●「閉経溢乳」とは?●
妊娠してはいないのに生理が来ず乳汁が漏れ出てしまうことを「閉経溢乳」という。
「閉経」という文字がつくが、中医学では現代医学での意味と異なり「生理が2〜3か月来ない」ことを指す。
この「閉経溢乳」は現代医学でいうところの「高プロラクチン血症」に該当する。
●「閉経溢乳」の東洋医学的分類●
①肝鬱化火タイプ(かんうつかか)
「乳頭」は五臓「肝」の担当エリアである。このエリアに何かしらが原因で熱が発生し、熱が乳汁押し上げることで乳房からあふれ出てしまうことが機序である。熱が生まれる原因としては長期間の精神抑うつによるものが多い。子宮においては血液運行の停滞が生じていることから生理が2〜3か月来ないといった問題が出現する。
※鑑別ポイントは「乳房が張って痛む」・「乳汁は粘稠度が高い」ことか。
②脾胃気虚タイプ(ひいききょ)
「乳房」は五臓「脾」の担当エリアである。このエリアに気の「生理物質が体外に漏れ出ない力」(これを気の『固摂』作用という)が低下することで生じる。つまり本来乳房に貯蔵されているのが通常である乳汁が、漏れ出てしまうといった現象が現れる。子宮においても生理物質の不足ゆえ血液を満たすことがなかなかできないことから生理が2〜3か月来ないといった問題が出現する。
※鑑別ポイントは「乳房はやわらかいこと」・「乳汁はサラサラしている」ことか。
スタッフ 杉本
●参考文献
『中医症状鑑別診断学』 人民衛生出版社
『中医婦科学』 人民衛生出版社