嘔吐について

今回は「嘔吐」について。

嘔吐は、胃の内容物を吐出することを指す。先日解説した悪心を伴うことが非常に多い。悪心・嘔吐も胃の機能失調により、「口→胃→小腸」という下方向のベクトルが、「胃→口」と逆方向のベクトルへ作用することによって生じる。

内容物の吐出の有無の違いはあるが、発症機序は類似している。以下の解説にも「悪心」のものと重複するものが多いが、復習の意味でもご覧いただければと思います。


@外邪干胃による嘔吐
高温・多湿・寒冷な外的環境が原因となる。高温多湿な環境は胃の「熱」を寒冷な気候は胃の「冷え」を招く。熱や冷えは胃に悪さをすることで、胃の働きは低下してしまい嘔吐が生じる。特徴・身体症状もそれぞれ異なってくる。

(特徴)
嘔吐のほかに上腹部の不快感が生じる(熱によるもの)

嘔吐のほかに必ず発熱がみられる(冷えによるもの)
(身体症状)
重い頭痛・体の重さなど(熱によるもの)

発熱・寒がり・頭痛・体が重いなど(冷えによるもの)

 

A傷食による嘔吐
暴飲暴食や不衛生な飲食物を口にすることにより胃がダメージを受けたことで生じる。

食べ過ぎ・賞味期限切れの口にしてしまい吐いてしまうイメージか。

(特徴)
嘔吐ほか上腹部の張り感がある・吐くとスッキリする
(身体症状)
飲食を欲さない・酸腐臭のするゲップが出る・上腹部の張り感など。


B胃寒による嘔吐
消化器の冷えが原因となる。冷えはもともと体質・体を冷やすものの(冷たいもの、生もの)の食べ過ぎなどにより生じる。冷えは胃の機能の低下をもたらした結果、嘔吐が生じる。
(特徴)

嘔吐物は少量。温めると緩解し、冷えると悪化する。体質によるものは症状は比較的長く続くが、食事からのものは発症は急激であるが症状は比較的すぐ落ち着く。

(身体症状)

上腹部の痛み・食欲不振・声が小さく力ない・下痢など。(体質由来のもの)

上腹部がかなり痛むなど食欲不振・下痢・全身倦怠感・脈は弱弱しいなど。(冷たいものの食べ過ぎによるもの)

 

C胃熱による嘔吐
胃に熱が生じることが原因となる。辛い者や味の濃い者の食べ過ぎ、飲酒過多が熱を生じさせる原因となる。熱は上に昇るという特性のもと、胃から口方向への力がはたらくため嘔吐が生じる。

(特徴)

時には上腹部痛を伴う・口の中が苦い
(身体症状)

口臭や便秘・脈が速い・舌の苔が黄色いなど熱症状が伴う

D胃陰虚による嘔吐
胃が滋養されないことによる機能失調が原因となる。激しい嘔吐の後・発熱後の身体の水分損傷・慢性的な胃の疾病などにより濡養不足となる。滋養不足は胃の機能の低下と微弱な熱を生じさせるため、嘔吐が生じる。
(特徴)
反復して嘔吐の発作が起こる。まず固形物が出て、出尽くした後液体を嘔吐する。その後胆汁を嘔吐する。
(身体症状)

飲食ができない・水分を摂るとすぐ吐き出してしまう・口や咽が乾く(飲むことはできない)

 

E肝胃不和による嘔吐
ストレスや精神抑鬱が胃の機能に影響することが原因となる。ストレスは全身の各部位の機能低下を生じさせる。胃においてもストレスにより働きが悪くなった結果、嘔吐が生じる。

(特徴)
心の動きと連動しており、特に精神的ストレスなどで症状は加重する。たびたび吐き気が起きるが嘔吐はさほど激しくない。

(身体症状)
お腹の張り・胸肋部の痛み・口の苦みなど。

 

スタッフ 杉本

 

※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。