遺残卵胞をどう考える

2020/7

遺残卵胞は排卵できなかった卵胞が消退せずに卵巣の中に残ってしまうことをいう。

はっきりした原因は不明だが、大きくはホルモンバランスの不調が下地にあのるだろう。

珍しいものではなく、よく起こる現象とも言われている。

LHサージが適切時期より早めに放出されているだろうexclamation&question、と思われる人をよく見るが、それだけでもななそう。

1,2周期かけて自然消退を待つケースもあるが、プラノバール(中量ピル)あたりでリセットするケースも少なくない。

特に採卵予定時前に遺残卵胞があるケースではピルによるリセットが多いようである。

 

伝統医学なら遺残卵胞そのものは血オか血熱で処置できるが、その原因としては腎気虚、脾気虚、腎陰虚、肝気鬱が考えられる。

腎気虚では消退する力のそのものが低下する。

脾気虚では数値上での異常は少なくとも卵子に力がないという特徴があるので排卵に失敗しやすい。

腎陰虚なら卵巣の表層部が厚くなり排卵しにくくなる。

肝気鬱はおおむねLHサージが前倒しで起こので、適切な大きさになる前に排卵を迎えることがある。

これだけではないが、だいたいこんな感じのイメージでとらえてもらえれば理解しやすいと思う。

 

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生理中の中休み現象

2020/7

生理中の中休みとは生理開始4,5日目くらいに一旦生理出血が止まり、6目め当たりにまた始まることを言います。

止まる日は人により少し前後することもあります。

 

これは通常4日目あたりに子宮の活動状態がMAXになることに由来します。

4日目は、子宮では経血を外に押し出す働きが依然継続しながら、卵巣では新しい卵を作り始めます。子宮に力がないと子宮の排泄と卵巣の生産を同時に行うことは叶いません。

とくにこのおり、子宮の排泄の力に影響を与えるのが腎気です。

結果腎のうち腎気が弱いと中休みが起きやすくなるわけです。

 

※腎気が弱いー子宮の気が少ないー妊娠しにくいとなるわけです。

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胞宮血オの4視点

2020/6

胞宮とは東洋医学の名称で子宮及び卵巣を指す。オ血ともいう。

この胞宮が血オである状態が胞宮血オ(そのまんまわーい(嬉しい顔))という。

この状態はとても妊娠しにくい。

概念上は血オは血流障害、粘着度の高い血、鮮度の低い血などの総称である。

 

4つの視点でこれを判別する。

@月経の状態。ひとつ例を挙げると血塊と呼ばれる粒状、レバー状の血の出る。それが出ている間は強い痛みがある。

A診断名。不妊鍼灸の場合。不妊外来と併用なさる方が多数を占める。よって病院で何かしらの診断がなされているケースも少なくない。たとえば腺筋症、筋腫、卵巣嚢腫、癒着、不育症などなど。

Bお腹を触ると硬結か圧痛がある。とくに下腹部にその傾向があらわれやすい。

C舌診。とくに舌下動脈が太く、紫色を呈す。

脈にもあらわれることもありますが、かなり高度な診断なので割愛します。

 

この状態の方がこの10年くらいで凄く増える。

血オは2次病理なのでその原因となり1次病理が存在する。

これはまた追々書こうと思う。

 

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不妊外来の横には肝気鬱あり

2020/6

不妊外来へ通われている患者さんには他の疾患にない大きな特徴があることに気づく。

もちろん東洋医学の視点からであるが、それは「大なり小なりの肝気鬱がある」ということ。

 

この不妊外来肝気鬱と呼ぶべき病理は、この治療のゴールというか着地点が見えないことに起因することが多い。

ゴールが3か月後か或いはもっと先の5年後か実のところ誰にもわからない。

たとえば骨折なら1か月後に骨がつくと予想できるが不妊治療ではこの予想が極めて立てにくい。

これは大きな不安を呼ぶ込む下地となる。

精神不安は血を消耗する。

血が消耗すると、ますます不安や恐れが強くなる(東洋医学では血は精神・感情のの栄養と考えているため)。

 

もう一つはこの治療は結論としては妊娠したか、しなかったかのどちらかしかない。

本来ならそうではないが・・・

事実、今回は妊娠しなかったけど内膜が10ミリ超えたから妊娠の可能性がより高くなったという思考する方は少ない(妥協する方はおられるが、それをもってステップアップと捉える方は少ない)。

そのため一回一回の判定日の緊張度は半端ない。

これが他の治療にないストレスとなり、肝の疏泄が失調し肝気鬱なる。

ほかにも周りからの重圧、金銭的不安、仕事との兼ね合いなどがこれに拍車をかける。

この治療で受ける反復ストレスがほかのストレスをも受けやすい気質に変化する感じといえばわかりやすいだろうか。

 

先が見えない不安と毎回毎回の緊張により恒常的な肝気鬱が作られる。

これが全身の気の巡りに影響し、とくに下垂体系のホルモン(FSH,LHなど)の異常に繋がることも良くある。

また肝気鬱とは肝気が停滞して十分な気を流すことができない状態という意味であるから、この気が最も必要な排卵、受精、着床の過程でのトラブルも引き起こす。

 

不妊の鍼灸治療では年齢的問題からくる腎精の盛衰、筋腫や内膜症或いは癒着などで起こりやすい血オがの有無などが重要視されるが、肝の疏泄を十分に確保すること(肝気鬱を改善すること)も大事な治療になる。

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男性不妊の一例

2013/5

《症例・男性不妊》

不妊症の原因の男女比率は実際には同じくらいだといいます。

しかし、現実に不妊治療に通うのはほとんどが女性です。

男性の場合、簡易テストで精子運動率や直進率を測るの一般的であり、精密なデーターを取ることはまれのように思います。

ひとつに運動率を上げるお薬がないことが挙げられるでしょう。

データーを取っても、その後の治療の手がないと、データーを取る意味が薄いということです。

また、運動率が低くても人工や体外などの治療ならば、質の良いものを選び出せばこと足りるということもあります。

 

41歳、お料理関係のお仕事、男性(もちろんですが・・・)

主訴:自然妊娠をご希望

治療開始時の精子運動率11%

一般論では運動率は腎の趨勢および肝の疏泄が大いに関わります。

それに食生活ですね。

最近は人工的化学物質やパソコンをする時間の長さが性欲や運動率と関わるというデーターも出てきています。

この患者さんのケースでは食生活、腎精不足が絡んでいました。

食生活の指示も良く守って頂き、低炭素の食事に変えて頂きました。

その結果、ヘモグロビンA1c7の前半から5の後半まで落ちました。

しかし、3か月後の運動率は7%に落ちています。

腎精不足が相当に強いので、当然の結果ではありますが・・・

ただ、この患者さんはありがたいことにもう少し細かな検査を受けてくれています。

それを見ると良好精子率は格段に挙がっていました。

 

●解釈としては全体の精子数は落ちていましたが、レベルの高い精子は増えたと考えられます。

これだと自然妊娠は難しい(ごめんなさい)ですが、人工だと確率が高くなると考えて良いと思います。

全体数を維持するために性行為を大事にしながら(性行為のあるほうが運動率は落ちません)、人工に挑戦されるという方向は見えてきました。

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胚移植の前に

2012/5

この患者さんは6回目の胚移植(ET)の3週間ほど前にお見えになる。

ZIFTかIVF-ETかの確認を取らなかったが、過去2回の胚移植は2個同時戻しだという。

 

弁証すると腎陽虚からの水湿過多、世間でいう『冷え症は不妊になる』の典型例。

当院で不妊全体の1割にも満たない例である。

通常は冷えが治れば妊娠するほど簡単な例は少ない。

個人的見解では、このタイプの方は着床期内膜(最も妊娠しやすい排卵後7日前後の内膜)の時期が後ろにずれるか、低いレベルで安定する。

また、エストロゲン、プロゲステロンを入れても、元の腎陽が不足のため、なかなか内膜の厚さや柔軟さに反映しない。

今回、初めて内膜が10ミリを超え、妊娠反応も出る。

ただ、後数日経たないとたい胎嚢の確認はできない。

私としては後は祈るだけ。

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早発閉経を避けたい

2020/5

《症例・不妊症》

30代半ばの女子。

D3のFSHが上がり続けて29を超える。

E2の減少もあるなら補腎益精が基本。

FSHの上昇のみなら肝の疏泄失調を加味。

時に血オで新血ができないことも ...

詳細は省くが、このケースでは腎精消耗より、血の生成不足が著しい。

原因は心労。

精神不安はとにかく心血を不足しやくする。

睡眠不足も顕著で、肝の血不足しがちで気虚もあらわれてくる・・・

血不足が長期化する腎精が滋養できずに良質の生殖の精が作られない。

こういう状態では、ホルモン剤を投与しても、効きが悪いというか、感受性が下がってくる。

不妊治療中なら、ピルでリセットを繰り返すことに、

こういうケース幾度も見てきた。

最悪にシナリオなら早発閉経に

 

脾胃を立て直し、気血を増やすという手もなくはない。

配穴は急性なら配当する腹部に集約、慢性なら全身に拡散。

ちょっと奇策だが、首肩辺りを鍼でほぐし、睡眠レベルを上げるという手もある。

何とかFSH上昇を食い止め下げに転じた、27ちょっとだが・・・・。

もう少し下がったらE2を上げる方向に舵を切る。

後はニコッとする。

 

 

 

 

 

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この中で頑張ってくださって有難い

2020/5

新コロナウィルスの脅威の中、来月までは当院では患者さんの減らして継続となっております。

通常時の7割減は厳しいのですが、もっと厳しい業種の方もおられ、泣きごとは申しませんわーい(嬉しい顔)

こんな状況で4月、5月で3名の方が妊娠まで辿りつくことができました。

うちお二人が40を超えても諦めずに頑張ってくれていたので嬉しかったですね。

とくにお一人は2年以上継続しており、採卵のできない状態からの出発だったので本当に良かったです。

不妊治療の絶対数が減少している中ではかなりの確率ですが、これはもうおひとりおひとりの問題なので確率は何の意味も持ちません。

今後も東洋医学の立場から丁寧かつ的確な治療に心掛けたいと思っています。

 

ちょっとよい話

2020/5

◇症例◇

奥様が不妊外来に通い始めた友人のK君。

ついでに自分の精子の運動率を測ってみることになりました。

何と30数%しかありません。通常50%以上ないと、自然妊娠が難しいとされています。

「不妊はオレの問題???」  こんな例、つまり男性の側に問題があることも少なくありません。自分の責任を自覚したK君は運動率アップ作戦を敢行します。 その内容は………
 1.海馬補腎丸を毎日3回飲む。

 2.太谿に日に数回お灸を据える 、のふたつです。

漢方の立場では、精子の運動率は腎精と肝の疏泄が絡みます。 ストレス、緊張、焦りなどの心理状態があれば、肝の全身の気を促す働きを停滞させます。 これを専門家は肝の疏泄失調と呼びます。運動率は著しく落ちますね。 また、腎精が転化し精子を作り出します。そこで腎精不足は、精子減少症や活きの悪い精子が増え、結果運動率の低下となって現れます。
話を戻しましょう。海馬補腎丸を飲んだり、太谿に灸を据えること腎精にアプローチする行為なのです。ちなみに太谿は脚の内踝とアキレス腱の間の拍動部に取ります。 1ヶ月後……
運動率は70%近くになりましたとさexclamation×2exclamation×2手(チョキ) めでたしめでたし。

