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ただし急を要する方には第2・第4日曜日にて
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体外受精の後の、妊娠確認。

HCG20〜50の間、

期待薄すだが、妊娠反応がないわけではないという見解が大半。

1週間後に再び妊娠反応を調べます・・・・・

この間の治療が難しい・・・・

伝統医学の立場から・・・・

鍼灸師として何ができるのか。

妊娠維持するだけの腎精が不足しているのか?

子宮内の血オがつよく受精卵の根付きが悪いのか?

気滞の流れが悪いため受精卵の勢いがないのか?

それを見極めながら治療を組み立て、

さらに陽気を増す手法を加える。

後は、ご本人に落ち着いて頂き、天にお任せという感じになる。

2014/2/13

仕事終了の後、スタッフと臨床の話をすることがある。

特徴的な症状について論議する。

今日は内膜増殖症の患者さんの話し。

増殖症は年に1例あるかないか・・・

この患者は日頃から内膜が厚い傾向があるところへ、補腎薬、プラセンタ、黄体HLをかなり入れている。

今回は20ミリを超えたようだ。

異型細胞なら前癌症状として掻爬する。

以前、年に4,5回も掻爬した方を診たことがある。

この患者さんは異型はないので、少し中をお掃除した程度であった。

年齢が40半ば過ぎであることから、焦る気持ちは理解するが、

同系統というか同じ方向性を持つ薬をやや取り入れすぎるきらいはありはしないか?

私なら、

ここは大きく活血の治療にシフトするだろう。

2014/2/11

不妊治療の患者さんと話していると、体外受精〜判定日までが長いとおっしゃいます。

不安のあらわれです。

ちょうど受験生の発表を待つ気持ちに近いものとだと思っています。

ぎりぎりの合格とか、もう少しの不合格などもありますが、

ご本人からすれば白か黒しかありませんので、不安になるのは当然だと思います。

さらに受験ほど努力が結果に結びつくものでもありません。

妊娠というプロセスは伝統医学から考えましても、

腎精の充実、腎気の趨勢、腎気の封臓・脾気の固摂、肝気の疏泄、心血の充実、脾からの営養、子宮周囲の衛気、そして子宮の蔵瀉の機能などが統一的に、流れるように営まれます。

それにお相手の方の精子の充実度という問題も避けては通れません。

また仕事、運動など人的な環境+季節との親和性(陽虚の方は冬場に陽虚を進行させやすい、陰虚の方は夏場に陰虚を進行させやすいなど・・・)などもあるでしょう。

視点が極めて多方面にわたるので、ひとりで抱えるには重すぎるのです。

重い物は一旦横に置いて下さい。

この移植から判定日までは、たくさん努力して、たくさん心配してきた心を解放させる時期であるように思います。

実は一番伸び伸びする時期なのです。

背中を大きく伸ばす時期なのです。

解放しましょう。

黙々淡々と通院すること10年

この症例は10数年前、某雑誌社の依頼により記述したものです。個人的にはこの症例を契機に不妊症というものを深く考察するようになりました。              

 ●今症例の女性は、多重文脈的生活者に流れつつあった論者を引き戻してくれるに十分な材料を提供してくれた。彼女のこの10年間は、妊娠するために費やされたといって言い過ぎに当たらない。それほど妊娠にかける思いが強い。もちろん現代に生きる以上、様々な顔を持つわけだが、その思いの強さと比べれば付録のようなものだ。あたかも仕事に向かうかのように淡々と不妊外来に通いつめる。不妊患者さん特有の心情の乱れも感じられない。妊娠=生活全部であり、いわば思いが重いのである。自然にこちらも感化され、不妊治療を考え、積み上げ、精しくなって行く。

[初診]平成××年5月、女性、40才、主婦。

[主訴]不妊症

[経過]27才で結婚。31才に妊娠するが13週目で流産。以後人工受精(AIH)を30数回、体外受精を3回行い現在に至る。その間に子宮内膜症軽減の目的に腹腔オペを2回、開腹オペを1回行う。そのほか腹腔鏡検査の際、卵管の通過障害を改善する処置を数度試みる。

●流産したその日、体調のすぐれないご主人に不運なニュースが届く。リンパ系の悪性腫瘍と診断される。その後はインターフェロン投与で奇跡的な回復を見るが…、人生とはままならない。

 患者の言葉の端から推察すると、ご主人は自身の病気を機に「いのち」について深く感じるものがあったようである。それ以後、御夫婦の目標は遺伝子を残すことに大きくシフトして行く。これが妊娠への思いがブレない大きな理由であろう。

 涙が出そうになるも、見せたら臨床家としての立場を失う。第一,人のつらさを計る客観的指標などない。別な言い方なら、些細なことでも本人がつらいなら、我々は共感すべき立場にある。社会的指標を持ち込んではいけない。

[常用薬物]不妊外来では排卵の確保と高温期の安定を妊娠への条件のひとつに数え、相応する排卵誘発剤やホルモン剤を処方する。

 ●今症例もこの例に漏れず、人工受精時には誘発剤を用いている。比較的穏やかな作用といわれるセキソビットでは効果がなく、クロミッドを常用する。来院の前から、通常量のクロミッドでも排卵しないことも多く、倍量の処方に切り替わることも少なくない。それでもダメならHCGを注射する。自然排卵が全くないというわけでもないが、良質な卵子の形成および排卵日の特定という観点から常用すると思われる。まさに短期決戦の観を呈す。

