●おへそ下(下腹部)の痛みについて●
「お腹が痛い!」といってもお腹のどこが痛むであろう?
腹部において「おへそ下」のエリアが痛むことを東洋医学では「小腹痛」という。
下腹部に存在する五臓のトラブルによって痛みが出現することが多い。
具体的にいうと「腎(じん)」・「膀胱(ぼうこう)」・「小腸(しょうちょう)」「子宮(しきゅう)」などが下腹部には存在する。
つまり上記の臓腑が単独ないし複数がトラブルを生じることで、下腹部の痛みが出現するのである。
早速だが、中医書における下腹部痛3パターンを紹介していきたい。
●「下腹部痛(小腹部痛)」についての東洋医学的分類●
①膀胱湿熱(ぼうこうしつねつ)タイプ
膀胱に水液物質(尿)が停留すること・排出されることなく膀胱へ水液物質が注がれることなどが原因となる。長時間停留した膀胱内の水液物質は熱化してしまうことで下腹部の痛みが出現する。
※鑑別ポイントとしては、発症が急であること・腹部の張り感が伴うこと。排尿時には小便の色が赤く・灼熱感や痛みを伴うことが多い。
②膀胱湿滞(ぼうこうしつそ)タイプ
何らかの原因で膀胱の活動が停滞することによって生じる下腹部痛である。
停滞する原因としては「気滞」・「オ血」・「砂石」に分類される。
A)「気滞タイプ」
膀胱のはたらきが滞ることにより生じる。腹部の張り症状が著しく重さや痛みも伴うことが多い。
特徴としては、お腹の痛みは排尿後に生じることが多く、排尿後残尿感を伴うことが多い。
B)「オ血タイプ」
血液が停滞ないし凝滞することにより膀胱の活動に障害をもたらすことで生じる。
特徴としては、お腹の痛みは針にチクチクさされるような痛みであり血尿を伴うことも多い。
C)「砂石タイプ」
膀胱内に形成された石が膀胱の活動を妨げることにより生じる。
特徴としては、割れるような締め付けられるようなお腹の痛みであり、はっきりとした血尿となる。
③腎虚寒凝(じんきょかんぎょう)タイプ
下腹部(ここでは主に五臓「腎」)が冷えることで生じる下腹部痛である。
※鑑別ポイントとしては、痛みの程度は弱くシクシク痛み程度・小便の量が多く・排便も水っぽくなることが多い。下腹部を温めることで痛みが落ち着いてくることが最大の特徴か。
※(子宮のトラブルについては「痛経(月経痛)」の範疇であるためここでの説明は省略する)
いかがだったでしょうか?下腹部に存在する五臓のトラブルに加え・冷え・熱・石などいろいろなことが膀胱の活動に異常をきたすことで「下腹部の痛み」が出現します。
同じ下腹部の痛みでも、痛み方も異なり、原因によって行うべき処置が異なってくることが異なります。
お腹の痛みも鍼灸治療の適応疾患ですので、お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
スタッフ 杉本