不妊症は夫婦二人の問題です。

男性も怖がらず婦人科の門を叩いて下さい。 問題がなくとも女性を温かく見守ってあげて下さい。 

愛する人の精神的なフォローを怠らないでください。 お願いします。

 

 

プレッシャーには踊ろうよ

2020/5

一般に鍼灸院では比較的、痛みを主訴に来院する方が多いようと思います。

90%以上が痛みの方という所も少なくありません。

うちは少ないほうですが、それでも半分の方が痛みを主訴とします。

そこで痛みのレベルが落ちていくことで通院のモチベーションに繋がります。

しかし不妊治療に関しては話しが違います。

もちろん筋腫や内膜症で生理痛が強い方もおられますが、ほかの主訴と比べて自覚的な痛み指標が少ない気がします。

その代わりではないでしょうが、精神的なことや仕事上などで、色々なプレッシャーを抱えながら生活しています方の割合が高いように思います。

不妊治療が長く続くと不安、イライラや悶々いったネガティブな感情で日常生活が楽しくなくなってきてしまいます。

一番問題なのは視野が狭くなってきてしまいます。

伝統医学では、そういう状態が続くと気血の消耗や気血の停滞を呼び込みやすくなり、さらに不妊レベルを上げるといったジレンマに陥ります

精神、肉体的な緩和のために、《ご自身の心が踊ること》をしてあげてください。

現実的に難しいかもしれませんができる範囲で探してみてください。

JRさんなら《そうだ、京都に行こう》でしょうか、残念ながら不要不急ですが💦💦💦

好きだったことを思い出しましょう。

今の視点から解放してあげてください。


チョコレート嚢胞

2020/4

チョコレート嚢胞は卵巣に残留血などの不要な液体の入ったブヨブヨとした袋が出来ること。内膜症のひとつです。軽度であれば妊娠に問題はありません。時間、大きさなどの諸因子により、炎症、癒着、硬化の三要素が妊娠を阻害します。

炎症で問題点はふたつ。ひとつは卵子を採卵できないこと。もうひとつは常時炎症状態が続くとマクロファージが精子をやっつけてしまうことです。

癒着では卵管の癒着から卵子の通過障害という流れが問題です。

硬化は卵巣表面の膜が硬くなり、排卵に至らない。つまり卵胞が卵巣の表層の膜を突き破れないことがあります。

一般に定量ピルで疑似閉経状態を作るか、オペをするかの選択があります。しかし子宮活動期(閉経まで)増殖を繰り返す性質がありますので、一定期間が経つと再発します。

鍼灸の場合、骨盤内の血流を促し、進行を止めることは可能です。

オペ後の状態を維持することも選択肢としてあります。抗炎症、抗硬化の働きもあります。強度の癒着には一端オペなどで体を戻した後で、十分な気血を補うという方法が良いと思います。

個人的には中医弁証の則り、子宮力を高めるようにしながら、スポットを炎症か癒着か硬化かに当て治療します。さらに妊娠率を高めるように精進します。

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血オの方が増えている

2020/4

最近に不妊症の患者さんを診ていると、一つの特徴にたどり着きます。

それは血オの方が増えているということ。

伝統医学で胞宮血オと判定するときには経血色・質、茶オリの程度、生理痛の程度、

あるいは腺筋症、卵巣嚢腫などの病歴、

あるいはBBT曲線などから総合判断します。

これに加え不育症で着床後の血栓などもこの範疇です。

血には活血化オという治療が必要です。

活血化の治療は不妊治療では禁忌として扱われることが多いのが現状です。

しかし、これをしないと実に妊娠率を上げるとことは適いません。

この矛盾をどうするか?

※オという字を漢字で書くと文字化けしてしまいますのカタカナのオで統一します。

 

解決策はココ↓↓↓

血は2次病理であるということ。

血の原因となる1次病理をしっかりと見極めることで解決します。

腎虚血オ、湿熱血オ、血虚血オ、肝鬱血オなどが代表的です。

1次病理を叩きながら、2次病理である血に対応することでこの問題は解決するのです。

低体温

不妊治療で毎日基礎体温表を眺めていると、本当に基礎体温の低い方が多いのには驚きます。 

以下はネットケアーからの引用です。

5月25日〜27日大阪で開催された日本抗加齢医学会で発表された。産科婦人科舘出張 佐藤病院院長の佐藤雄一氏、順天堂大学医学部小児科学講座らの共同研究グループが民間の3万2000人のビッグデータを分析して明らかにした』
※平均基礎体温を0.5℃刻みで見ると

35.0℃未満0.1%

35.0℃以上35.5℃未満1.9%

35.5℃以上36.0℃未満36.8%

36.0℃以上36.5℃未満60.2%

36.5℃以上37.0℃未満0.9%

37℃以上0.1%

平均基礎体温が36℃に満たない女性が38.8%にも上った、ということです。

『低温期の基礎体温を、過去(1972年)の報告と条件を整えて比較したところ、0.32度低くなっていた。』

これって相当にすごいことというか深刻なことだと思います。

僕が診た患者さんの中で最も低かった方は35.2度でした。真っ先に甲状腺機能低下症を疑いました💦💦💦

続きます。『その特徴を調べたところ、低値群で、タンパク質摂取量、運動実施率が有意に低く、朝食欠食率、月経異常の割合は有意に高かった。』 (2018年6月1日)とあります。


低タンパクで運動不足は予定調和的結論でその通りでしょう。

僕の臨床体験も加味すると、筋量がそんなに多くないなら、気温が少し低いだけでも「寒い!寒い 」を連発する方がなんと多いことか(笑)

こんなケースは伝統医学では腎陽の不足として治療することが多いでしょう。もちろん「低体温=腎陽不足」というほど短絡的ではありません、肝血虚の方もこの傾向を持ちますから、しっかりと分析する必要があります。
不妊で問題になる低体温は、上述の陽気不足なら、子宮の活動力も確実に低下していると考えて良いでしょう。ここから病理連鎖で不妊症まで展開というケースも少なくありません。36.3℃は欲しいですね。
不妊症の場合、通常の腎陽を補う治療にある療法を加えます。なかなか面白い結果が出ています。
腹巻をすることで逆効果の方をたくさん見てきましたので、もう一度繰り返します。
低体温にも色々な原因があります。仮に陽気不足にしても温めるレベルのみの低下か、活動能力レベルまで低下するかで、その後の2次病理への展開が全く異なります。

 

妊娠レベルが低い方への援護射撃

不妊歴が10年以上に及ぶ方、E2が極端に低い方、卵巣嚢腫をもつ方あるいは年齢的なリスクを抱える方など、比較的妊娠レベルが低いと予想できるケースでは邱紅梅先生とカンファレンスをいたします。 

 

kyuu.jpg邱先生は北京中医薬大学出身で北京で婦人医としてご活躍されていました。婦人科医として専門知識、とくに不妊症の症例に関しては豊富な経験をお持ちです。邱先生については「漢方養生法」「漢方的183のアイディア」(ともにオレンジページ)、「わかる中医学入門」(燎原出版)、生理で診断体質改善法(家の光協会)などに、その考え方が示されています。

巨大筋腫

2020/01/20

◇症例◇
今、巨大筋腫の方を数名見ている。
そのうちお一人は、出血量が多いことや痛みが強いこともさることながら、生理が始まると全く食べられなくなる。毎回2Kg前後体重が落ちる。
気持ち悪さでとにかく食べられない。
僕も診ている間に、4Kgほど落ちたことがある。湿熱が溜まりやすい時期と仕事でのハードワークがたたったのであろう。
鍼灸治療はもともと生理前だけで、忙しいご本人の都合を優先させていたわけだが、この治療間隔では埒があかないと思い、週一度来てもらうことにする。
なかなか仕事の都合で難しいのだが…😭 最近は少し筋腫も小さくなる。何より生理中から始まる食欲不振がかなり減少。


これはご本人にとって何より嬉しいことらしい。 役に立って良かった。 

低温期の乱高下

2019/4

◇症例◇

この間、不思議なBBT(基礎体温表)を見ました。

低温期が+−0、2℃ぐらいは良くあるのですが、このケースでは+−0、4℃あります。

体温を計る時間も一定しておられます。

高温期になったという意味ではありません。

排卵前の話しです。

伝統医学的には腎虚が多いといってしまえばそれまでですが、

何か腑に落ちません。

低温期の乱高下は、睡眠状態の乱れと関連する、という経験則がありましたから、その辺を尋ねます。

とにかく睡眠が浅く、よく起きられるようです(途中覚醒が多い)。

2度寝、3度寝、4度寝・・・・・

体温を計る時間は一定でも・・・

眠って1時間後だったり、3時間後だったり、5時間後だったりするわけです。

日によっては起きて2時間後のときもあるでしょう。

この睡眠の不安定さは伝統医学でいう心の病症が多いのですが、

この辺も治療対象となりますね。

卵巣機能は益精?

H31,4/16

お疲れ様です。金澤です。

不妊治療と鍼灸を組み合わせている方は割合的に多いと思います。特に最近は体外受精をされている方が多い印象です。卵巣機能の状態で採卵できるか変わってくると思います。東洋医学では概ね益精、活血もしくは疏肝を組み合わせて卵巣状態の機能を上げるように工夫しています。また鍼灸で心身を整えることによって誘発剤の感受性を高めてくれる可能性もあります。

ただ時間の問題や不安、他人との比較などの感情揺さぶりは常にあるものです。この感情の揺さぶりが身体に影響することもあります。感情をなくせ!とは言いません、というより言えません。人造人間ではないのですから…

心身一如、心と身体は一つ。東洋医学の考え方です。

視点を変えることも大切なことになります。以前に比べて生理の状態が良くなった、ストレスを溜め込まなくなった、採卵が1個から2個になったなど、ご自身の今と昔のプラス変化を見てあげることも大切なことかなと私は思います。

余計なお世話!って思われてしまうかもしれませんねあせあせ(飛び散る汗)

それでもお手伝いしたいから書いてみましたm(_ _)mごめんなさい!

 

〜院長より〜

不妊症鍼灸の方々の9割以上は不妊外来との併用です。

金澤先生の言どおり益精、活血そして疏肝と補腎が妊娠への鍵となります。

とくに卵巣機能を上げたいなら益精から補気養血が重要です。

まずD3でE2を30くらいまでもっていきたいですね。

 

超巨大筋腫

2019/1

◇症例◇

筋腫が10pを優に超える患者さん。

腹診でも触知できます。

本来ならオペの領域ですが、年齢が50歳を超えているので、閉経までは持たせたい(この状態を維持する)ということで治療を受けることにしました。

筋腫は腹部鍼が良く効きます。

腹診で患部硬結の対側や臍部に表れる第2硬結を潰してゆきます。

5分ほどで患部硬結がなくなりました。

ここまでは鍼を刺していません。

鍼管という筒を当て、上からトン・トン・トトンと叩いているだけです。

 

後は中医弁証に従い活血化オ。

 

翌日、生理終了4日目に関わらず、まるで生理が再開したような出血が始まります。

筋腫の治療でこのようなことはむしろ良い兆候。

次回の病院での検査ではかなり縮小した数値が期待できるでしょう。

内膜症の3パターン

2018/11

子宮内膜症は不妊症の原因疾患のひとつです。異常内膜組織がどこにあるかでちょっとずつ症状に違いが出ますね。腹膜、卵巣、ダグラス窩に大きく分けます。

腹膜型は生理痛がチクチク針で刺されたかのような感じになります。

卵巣型はいわゆるチョコレート嚢腫ですが、かなり激しい痛みです。絞られるような感じという方が多いようです。サイトカイン(炎症物質)が多くなりますので風邪を引いたように悪寒や関節痛をあらわすこともあります。

ダグラス窩型は肛門痛が特徴です。肛門の奥のかなり痛みがあります。

まず、確定診断が必要です。

治療は一時生理を止めて内膜様物質を縮小させます。

昔はリュ―プリンで元から生理を止めましたが、副作用が強く、更年期様症状があらわれる方もいます。これで自律神経失調症になり治療した経験も何度かあります。

最近は低量ピルで生理をコントロールするのが主流です。

必要以上に怖がらず、まず診断することが肝要です。

問題はここからです。

縮小した状態をどう維持するかです。

腹腔鏡でオペも選択肢です。

しかし、その前に骨盤内の循環を促す運動などで維持管理に努めてみるのはどうでしょうか?