短期決戦の長期化、この構造が不妊患者をして精神疲労に向かわせる主因となる。期待−落胆の繰り返しが続けば体より先に心が壊れる。 

 ●体外受精は胚移植(ET)が主体である。HMG-HCG療法(ゴナドトロピン療法)の後に採卵する。

[月経の状況]12才で初潮。月経日数は5〜7日。経量は2日目に多く、3日目にやや減り、5日目以後は格段に減り、薄いナプキンで事足りる。以前は経量が少なめだったが徐々に増える傾向にある。

月経開始半日〜2日目に血塊が多い。血塊の出ている間は激痛で、重感やチクチク感をともなう腹痛が続く、腰痛のだるさもあり、常時鎮痛剤を使用する。月経周期は28日の前後2日である。

月経直前に沈重感をともなう偏頭痛と右乳房の張りがある。この2症状は月経開始後2日ほど続くこともある。同時に寝汗もかく。ときに顔面紅潮がある。

[基礎体温の傾向性]低温相は月経終了から5〜7日程度ある。低温相から高温相への移行に4〜6日ほどかかる。さすがHCG注射なら一両日で上がる。感心するが恐怖もする。

 自然状態なら高温相は36.7℃を越え維持されことは少ない。黄体ホルモン(ドオルトンなど)の助けを借り何とか維持する。

[随伴症状]近年は夜間尿(1回)、足底痛、やや便通が悪い、腋下や足底に寝汗をかく。頚管粘液は減少傾向にある。

 以前は冷え、とくに下半身の冷感が強く、靴下を履き寝ており、月経中の腹冷も自覚する。

[既往症]子宮内膜症、甲状腺機能低下症、左乳房乳腺症。

[脈舌]舌質淡紅で乾燥、舌下の怒張、脈細弱、左尺脈虚。

[切診]初診日は月経5日目である。右鼠径部及び臍周囲の硬さがみられる。

[分析]まずはわかりやすいものから弁証する。患者は子宮内膜症をもつ。しかもレベル4である。血塊、刺痛を伴う月経痛、月経前半の持続的疼痛、舌下の怒張、月経5日目ですら腹部の硬さみられることなどから胞宮の血オと判断する。

つぎにクロミッドの長期使用が気になる。この1年は年齢リスクを考慮してなのだろうが、ほぼ毎月使用する。しかも倍量使用のときが多い。

●クロミッドは一般に顔面紅潮感、卵巣腫大、下腹痛、吐き気、嘔吐、頻尿、尿量増加、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のほか、3回以上の連続使用で、頸管粘液の減少や子宮内膜の薄化などの弊害をあらわしやすい。

彼女の場合は明確に頚管粘液の減少を自覚する。他に夜間尿、足底痛、便通が悪い、腋下や足底に寝汗をかくなどの症状があり、すべて近年になり出現した症状である。これを論拠に腎陰虚が顕著になってきた様を読み取ることが可能だろう。とくに頚管粘液の減少は、排出されるべき津液の減少と考えれば、2便と同様に陰虚判定の材料としての基準を満たす。胞宮との親和性なら2便より上位に置いてよい。正義ぶって誘発剤の乱用を憤るより、自分の枠内で冷静に処理したほうがよい。孔子様も『心の欲する所に従って、矩を越えず』と仰せになっておられる。

また元々に胞宮気虚があったのではなかろうか。誘発剤使用前は経量が少なく、月経中の腹冷もみられる。胞宮に特定できるわけではないが、足腰の冷えも顕著であり、気虚・陽虚がありそうである。また27才あたりに甲状腺機能低下症になる。甲状腺機能低下は体質を気虚・陽虚に傾け、かつ生殖関わるホルモンの乱れを引き起こすことは経験則として知る。以上を論拠に胞宮気虚を1証立てる。

胞宮の気は胞宮内の活動の一切を仕切る。排卵や月経など、いわば胞宮内の活動時にはとくに必要になる。そこで、元より胞宮気虚があるなら排卵する力に乏しく、いくら誘発剤のような卵胞の成熟を助けるホルモン剤を入れても、排卵力に変化はなく、その結果として誘発剤の量だけが増えるはめになる。成熟卵胞になっても排卵できない、つまり誘発剤が効きにくい体質ができあがる。また月経を考えたなら、経血の排出力が弱いため、胞宮内に血を残存させ、次第に血オを形成する。気虚血オである。

少しばかり事実確証は弱いが、全体像の整合性が極めてよい。

[弁証]腎陰虚 胞宮気虚血オ

[治法]患者は40代に入り、誘発剤を無視できる年齢にない。極力に精・陰を補い続け、腎陰虚の改善をはかる。同時に気虚血オに対処する。低温相〜高温相までは十分に補気を加え、月経中は子宮の瀉性を利用しつつ十分な活血化オを行う。

[配穴]

滋陰―復溜(補)、志室(補):継続的に使用(月経時は除く)

