手足が火照る、胸の辺りが火照る
手足2本ずつと胸を合わせて「五心煩熱」と言い、実際の体温が上がっていないにも関わらず熱感を感じる事があります。
これは、陰虚によく見られる症状で
身体を冷やす作用を持つ水分の低下で、身体を温める気の作用との均衡が破れ
見かけ上で熱が更新して火照りを表します。
では、どの様な要因で五心煩熱は現れるのでしょうか?
①陰虚五心煩熱
最も一般的な五心煩熱で、臓腑の陰の低下がきっかけとなります。
肺の陰が不足した場合には、夕方から夜にかけての火照り、寝汗をかく、空咳や息切れを起こす、血痰などの症状を併発させます。
これは、肺の病が長引いた時に起こりやすいです。
肝の病が長引いたり過度の出血があると肝陰虚となり、口の渇きや不眠、疲労感などが現れます。
これらの陰虚が治らずに居ると腎に波及し腎陰虚となります。
性生活の不摂生でも起こる事があるのですが
五心煩熱と同時に耳鳴り、寝汗、夢精、膝の痛みなどを引き起こします。
②血虚五心煩熱
脾と肝の機能失調によって起こる事がある五心煩熱です。
脾は消化器系を包括し、飲食物から気血を作ります。
肝は血を貯蔵し、血の量をコントロールします。
このどちらか、あるいは両方に問題が生じると血の量が不足します。
血は栄養と水分を全身へ運びますから、血の不足によって陰虚と同じ様な五心煩熱が現れるのです。
特に肝の血が低下すると、気が旺盛な肝の陰陽バランスが崩れてより現れやすくなります。
血虚の症状である皮膚や毛の低栄養化、顔色が青白くなるなどの症状と
肝が絡むと頭や目の栄養が不足する為に頭部の微痛や熱が現れ
心の血虚では動悸や舌の赤い色が白に近づくなどの症状が現れます。
③邪伏陰分
風邪を引いた後、治すのに時間がかかっていたり、治りきらなかったりする時に現れる五心煩熱です。
夜間に少しの時間現れる事が多く、これは、外邪が夜になると身体の浅い所まで浮かんでくる為に、身体の気が外邪と戦う事で起こります。
朝方になると外邪は身体の奥へ戻ってゆくので熱も治ります。
風邪なのに、外邪は皮膚表面にはいないので汗は出ません。
また、長い戦いの消耗で身体は痩せてしまう事が多くあります。
スタッフ伊澤