現代は自然に逆らう生活が主ですね。

OLさんならずっと座っています。

スパー勤務なら寒すぎです。

もっと動いて動いて・・・言いたいのです。

今日の新患さんの矛盾

2018/08 

今日の新患さん。 主訴は第ニ子不妊。 年齢(48歳)、言葉尻から最後のチャレンジをしたいという意向がうかがえる。 

詳細は省略するがかなり重度の子宮内血オ。

E2の数値や脈診から腎精不足。 活血化オを第一義治療とし、益精を絡ませるという戦略で良いだろう。 

ただし、左心経を触れると冷たい。 動悸の有無を尋ねるとよくあるとのこと。 甲状腺機能低下でチラージンを飲まれていた、という話もあり、冷え症を予想する。 

これが予想外に根っからの暑がり。 冷たいものもガブガブいける口。

機能低下的でありながら、実熱症状を出す。 ならば証はふたつほどに絞られる。 こういうケースは時折ある。 大きな治療方針である活血化オ、益精にあるツボを加味して行く。

恒常性維持と婦人科

ちょっと思考を変えて、伝統医学の世界観から恒常性について考えて見ます。

恒常性の維持とは同じ状態を毎日保てる働き・仕組みを指します。

外部環境が刻一刻と変化しても、体の中は一定です。細部を見渡すとエントロピーの法則に従いたくさんの細胞が死滅するわけですが、すぐに再生して元の状態に戻ります。

厳密には全く同じということは有り得ませんので、見かけ上はあまり変わらない状態に戻るというのが正しい認識になります。

例えば前回の月経に比べ、ちょとだけ痛みが強いとか量が多いとかでは悩まないでください。誤差を認めないと非常にストレスがたまり、不妊の誘因になりかねません。

 

○毎日全く同じということは有り得ない。同じ程度の状態が真実で誤差を認めましょう。

本題に入ります。恒常性維持には精、気血、衛気の3要素が深く関与します。「気血のめぐりが悪ければ病気になります」。何となく納得してしまう言葉ですね。最近は女性誌にも登場するフレーズです。

12本+2本の経脈(けいみゃく)が体を巡り、そこから絡脈(らくみゃく)という枝を出します。これが体内最大のネットワークシステムであり、ここを流れる2大栄養素が気と血なのです。このネットワークの中には中継地点があります。これが経穴(けいけつ)、いわゆるツボです。

気血の原材料は口から入るもの、つまり食べ物、水、空気などです。自選的システムで必要量に応じて配分されています。夜寝ている間に、余力の気血が肝に溜められ、その一部が子宮に流れ込みます。睡眠不足、ストレスで肝の働きを停滞させると子宮に流れ込む気血が増減します。これが排卵までの日数の差としてあらわれます。

では気血の質はどのように保たれるのでしょうか?

そこで精の役割が出てきます。腎を根源とする精は気血とともに経脈、絡脈を流れます。精は気に血に転化する物質です。精の足りない人は、量的に気血が足りていても、ときに気血両虚の症状を起こしたりします。概ね腎の弱い人です。月経の日数や量は平均的ですが、ホルモン剤を使っても、なかなか内膜が10mmを超えない人などが相当します。

 

これだけで恒常性が維持されるほど世の中は甘くありません。ときに外部環境の変化が激しくかつ急であったり、内部に尋常なならざる邪が存在することもあります。新種のウィルスや現在の放射能による影響などがこの類です。迷惑千万ですが・・・このとき大活躍するのがフワフワの気である衛気です。主に体表、粘膜、臓腑の表層部に存在し、初期対応を主な役目とします。衛気が弱いと膣に感染症を起こしたり、膀胱炎を起こしたりします。長いめで見ると子宮漿膜層の筋腫などを起こす要因にもなりかねません。 

衛気の強化には適度な発汗や筋肉の収縮が欠かせません。  

(要約) 気血の材料は口からはいるもの。気血は経脈・絡脈を通り全体を栄養する。気血の質は精により変化することも。急な内外の変化には衛気が対応する。 

うひとつ大事な視点があります。

これらはすべて心の持ちようで変化します。

ウキウキ感が全身を覆っているような心持のときに最大限の働きをします。病は気から、気の持ちようとはこのようなことを指すのでしょう。笑うと免疫力が上がるという報告もあるくらいです。


 

○気持ちを穏やかにする工夫。

○腎ー精のラインの強化。

○口から入る空気、水、食事を気をつけながら適量の気血を維持する。

○適度の運動で衛気の力を維持する。

の4要素が重要になります。

 

 

 

 

 

 

                    

子宮年齢と実年齢は違う

21018/4

今年に入り3月末の時点で12名の妊娠が確認されました。

40代の方も3名おり、35歳より上の方々は11名です。

昨年から40代の方々の妊娠〜出産に関わる中で意を強くしたことがこの「実年齢と子宮年齢は違う」ということです。

患者さんの8割方の人は体外受精の段階で、タイミング療法から数えると3〜7年くらい経過しています。

その間、誘発剤類、リセットに用いるピル類、あるいは混合ホルモン系、刺激ホルモン系などの投与が常時あり、 子宮自体に過剰負担がかかっています。


素問の挙痛論だったと思いますが(違ったらごめんなさい)、『労すれば気消耗す』という下りがあります。


労は労働ではなく、真面目、一生懸命などという解釈です。


つまり一生懸命も過ぎれば気が減りますよ、という意味。


一生懸命不妊外来へ通い、一生懸命子宮に刺激を与え、心ならずも子宮を一時的に過労状態にさせていると思われるケースもあります。


数字的にはGOサインなのに、何といいますか、子宮の生命力のようなものが足りず妊娠に至らないケースがあると感じます。

さらに長期化の中でストレス、恐れ、不安などの心理が増大して、投薬の効果すら弱まってきます。

生命を根付かせ、、育くむ器官の持つ奧(心底)にある力のようなものを引き上げることが肝要なように感じます。


実年齢に焦りを感じる気持ちは重重理解します。


しかし、子宮の年齢も大事であるという認識に立ち返ることも必要です。

妊娠を意識しなかったときの楽しさを思い出してみませんか?

まずは、子宮の側から一旦考えてみてはいかがでしょうか?

子宮を過労から守るという視点は是非に考えるべきでしょう。

 

 

 

低温期と生理日数

2018/1

不妊治療でBBTを付けたことがある方はほとんどだと思います。

毎朝目覚めてから体温を測ることはとても大変なことだと思います。毎日測っている方には頭が下がりますモバQ

低温期は概ね14日前後で、その後排卵へ移っていくのですが、低温期が長い方もいらっしゃいます。

東洋医学では低温期が長い方は、血が子宮への流入が遅いもしくは少ないと捉えます。

そして生理日数との相関しているように思います。

東洋医学では低温期に子宮に血を貯めていき、内膜の基礎を作ると考えます。

家を作る時に基礎をしっかり作るようなイメージです。

血の貯まりが悪いと内膜が不安定で高温期に内膜が厚くなりにくくなります。

その結果、生理日数の短さに繋がります。

もちろん、上述した低温期と生理日数の関係だけではないのですが、割に多い例として挙げさせて頂きました。

 

子宮の感受性

2018/1

 子宮内膜が中々厚くならない方がいる。 LHやPRTはそこそこある、或いはかなりホルモン剤を投与しているが、子宮が反応してくれない感じの人を指している。 このような状態を一般に感受性が悪いという言い方をする。 

これには原因として、ひとつに子宮、大きくとって骨盤内の血流不足や抗酸化能力の低下などが挙げられるだろう。 

血流や抗酸化力低下なら鍼灸でいかようにでもなる。 

掻爬歴も感受性の悪さの要因になることもある。 絨毛組織などを残さないように、かなり深くえぐると、その部位のみ厚くならなかったり、硬化しやすくなり、刺激ホルモンに反応しにくい組織が出来上がる。

ただ、これだと掻爬後に熱が出たりしないのでミリットもある。しかし妊娠の観点からならマイナスはかなり大きい。 最近は掻爬を吸引に変える病院も増えてきているという。 今後、妊娠を考えるなら、この視点も頭の隅に置いて欲しい。

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レアなケース

2018/1 

◇症例◇

不妊症の患者さんでしたが、 とてもレアな弁証となりました。 

固摂失調による不妊症でした。 

とても珍しく昨年はこのタイプの方はおりませんでした。 

見た目では肝気鬱に見えます。

確かにその徴候とありまっす。

FSHから推定できるE2も低いと予想されますので、軽度の腎精不足もおありでしょう。

ただ問題なのは全体として腎気が弱さが直に子宮の活動力の弱さに繋がり、その中でも封蔵が弱いという流れなのです。 

患者さんにもちょっと運動してもらうことも加味すれば半年くらいでいけるでしょう。

お灸を多用しなければならないケースです。

 

※ お正月は、とある国の少数民族の幼稚園に寄りました。

背中にあん摩とかエアー鍼(刺さない鍼)をやっていたらちょっとした人気者になりました。 

可愛いですね。

不妊の方の共通項は内腿の硬さにある

2017/10

不妊症の患者さん多く見ていますとある共通項があります。

別にBBTや月経に関わる症状ではないのですが・・・ね。

8割強の方々が《身体が固い》。

とくに大腿内側、つまり内ももが固い。

だから・・・

開脚が苦手。

座った状態での開脚+前屈はとくに苦手、見る影もない。

額が地面に着くなど、秀吉ではないが夢のまた夢。

知人の中にも不妊で悩む子は少なくありません。

この辺を改善しただけで妊娠した子もいます。

やって損になることはないので試してみてください。

第2子不妊

2013/9

最近第2子不妊の方が増えている。

古典的(昔の文献)には、腎精不足が関与していると言われるが、現在は状況が変わってきたいるようだ。

婦人科を考える際、経・帯・胎・産が大事である。

は月経の状態。

は帯下とくに頸管粘液。

は妊娠中。

は出産や産後。

 

〇第1子不妊は月・帯について考察する。大なり小なり血が絡んでいることが多い。

〇第2子不妊はこれに加え、胎・産を考えなければならない。

第2子不妊になりやすいケースを挙げる。

※妊娠中:流産しかかった方、早産の方、妊娠鬱を経験した方

※出産:難産の方(現在、難産の方は途中で帝王切開に切り替えるので昔より少ない)