益精―地機(補)、関元(補):継続的に使用(月経時は除く)

活血―血海(瀉)、次(瀉)、合谷(補):月経時使用

補気―子宮(補):継続使用(月経を問わず使用)

[手法]

月経終了〜次回月経の直前までは滋陰、益精、補気を意識する。復溜、志室は小さな筋凝りを見つけ、それを指標に呼吸を合わせ打つ。少しずつ鍼を進め、筋膜近くの凝りで捻鍼に切り替える。地機、関元は軟弱感を指標に鍼が止まるところまでゆっくり進めて行く。子宮穴は反応が読めないツボのひとつであり、コリコリした感じがあっても鍼を進めるとスカスカになることもある。そのあたりで雀啄して、軽く響かせる。排卵前はことのほか注意深く刺す。定位的側面が強く、どんな状態に効かせるか技術次第であるからである。

 月経時は、上記の補気のほか活血主体にする。先にも記したが、この時期は、胞宮が瀉性に傾き、活血が容易になるからである。イメージとして出すべき血をすべて出し切る感じになる。血海は通常の血海よりやや内側よりの圧痛を指標に取る。筋膜の手前あたりで少し大きめに雀啄をし、胞宮に向かい響きかせる。次駹は圧痛あるいは硬結を探し、それを指標に打ち、大きく響かせる。上手くいけば、腹部に響きが拡散してくれる。合谷の補法は胞宮の付近の気(衛気)を増やす作用がある。この気の推動力を借りてさらに経血を押し出すようにする。呼吸の補法を行う。 

[経過]

 1〜3診:ほとんど変化なし。初診日の前日から始まったヒュメゴンの注射では、11日間連続行うも排卵に到らず。配穴を変えることも考慮したが、予想以上に生体レベルが落ちているものと判断して滋陰、益精を強化する。とはいえ配穴を増やしたわけでない。3診目にいつもより集中して呼吸+提挿+捻転の補法を行う。陰・精を意識しながら、かつ衛気を傷らないように心掛け、少しだけ深めに打つ。効かないからと、むやみに配穴を変えると墓穴を掘ることもある。今一度、精度の高い刺針を試みよう。

 4診:3診目の後、足底痛の消失、夜間尿の消失が見られた。腎虚の改善が少しはなされている。帯下の減少も起こる。元々帯下が多いという事実を初めて知る。聞き漏らしは恥ずかしいが、胞宮気虚の改善と読めなくもない。かなり都合の良い解釈ではある。

 5診:治療開始後に初めての月経を迎える。血塊の量は減少する。血オの改善も予定通り。ただし安心はできない。ホルモン剤などは強力で、ひとつでも適正を欠くものが体内に入れば、減少した症状も瞬時に顔を出す。

 気分が良いという。見た目では何の苦もないように見えるが、本人は相当に落ち込んでいたようである。臨床家として甘さに恥じる。

 6、7診:全体に体調が良くなってきた自覚をもつ。夜間尿もなくなる。

 8〜13診:この間に内膜症の腹腔オペを受ける。レベル4―レベル2になる。依然として夜間尿のない状態が続く。オペの効果を素直に喜び、不妊外来へ通い続ける動機づけをつくる。オペへの緊張やご主人への心配があり、珍しく肝鬱頭痛があらわれる。同時に舌下の怒張が少し大きくなる。肝気鬱が直接に胞宮血オを強めたものと考える。この場合、ご主人に何かしてあげられることが一番の疏肝理気になる。ご主人の症状を聞き千年灸を自宅で据えてあげるよう指示する。

 配穴は太衝、風池を加味し、血海を胞宮に向かい十分響かせるよう心掛ける。この間の人工受精は徒労に終わる。

 14〜45診:ほぼ安定した状態が継続する。ときおり夜間尿はあるが水分摂取量の調節で消失する程度で収まっている。

 指標となるホルモン値改も善されてきている。この間、4度目の体外受精にトライする。胞宮の補気を強化するため神闕の塩灸を数回試みる。神闕の塩灸で強力な陽気を作り、それを子宮穴で胞宮に流し込むつもりで行った。ホルモン状態が良いので前回のように注射でなく、内服薬だけで採卵まで進めることになる。内服薬はカルテ記載漏れでわからないがホルモン剤であろう。初めて着床までこぎ着けたが、今回も残念な結果になる。人工受精も4度失敗する。5回だったかも知れない。

 46〜50診:その後は膠着状態に入る。検査結果から卵管の詰まりが消失する。一度だけ感冒をきっかけに刺痛をともなう月経痛があらわれる。合谷を外し外関の瀉法を加え何とかしのぐ。時期も悪く人工受精はまたも失敗する。この段階では、以前ほど血オに集中する必要がなくなり、月経時に行わなかった滋陰、益精を常に行うようになる。

 51〜74診:中医的には、かなり症状の改善は見られているが、妊娠にまで辿りつかない。こちらも本人もそのことを十分に自覚している。年齢も41才の半ばにさしかかる。焦りは余計なことを考える。カルテを眺めると肝血虚をいじったり、健脾したりとつまらないことに手を出す。戦略の練らない奇策は失敗する。

