めまいは東洋医学では、「眩暈(げんうん)」・「頭眩(ずげん)」と称される。
言葉の意味としても、「眩」は目がかすむ様・「暈」は頭が回る感じを指しており、両者は同時に出現することが多いために眩暈と称される。
日常的にどのような時にめまいが起こるであろう?
・精神的なショックをうけることによるめまい
・飲食物をまともにとっていないことにより生じるめまい
・寝ていた状態からいきなり起き上がったことによる立ち眩み
・サウナに長時間こもっているときにおこるめまい 等々が挙げられる。
西洋医学的には、脳腫瘍・脳卒中などの「脳」、三半規管・前庭・蝸牛などの「耳」、自律神経失調やストレスなどがめまいの原因として考えられている。
意外にも臨床上、上記の検査を行ったものの特に異常はないがめまいが生じることが多い。
そのような時に検査上の数値では現れない東洋医学上での分類を参考にしていただきたい。
以下、中医書に記載されている「めまい」に対しての6分類を記載しておく。
●「眩暈(めまい)についての東洋医学的分類●
「めまい」が出現する場所は「頭部」である。
つまり、「頭部」に何かしらのトラブルが出現することにより「めまい」が出現する。
大きく分類して「熱が頭部に悪さをすること」・「栄養が頭部へいきわたらないこと」に分けられると考える。
まずは、「熱タイプ」をみていきたい。大きく「ほてりタイプ①」・「ストレスタイプ②」「気候タイプ③」に分けられる。
①陰虚陽亢によるめまい(ほてりタイプ)身体の保湿物質が失われることによるのがこのタイプ。の人に多くみられる。加齢や長期間病にふせることなどが保湿物質を失う原因となる。いわゆる更年期症状が該当する。
ほてり(微弱な熱)が頭部へ上っていくことでめまい症状が出現する。「渇き」がこのタイプの特徴では、顔面部症状としてその他ドライアイやのどの乾燥なども出現する。
②肝火タイプ(ストレスタイプ)
いわゆる「頭に血が上る」ことで出現するめまい。長期的な精神抑うつ状態が続くことや急激な精神的なストレスが加わることで生じる。激怒してしまったのちにクラッときてしまうイメージ。
胸腹部の張り感・目が赤くなる・耳鳴りが生じるなどの症状を伴うことが多い。一時的に生じストレスが解消されることで症状も落ち着いてくる。
③風熱タイプ(熱気候タイプ)
高温な気候が頭部へ影響をおよぼすことが原因となる。
夏の炎天下の中で、直射日光を浴び続けることでめまいがして倒れてしまう熱中症のイメージ。
熱は体内を冷ます物質を燃やし、その後頭部へ上昇することでめまい症状が出現する。
頭痛や発熱症状も伴うことが多い。
次に「栄養が頭部へいきわたらないタイプ」についてみていきたい。
「エネルギー・栄養不足④・⑤・⑥」「頭部を構成する物質不足⑦」が挙げられる。
④心脾血虚によるめまい(心労タイプ)エネルギー・栄養物質の不足により生じる。考えすぎて精神的な大きなショックを受けることで心身ともに疲弊してしまうことが原因として挙げられる。全身的にエネルギー・栄養不足状態となり、頭部へと供給するエネルギー・栄養が不足することでめまいが出現。顔色が青白く、全身倦怠感が強く伴うことが多い。過労や精神的ダメージにより悪化するケースがある。悲しい知らせてクラッとしてしまうイメージ。
⑤中気不足によるめまい(疲労タイプ)
消化器のはたらきが低下することが原因。飲食物から体内に取り込むことができるエネルギー・栄養物質が少なくなってしまうことで、頭部へ供給する物質も不足してしまいめまいが出現する。疲れているときに出現することが特徴か。食欲不振やすぐに横になりたがるケースが多い。
⑥痰濁中阻によるめまい(不摂生タイプ)
消化器のはたらきが低下することが原因。⑤との違いとしては、消化器のはたらきの低下が飲食不摂生や多湿な環境から生じた余剰な水液物質であることが挙げられる。
余剰水分が飲食物から得たエネルギー物質や栄養物質の吸収を阻害することで、全身的なエネルギー・栄養不足が出現し、頭部にも供給できないことでめまいが生じる。
吐き気や嘔吐・身体の重だるさを伴うことが多い。
⑦腎精不足によるめまい(加齢タイプ)
頭部は「髄(ずい)」で満たされているとされる(脳のイメージか)。髄は生まれながらの物質や飲食物から得た栄養で構成されているが、加齢・大病を患うことにより構成する物質が不足する。脳を養えないことによりめまいが出現する。頭部のふらつきや耳鳴り・記憶力の減退を伴うことが多い。
「数値には表れないめまい」。上述の中には意外にも日常の中で経験されることはなかったでしょうか?自分のタイプを知ることで、症状の改善や日常的な発症予防法もお伝えすることができるかと思います。治療にかかられる方も非常に多い疾患の一つです。お悩みの方はぜひご相談ください。 スタッフ 杉本