中国の古代書「傷寒論」の一文に"胃主四肢、手足汗出者、陽明之証成"(胃は手足を主り、手足から汗が出る人は、陽明証である)とある。
ここにある様に、手汗や足汗は消化器に問題が生じた時に現れる症状のひとつになります。
ここでは、具体的にどんな消化器の状態で手汗や足汗が起こるのかを見てゆきます。
①脾胃湿熱
脾胃は消化器系のこと。
食物の消化や運搬を担うこの臓腑は、体内の水分の運搬も行っています。
ここが弱る事で水の流れが悪くなったり、また、外からの湿気の影響によって悪くなったりすると水の停滞が熱を産みます。
この状態が湿熱。
脾は手足の流れを特に司りますから、脾胃の失調による手足の汗として
脾胃湿熱が現れます。
②脾胃気虚
これは脾胃の気の不足で発生するタイプです。
気が不足するという事はつまり、力がなくなるという事。
水を運搬する力がなくなって流れが悪くなったり
水が漏れないようにする力がなくなって、汗となって滲み出たり
こういった要因で手足から汗が滲むように出てきます。
力の不足は汗だけでなく、倦怠感や声を出すのが億劫になるなどといった形でも現れます。
気は身体を温める熱源でもありますから、四肢の冷えなんかも一緒に現れます。
③脾胃陰虚
前項では脾胃の気の不足、陽の不足がありましたが、こちらは陰の不足によって起こります。
具体的には脾胃の水分の減少や渇きの発生です。
脾胃に渇きや熱を生じる為に、口や喉の渇きや消化機能の低下を表します。
そして、身体が熱に傾くので汗をかくことでそれを抑えようとします。
手足に汗が出るのは、これまでと同様に脾胃との連動が高いからです。
特に夜以降の暗い時間に、微熱や渇きと共に現れることが多いです。
伊澤