●経来しゅう止(けいらいしゅうし)とは?
月経の1〜2日目に突然月経が停止しその後再開するものを指す。「閉経」とは別の概念として分類されている。
●月経が中断する理由
中医書を眺めていく中で考えられる理由は大きく二つ。一時的に子宮の働きが低下するか・血液が凝固(血オ)状態になることが考えられる。環境・精神面から生じる記載が多く見られる。もちろん五臓六腑の失調によるものもある。
●月経の中断(東洋医学的分類)
①熱入血室経来しゅう止(熱タイプ)高温な環境などを身体が感受し、感受した熱が子宮に侵入する。子宮内に及んだ熱が血液を煎じ詰めることで、月経の中断が生じる。月経が来潮したタイミング・産後などに生じやすい。
(特徴)
お腹の刺すような痛み、風邪の初期症状が生じる(さむけ・発熱)。
(全身症状)
胸脇部の脹満感・口が苦く咽が乾くなど
冷えにより子宮の活動量の低下・血液凝固(血オ)状態となってしまうことで月経の中断が生じる。冷えが生じる原因は、生もの・冷たいもの・身体を冷やすものの食べ過ぎなど生活習慣によるものや、寒冷な環境、雨に濡れて長時間そのままでいるなどの外的環境によるものが挙げられる。
(特徴)
下腹部に絞めつけられるような痛みが生じる(温めると軽減し、冷やすと悪化する)
(全身症状)
顔色は白く唇が青い・四肢の冷え・寒がる。
③オ血阻滞経来驟止(身体めぐりパワー停滞タイプ)
身体のめぐる(循環)する力が低下してしまい、血液運行に停滞が生じることで血液凝固(血オ状態)となってしまう。また子宮自体の活動量も低下してしまうことから月経の停止が生じる。長時間同一姿勢でいること・運動不足・精神的な抑鬱状態が続くことが原因として挙げられる。
(特徴)
腰部腹部の張った痛みおよび刺すような痛みがある(押すとさらに痛い)
(全身症状)
舌に多くの赤い点が見られるなど。
全身のめぐる(循環)する力が低下してしまい、子宮のはたらきも低下してしまうことで月経の停止が生じる。五臓の「肝」の失調によるものである(「肝」は全身の気の動きの調整を担い、失調することで停滞が生じる)。長期間ストレスフルな環境にさらされること・突発的な精神的な刺激に遭うことなどが「肝」の働きを低下させる要因として挙げられる。
(特徴)
両胸肋部および腹部の張り感が出現する
(全身症状)
ため息・ゲップが出る・食欲が低下するなど
◎参考文献
「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社
「中医症候鑑別診断学」 人民衛生出版社
「問診のすすめ」 東洋学術出版社
「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社