 患者が自ら病院を変えると告げる。唐突の感はあったが、少し前から考えていたらしい。こちらがどうこう言う筋ではないので、聞き役に徹す。新しい病院での一度目の人工受精で無事妊娠する。自分の心が助かった。

[最後に]この症例の成否はわからない。こちらの治療レベルがもっとまともであったら、早く妊娠に辿りつけたかも知れない。あるいは患者が最初から妊娠した病院に行っていれば、当院に来る必要はなかったかも知れない。神のみぞ知る答えであろう。

 ただ後悔もある。冬の一時期を除けば、最後まで寝汗が取れなかった。誘発剤に抗しきれなかったと考えると、まだやるべきことがあったと内省する。見た目以上に心労があり、心陰虚があったかと考えると、読めなかった自分が情けない。

 最初は患者の知識について行けない面もあったが、徐々に知識をつけ、精度を上げることができた。携帯族になっても本は読みたい。考える時間と問題意識を失うならば、そのしっぺ返しは確実に治療家の力量に反映してくる。

2013/7

《症例・不妊症》

以前半年ほど通ってくれた患者さんです。

来院が途絶え2カ月ほど経ったとき・・・『先生、妊娠しました、びっくりです』というメールを頂きました。

途中筋腫のオペの後のAMHがほとんどゼロまでいきましたので、本人の落ち込みも相当だったと記憶します。

徐々に活動的な子宮に戻って来ていたのでこれからという感じで、お別れになり、心配でした。

その矢先のメールでしたので、PCの前でひとり『よっしゃ!』という感じでした。

子宮の底力や内膜の感受性を高めるのに少しはお役に立てたのかなぁ、と思います。安堵しました。

2013/3

◇症例◇

今月は(3/18日現在)は2名の方の妊娠確認を頂きました。

37歳と35歳、当院の平均年齢から見ればかなり若い方に入ります。

そのせいもあり、治療回数は37歳の方が8回、35歳の方が5回と短期間で目標に到達しました。

35歳の方はつわりがひどく、その後治療することはできなかったのですが、紹介者の方によると順調に育ってくれているようです。ひと安心です。

37歳の方はまだ胎牙の確認の段階ですが、涙があふれていました。

嬉し涙ではありません。

これから先を考えると不安なようです。

妊娠した喜びも束の間、今後のことを心配されています。

ホルモンの活動期は精神も不安定になるものです。

泣きたい気持ちを抑圧すると、どこかで大きな塊となり表出します。

泣きたいときは飽きるまで泣いてください。

そして今を前を向きましょうね。

2013/3

今年の1、2月は計8名の妊娠を確認できました。不妊症の方は週で10〜15名くらいなのでかなり成績が良いと思います。もちろん入れ替わりはあります。1例を除き3年以上不妊外来に通われています。

技術的には臓腑に関わるツボと気血を調節するツボに統一感を持たせたこと。子宮体の気血(漢方では子宮と卵巣を分けて考えません)と子宮内部の気血を分けて考えたこと。活血と行気の治療ウェートを上げたことなどが功を奏したと考えています。

少し安堵しています。とはいえ、皆が妊娠してくれたわけではありませんので、もっと精進しなければと考えています。

ただ、先月は昨年47歳で妊娠し、その後定期的に安胎治療を続け、途中の逆子も2回の治療でクリアーし、無事にスムーズな出産までこぎ着た例がありました。48歳でした。

とても嬉しい例であり、自信にもつながりました。

不安で不安でという感じが挙動でわかる方でしたが、どんどん腰が据わってゆく感じで、母になる不思議を目の当たりに見させて頂きました。

2012年不妊治療は30例を越える(11月末まで)。そのうち14例が妊娠する。この割合が上位に位置するかどうかわかならない。平均年齢が限りなく40歳に近くなる、不妊外来に2年以上通う方が大半の現状を考えると悪い数字ではないと思う。

総括すると

2例を除き不妊外来と併用する。

14例中第2子不妊が3例ある。

時間差移植による双子のケースが1例ある。

○妊娠は神のみぞ知るという側面がある。コウノトリが運んでくれるのかも知れない。

鍼灸の役割は妊娠の前提条件を整えることである。内膜の厚みを増す、卵子及び授精卵のグレードを高くする、BBTを安定させるなどである。

初めて内膜が10㎜越えを果たしたケースは7例。うち妊娠に至るケースは3例、15㎜以上に達し妊娠したものの、その後流産のケースもあった。

やはり、厚み+柔らかさが是非に必要だという思いを強くした1年でもあった。

柔らかさは現在測定する術がないので、推定でしかないが、活血を十分に施す必要がある。

年齢が高くなる、運動量が減るなどの状況、さらに数年前に内膜を厚くするためバイアグラ系の薬を用い、現在ではあまり使用していない経過から見ても、厚いだけではダメで柔らかいという視点も考慮しなければならない。

徐々にホルモン剤による刺激治療が効かなくなり、自然排卵の消失したケースもある。一端全身治療で体を整えてから、再度挑戦し妊娠に至るケースもあった。

ホルモン剤は総じて気血の増加に役立つが、その背後で妊娠を支える腎、肝、脾の機能向上には繋がらないようである。つまり子宮内に妊娠するための材料を送りこむが、それを生かす体内機能が落ちれば何にもならないという視点を大いに感じた1年であった。

