

 

「脾」は消化器系を指し、胃脘部の張り感や食欲の低下、大便の粘性が増す、身体が急に痩せこけるなどの症状が現れる事がある。

 

 

肺脾両虚によるもの

脾と肺の機能低下によって臭いを感じなくなる。

どちらもエネルギーを巡らす作用があるが、その作用が弱まる為に身体の各所の機能も低下する。それが鼻に出ている時は嗅覚が低下するのだ。

 

のタイプでは全身の弱まりとして、全身の倦怠感や声に力がない、食後に腹が張る頭がボーッとするといった「疲労しやすい」症状を呈する事が多い。

 

 

血瘀によるもの

鼻の病が長引いていたり、鼻への外傷があると気血の流れが極端に悪くなり、孔を塞ぎ嗅覚の低下に繋がる。

 

 

 

 

スタッフ伊澤

夏の暑さで汗をかいて臭くなったり…そんな経験あると思います。

特に脇や足の裏などは臭いがキツくなりがち…

今回は、そんな臭いの原因を調べてゆきたいと思います。

 

①胎毒によるもの

脇や外陰部、肛門部、乳などに起こる匂いの類。

夏場は特に顕著に現れ、その部位に黄色い汗をかいたりします。

気血の不足や、外陰部では性液が混ざる事で発生し、遺伝性もある為に家族で同じ様な症状が現れる事もあります。

もっぱら、臭いの強い汗を出すアポクリン汗腺によるものと考えられるでしょう

 

この匂いは青年期に発生する事が多いです。

 

 

 

②湿熱によるもの

足、脇、乳、外陰部に現れる悪臭で、これも夏により現れます。

汗との関わりが強く、冬場の汗をあまりかかない時期は匂わない傾向にあります。

汗により皮膚に水分が貯留し、蒸される事で匂いが発生する為、沢山汗をかいた後や靴などの汗が蒸発しにくい所に強い匂いを放ちます。

 

汗の体臭と共に、発熱や口の中の苦味、尿が黄色くなる、忘れっぽくなる(熱が頭に昇っているため)などが現れる事もあります。

 

 

 

スタッフ伊澤

2024-07-09

皮膚の瘢痕は傷が塞がる際に組織が余計に増殖してしまうことにより、皮膚に凹凸や変色が現れます。

 

全身の皮膚に現れますが、特に胸や背中が傷付くと瘢痕になりやすいです。

皮膚が健康であれば瘢痕は残りづらくなります。

 

今回は瘢痕の部位を注意的に考えるとどうなるかを見てゆきます。

 

 

①血瘀

瘢痕の中でも綺麗な赤や暗い赤色の物は血瘀型に含まれます。

色以外にも、触ると強靭で弾力がある、瘢痕の発展は緩やか、瘢痕の範囲は最初の傷よりも広くなるといった特徴があります。

 

傷口の気血の流れが悪くなる為、痒みや痛みを感じる事がよくあります。

 

 

②湿熱

こちらのタイプの瘢痕は、水分の流れが悪くなる事で気血の流れを阻み発生します。

色は淡い赤か正常な皮膚の色、範囲は元の傷より大きくならないといった、一見するとあまり悪いように見えません。

硬さは比較的硬め程度ですが痒みを自覚します。

また、最大の特徴として、雨天や雨の降る前日くらいに痒みや違和感が強くなります。

 

 

 

スタッフ伊澤

2024-07-04

湿疹の中でも小さな発疹が集まるように発生するものを粟疹と言います

 

今回は群生する発疹を見てゆこうと思います。

 

 

①毒熱浸淫

毛穴に出来る湿疹を指します。

強い熱性の邪が集まる事で発生し、毛根部を赤く、腫れさせます。

 

 

②痰熱陰虚

成人でよく見られる物で、顔面部によく現れます。

肺や腎の水分が低下し(陰虚)、水分を無くすと容易に熱化します。

熱は水分を更に煮詰め、水分の粘性が高まって湿熱を生じます

発疹の粒は大きい事が多く、硬く、紅くなるのが特徴です。

 