※産後::産後鬱の方、母乳の出の悪い方、授乳期が長い方、職場復帰が早い方

概ね虚証(気・血・精が足りない)の方に多いのが特徴です。

生理日数3日

お疲れ様です。

 

今回は生理日数と経血量について書いていきます。

簡単に生理の概要を書きますと一般的に生理周期としては28日±3日、生理日数としては5〜7日が理想的と言われています。

実際に生理日数の短縮や経血量の減少はどのような症候がでるか具体的な例として出してみます。

・生理日数が3日以内や以前より日数が短くなった

・低温層の延長もしくは生理周期の延長

・不妊治療でいえば内膜の薄い(10mm超えない) など

 

ではどんなことが原因で日数の短縮、経血量の減少に繋がるのか中医書や臨床を合わせて紹介していきます。

・睡眠時間が短くなった、もしくは眠りが浅くなった

・食事の量や質が落ちた、消化、吸収のレベルが落ちた

・過度の心労や過労が長期間続いている

 

このようなことで日数の短縮や経血量の減少を招きます。

また上記のことが起こっても今週期より次周期以降から症候として現れやすいと感じます。

 

女性はおおよそ1カ月に一度生理が来ます。ご自身の体調管理の目安として参考にしてみてください。

 

 

内膜増殖症

ときおり診る内膜増殖症。

子宮内膜が過度に増殖してしまう。

年に何回も掻把する患者さんもいる。

単純性のものはまだしも異型細胞があるものもある。

とくに更年期のそれは前癌症状の可能性が高い。

臨床例が10数例しかなく、早計な物言いはできないが、

血オの熱型が多いように思う。

陰虚による虚熱と血オの混合型や血熱血オなどが多かった。

この病理の特有の基本形はまだ掌握できていないが、少しずつ理解できるようになる。

婦人科疾患が劇的に変化(悪化)する際は、大概に疏泄失調が絡む。

肝気鬱による疏泄失調ではあるが、精神的重圧や我慢などだけではなく、

虚労的な要素から肝気虚、肝血虚による疏泄失調も少なくない。

  ▼※☆〇◆☆◆▼

婦人科を丁寧に追うとその方の日常が見えてくる。

胞宮(子宮)に優しい日常を望みたいが、

現代はそれを許してくれる環境にない。

偏見ではなく、男性以上に、体を犠牲にして社会に伍するように女性の体はできてはいない。

現実の社会に則して生きるなら、相当の知恵と工夫が必要だろう。

 

☆ゆっくり前を向きましょう☆

妊娠にたどり着く

おはようございます。金澤です。

◇症例◇

先日嬉しいご報告を頂きました。

不妊治療でいらしている患者さんに妊娠反応がでました晴れ

今まで体外受精を3回トライして4回目たどり着けました。

この方は子宮内膜が薄く伝統医学では胞宮内の補気補血を中心に治療を行ってきました。

 

胎嚢も確認できましたが安定期まではしっかり気を補うこと中心に治療していきたいと思いますexclamation×2

月経量を増やす

生理の際に出血量を増やすコツについて、何件かの問い合わせがありましたので再度簡明に説明します。

◎意義…次回の妊娠の可能性を高める為「余分なものはすべて出す」を目的とする。

通常子宮内膜は受精卵の受け皿になりますね。排卵前後の10ミリを超える厚さまで増殖します。この内膜はいわば妊娠のためのもの。

妊娠しない場合は余剰のものとなります。

これが剥がれ落ちたものが月経時の血です。

子宮の推動作用(押し出す力)が弱いと、血が出きらないことがあると中医学では考えます。

これが気虚血オといい、不妊症で多い病理のひとつになります。 

○ポイント…鼠径部〜ももの内側を伸ばす。

●方法

@四股の形を取る(お相撲さんが仕切りの時に取る姿勢)
1〜2分腰を落とした状態を維持する。

A次にどちらかの脚を外側に伸ばし、半四股状態にします。

B外側に伸ばした脚に向かい、ゆっくりと自身の上半身を近づけてゆく。

うちももの付け根が痛い程伸びてくることが確認できたら、上手に出来ていまる証拠になる。
10〜20秒その姿勢を維持する。

C左右行う。

※再度繰り返しますが、子宮から血を排出する力は、子宮の気の押し出す力(推動力)によります。この気が足りないか滞ると、血を外に押し出せなくなり、出血量が減るわけです。
四股レッチ(勝手にそう呼んでいます)はこの子宮の気に働きかけてくれます。

おわかりいただけましたでしょうか?

良かったねと言いたいから知らせてね

2016/4

◇症例◇

半年強ぶりの患者さん。

妊娠24週目に入ったそうだ。

心配してたから『知らせてね』と、言いたいところだが・・・

まぁ、良かったです。

今日も別の方ですが、移植日から逆算したHCG値からみて、明らかに妊娠反応が出ている。良かった。

ただ、それより猫が嘔吐して、それが気になっている様子。

この方食事も喉を通らないようだ。

猫もすでに回復傾向、部屋中動き回っている様子。

はい、自分の体に留意するよう、心を切り替えましょうね。

 

 

 

 

このような方も居られんですね?

2016/3

◇症例◇

昨日に妊娠反応が出た患者さんは44歳。不育症レベルが高く、4回目の妊娠反応です。胎嚢確認はありましたが、HCGが少し低め。ここからは陽気を増やしながら、活血するという方法に切り替えます。難しい治療になりますが、やるだけやります。

ただし、このご婦人、4回のうち3回は体外受精ではなく、自然妊娠。ご結婚が40歳だったので、年齢を加味してでしょうか最初不妊外来に通院しておられます。

自然のほうが妊娠しやすいともいえるケースにも見えるのですが・・・ここは口を出すところではありませんので・・・・。

このようなケースは過去に何度もありました。理由がよくわかりませんが、体外受精を繰り返す患者さんのうち、不育症を併せ持つ方に、自然妊娠をする方が多いように思います。

私たちが未だ知らない自然の摂理の法則のようなものでもあるのでしょうか?

あるいは年齢因子以外に体外の必要がないのか?

わかりません。

毎日わからないことに遭遇している気がします。

治療とは深いものです。

自然とはわからないものです。

 

 

 

 

 

微妙な数字

2015/11

◇症例◇

今日の妊娠判定日の患者さんはちょっと微妙な数字

HCG44・・・・微妙だ。

全身および子宮の状態もまぁまぁで、血オも大分改善されていたので期待したが・・・

早急に気を子宮に持ってゆき、

腎気を強化する。

大胆、細心に行う。

ここでは神門の使い方がポイントになる。

後は深呼吸を数十回行い、神様とコウノトリにお願いする。

※何とか出産までこぎつけました。良かったわぁー。

 

生理中に体温上昇

このケースは滅多にありません。

以前にも生理中に体温が上げるケースの中医学的解釈をしたことがありますが、数年に一度程度で会います。思いのほか多いのかもし

れませんね。生理終了後体温が上昇する方は実際に多いです。

 

ホルモンの乱れといってしまえばそうなのですが・・・

生理2日目から数日体温が上がります。

まるで生理中に排卵しているように見えます。

そうならば一方で黄体ホルモンが生成され、その一方で黄体ホルモンが萎縮し子宮内膜が剥がれる・・・

考えられないこともないですが、通常はなかなか見られません。

伝統医学的には肝をベースに考えれば解釈は成り立ちます。

それに、このケースでは痰熱をどう解釈するかです。

年々難しい方が増えます(笑)

頑張ります。

幸い先週から今週にかけてお二人妊娠して下さいました。

ありがたい話しです。

 

 

 

予想外の妊娠

◇症例◇

患者は39歳。

10年以上見ているが、そのほとんどが虚労(疲労症候群)の治療。

体力、消化力が著しくない上に、ダブルワークで夜中も仕事。

ベッドに入ると問診前に寝る。

いつも脾腎を補うことから治療する。

その甲斐があった否かはわからないが、

結婚後すぐにご懐妊。

現在16週に入る。

おめでとう。

 

 

 

 

結びの5〜6月

2015/6

毎年のことだが、春から梅雨前までは妊娠する方が多い。

自然妊娠なら平均化するのだろうから、不妊治療も季節を問わずトライする。

凍結卵さえあれば、移植を年に5,6回トライする人もいる。

鍼灸治療の場合、オン・オフを意識してもらう。

タイミング、人工ならともかく、体外なら体を作るときしっかりと作り、良い状態でトライしてもらうと妊娠確率が上りやすい。

体をつくるときは子宮の陰陽を調和する。

具体的にはその人の子宮の寒熱虚実の偏りを平らにする。

腎の封蔵や気化、脾の固摂と運化、腎陰・腎陽の充実、肝血と疏泄。

それに最大の関門、子宮自体の血。

しっかりと月経の状態やBBTを見ながら作ってゆく。

そのトライの時期が、陽気が亢じやすく、陰気もそれなりにある春季ということなのだろう。

 

 

 

 

この数字は低い(妊娠反応)

2015/6  臨床例

一昨日判定日の患者さん。

内膜は初めて11ミリ越えまで来る。

ただ受精卵のグレードは低い。

一応妊娠反応は出た。

最低の数値だが・・・・・

望みは捨てない。

通常、このようなとおき陽気を押し上げるような治療をする。

 

今回は化痰と活血に主眼を置く。

現状で40代が主体の当院では行気活血あるいは化痰が必要なときも少なくない。

むしろ補腎のウェートは低いだろう。

今週はこういうケースが多く見られた。

何とか一緒に頑張ろうexclamation

僕より先に諦めないでくださいね。

 

 

 

 

 

なるか三度目の正直

2014/12

この症例は、タイトルにあるように当院で三回目の妊娠確認です。

初診時から2年近く経ちました。

それまでの数年間は婦人外来に通うも妊娠歴はありません。

昨年の始め、今年の初め、そして今回と繋がります。

不育症を疑い、杉先生のところにも行って頂きましたが、不育症の兆候は見られないというご判断。

今回、心拍確認ができ、産科を探しておくようにという指示を取り付けたところまで来ました。

 

鍼灸治療的には、以前の2回と違うところは、化痰を加えた点にあります。専門家でも私の言っていることが理解できないと思いますが・・・・。

妊娠反応の後の治療で、補腎のほか、活血を微妙に加えることがあります。今回その活血に代え化痰を加えました。

後は42歳という年齢からくる腎精不足との兼ね合いです。

治療の機会を下さり、信じて付いてきてもらったことに感謝します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とか胎嚢確認まできた

症例

40代の方の妊娠はそう珍しくもありませんが、

さすが40代後半の方で妊娠までたどり着く方は年間でもそうはいません。

今回の方は今年2回目の体外チャレンジ。

前回同様HCGが低い(32)・・・・

46歳という年齢もあり、なかなか難しい・・・・

その後の2度の鍼灸治療で何とか胎嚢確認までこぎ着けました。

この数字(判定日)からここまで来た(胎嚢確認)のは、ひとえに年齢以上に腎精が強いのだろう、と思います。

鍼灸治療は患者さんの持っているものをいかに引き出すかが勝負。

患者さんに恵まれたことに感謝します。

面白い脈状(ピル使用時)

2014/12

 

最近の臨床での話し。

病院でリセットしましょう、という話になり、ピルの服用。

飲み終わって翌日に来院。

当然ながら生理は後一両日中に来る。

尺沈部の脈に滑脈が?????