実年齢と機能年齢には差がある。鍼灸はこの機能年齢を上げることができる。今年の最高齢妊娠は47歳である。本人もこちらも驚いた。

移植の前に数回治療するケースもある。運良く妊娠したケースも1例ある。やらないよりやるに越したことはないが、原始細胞が1次、2次を経て熟成するまでに約1年かかることも考え合わせると、長期治療になるケースが多い。いうなれば市民マラソンを走るようにゆっくり走って欲しいと思う。その途中、突然にゴールが来ることもある。

始めからダッシュしたら心がもたないばかりではなく、心のバランスを崩すケースもある。不妊治療中にうつ病を併発し他院から回ってきたケースも1例ある。

是非に体の声を聞こえる程度の速度でゆっくり構えて欲しい。何よりこの治療には精神の安定が重要ですから。よく休み、よく動き、ときに旅に出るくらいの腹づもりでいて欲しい。

2012/11/02

不妊治療のとき、患者さんからBBT(基礎体温表)を見せてもらいます。

ここに書かれた文字が思いのほか小さい。

この間笑い話しがありました。

あまりに文字が小さく、AIHをAMHを読んで、この方なぜこんなに頻繁に卵巣年齢を計るのだろう?って感じました。

あの小さな枠の中にプラノバール、アスピリン、クロミットなどの投薬名が書き込んであったり、体温を測った時間を明記してあったり、この地道な作業を継続するこが習慣化している姿が伺えます。

本当にお疲れ様です。

がんばっていますね。

私もやることが多くて、とても12時までに寝るという目標に届きませんが、

肝血虚のツボをスタッフに鍼してもらいながら視力を落とさないよう努めます。

2012/6

不妊症の弁証論治で最も多いのは腎精不足から腎虚。そして腎虚から血オという流れであろうか。

血オでは血塊のほか、内膜の硬度、鼠径部の固さ、高温期の低体温、手掌魚際部の色や仙骨部の乾燥などがよく現れる。

もちろん衝・任脈の気血両虚や肝血虚の人も少なくない。

それら諸症状に陰に陽にと影響するのが肝気鬱である。

肝気鬱は専門用語でわかりにくいと思うので、主に精神的ストレスによる過緊張、不安、パニックなどと考えて欲しい。

その精神的ストレスに、さらに理想と現実の乖離が加わると先の肝気鬱をことさら悪化させる。

つまり嫌だという思いがありながら不妊外来に通う。

期待したのに、また授からなかったという思い。

仕事を休みたくないのに休まなければならないとき、何故私だけこんなに苦労するわけという怒り・・・

などで肝気鬱は悪化する。

肝気鬱が不妊症における主体的病理になることは少ないが、影響していないこともまた少ない。

来院する患者さんのほとんどの方が、不妊治療に通う時間の捻出や治療自体の緊張の連続性・・・から相当に肝気鬱を強めている。

肝気鬱はホルモン数値のブレや排卵期及び生理日のブレ、高温期の乱高下で現れやすい。

もうひとつ上手く表現できないが・・肝気鬱状態を際にいくつかのタイミングが合えば、急激なホルモン数値の悪化、さらには月経停止なども引き起こす。

逆に肝気鬱が治まるだけで思わぬほど良い方向に展開することも少なくない。

この間も数回の肝気鬱の治療だけで内膜が9ミリから13ミリ、卵子のグレード4から2まで上昇したケースがあった。

様々な思いを引きずらないことが肝要である。

昨日の私は今日の私と同じではありませんと思い、いかにストレスを抜き、肝気鬱にならないかも重要な視点である。

不妊治療を止めたら妊娠したという事例は枚挙にいとまがないが、このことを指すのだろう。

2012/5

◇症例◇

不妊症の患者さんを多数診せていただいている。

鍼灸の醍醐味は体を整えること。

気血精を活発にし、経絡は流し、、五臓を調節し、不妊症なら子宮の妊娠力を上げて行く。

この例は、数度の体外の不成功の後、体を整えることを目的に来院され、、自然妊娠にこぎ着けたものである。

20週を過ぎ安定期に入った矢先に、昨年の大地震に会う。

心理的要因も加味されたのだろうか?

突然の心音停止。

本人の落ち込みはちょっと見てられない。言葉はない。淡々と見守るだけしかできない。

その後に引越しもあり疎遠となる。

詳細には書けないが、この状態での自然妊娠はかなり難かしい。

相当にしっかり全体を整えなければ、妊娠は有り得ないと感じていたので、こちらのショックも大きかった。

本日お電話を頂いた。

その後、すぐに自然妊娠。早産であったが、無事出産にこぎ着ける。

ときおり、こういうドラマに立ち会える。

鍼灸師の本望といえよう。

2010年4月以後は不妊症に力を注ぎました。

医道の日本、中医臨床、東医学研究で月経痛や不妊症の論文を書きながら、考えたてきたことを実践に移した年でもありました。 最低2周期(週に1度、計8回以上)来院してくださった方16名中、12名の方が妊娠して下さいました。(8回以前での妊娠1例を含める)/注:残念ながら1例は途中流産。