 

③風湿瘀阻

手足や口周りに発生しやすい物です。

その原因は風湿の邪によって経絡の流れが阻害され気滞血瘀を引き起こす事。

発疹は平べったく、光沢がある赤紫色をしている事が多いです。

また、強い痒みを伴います。

 

 

④湿熱

湿気と熱によって発生するタイプ。

夏場のような暑く蒸し蒸ししたタイミングや、湿を溜め込みやすい海鮮食品を食べた後、辛い食べ物を食べた後に発生する人はこのタイプの可能性が高いです。

体質的に体内の水分代謝が悪い人が外界や飲食物から水分を含みすぎる事によって発生します。

 

発疹は前進どこにでも発生しますが、手足の内側に発生する事が多く、

発疹自身もあまり酷くない、緩やかな発生を辿ります。

ただし、悪化因子があると何度も繰り返す傾向にあります。

 

 

 

⑤血熱

元の体質が熱性傾向にある人などが、内服薬、外用薬などが合わない時に発病する事があるタイプで

皮膚近くの血に熱がたまることで発生します。

 

発疹は小さなものが多く、赤みを帯びた小疱を形成し

主に口の周りの粘膜や手足(特に手のひらや足の裏)に左右対称に現れます。

 

薬を止めれば病状は軽減します。

 

 

 

⑥肺胃熱盛

思春期によく発生する発疹で、肺や胃の熱が上る事で顔に現れます。

少し紅く、発疹の頂点は黒くなっており、描くと粉が出てくるのが特徴で、治った後も小さな跡になる事も。

顔だけでなく、胸や背中の上の方に現れる事もあります。

 

 

 

 

スタッフ伊澤

膿疱とは、皮膚に現れる小疱で、中に疱液を含み、潰すと漏れ出す様なものを指します。

疱液は大体は黄色や乳白色で、熱が関係していると黄色くなる傾向にあり

小疱は単独で現れることも、ある程度分布して現れることもあり様々。

潰した後の膿疱はシミとなって残ってしまいます。

今回は膿疱のできるケースについて紹介致します。

 

 

①熱毒灼盛のケース

熱毒が皮膚を犯し、膿疱を形成するケース。

熱が皮下で暴れているケースです。

毒熱自体が嚢胞を形成する為に、初手からいきなり膿疱が現れます。

膿疱の大きさは緑豆程で薄い黄色をしており疱駅が溢れていることが多いです。

周りの皮膚は紅くなり、高温の発熱や頭痛、口の渇きや冷たいものを欲する様になるなど、熱の所見が現れます。

また、熱によって便秘や尿が黄色くなるといった変化も現れます。

 

 

 

②湿毒結のケース

赤みは発生せず、疱液を含んだ水疱を形成します。

湿(水分の停滞)が皮膚を浸潤する事で水疱を生じ、それが後に膿疱に変化することもあれば、しないこともあり、混在することがあります。

疱の壁の厚さは薄く割れやすく、割れると漏出液が流れ、その後は爛れてしまいます。

 

 

 

③湿熱内のケース

肥満の方によく見られ、皮膚に熱が籠るので汗を沢山かくけれど膿疱になってしまうタイプです。

皮下の脂肪(湿)が熱を持つと考えると分かりやすいかと思います。

肥満でなくても、短期間で体重が5キロ以上増えた時にでる膿疱もこのケースが多いです。

食事の不摂生で悪化する事が多く、喉がよく乾いて冷たい飲み物を欲しがります。

 

 

④養血鬱熱のケース

流れる血に熱が入り込み皮膚に膿疱をきたすケース。

熱が入り込む要因は辛い食べ物や脂っこい食べ物を取りすぎる等。

食べ物が起因するので消化器系の症状が併発し、口の渇きや乾燥便による便秘などが現れます。

 

 

 

以上、膿疱発生のケース紹介でした。

ご拝読ありがとうございました。

 

 