めったにないことである。

尺沈部の滑脈は、下焦の血鬱を表わすことがある。(原文:溺血経鬱或見于妊娠)

妊娠は考えられない。

ならば血が経に鬱して溺れると読めば、子宮に血が集まり過ぎているという解釈が成り立つ。

本来の状態ではない時に、血を子宮に集めるのがホルモン剤(このときはピル)の役目とも言えなくはない。

ホルモン剤には功罪がある。

病理的には血熱か血オを生む下地を作ることもある。

ホルモン剤の良い部分の影響を残し、病理的な部分を排除する鍼灸治療も必要だと再認識させられた脈状であった。

 

 

妊娠反応

2014/12

◇症例◇

数日前の患者さんは妊娠判定日にHCG32、年齢46歳、

本日の患者さんは判定日にHCG101、年齢42歳。

お二人とも伝統医学から見れば腎精が不足ぎみ。

 腎を補いながら、少しだけ活血を促す。

 

この微妙な配合比が難しい。

本当に難しい。

 後は天に任せるだけ。

 赤ちゃん頑張って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HCG20〜50

体外受精の後の、妊娠確認。

HCG20〜50の間、

期待薄すだが、妊娠反応がないわけではないという見解が大半。

1週間後に再び妊娠反応を調べます・・・・・

この間の治療が難しい・・・・

伝統医学の立場から・・・・

 

鍼灸師として何ができるのか。

妊娠維持するだけの腎精が不足しているのか?

子宮内の血オがつよく受精卵の根付きが悪いのか?

気滞の流れが悪いため受精卵の勢いがないのか?

 

それを見極めながら治療を組み立て、

さらに陽気を増す手法を加える。

後は、ご本人に落ち着いて頂き、天にお任せという感じになる。

 

内膜増殖症

2014/2/13

仕事終了の後、スタッフと臨床の話をすることがある。

特徴的な症状について論議する。

今日は内膜増殖症の患者さんの話し。

増殖症は年に1例あるかないか・・・

この患者は日頃から内膜が厚い傾向があるところへ、補腎薬、プラセンタ、黄体HLをかなり入れている。

今回は20ミリを超えたようだ。

異型細胞なら前癌症状として掻爬する。

以前、年に4,5回も掻爬した方を診たことがある。

この患者さんは異型はないので、少し中をお掃除した程度であった。

年齢が40半ば過ぎであることから、焦る気持ちは理解するが、

同系統というか同じ方向性を持つ薬をやや取り入れすぎるきらいはありはしないか?

私なら、

ここは大きく活血の治療にシフトするだろう。

 

移植の後は伸びをして

2014/2/11

不妊治療の患者さんと話していると、体外受精〜判定日までが長いとおっしゃいます。

不安のあらわれです。

ちょうど受験生の発表を待つ気持ちに近いものとだと思っています。

ぎりぎりの合格とか、もう少しの不合格などもありますが、

ご本人からすれば白か黒しかありませんので、不安になるのは当然だと思います。

さらに受験ほど努力が結果に結びつくものでもありません。

妊娠というプロセスは伝統医学から考えましても、

腎精の充実、腎気の趨勢、腎気の封臓・脾気の固摂、肝気の疏泄、心血の充実、脾からの営養、子宮周囲の衛気、そして子宮の蔵瀉の機能などが統一的に、流れるように営まれます。

それにお相手の方の精子の充実度という問題も避けては通れません。

また仕事、運動など人的な環境+季節との親和性(陽虚の方は冬場に陽虚を進行させやすい、陰虚の方は夏場に陰虚を進行させやすいなど・・・)などもあるでしょう。

視点が極めて多方面にわたるので、ひとりで抱えるには重すぎるのです。

重い物は一旦横に置いて下さい。

この移植から判定日までは、たくさん努力して、たくさん心配してきた心を解放させる時期であるように思います。

実は一番伸び伸びする時期なのです。

背中を大きく伸ばす時期なのです。

解放しましょう。

 

不妊症臨床例(黙々淡々と通院すること10年)

黙々淡々と通院すること10年

この症例は10数年前、某雑誌社の依頼により記述したものです。個人的にはこの症例を契機に不妊症というものを深く考察するようになりました。              

 ●今症例の女性は、多重文脈的生活者に流れつつあった論者を引き戻してくれるに十分な材料を提供してくれた。彼女のこの10年間は、妊娠するために費やされたといって言い過ぎに当たらない。それほど妊娠にかける思いが強い。もちろん現代に生きる以上、様々な顔を持つわけだが、その思いの強さと比べれば付録のようなものだ。あたかも仕事に向かうかのように淡々と不妊外来に通いつめる。不妊患者さん特有の心情の乱れも感じられない。妊娠=生活全部であり、いわば思いが重いのである。自然にこちらも感化され、不妊治療を考え、積み上げ、精しくなって行く。

[初診]平成××年5月、女性、40才、主婦。

[主訴]不妊症

[経過]27才で結婚。31才に妊娠するが13週目で流産。以後人工受精(AIH)を30数回、体外受精を3回行い現在に至る。その間に子宮内膜症軽減の目的に腹腔オペを2回、開腹オペを1回行う。そのほか腹腔鏡検査の際、卵管の通過障害を改善する処置を数度試みる。

●流産したその日、体調のすぐれないご主人に不運なニュースが届く。リンパ系の悪性腫瘍と診断される。その後はインターフェロン投与で奇跡的な回復を見るが…、人生とはままならない。

 患者の言葉の端から推察すると、ご主人は自身の病気を機に「いのち」について深く感じるものがあったようである。それ以後、御夫婦の目標は遺伝子を残すことに大きくシフトして行く。これが妊娠への思いがブレない大きな理由であろう。

 涙が出そうになるも、見せたら臨床家としての立場を失う。第一,人のつらさを計る客観的指標などない。別な言い方なら、些細なことでも本人がつらいなら、我々は共感すべき立場にある。社会的指標を持ち込んではいけない。

[常用薬物]不妊外来では排卵の確保と高温期の安定を妊娠への条件のひとつに数え、相応する排卵誘発剤やホルモン剤を処方する。

 ●今症例もこの例に漏れず、人工受精時には誘発剤を用いている。比較的穏やかな作用といわれるセキソビットでは効果がなく、クロミッドを常用する。来院の前から、通常量のクロミッドでも排卵しないことも多く、倍量の処方に切り替わることも少なくない。それでもダメならHCGを注射する。自然排卵が全くないというわけでもないが、良質な卵子の形成および排卵日の特定という観点から常用すると思われる。まさに短期決戦の観を呈す。

短期決戦の長期化、この構造が不妊患者をして精神疲労に向かわせる主因となる。期待−落胆の繰り返しが続けば体より先に心が壊れる。 

 ●体外受精は胚移植(ET)が主体である。HMG-HCG療法(ゴナドトロピン療法)の後に採卵する。

[月経の状況]12才で初潮。月経日数は5〜7日。経量は2日目に多く、3日目にやや減り、5日目以後は格段に減り、薄いナプキンで事足りる。以前は経量が少なめだったが徐々に増える傾向にある。

月経開始半日〜2日目に血塊が多い。血塊の出ている間は激痛で、重感やチクチク感をともなう腹痛が続く、腰痛のだるさもあり、常時鎮痛剤を使用する。月経周期は28日の前後2日である。

月経直前に沈重感をともなう偏頭痛と右乳房の張りがある。この2症状は月経開始後2日ほど続くこともある。同時に寝汗もかく。ときに顔面紅潮がある。

[基礎体温の傾向性]低温相は月経終了から5〜7日程度ある。低温相から高温相への移行に4〜6日ほどかかる。さすがHCG注射なら一両日で上がる。感心するが恐怖もする。

 自然状態なら高温相は36.7℃を越え維持されことは少ない。黄体ホルモン(ドオルトンなど)の助けを借り何とか維持する。

[随伴症状]近年は夜間尿(1回)、足底痛、やや便通が悪い、腋下や足底に寝汗をかく。頚管粘液は減少傾向にある。

 以前は冷え、とくに下半身の冷感が強く、靴下を履き寝ており、月経中の腹冷も自覚する。

[既往症]子宮内膜症、甲状腺機能低下症、左乳房乳腺症。

[脈舌]舌質淡紅で乾燥、舌下の怒張、脈細弱、左尺脈虚。

[切診]初診日は月経5日目である。右鼠径部及び臍周囲の硬さがみられる。

[分析]まずはわかりやすいものから弁証する。患者は子宮内膜症をもつ。しかもレベル4である。血塊、刺痛を伴う月経痛、月経前半の持続的疼痛、舌下の怒張、月経5日目ですら腹部の硬さみられることなどから胞宮の血オと判断する。

つぎにクロミッドの長期使用が気になる。この1年は年齢リスクを考慮してなのだろうが、ほぼ毎月使用する。しかも倍量使用のときが多い。

●クロミッドは一般に顔面紅潮感、卵巣腫大、下腹痛、吐き気、嘔吐、頻尿、尿量増加、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のほか、3回以上の連続使用で、頸管粘液の減少や子宮内膜の薄化などの弊害をあらわしやすい。

彼女の場合は明確に頚管粘液の減少を自覚する。他に夜間尿、足底痛、便通が悪い、腋下や足底に寝汗をかくなどの症状があり、すべて近年になり出現した症状である。これを論拠に腎陰虚が顕著になってきた様を読み取ることが可能だろう。とくに頚管粘液の減少は、排出されるべき津液の減少と考えれば、2便と同様に陰虚判定の材料としての基準を満たす。胞宮との親和性なら2便より上位に置いてよい。正義ぶって誘発剤の乱用を憤るより、自分の枠内で冷静に処理したほうがよい。孔子様も『心の欲する所に従って、矩を越えず』と仰せになっておられる。

また元々に胞宮気虚があったのではなかろうか。誘発剤使用前は経量が少なく、月経中の腹冷もみられる。胞宮に特定できるわけではないが、足腰の冷えも顕著であり、気虚・陽虚がありそうである。また27才あたりに甲状腺機能低下症になる。甲状腺機能低下は体質を気虚・陽虚に傾け、かつ生殖関わるホルモンの乱れを引き起こすことは経験則として知る。以上を論拠に胞宮気虚を1証立てる。

胞宮の気は胞宮内の活動の一切を仕切る。排卵や月経など、いわば胞宮内の活動時にはとくに必要になる。そこで、元より胞宮気虚があるなら排卵する力に乏しく、いくら誘発剤のような卵胞の成熟を助けるホルモン剤を入れても、排卵力に変化はなく、その結果として誘発剤の量だけが増えるはめになる。成熟卵胞になっても排卵できない、つまり誘発剤が効きにくい体質ができあがる。また月経を考えたなら、経血の排出力が弱いため、胞宮内に血を残存させ、次第に血オを形成する。気虚血オである。

少しばかり事実確証は弱いが、全体像の整合性が極めてよい。

[弁証]腎陰虚 胞宮気虚血オ

[治法]患者は40代に入り、誘発剤を無視できる年齢にない。極力に精・陰を補い続け、腎陰虚の改善をはかる。同時に気虚血オに対処する。低温相〜高温相までは十分に補気を加え、月経中は子宮の瀉性を利用しつつ十分な活血化オを行う。

[配穴]