■16名全員が不妊外来と併用です。

■不妊外来の治療:タイミング法1名、人工授精期6名、体外受精5名、胚移植(桑実胚、胚盤胞)7名(鍼灸治療期に人工授精から体外授精に移行した方が3名います)

■年齢:年齢30代前半2名、30代後半11名、40代前半1名。

■鍼灸利用目的(動機)

1〜3回体外受精(胚移植含める)が成立せず、鍼灸の併用を選択した人が10名。

・知人の紹介で、「やってみたら」という方が4名。

・人工授精の補助としての位置づけ3名。

・BBTの安定(子宮の状態を向上させる)を求めて9名。

・他の愁訴のついでに1名。

・ネットで鍼灸で妊娠したブログを見た1名

複数回答あり。

◇妊娠12例の内訳 

・胚移植と鍼灸併用で妊娠   5例

・体外受精と鍼灸併用で妊娠 3例 

・人工授精と鍼灸併用で妊娠 2例  

・タイミング法と鍼灸        1例

・自然妊娠                      1例 

■妊娠12例のうち半数近くの5例が不妊外来の通院を休んでいる時期に鍼灸治療を継続し、体を整え妊娠に至った例です。

・2例が卵巣過剰刺激症候群で2周期の中断中、鍼灸治療を継続し、最初の胚移植で妊娠。

・1例は卵巣過剰刺激症候群で中断中、鍼灸治療を継続し、最初の体外受精で妊娠。

・1例は卵巣過剰刺激症候群で中断中、鍼灸治療を継続し、自然妊娠。

・1例は、第1子が鍼灸治療後の胚移植で妊娠し、第2子は凍結卵を用い、6回の治療を経て最初の胚移植で妊娠。

◇週1度の鍼灸治療継続することで、妊娠の確率がかなり上がると思います。

◇治療中の感想として、悶々鬱々とした精神状態では妊娠率がかなり下がるような気がします。これを解くことが妊娠率を上げるアプローチのひとつです。

◇西洋医学的アプローチで良い結果が得られない、あるいは何らかの事情で治療中断を余儀なくされたとき、鍼灸治療で体を整えるとことが重要であるという結果が出ました。

◇鍼灸治療で子宮力をつけ、再度西洋医学的治療に参戦すると非常に良い結果が得られると思います。 

 FSHは卵胞刺激ホルモン(卵胞の成熟を促すホルモン)の別称です。性腺刺激ホルモンのひとつで、脳下垂体から分泌されます。

 不妊症の際の検査では、月経3日目あたりの一番少ない時期の数字を基準値とします。検査機関により違いはありますが、通常は5〜8(以下すべて単位省略)くらいです。

 FSHは一般に卵巣の成熟度、あるいはそこから出るエストロゲン(卵胞ホルモン、E2)とは、真逆の動きをします。

 妊娠可能期ならエストロゲンは50〜60少なくとも20は欲しいところです。卵巣の働きが悪い、たとえばエストロゲンが20程度でFSHの数値は10以上なら、下垂体ががんばって、何とか卵巣を立て直そうとしている表現とみて良いかと思います。まるで働きの悪い卵巣の尻を叩くかのように働く感じです。

 ただこれも長くは持ちません。どれだけ尻を叩いても卵巣が無反応ならば、今度は下がってきます。エストロゲンが20程度でFSHの数値は1以下という感じの数値になります。下垂体があきらめちゃったのでしょうか。

 ここまでくると自然排卵はかなり難しいと考えられます。ホルモン剤を併用するケースが大半です。鍼灸では、活血と疏肝の組み合わせで、ホルモン剤をより効かせるという視点で治療します。

時間はかかりますが、徐々にFSHの数値が正常に近くなるケースもあります。体のもつ最大限の力を引き出すためには、鍼灸治療に加え、自身の心の持ちようが大事なような感じがします。

 ブログにも書きましたが、『したことへの後悔は時間が消してくれますが、しなかったことへの後悔は、時間とともに膨らみます』といいます。後悔のない選択をしてください。できるだけバックアップしたい思います。中医学の病理も同じなのですが、心の中の何かが足りないか、外部の何かの影響を受けたか、迷って動かなくなるかに集約されてゆきます

ストレスが子宮に影響した典型的なお話

来週は仲間と楽しいはずの温泉旅行

 予定なら月経初日とは3日ほどのズレがある。『ドキドキ、でも大丈夫、きっと大丈夫!!』と言い聞かせるM江さん。自分に言い聞かせているくらいだから、実は相当心配しているのでしょう。旅行当日、案の定(月経が)始まってしまいました。 (本当に実際によくある症例です)
 この手の話はそう少なくはありません。緊張状態やとても気になることがあると、中医学では気の運行が乱れると考えます。専門用語では気滞といいます。
 体内各所の血や水分を運行させているのがこの気なので、気の乱れは即座に血や水分の運行、排泄に影響するのです。つまり月経が乱れるわけです。だいたい来て欲しくないと願う日に来てしまう傾向があります。
 ちょうど東京周辺の鉄道網のような感じと考えてください。現在、鉄道ダイヤがあまりに密になり、相互乗り入れもあるため、JRのちょっとした事故が、関係ないだろう思われる私鉄にまで影響し、乗降客の足に多大な影響を及ぼすのと似ていますね。
この緊張からくる気滞型の月経の特徴は、月経周期の不安定、排卵日のズレ、月経時に腹部の強い張り、高温期後半からのイライラ感などとして現れます。