スタッフ伊澤

2024-06-06

食事の醍醐味である「味」

これがあるからこそ食事は楽しい物です。

でも、何かしらの原因で味を感じなくなってしまう事もあるのです。

 

今回は味覚を感じなくなる状態を紹介致します。

 

 

痰迷心の状態

とは、心という臓腑と関連の深い穴(顔にある穴)を表し、完結に言うと「舌」の事を言っています。

心と言う臓腑は舌と関わりが深いと捉えてください。

 

この証は流れの悪くなった水が心の働きを阻害し、心が弱る事で味覚を感じなくなる事を表します。

水の流れは、外からの湿度や、体内の水分代謝の低下などの原因があります。

 

神異常(心の病理)や喉に痰が絡む(水分代謝の低下)と言った随伴症状をていします。

 

 

心血虚の状態

これも心からくる味覚障害ですが、こちらは睡眠不足や出血過多、長患いなどから発生します。

日常的には睡眠不足から発生する事がまま見られます。

 

覚障害よりも目立つのは精神障害で、精神的な不安が現れたり、物忘れが酷くなったり動悸がしたり、不眠が益々悪化する、顔色が白っぽくなるといった症状の中に、味覚の異常が現れる事があります。

 

 

食中毒の状態

毒物を誤食した事を指します。

明らかに身体に悪い物を食べて、舌そのものを傷付ける事もあれば

吸収された毒物が血と共に運ばれて心で悪さをする事もあります。

食べ物を食べた時点で吐き気や嘔吐、胃痛を呈する事が多い為、そこで気付く事もままあるでしょう。

 

 

 

 

スタッフ伊澤

舌胖

これは舌がボテボテと大きくなり、縁に歯の痕が着く様な状態を言います。

その特徴から「胖大舌」や「歯痕舌」などと呼ばれます。

 

その原因の多くは脾の陽気不足、寒湿の邪によるものが多くなっています。

 

 

舌胖の多くは脾気虚か腎陽虚を原因とし、その判別は歯の痕の場所や他に現れる周辺機器症状考えられます。

 

脾虚舌胖

脾気虚で発生するこの舌胖では随伴症状としてお腹の張りや下痢、ゲップなどの消化器症状が現れます。

脾気虚が酷いと嘔吐や頭重感も現れます。

 

腎陽虚

こちらは脾気虚の舌胖がさらに悪化したものになります。

膝や腰の怠さ、手足の冷え、腰以下でむくみが起こりやすくなるといった症状が現れます

 

 

 

スタッフ伊澤

2024-05-21

舌の痛みには痛み方や痛む部位など、さまざまな要因がありますが、中医学で見た舌の痛みはどんなものがあるのでしょうか?

 

 

実熱によるもの

舌にはいくつもの経絡が通っており、関係する臓腑に熱が生じると、経絡を伝って舌に影響を与えることがあります。

例を挙げると

舌先が焼ける様に痛み、落ち着きのなさや不眠が現れるなら心熱

舌の縁が痛み、口苦やイライラがおさまらなに時は肝火

舌の中央部が痛み、舌に乗っている苔が黄色かったり乾燥していたりして、食欲不振や冷たいものをの飲みたくなる様なら胃火

などが考えられます

 

陰虚火旺によるもの

睡眠不足や夜も休めない人に起こりやすい舌痛です。

身体を潤す水分は夜寝ている間に補充されます。

しっかり眠れなかったり、夜も寝ずにいると少しずつ水分量が失われます。

 

この水分は身体の熱が強くならない様にする働きがあるので、水分量の低下が熱の暴走を引き起こし、それが舌に及ぶと舌痛となるのです。

 

水分の不足なので喉が渇きやすく、飲み物をよく飲む様になりますが、ちびちびと少しずつを何回も繰り返して飲む様になります。

また不眠や、手足や顔の火照りなどの症状が現れやすいです。

 

 

 

 

以上の2タイプです。

舌の痛みは熱によるものがほぼ占めていると言うことが分かりました。

 

 

 

スタッフ伊澤

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