男性の精液が希薄になり、精子の量が少なくなる事を少精と呼びます。
男性の生殖機能は中医学的には「腎」のカテゴリーに含まれており、生命エネルギーのエッセンスである「精」と呼ばれる物質が転じて精子或いは精液に成ります。
精液が少し白っぽく、粘稠度があるのは「精」を基に作られている為です。
ここでは男性不妊の原因ともなるこの症状の発生起因を見てゆきたいと思います。
①腎陽虚
虚弱体質や長患い、はたまた性生活の乱れなどによって起こる、腎の機能の低下によって引き起こされる少精です。
腎陽とは「腎」で活動する気の事であり、「腎陽虚」は腎の気の不足を言い表した言葉です。
気には温煦作用といって温める作用がありますから、腎の領域において、生命力を温められず、精子を作る膸(ずい)を温められずに、
精子の生産が少なくます。
その他に腎の領域である足腰に冷えを覚えたり、、夜間尿が増えるといった随伴症状を表します。
②腎精虚損
これも腎の機能低下によるもの。
腎陽虚と違うのは、「気」の不足ではなく「精」の不足であること。
「精」とは脳や骨を養い、生命力の源となる、気よりも清らかで濃密な物質とされており
精子の原材料になっています。
長患いや性生活の乱れなど、原因となる事象は腎陽虚とほとんど同じですが、精の不足が大きくなるとこちらに傾きます。
とりわけ、熱を伴う病の時には腎精虚損に傾く事が多いです。
「気」が「陽」と言われる様に、「精」は「陰」に含まれます(正しくは、精と血と津液といった液体成分を纏めて言う)
陰の総量が少なくなる為に渇きの症状や、熱の症状を引き起こす為
寝汗や手足の火照り、などが随伴症状として現れます。
この二つの違いは、腎陽虚は「機能の減退」が起因するのに対し、腎精虚損は「材料の不足」が原因となります。
スタッフ伊澤