乳房が張って痛いことを中医学では「乳房張痛(にゅうぼうちょうつう)」という。
主訴として来院される方は少ないが、症状として訴えられる方は多い。
そこで中医書を見てみることにした。
下記のように、3タイプに分類されているが、キーワードは「気」か。機序は「気」に由来することが多いようである。
●乳房張痛の分類●
①痰気鬱結タイプ
体内の余剰水分が長期間停滞して体内に「痰」が形成される(水液性の病理物質)。この「痰」が気の動きをブロックすることで乳房においては張り感・痛みが生じる。
鑑別ポイントとしては、乳汁は出ずらいことが挙げられる。
②肝気鬱滞タイプ
気のスムーズな運行を担う臓腑「肝」の失調に由来する。多くの原因はストレス・抑うつ感など精神的な部分とされる。
鑑別ポイントとしては、胸の張り感が著しく、月経前に出現しやすい(その他は出現しづらい)。
③気血虚弱タイプ
エネルギー物質の「気」・栄養物質の「血」の不足に由来。飲食物より得るエネルギー・栄養の不足により生じる。運行・循環させる力が停滞することで乳房においては滞り・停滞が生じてしまうので乳房の張り・痛みが生じる。
鑑別ポイントとしては、乳房の張り感は時折生じること・痛みとともに規則性がはっきりしないことか。
スタッフ 杉本
●参考文献
『中医症状鑑別診断学』 人民衛生出版社