酸っぱい液体が胃の中から口の中にあふれ出た時すぐに嚥下することを「呑酸(どんさん)」という。嚥下せず液体を吐き出した場合は別の症状とされ、「吐酸(とさん)」と呼ばれている。
この呑酸は現代医学的での「逆流性食道炎」に相当する。
●呑酸を話すまえに…
呑酸はいわば胃の中にある液体(胃液)が口の中に昇っていく状態を指す。
胃は口から取り入れた飲食物を消化し、小腸に輸送する作用を有する。
胃の機能失調によって、「胃の中に留まる」or「胃→口という逆転現象」が起こることが原因と考えられる。
上述の内容を踏まえて、解説に移りたい。
①肝気犯胃(かんきはんい)による呑酸
精神的なストレスにより消化器のはたらきが悪くなることが主な原因となる。五臓の「肝」は五臓六腑の働きをスムーズにする役割を有するが、精神的ストレスなどが原因で停滞が生じる。「肝」の失調が消化器に及び、胃の内容物を小腸に輸送する働きが低下することで呑酸が生じる。
②飲食積滞(いんしょくせきたい)による呑酸
いわゆる食べ過ぎ。飲食の不摂生は消化器の活動を低下させてしまう。
「胃」における飲食物の消化・小腸への輸送する力双方が低下してしまった結果、呑酸が生じる。
食物の臭いがするゲップを伴うことが特徴。お腹の張り感・吐き気・嘔吐など食べ過ぎを想起させる身体症状が出現する。
③寒湿内阻(かんしつないそ)による呑酸
冷えや余剰水分が消化器に生じることが原因。生物や冷たい物の摂りすぎ、湿度の強い環境で長時間過ごすことなどにより生じる。生じた冷えや余剰水分は消化器の機能の低下をさせ、胃の消化・輸送する力が低下した結果、呑酸がおこる。お腹が冷えると症状が悪化し、温めると軽減することが特徴。食欲不振・胸腹部のつかえ感が生じるなどといった身体の症状が現れる。