月経痛は東洋医学では「痛経(つうけい)」・「経行腹痛(けいこうふくつう)」ともいう。
月経前後あるいは月経期間中に発生する。腹部の痛みを指し、耐え難い痛みである場合もある。
また同時に顔面蒼白・頭面部の冷汗・悪心嘔吐などの症状を伴う。
本病は気血の運行が停滞することで痛みが生じる。
①気滞血オ(きたいけつお)タイプ
体内の巡り・循環力が停滞することで血液運行も滞るため、月経時に痛みが生じる。
全身の巡り、循環を担う五臓の「肝」の失調によるものが多い。子宮においては血液の運行が阻害される。
●主な原因
ストレスや発作的な怒りによるものが多い。
●月経の特徴
月経前・月経期の下腹部の脹満疼痛を主な症状とする。
月経量は少なく・ポタポタと滴下状に出血し、経血色は紫色で血の塊を伴う。
●全身症状
月経前に乳房・両脇肋部の張り・痛み・イライラ感など。
②寒湿阻滞(かんしつそたい)タイプ
寒冷・多湿な刺激が子宮に冷えを生じさせることが原因となる。冷えは血液を凝縮させる原因となるり、血液の運行が滞り、子宮に停滞することで月経痛が生じる。
●主な原因
月経前・月経中に雨に濡れて歩きまわる、水泳や冷たいもの生ものを食べることでなど。
●月経の特徴
月経前・月経時の下腹部の冷え・腰背部全体の痛み(温めると軽減)を主症状とし、経血量の減少・暗色で血の塊を伴うなどの所見を見る。
●全身症状
寒さを恐れる・下痢・舌の苔は白く厚い
③気血虚弱(きけつきょじゃく)タイプ
体内のエネルギー・栄養物質(東洋医学の気血)の不足によって子宮へ供給する血液の栄養を受けられられなくなることから生理痛が生じる。
●主な原因
もともとの虚弱体質・大病や長期間病を患うことによる気血の損傷
●月経の特徴
月経時・月経後における小腹部のかすかな痛み(手で押すとやわらぐ)・色は薄く・サラサラとした液状となる
●全身症状
顔色は青白い・精神倦怠感・手足に力が入らない・動悸・息切れ・物を食べたがらない・下痢・舌色は淡い・脈は細い。
④肝腎虚損(かんじんそんきょ)タイプ
子宮へ気血を供給する主な臓腑「肝」と「腎」の損傷による。「肝」と「腎」の機能が弱まり、「子宮」や「子宮への気血の運行ルート」が栄養不足の状態となり、生理痛が出現する。
●主な原因
過剰な性生活・出産過多・加齢などにより原因が精血が減少することによる。
●月経の特徴
月経時に小腹部痛・腰痛を生じる。時に耐え難い激痛に至ることもある。月経時・月経後の腹部のかすかな疼痛を主症状とし、色は淡く量は少ない。
●全身症状
めまい・耳鳴り・膝腰部がだるい・あるいは痛みといった症状が見られる。
分類が多いため、続きは「生理痛の東洋医学的分類②」にて。
スタッフ 杉本
◎参考文献◎
「中医基本用語辞典」 東洋学術出版
「漢方用語大辞典」 創医会学術部
「430種疾病鍼灸表解」 中医古籍出版社
「中医症状鑑別診断学」人民衛生出版社
「イラストわかる指圧 生理痛・生理不順」 ユリシス出版部