いわゆる「知覚鈍麻」のことで、手足の感覚が鈍くなって感じづらくなったり
手袋や靴下を履いていないのに履いている様な、包まれた様な違和感が発生します。
今回は、その様な症状のメカニズムを何回かに分けて紹介致します。
①風中経絡
外的要因によって知覚鈍麻を起こすもので
経絡の中に風寒の邪が侵入し、経脈の栄養作用を害する事で気血の不足を起こす病態です。
風邪が旺盛な場合と、寒邪が旺盛な場合の2パターンあり
風邪が旺盛な場合では、知覚鈍麻が逃げ回るように移動し、一定の場所に留まらないという特徴があります。また、目や口に軽度の歪斜が現れる事もあります。
寒邪が強い場合には、手足の冷えや悪寒といった冷え症状が現れ、知覚鈍麻と一緒に痛みを呈します。
寒邪は、水が氷になるように物をギュッと固める性質がありますから、知覚鈍麻の位置は固定され、痛みも絞られているような物が現れやすいです。
また、膝や腰に沈むような怠さが出る事もあります。
②気血両虚
経絡の中を流れる気血が減少する事で起こる知覚麻痺で、経絡の気血が空虚になる事で風を生み知覚鈍麻を起こします。
気血の不足を起こす原因としては、過度の疲労や嘔吐、多量の出血、長患いなど、気血を消耗する様な事があげられます。
①の風寒の邪も原因のひとつです。
気と血、どちらの減少が強いかによって症状にグラデーションがあり
気の不足に傾いている時は顔色の蒼白や手足の軟弱、挙動の無力感、動悸や息切れしやすいなどの「疲労感」が強い症状が現れ
血の不足の時には顔の艶が無くなる、皮膚が乾燥する、鈍い頭痛や眩暈が起こる、入眠困難や忘れっぽくなるといった「栄養や潤いが不足する」形の症状が現れます。
どちらの場合でも、知覚鈍麻の部位に痛みを生じる事は少ないです。
スタッフ伊澤