 月経開始の数日前から乳房の痛いほど張り、ブラジャーさえ外したくなるのも、このタイプの人です。このような状態のとき、横に軟弱な彼氏、人の話を聞かない夫、後片づけのできない息子がいたら怒鳴ってやりたくなります。
 このようなときは怒鳴る前に
中、風池、太衝などのツボを用います。 

 このような状態の長期化は不妊症に繋がることも少しだけ気に留めてくださいね。

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最近、内膜症の患者さんが増えてきています。

 《生理痛》

まず生理痛を語る前に、子宮内膜症を分類します。子宮内膜症は異常内膜が存在する場所によって内性子宮内膜症と外性子宮内膜症に分類します。内性型は子宮筋層に存在し、子宮腺筋症と呼ばれます。

 外性型は卵巣にあればチョコレート嚢腫と呼ばれます。卵管や直腸、ダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)などあるものもこの仲間です。
 1.激痛
 生理痛の特徴はまず強い痛みです。下腹部に差し込まれるような激痛があると訴える人を多くみます。初日〜2日目に市販の鎮痛剤を服用する人も多くいます。

 2.徐々に強くなる
 月経の回数の度ごとに徐々に痛みがひどくなっていきます。半年単位ぐらいでみてゆくとよくわかります。

 3.つれる(引っ張られる)感じの痛みも
 異常内膜組織と骨盤内のどこかが癒着しているときに起こりやすい痛みです。骨盤痛ともよばれています。

 4.肛門痛なども
 異常内膜組織がダグラス窩や子宮後壁にあり、周囲の組織と癒着すると、性交時痛や鈍痛を生じます。また直腸と癒着による排便痛や生理時の肛門痛が現れます。

 5.出血量が増える
 子宮腺筋症は子宮筋層に異常組織があるわけですから、徐々に子宮自体が大きくなります。それに伴い月経血も増えます。子宮筋腫に似た症状になります

 《『血オ』で処置するケースが多い》
 症状により違いますが、かなりの人で中医学でいう『血オ』の状態が出てきます。下記が『血お』に良く使うツボです。
 


 ○ 血海、合谷、崑崙
 平時(生理ではないとき)は血海に市販のお灸をして下さい。 生理時は合谷と崑崙を用います。

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 三陰交は血の調整機能があります。とくに血を補う効が高いと言われています。血は成熟した卵胞や子宮内膜の充実を図るための栄養素だと中医学では考えます。

 低温期〜排卵まで:この三陰交太衝関元を加えます。太衝は肝にある血を充実させます。関元は腎精を充実させます。肝の血と腎精が充実していればBBTは安定しやすくなります。この時期の冷えと睡眠の確保には十分配慮して下さい。
 高温期:低温期のツボに足の三里を加えます。足の三里は気の充実を図ります。気には温煦作用といって体内を温める作用があり、これにより高温期を維持します。
 月経期:この時期はしっかり血を排出しなければ、血が残存してしてしまい。オ血という状態に変化します。西洋医学的なら内膜症や筋腫の人に多く見られます。血海三陰交合谷を加え、月経血を十分排泄するよう心掛けてください。

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 ■ 《単発か連続か》    体温はもともとよく上下するものです。患者さんの話をまとめると、一過性で、かつ0.2〜0.3程度の上昇なら、原因の特定は難しいようです。もちろん、黄帯ホルモンの萎縮不全や子宮内膜の炎症などによるケースもあります。

 また貝原益軒の養生訓だった?と思いますが、「生理中は洗髪するな」的な下りがあります。つまり生理中は体外に気血が出てしまうので、今風にいうなら免疫力が落ち、風邪を引きやすくなります。つまり感冒の可能性も考えられます。  感冒はその後の病状から、割と判断がつきやすいのではないでしょうか。

 黄体ホルモンは体温上昇と絡んできます。黄体形成不全なら高温期の上がりが悪くなり、逆に萎縮不全なら生理になっても高温期だったり、生理中に再度上がったりします。

 まずはホルモン値の検査が必要だと思います。東洋医学では圧倒的に血オのケースに見られます。よく使うツボが血海、地機、次膠などです。
 子宮内膜症の場合、炎症のレベルにもよりますが、ときにサイトカインという物質を放出するため、体温が上がることがあります。

 病院に行く途中にでも親指と人さし指の水掻きのへこみにある手の合谷というツボを持続的(2分ほど)にギュッと押しから行ってください。
 しかし、定期的にそうである場合を除き、一過性の体温上昇なら、「微妙な体調変化」というごく日常的な文脈の範囲で考えるのが無難でしょう。

