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肩こり

肩こりの多くは表面上は中医学でいう気滞という病理です。つまり気が停滞したことで、脹り、凝りがあらわれます。

 ただし、その背後には臓腑の失調があります。重要な臓腑は脾と肝です。脾は現代でいう消化器官に相当します。この脾の働きが弱いと肩こりは難治性をもつのです。

 湿気多い家、油ものや炭水化物の多い食事、夕食時間の遅延などが脾の働きを弱めます。ひどくなると脾虚気血両虚や脾虚湿盛といって、硬いシコリを形成したり、重さの伴う肩こりができ、吐き気も伴ないます。
 肝の働きが弱いと同様に慢性化した肩こりを形成します。慢性の運動不足、眼の使用過多、睡眠不足、会社での信賞必罰の空気などからくる不安や焦燥感などは肝を大いに痛めます。肩の張りから肩のいみは変化したり、頚痛や頭痛を伴いやすくなります。
 患部以外でも以下のツボを使用して下さい。 

脾虚型:中かん、陰陵泉、膏肓
肝鬱型:期門、太衝、肝兪 

 

どの業界でもその人の技量をはかるものはシンプルです。ピザならマルゲリータ、カクテルならジントニック、左官屋なら平らな壁。その中でいうと鍼灸治療は肩こりかなと私は勝手に思っております。

何故なら、患者さんは明確に自覚があり、治療が終わったら改善していて欲しいと思って来院されるからです。当たり前ですよね。患者さんという立場からすれば“痛み”という自覚症状を改善しなければ「来て良かった。」とはなりません。

しかし治療家はその肩こりの奥にある原因を探らなければなりません。例え一時的に痛みが取れても、根本原因を改善しなければ治療とは言えないからです。その為に以前杉本先生が書かれた肩こり②にある内臓疾患によるものの見極めが必要になります。中医学で言うなら、どこの臓腑からきているのか。温め、または冷やすと改善するのか。会話の中で出てきた気にも留めていなかった他の症状が実は本当の原因ではないかなど、肩こりの前後左右を見ながら今までの知識や経験を基に、その方の治療計画を立てなければなりません。

しっかりと話しを聞いた。原因も特定できた。さあ次はいよいよ鍼治療の開始!と言いたい所なのですが、ここで次の問題が出てきます。『患部(肩)に鍼を何本刺すか問題』です。どんなに患者さんの為だったとしても肩に鍼を一本か二本刺して「はい、治療は終了です。」と言われたら「あれ?肩こりで来たのに。」となってしまいますよね。それなら肩周辺のツボや硬くなっている場所だけに気が済むまで刺せば良いのですが、刺し過ぎは体調悪化を招きかねませんし、何より根本の治療になっていません。ここで、しっかりと分かりやすい説明をして信頼関係が築けていれば、例え肩に刺す鍼の本数が少なくても納得して下さるだろうし、コミュニケーションが取れていればその方に合った本数を追加したり、場所を変えたりできます。技術があれば痛み治療と根本治療の丁度良い中間地点を見つけて治療する事もできます。

このように、多くの方が一度は経験したであろう『肩こり』という症状を治療するには色々な能力と経験を活用し、柔軟な治療をする事が必要になります。簡単なようで難しい… まだまだ未熟ですが、一日も早く肩こりの奥を突き止め、患者さんに納得してもらえる治療ができる鍼灸師になろうと決意する今日この頃でした。

研修生 大久保昌哉

 ※新着時期を過ぎると左サイドバー《肩こり》に収められています。

肩こりとは、「首・肩・上背部などに重だるさ・ハリ・痛みなどの自覚的な不快な愁訴があり、他覚的にも筋の過緊張・圧痛が認められる状態」を指します。

主な原因としては、「①筋疲労による血行不良」、「②内臓疾患による関連通」が挙げられます。

筋疲労による血行不良

頭部の重さは6〜7kg。私たちの肩は頭部を支えており、この重さがのしかかっています。つまり、肩の筋肉に負担がかかりやすい構造になっているのです。肩の筋肉が緊張して血液の流れが悪くなると、疲労物質がたまったり、栄養分の補給がうまくいかなくなったりします。その結果、筋肉がこわばって肩こりが生じるのです。

原因としては、長時間の同一姿勢の保持・運動不足・ストレス・寒さ・眼精疲労が挙げられます。

「内臓疾患における関連通」

内臓疾患・顔面の諸器官からの関連痛として、肩こりを訴えることがある。

例として…

・心臓疾患(狭心症、心筋梗塞など)→胸痛とともに左肩に疼痛が放散。

・胃疾患(胃炎、消化性潰瘍など)→心窩部痛、嘔吐、胃症状ともに左肩肩こりが出現。

・肝疾患(肝炎、肝硬変など)→全身倦怠感・特に右肩こりを訴える。

 ・胆疾患(胆石症、胆のう炎)→右肩、右背部への放散痛、疝痛、など。

杉本著

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