出産後、子宮内の血液や粘稠性の分泌物が子宮内に残留したまま排出されなかったり、あるいはごく少量しか排出されないものを指す。子宮の活動力低下・血液運行の低下に由来する。以下、中医書に記載されている3パターンについて解説していきたい。
①気滞悪露不化(きたいおろふか)
出産後子宮の活動力に滞りが生じることが原因となる。主にはストレスなどの精神面が子宮の活動の低下・血液運行停滞に作用することで生じる。
(特徴)血液や分泌物は排出されず残存・あるいは少量しか排出されない
(身体症状)胸肋部の張り感・お腹の張り感・痛みを伴うなど
②血オ(寒凝)悪露不化(けつおおろふか)
出産後の血液残存および血液運行の停滞が原因となる。出産時や出産後の不摂生から体内及び子宮に冷えが侵襲してしまい血液残存・血液運行の停滞を生じさせる。
(特徴)血液や分泌物は排出されず残存・あるいは少量しか排出さえない(暗紫色・紫黒色の出血をみる)
(身体症状)下腹部の痛み(押すとさらに痛む)・痛む場所は一定であり固い・舌に赤い点々が見られるなど
③気血両虚悪露不化(きけつりょうきょおろふか)
子宮の活動量低下や悪露の量自体が少ないことに由来する。もともとのエネルギー・栄養不足の体質に加えて、出産を通じたエネルギー・血液を損なうことが原因となる。排出する力もないし、悪露の量も少ない状態である。
(特徴)血液や分泌物が突然排出されなくなる
(身体症状)下腹部の下垂感や張り(痛みはない)・耳鳴り・めまい・動悸・心身の倦怠感など
スタッフ 杉本
◎参考文献
「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社
「病気がみえる 産科」 メディックメディア
「中医病因病機学」 東洋学術出版社
「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社
「漢方用語大辞典」 燎原出版社
「実用中医婦科学」
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