いわゆる早漏と呼ばれる症状は、中医学では早泄と呼ばれています。
早泄の前に中医で観る男性器のメカニズムを説明しますと
腎によって飲食物を材料にして「精(生命エネルギー)」が作られます。精子はこの「精」がより集まり、次世代へ受け継げるようにしたものです。
性的興奮を受けると、精子が任脈や衝脈という腹部を通る系脈を通って陰茎へ送られ
肝の疏泄作用(気の流れを作る)によって体外へ放出します。
性的興奮の発言には「心」が関わり、勃起には「肝」から来る「血(栄養に富む赤い液体)」が関わります。
早泄を含む男性の問題では、このメカニズムのどこかに異常をきたしていることが多いです。
ここでは、早泄においてどんな問題が起こっているのかあげてゆきたいと思います。
①腎気虚損
これは腎の気が不足することで起こる早精です。
腎には蔵精といって「精を蔵する(貯めておく)」はたらきがあり、腎で作られた「精」は必要なタイミングまで腎で保存されているのですが
腎の気が不足すると精を溜めて置けなくなり、漏れ出やすい状況を作ります
これがやがては直ぐに精子が出てしまう早精へと繋がります。
充分な時間、溜めておく事が出来ないのです。
これは性生活の不摂生によって腎が酷使されたり、排出する精が多い為に精の不足を引き起こし、同時に気の不足を引き起こすことで成る事が多くあります。
②肝経湿熱
五臓の「肝」は、よく「筋肉を主る」や「疏泄を主る」と言いますが、加えて「宗筋とも交わる」と言われています。
宗筋とはいわゆる前陰部の事で、生殖器も含まれます。
肝に流れる経絡は「厥陰肝経」と呼ばれ、足の親指より起こり、途中で前陰部を通り、肝へと至ります。
肝が湿熱の影響を受けると、経絡を通じて前陰部へと及び、宗筋の異常を発言させるのです。
肝の疏泄が損なわれてますから、宗筋での気の運動も阻害され、精を貯める力も損なわれ、精が溜まる前に排出されてしまう早精を発現させます。
その他にも、前陰部への湿熱の反応として
小便が黄色くなる、陰部が痒くなるなどと言った症状に加え、淋病もこの肝経湿熱の範疇に入ります。
厥陰肝経が通る他の部位にも湿熱の影響が現れる事があり、胸苦しさや口の苦味などが現れる事もあります。