滋陰―復溜(補)、志室(補):継続的に使用(月経時は除く)

益精―地機(補)、関元(補):継続的に使用(月経時は除く)

活血―血海(瀉)、次(瀉)、合谷(補):月経時使用

補気―子宮(補):継続使用(月経を問わず使用)

[手法]

月経終了〜次回月経の直前までは滋陰、益精、補気を意識する。復溜、志室は小さな筋凝りを見つけ、それを指標に呼吸を合わせ打つ。少しずつ鍼を進め、筋膜近くの凝りで捻鍼に切り替える。地機、関元は軟弱感を指標に鍼が止まるところまでゆっくり進めて行く。子宮穴は反応が読めないツボのひとつであり、コリコリした感じがあっても鍼を進めるとスカスカになることもある。そのあたりで雀啄して、軽く響かせる。排卵前はことのほか注意深く刺す。定位的側面が強く、どんな状態に効かせるか技術次第であるからである。

 月経時は、上記の補気のほか活血主体にする。先にも記したが、この時期は、胞宮が瀉性に傾き、活血が容易になるからである。イメージとして出すべき血をすべて出し切る感じになる。血海は通常の血海よりやや内側よりの圧痛を指標に取る。筋膜の手前あたりで少し大きめに雀啄をし、胞宮に向かい響きかせる。次は圧痛あるいは硬結を探し、それを指標に打ち、大きく響かせる。上手くいけば、腹部に響きが拡散してくれる。合谷の補法は胞宮の付近の気(衛気)を増やす作用がある。この気の推動力を借りてさらに経血を押し出すようにする。呼吸の補法を行う。 

[経過]

 1〜3診:ほとんど変化なし。初診日の前日から始まったヒュメゴンの注射では、11日間連続行うも排卵に到らず。配穴を変えることも考慮したが、予想以上に生体レベルが落ちているものと判断して滋陰、益精を強化する。とはいえ配穴を増やしたわけでない。3診目にいつもより集中して呼吸+提挿+捻転の補法を行う。陰・精を意識しながら、かつ衛気を傷らないように心掛け、少しだけ深めに打つ。効かないからと、むやみに配穴を変えると墓穴を掘ることもある。今一度、精度の高い刺針を試みよう。

 4診:3診目の後、足底痛の消失、夜間尿の消失が見られた。腎虚の改善が少しはなされている。帯下の減少も起こる。元々帯下が多いという事実を初めて知る。聞き漏らしは恥ずかしいが、胞宮気虚の改善と読めなくもない。かなり都合の良い解釈ではある。

 5診:治療開始後に初めての月経を迎える。血塊の量は減少する。血オの改善も予定通り。ただし安心はできない。ホルモン剤などは強力で、ひとつでも適正を欠くものが体内に入れば、減少した症状も瞬時に顔を出す。

 気分が良いという。見た目では何の苦もないように見えるが、本人は相当に落ち込んでいたようである。臨床家として甘さに恥じる。

 6、7診:全体に体調が良くなってきた自覚をもつ。夜間尿もなくなる。

 8〜13診:この間に内膜症の腹腔オペを受ける。レベル4―レベル2になる。依然として夜間尿のない状態が続く。オペの効果を素直に喜び、不妊外来へ通い続ける動機づけをつくる。オペへの緊張やご主人への心配があり、珍しく肝鬱頭痛があらわれる。同時に舌下の怒張が少し大きくなる。肝気鬱が直接に胞宮血オを強めたものと考える。この場合、ご主人に何かしてあげられることが一番の疏肝理気になる。ご主人の症状を聞き千年灸を自宅で据えてあげるよう指示する。

 配穴は太衝、風池を加味し、血海を胞宮に向かい十分響かせるよう心掛ける。この間の人工受精は徒労に終わる。

 14〜45診:ほぼ安定した状態が継続する。ときおり夜間尿はあるが水分摂取量の調節で消失する程度で収まっている。

 指標となるホルモン値改も善されてきている。この間、4度目の体外受精にトライする。胞宮の補気を強化するため神闕の塩灸を数回試みる。神闕の塩灸で強力な陽気を作り、それを子宮穴で胞宮に流し込むつもりで行った。ホルモン状態が良いので前回のように注射でなく、内服薬だけで採卵まで進めることになる。内服薬はカルテ記載漏れでわからないがホルモン剤であろう。初めて着床までこぎ着けたが、今回も残念な結果になる。人工受精も4度失敗する。5回だったかも知れない。

 46〜50診:その後は膠着状態に入る。検査結果から卵管の詰まりが消失する。一度だけ感冒をきっかけに刺痛をともなう月経痛があらわれる。合谷を外し外関の瀉法を加え何とかしのぐ。時期も悪く人工受精はまたも失敗する。この段階では、以前ほど血オに集中する必要がなくなり、月経時に行わなかった滋陰、益精を常に行うようになる。

 51〜74診:中医的には、かなり症状の改善は見られているが、妊娠にまで辿りつかない。こちらも本人もそのことを十分に自覚している。年齢も41才の半ばにさしかかる。焦りは余計なことを考える。カルテを眺めると肝血虚をいじったり、健脾したりとつまらないことに手を出す。戦略の練らない奇策は失敗する。

 患者が自ら病院を変えると告げる。唐突の感はあったが、少し前から考えていたらしい。こちらがどうこう言う筋ではないので、聞き役に徹す。新しい病院での一度目の人工受精で無事妊娠する。自分の心が助かった。

[最後に]この症例の成否はわからない。こちらの治療レベルがもっとまともであったら、早く妊娠に辿りつけたかも知れない。あるいは患者が最初から妊娠した病院に行っていれば、当院に来る必要はなかったかも知れない。神のみぞ知る答えであろう。

 ただ後悔もある。冬の一時期を除けば、最後まで寝汗が取れなかった。誘発剤に抗しきれなかったと考えると、まだやるべきことがあったと内省する。見た目以上に心労があり、心陰虚があったかと考えると、読めなかった自分が情けない。

 最初は患者の知識について行けない面もあったが、徐々に知識をつけ、精度を上げることができた。携帯族になっても本は読みたい。考える時間と問題意識を失うならば、そのしっぺ返しは確実に治療家の力量に反映してくる。

うれしい一報

2013/7

《症例・不妊症》

以前半年ほど通ってくれた患者さんです。

来院が途絶え2カ月ほど経ったとき・・・『先生、妊娠しました、びっくりです』というメールを頂きました。

途中筋腫のオペの後のAMHがほとんどゼロまでいきましたので、本人の落ち込みも相当だったと記憶します。

徐々に活動的な子宮に戻って来ていたのでこれからという感じで、お別れになり、心配でした。

その矢先のメールでしたので、PCの前でひとり『よっしゃ!』という感じでした。

子宮の底力や内膜の感受性を高めるのに少しはお役に立てたのかなぁ、と思います。安堵しました。

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泣くときは泣きましょう

2013/3

◇症例◇

今月は(3/18日現在)は2名の方の妊娠確認を頂きました。

37歳と35歳、当院の平均年齢から見ればかなり若い方に入ります。

そのせいもあり、治療回数は37歳の方が8回、35歳の方が5回と短期間で目標に到達しました。

35歳の方はつわりがひどく、その後治療することはできなかったのですが、紹介者の方によると順調に育ってくれているようです。ひと安心です。

37歳の方はまだ胎牙の確認の段階ですが、涙があふれていました。

嬉し涙ではありません。

これから先を考えると不安なようです。

妊娠した喜びも束の間、今後のことを心配されています。

ホルモンの活動期は精神も不安定になるものです。

泣きたい気持ちを抑圧すると、どこかで大きな塊となり表出します。

泣きたいときは飽きるまで泣いてください。

そして今を前を向きましょうね。

 

昨年より高成績ー不妊治療

2013/3

今年の1、2月は計8名の妊娠を確認できました。不妊症の方は週で10〜15名くらいなのでかなり成績が良いと思います。もちろん入れ替わりはあります。1例を除き3年以上不妊外来に通われています。

技術的には臓腑に関わるツボと気血を調節するツボに統一感を持たせたこと。子宮体の気血(漢方では子宮と卵巣を分けて考えません)と子宮内部の気血を分けて考えたこと。活血と行気の治療ウェートを上げたことなどが功を奏したと考えています。

少し安堵しています。とはいえ、皆が妊娠してくれたわけではありませんので、もっと精進しなければと考えています。

ただ、先月は昨年47歳で妊娠し、その後定期的に安胎治療を続け、途中の逆子も2回の治療でクリアーし、無事にスムーズな出産までこぎ着た例がありました。48歳でした。

とても嬉しい例であり、自信にもつながりました。

不安で不安でという感じが挙動でわかる方でしたが、どんどん腰が据わってゆく感じで、母になる不思議を目の当たりに見させて頂きました。

不妊治療の方向性/2012年不妊症の感想

2012年不妊治療は30例を越える(11月末まで)。そのうち14例が妊娠する。この割合が上位に位置するかどうかわかならない。平均年齢が限りなく40歳に近くなる、不妊外来に2年以上通う方が大半の現状を考えると悪い数字ではないと思う。

総括するとバッド(下向き矢印)

2例を除き不妊外来と併用する。

14例中第2子不妊が3例ある。

時間差移植による双子のケースが1例ある。

○妊娠は神のみぞ知るという側面がある。コウノトリが運んでくれるのかも知れない。

鍼灸の役割は妊娠の前提条件を整えることである。内膜の厚みを増す、卵子及び授精卵のグレードを高くする、BBTを安定させるなどである。

初めて内膜が10o越えを果たしたケースは7例。うち妊娠に至るケースは3例、15o以上に達し妊娠したものの、その後流産のケースもあった。

やはり、厚み+柔らかさが是非に必要だという思いを強くした1年でもあった。

柔らかさは現在測定する術がないので、推定でしかないが、活血を十分に施す必要がある。

年齢が高くなる、運動量が減るなどの状況、さらに数年前に内膜を厚くするためバイアグラ系の薬を用い、現在ではあまり使用していない経過から見ても、厚いだけではダメで柔らかいという視点も考慮しなければならない。

徐々にホルモン剤による刺激治療が効かなくなり、自然排卵の消失したケースもある。一端全身治療で体を整えてから、再度挑戦し妊娠に至るケースもあった。

ホルモン剤は総じて気血の増加に役立つが、その背後で妊娠を支える腎、肝、脾の機能向上には繋がらないようである。つまり子宮内に妊娠するための材料を送りこむが、それを生かす体内機能が落ちれば何にもならないという視点を大いに感じた1年であった。

実年齢と機能年齢には差がある。鍼灸はこの機能年齢を上げることができる。今年の最高齢妊娠は47歳である。本人もこちらも驚いた。

移植の前に数回治療するケースもある。運良く妊娠したケースも1例ある。やらないよりやるに越したことはないが、原始細胞が1次、2次を経て熟成するまでに約1年かかることも考え合わせると、長期治療になるケースが多い。いうなれば市民マラソンを走るようにゆっくり走って欲しいと思う。その途中、突然にゴールが来ることもある。

始めからダッシュしたら心がもたないばかりではなく、心のバランスを崩すケースもある。不妊治療中にうつ病を併発し他院から回ってきたケースも1例ある。

是非に体の声を聞こえる程度の速度でゆっくり構えて欲しい。何よりこの治療には精神の安定が重要ですから。よく休み、よく動き、ときに旅に出るくらいの腹づもりでいて欲しい。