■ 《単発はリラックス》
 いずれにせよ、気にしすぎると、かえってその状態を無意識に作り出すこともあります。基礎体温を気にし過ぎ、「上がったらどうしよう」と不安や緊張状態でその日を迎えたら、かえって上がりやすくなります。
 中医学では、肝気鬱による鬱熱といって、極度の緊張状態で気が停滞すると、熱を帯びてきます。
【人の体は動的平衡状態を保とうとする】という原則からも、リラックスすることです。ただし「リラックスしてください」ということは、どこの病院に行っても言われますよね。ちょっと芸がありません。

 リラックスとは余分な力が入っていない状態です。
 ふたつの視点があります。ひとつは意識を外の別な世界に持ってゆきます。
 つまり目下の悩みごとから意識的に心を離します。つまり悩んでいられない環境を設定してしまいます。
 ふたつめはそのことを意識しながら、呼吸などを整え、筋肉を弛緩させてゆきます。静かに頭で悩みごとを考えながらも、筋肉が弛緩してゆく様を味わいます。さっきとは逆に内に意識を持ってゆきます。
 ひとそれぞれやり方はあるでしょうが、内外どちらかの方法で試してみてはいかがでしょうか。

確かに高温相が10日以下だと心配です。加えて低温相と高温相の差が0.3度以内、排卵後の体温上昇がダラダラとしか上がらないなら、黄体機能不全あたりを考えるのが一般です。


黄体は排卵を契機に卵胞が変化したもので、その黄体からは黄体ホルモンが出ます。黄体ホルモンには3つの働きがあります。

①体温上昇の維持

②子宮内膜を厚くする

③子宮収縮の抑制

 《鍼灸で子宮の気を増加させる》
 この黄体ホルモンの働きを東洋医学に置き換えると、子宮内の気の働きに相当します(それだけではありませんが・・・)。

 ○体温上昇は、子宮内の躍動性の高さの表現、あるいは気の温煦作用(気の6大作用のひとつ;温める働き)によるものです。

 ○内膜を厚く変化させるのは、受精卵の定着率を挙げるためです。これは気の営養作用(栄養する働き)によります。
 ○子宮収縮の抑制は流産を防ぐためです。これは気の固摂作用(固定し落ちなくする働き)によります。

 ここまでを要約すると、子宮に気を送り込む働きが弱いと、黄体の機能不全になりやすいということがわかります。このようなときは関元や気海、腎兪、三焦兪いうツボが有効です。

また、肝気鬱(かんきうつ)といって全身の気の流れが悪い状態では、子宮への気の流入が減ることもあります。生理周期が乱れる、胸の張りがいつもに増して強い、ひどいときには一過性の高プロラクチン血症などを起こします。またLHサージを早めに起こしてしまうこともあるので未成熟状態で排卵したり、逆に排卵には時期尚早となり遺残卵胞となることもあります。 あるいは長期の疲労状態や睡眠不足などでは、全身の気の不足が予想されます。当然ながら子宮に回す分の気が少なくなります。 そこで問診はもとより、脈や舌あるいはお腹の状態で、まず全身の状態を把握します。

 つぎに子宮との関連を考慮します。

 そして最終的には子宮の気を増加させるような鍼灸治療をしてゆくという手順となります。

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よく鍼灸学校の学生などに頚管粘液は「眼に見える腎精(生殖の精)である」と教えることがあります。 

僕はそう考えています。ただこの視点は中国の中医婦科専門書にはありませんが・・・

頚管粘液はエストロゲンに反応します。

排卵前のエストロゲンがMAXなったとき、質的変化を帯びたおりものが出ます。

これが頚管粘液です。良質の頚管粘液は極めて精子が侵入しやすい状態をつくります。

つまり妊娠率が上がることになるわけです。

では、良質の頚管粘液とはどのようなものをさすのでしょうか?

 1、粘稠度が低い

 2、量が多い 

 3、無色透明

 4、牽糸性が高い(糸の伸びる程度、10cm以上)

 5、シダ状結晶(可視できない、顕微鏡所見)

良質の頚管粘液はこの5つが揃うことです。

腎精(生殖の精)は、原始卵胞の生成ー2次卵胞への進展ー成熟卵胞への成長および頚管粘液の排出と大いに関わりますが、卵胞の成長過程は残念ながら可視化できまんせん。見えるのは頚管粘液の状態だけなのです。

 頚管粘液があろうとなかろうと人工授精だから体外だから関係ない、という意見もあるかとは思います。

しかし、生殖全般に関わる腎精の判定として頚管粘液の考えるなら、このサインを疎かにはできません。

治療は精を増やす(益精)の鍼灸を行います。場合により補気、補血、補陰などを組み合わせることもあります。

不妊治療に欠かせないないのが毎日の基礎体温です。一般に、排卵日はいつ、高温相が何日続くなどに注意がゆくと思います。皆さん、不思議なほど低温期の体温については気になさりません。

臨床経験からの感想ですが、低温相が36℃以下の人は妊娠しにくいように思います。子宮を温める腎陽や腎精が少ない人が多いようです。 つまり元々子宮を温める力が弱いということでしょう。

弁証でいえば腎精不足、腎陽虚、脾陽虚、血オに分類し、温灸治療を主体に治療します。

毎日のウォーキングも良いでしょう。

直接灸よりお椀灸という道具を用います。これは気持ち良く、眠くなります。

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