小さい書き込みに積み重ねを感じる

2012/11/02

不妊治療のとき、患者さんからBBT(基礎体温表)を見せてもらいます。

ここに書かれた文字が思いのほか小さい。

この間笑い話しがありました。

あまりに文字が小さく、AIHをAMHを読んで、この方なぜこんなに頻繁に卵巣年齢を計るのだろう?って感じました。

あの小さな枠の中にプラノバール、アスピリン、クロミットなどの投薬名が書き込んであったり、体温を測った時間を明記してあったり、この地道な作業を継続するこが習慣化している姿が伺えます。

 

本当にお疲れ様です。

 

がんばっていますね。

 

私もやることが多くて、とても12時までに寝るという目標に届きませんが、

 

肝血虚のツボをスタッフに鍼してもらいながら視力を落とさないよう努めます。

耳手(チョキ)目


 


不妊治療とストレス

2012/6

不妊症の弁証論治で最も多いのは腎精不足から腎虚。そして腎虚から血オという流れであろうか。

血オでは血塊のほか、内膜の硬度、鼠径部の固さ、高温期の低体温、手掌魚際部の色や仙骨部の乾燥などがよく現れる。

もちろん衝・任脈の気血両虚や肝血虚の人も少なくない。

それら諸症状に陰に陽にと影響するのが肝気鬱である。

肝気鬱は専門用語でわかりにくいと思うので、主に精神的ストレスによる過緊張、不安、パニックなどと考えて欲しい。

その精神的ストレスに、さらに理想と現実の乖離が加わると先の肝気鬱をことさら悪化させる。

つまり嫌だという思いがありながら不妊外来に通う。

期待したのに、また授からなかったという思い。

仕事を休みたくないのに休まなければならないとき、何故私だけこんなに苦労するわけという怒り・・・

などで肝気鬱は悪化する。

 

肝気鬱が不妊症における主体的病理になることは少ないが、影響していないこともまた少ない。

来院する患者さんのほとんどの方が、不妊治療に通う時間の捻出や治療自体の緊張の連続性・・・から相当に肝気鬱を強めている。

肝気鬱はホルモン数値のブレや排卵期及び生理日のブレ、高温期の乱高下で現れやすい。

 

もうひとつ上手く表現できないが・・肝気鬱状態を際にいくつかのタイミングが合えば、急激なホルモン数値の悪化、さらには月経停止なども引き起こす。

逆に肝気鬱が治まるだけで思わぬほど良い方向に展開することも少なくない。

この間も数回の肝気鬱の治療だけで内膜が9ミリから13ミリ、卵子のグレード4から2まで上昇したケースがあった。

様々な思いを引きずらないことが肝要である。

昨日の私は今日の私と同じではありませんと思い、いかにストレスを抜き、肝気鬱にならないかも重要な視点である。

不妊治療を止めたら妊娠したという事例は枚挙にいとまがないが、このことを指すのだろう。

 

 

鍼灸としての本望

2012/5

◇症例◇

不妊症の患者さんを多数診せていただいている。

鍼灸の醍醐味は体を整えること。

気血精を活発にし、経絡は流し、、五臓を調節し、不妊症なら子宮の妊娠力を上げて行く。

この例は、数度の体外の不成功の後、体を整えることを目的に来院され、、自然妊娠にこぎ着けたものである。

20週を過ぎ安定期に入った矢先に、昨年の大地震に会う。

心理的要因も加味されたのだろうか?

突然の心音停止。

本人の落ち込みはちょっと見てられない。言葉はない。淡々と見守るだけしかできない。

その後に引越しもあり疎遠となる。

 

詳細には書けないが、この状態での自然妊娠はかなり難かしい。

相当にしっかり全体を整えなければ、妊娠は有り得ないと感じていたので、こちらのショックも大きかった。

 

本日お電話を頂いた。

その後、すぐに自然妊娠。早産であったが、無事出産にこぎ着ける。

ときおり、こういうドラマに立ち会える。

鍼灸師の本望といえよう。

2010年不妊症の総括

2010年4月以後は不妊症に力を注ぎました。

医道の日本、中医臨床、東医学研究で月経痛や不妊症の論文を書きながら、考えたてきたことを実践に移した年でもありました。
最低2周期(週に1度、計8回以上)来院してくださった方16名中、12名の方が妊娠して下さいました。(8回以前での妊娠1例を含める)/注:残念ながら1例は途中流産。

■16名全員が不妊外来と併用です。

■不妊外来の治療:タイミング法1名、人工授精期6名、体外受精5名、胚移植(桑実胚、胚盤胞)7名(鍼灸治療期に人工授精から体外授精に移行した方が3名います)

■年齢:年齢30代前半2名、30代後半11名、40代前半1名。

■鍼灸利用目的(動機)

1〜3回体外受精(胚移植含める)が成立せず、鍼灸の併用を選択した人が10名。

・知人の紹介で、「やってみたら」という方が4名。

・人工授精の補助としての位置づけ3名。

・BBTの安定(子宮の状態を向上させる)を求めて9名。

・他の愁訴のついでに1名。

・ネットで鍼灸で妊娠したブログを見た1名

複数回答あり。

◇妊娠12例の内訳 

・胚移植と鍼灸併用で妊娠   5例

・体外受精と鍼灸併用で妊娠 3例 

・人工授精と鍼灸併用で妊娠 2例  

・タイミング法と鍼灸        1例

・自然妊娠                      1例 

 

■妊娠12例のうち半数近くの5例が不妊外来の通院を休んでいる時期に鍼灸治療を継続し、体を整え妊娠に至った例です。

・2例が卵巣過剰刺激症候群で2周期の中断中、鍼灸治療を継続し、最初の胚移植で妊娠。

・1例は卵巣過剰刺激症候群で中断中、鍼灸治療を継続し、最初の体外受精で妊娠。

・1例は卵巣過剰刺激症候群で中断中、鍼灸治療を継続し、自然妊娠。

・1例は、第1子が鍼灸治療後の胚移植で妊娠し、第2子は凍結卵を用い、6回の治療を経て最初の胚移植で妊娠。

 

 

◇週1度の鍼灸治療継続することで、妊娠の確率がかなり上がると思います。

◇治療中の感想として、悶々鬱々とした精神状態では妊娠率がかなり下がるような気がします。これを解くことが妊娠率を上げるアプローチのひとつです。

◇西洋医学的アプローチで良い結果が得られない、あるいは何らかの事情で治療中断を余儀なくされたとき、鍼灸治療で体を整えるとことが重要であるという結果が出ました。

◇鍼灸治療で子宮力をつけ、再度西洋医学的治療に参戦すると非常に良い結果が得られると思います。 

FSH(卵胞刺激ホルモン)

 FSHは卵胞刺激ホルモン(卵胞の成熟を促すホルモン)の別称です。性腺刺激ホルモンのひとつで、脳下垂体から分泌されます。

 不妊症の際の検査では、月経3日目あたりの一番少ない時期の数字を基準値とします。検査機関により違いはありますが、通常は5〜8(以下すべて単位省略)くらいです。

 FSHは一般に卵巣の成熟度、あるいはそこから出るエストロゲン(卵胞ホルモン、E2)とは、真逆の動きをします。

 妊娠可能期ならエストロゲンは50〜60少なくとも20は欲しいところです。卵巣の働きが悪い、たとえばエストロゲンが20程度でFSHの数値は10以上なら、下垂体ががんばって、何とか卵巣を立て直そうとしている表現とみて良いかと思います。まるで働きの悪い卵巣の尻を叩くかのように働く感じですふらふら

 ただこれも長くは持ちません。どれだけ尻を叩いても卵巣が無反応ならば、今度は下がってきます。エストロゲンが20程度でFSHの数値は1以下という感じの数値になります。下垂体があきらめちゃったのでしょうかもうやだ〜(悲しい顔)

 ここまでくると自然排卵はかなり難しいと考えられます。ホルモン剤を併用するケースが大半です。鍼灸では、活血と疏肝の組み合わせで、ホルモン剤をより効かせるという視点で治療します。

時間はかかりますが、徐々にFSHの数値が正常に近くなるケースもあります。体のもつ最大限の力を引き出すためには、鍼灸治療に加え、自身の心の持ちようが大事なような感じがします。

 ブログにも書きましたが、『したことへの後悔は時間が消してくれますが、しなかったことへの後悔は、時間とともに膨らみます』といいます。後悔のない選択をしてください。できるだけバックアップしたい思います。中医学の病理も同じなのですが、心の中の何かが足りないか、外部の何かの影響を受けたか、迷って動かなくなるかに集約されてゆきます

ストレスと月経に与える影響と対策

ストレスが子宮に影響した典型的なお話

いい気分(温泉)いい気分(温泉)来週は仲間と楽しいはずの温泉旅行手(チョキ)手(チョキ)

 予定なら月経初日とは3日ほどのズレがある。『ドキドキ、でも大丈夫、きっと大丈夫!!』と言い聞かせるM江さん。自分に言い聞かせているくらいだから、実は相当心配しているのでしょう。旅行当日、案の定(月経が)始まってしまいました。 (本当に実際によくある症例です)
 この手の話はそう少なくはありません。緊張状態やとても気になることがあると、中医学では気の運行が乱れると考えます。専門用語では気滞といいます。
 体内各所の血や水分を運行させているのがこの気なので、気の乱れは即座に血や水分の運行、排泄に影響するのです。つまり月経が乱れるわけです。だいたい来て欲しくないと願う日に来てしまう傾向があります。
 ちょうど東京周辺の鉄道網電車のような感じと考えてください。現在、鉄道ダイヤがあまりに密になり、相互乗り入れもあるため、JRのちょっとした事故が、関係ないだろう思われる私鉄にまで影響し、乗降客の足に多大な影響を及ぼすのと似ていますね。
この緊張からくる気滞型の月経の特徴は、月経周期の不安定、排卵日のズレ、月経時に腹部の強い張り、高温期後半からのイライラ感などとして現れます。

 月経開始の数日前から乳房の痛いほど張り、ブラジャーさえ外したくなるのも、このタイプの人です。このような状態のとき、横に軟弱な彼氏、人の話を聞かない夫、後片づけのできない息子がいたら怒鳴ってやりたくなりますちっ(怒った顔)
 このようなときは怒鳴る前に中、風池、太衝などのツボを用います。 

 このような状態の長期化は不妊症に繋がることも少しだけ気に留めてくださいね。

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子宮内膜症のツボ

最近、内膜症の患者さんが増えてきています。

 《生理痛》

まず生理痛を語る前に、子宮内膜症を分類します。子宮内膜症は異常内膜が存在する場所によって内性子宮内膜症と外性子宮内膜症に分類します。内性型は子宮筋層に存在し、子宮腺筋症と呼ばれます。

 外性型は卵巣にあればチョコレート嚢腫と呼ばれます。卵管や直腸、ダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)などあるものもこの仲間です。
 1.激痛
 生理痛の特徴はまず強い痛みです。下腹部に差し込まれるような激痛があると訴える人を多くみます。初日〜2日目に市販の鎮痛剤を服用する人も多くいます。

 2.徐々に強くなる
 月経の回数の度ごとに徐々に痛みがひどくなっていきます。半年単位ぐらいでみてゆくとよくわかります。

 3.つれる(引っ張られる)感じの痛みも
 異常内膜組織と骨盤内のどこかが癒着しているときに起こりやすい痛みです。骨盤痛ともよばれています。

 4.肛門痛なども
 異常内膜組織がダグラス窩や子宮後壁にあり、周囲の組織と癒着すると、性交時痛や鈍痛を生じます。また直腸と癒着による排便痛や生理時の肛門痛が現れます。

 5.出血量が増える
 子宮腺筋症は子宮筋層に異常組織があるわけですから、徐々に子宮自体が大きくなります。それに伴い月経血も増えます。子宮筋腫に似た症状になります

 《『血オ』で処置するケースが多い》
 症状により違いますが、かなりの人で中医学でいう『血オ』の状態が出てきます。下記が『血お』に良く使うツボです。
 


 ○ 血海、合谷、崑崙
 平時(生理ではないとき)は血海に市販のお灸をして下さい。 生理時は合谷と崑崙を用います。

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『不妊症の方へ』〜三陰交の勧め〜

 三陰交は血の調整機能があります。とくに血を補う効が高いと言われています。血は成熟した卵胞や子宮内膜の充実を図るための栄養素だと中医学では考えます。

 低温期〜排卵まで:この三陰交太衝関元を加えます。太衝は肝にある血を充実させます。関元は腎精を充実させます。肝の血と腎精が充実していればBBTは安定しやすくなります。この時期の冷えと睡眠の確保には十分配慮して下さい。
 高温期:低温期のツボに足の三里を加えます。足の三里は気の充実を図ります。気には温煦作用といって体内を温める作用があり、これにより高温期を維持します。
 月経期:この時期はしっかり血を排出しなければ、血が残存してしてしまい。オ血という状態に変化します。西洋医学的なら内膜症や筋腫の人に多く見られます。血海三陰交合谷を加え、月経血を十分排泄するよう心掛けてください。

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生理中に体温が上昇するケース

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 ■ 《単発か連続か》  
 体温はもともとよく上下するものです。患者さんの話をまとめると、一過性で、かつ0.2〜0.3程度の上昇なら、原因の特定は難しいようです。もちろん、黄帯ホルモンの萎縮不全や子宮内膜の炎症などによるケースもあります。

 また貝原益軒の養生訓だった?と思いますが、「生理中は洗髪するな」的な下りがあります。つまり生理中は体外に気血が出てしまうので、今風にいうなら免疫力が落ち、風邪を引きやすくなります。つまり感冒の可能性も考えられます。
 感冒はその後の病状から、割と判断がつきやすいのではないでしょうか。

 黄体ホルモンは体温上昇と絡んできます。黄体形成不全なら高温期の上がりが悪くなり、逆に萎縮不全なら生理になっても高温期だったり、生理中に再度上がったりします。

 まずはホルモン値の検査が必要だと思います。東洋医学では圧倒的に血オのケースに見られます。よく使うツボが血海、地機、次膠などです。
 子宮内膜症の場合、炎症のレベルにもよりますが、ときにサイトカインという物質を放出するため、体温が上がることがあります。

 病院に行く途中にでも親指と人さし指の水掻きのへこみにある手の合谷というツボを持続的(2分ほど)にギュッと押しから行ってください。
 しかし、定期的にそうである場合を除き、一過性の体温上昇なら、「微妙な体調変化」というごく日常的な文脈の範囲で考えるのが無難でしょう。

■ 《単発はリラックス》
 いずれにせよ、気にしすぎると、かえってその状態を無意識に作り出すこともあります。基礎体温を気にし過ぎ、「上がったらどうしよう」と不安や緊張状態でその日を迎えたら、かえって上がりやすくなります。
 中医学では、肝気鬱による鬱熱といって、極度の緊張状態で気が停滞すると、熱を帯びてきます。
【人の体は動的平衡状態を保とうとする】という原則からも、リラックスすることです。ただし「リラックスしてください」ということは、どこの病院に行っても言われますよね。ちょっと芸がありません。
 リラックスとは余分な力が入っていない状態です。
 ふたつの視点があります。ひとつは意識を外の別な世界に持ってゆきます。
 つまり目下の悩みごとから意識的に心を離します。つまり悩んでいられない環境を設定してしまいます。
 ふたつめはそのことを意識しながら、呼吸などを整え、筋肉を弛緩させてゆきます。静かに頭で悩みごとを考えながらも、筋肉が弛緩してゆく様を味わいます。さっきとは逆に内に意識を持ってゆきます。
 ひとそれぞれやり方はあるでしょうが、内外どちらかの方法で試してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

高温相が10日にも満たないのです。将来、妊娠に問題が出るのでしょうか?


確かに高温相が10日以下だと心配です。加えて低温相と高温相の差が0.3度以内、排卵後の体温上昇がダラダラとしか上がらないなら、黄体機能不全あたりを考えるのが一般です。


黄体は排卵を契機に卵胞が変化したもので、その黄体からは黄体ホルモンが出ます。黄体ホルモンには3つの働きがあります。

@体温上昇の維持

A子宮内膜を厚くする

B子宮収縮の抑制

 《鍼灸で子宮の気を増加させる手(チョキ)
 この黄体ホルモンの働きを東洋医学に置き換えると、子宮内の気の働きに相当します(それだけではありませんが・・・)。

 ○体温上昇は、子宮内の躍動性の高さの表現、あるいは気の温煦作用(気の6大作用のひとつ;温める働き)によるものです。

 ○内膜を厚く変化させるのは、受精卵の定着率を挙げるためです。これは気の営養作用(栄養する働き)によります。
 ○子宮収縮の抑制は流産を防ぐためです。これは気の固摂作用(固定し落ちなくする働き)によります。

 ここまでを要約すると、子宮に気を送り込む働きが弱いと、黄体の機能不全になりやすいということがわかります。このようなときは関元や気海、腎兪、三焦兪いうツボが有効です。

また、肝気鬱(かんきうつ)といって全身の気の流れが悪い状態では、子宮への気の流入が減ることもあります。生理周期が乱れる、胸の張りがいつもに増して強い、ひどいときには一過性の高プロラクチン血症などを起こします。またLHサージを早めに起こしてしまうこともあるので未成熟状態で排卵したり、逆に排卵には時期尚早となり遺残卵胞となることもあります。 あるいは長期の疲労状態や睡眠不足などでは、全身の気の不足が予想されます。当然ながら子宮に回す分の気が少なくなります。 そこで問診はもとより、脈や舌あるいはお腹の状態で、まず全身の状態を把握します。

 つぎに子宮との関連を考慮します。

 そして最終的には子宮の気を増加させるような鍼灸治療をしてゆくという手順となります。

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頚管粘液には益精

よく鍼灸学校の学生などに頚管粘液は「眼に見える腎精(生殖の精)である」と教えることがあります。 

僕はそう考えています。ただこの視点は中国の中医婦科専門書にはありませんが・・・💦

頚管粘液はエストロゲンに反応します。

排卵前のエストロゲンがMAXなったとき、質的変化を帯びたおりものが出ます。

これが頚管粘液です。良質の頚管粘液は極めて精子が侵入しやすい状態をつくります。

つまり妊娠率が上がることになるわけです。

では、良質の頚管粘液とはどのようなものをさすのでしょうか?

 1、粘稠度が低い

 2、量が多い 

 3、無色透明

 4、牽糸性が高い(糸の伸びる程度、10cm以上)

 5、シダ状結晶(可視できない、顕微鏡所見)

良質の頚管粘液はこの5つが揃うことです。

腎精(生殖の精)は、原始卵胞の生成ー2次卵胞への進展ー成熟卵胞への成長および頚管粘液の排出と大いに関わりますが、卵胞の成長過程は残念ながら可視化できまんせん。見えるのは頚管粘液の状態だけなのです。

どんっ(衝撃) 頚管粘液があろうとなかろうと人工授精だから体外だから関係ないモバQ、という意見もあるかとは思います。

しかし、生殖全般に関わる腎精の判定として頚管粘液の考えるなら、このサインを疎かにはできません。

治療は精を増やす(益精)の鍼灸を行います。場合により補気、補血、補陰などを組み合わせることもあります。

 

 

 

基礎体温から見て感じたこと@ 《低温期が36℃以下なら注意》

不妊治療に欠かせないないのが毎日の基礎体温です。一般に、排卵日はいつ、高温相が何日続くなどに注意がゆくと思います。皆さん、不思議なほど低温期の体温については気になさりません。

臨床経験からの感想ですが、低温相が36℃以下の人は妊娠しにくいように思います。子宮を温める腎陽や腎精が少ない人が多いようです。 つまり元々子宮を温める力が弱いということでしょう。

弁証でいえば腎精不足、腎陽虚、脾陽虚、血オに分類し、温灸治療を主体に治療します。

毎日のウォーキングも良いでしょうトイレ

直接灸よりお椀灸という道具を用います。これは気持ち良く、眠くなります。

 

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子宮内膜は厚さと柔らかさが肝要

受精卵が着床する際に問題になるのが子宮内膜の厚さです。理想的には15o、最低で10oは欲しいところです。  

ただ、子宮内膜については、厚さに重点が置かれ、質の問題を論議することはほとんどありません。

もちろん厚いほうが、質の良い可能性が高いことは否定はしません。

 

では中医学で考えてみましょう。

血オがあると、内膜に行くべき血流が悪くなります。いわば痩せた乾いた大地に似た感じになります。有り体に言えば冷たく硬い内膜のイメージです。これでは、作物が根づかないように、受精卵も着床しにくくなります。

仮に着床しても、育ちにくく、稽留流産になる可能性もあります。

内くるぶしより指4本上の骨際にある三陰交にお灸してみてください。この場合は押すよりお灸が良いです内膜。

三陰交は比較的広範囲な証に使えるツボなので一般紙にも良く登場していますね。

もちろん臨床では色々なツボを証に従い組み合わせながら使用します。血オだけが子宮力を低下させる原因ではありませんから。

  

○質と量は違うベクトルです。同じ10oのお布団と段ボールを比べ、どちらが寝やすいかを考えてみてください。

卵巣過剰刺激症候群の鍼灸治療

2011/09

注射hMG−hCGの弊害で卵胞が急激に成長し、卵巣の腫大が起こり、表面血管から水分が腹腔内へ漏れ出したものを卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と呼びます。

このところ卵巣過剰症候群の患者さんが増えています。

この注射で過剰に反応する人としない人がいます。卵巣の過敏性が関与します。

一応の基準として体重が軽い人、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の人、E2が3000pg/ml以上の人、タイミング法などでLHの代わりにhCGを使う人などが発症しやすいとされています。

とくにPCOSでネックレスサインのある人は要注意です。またこの注射ではなくても体外受精時に卵巣の調節としてGnRHアゴニスト(スプレキュア、ナサニール)使用する人も安全とはいえません。 

2周期ほどの休息を取るケースが多いのですが、この間の精神的な心の持ちようが大事です。

ここまではドクターの領域で私たちには手だ出せません。患者さんも、どうしてそうなっちゃたの、と焦りまくる人、少し休養が取れたと喜ぶ人と色々です。 

通常は、不妊治療の長期化の過程ではよく起こることを説明します。腹水との兼ね合いで水分摂取をどうするかはドクターの指示に従うようお願いします。

治療は気持ちを和らげる疏肝利気、卵巣の状態への対処として清利湿熱に活血を加味します。