見出し
・身体がだるく無力感があり、知らず知らずの睡眠状態に入ってしまう
・睡眠時間が健康のものよりも長い
・季節の変わり目に眠気が強くなる
・意識状態が不鮮明かのように寝ている
これらは東洋医学的な病証であり、「嗜睡」・「嗜臥」・「多び」という。
原因は、頭部が養われないことよりおこるものが多い。
我々鍼灸師は、「どうして頭部が養われなくなったのか?」、「どの五臓六腑のトラブルで生じているのか」を考えながら、治療を行っていく。
代表的な原因5パターンを以下に紹介したいと思う
①湿困脾陽
湿気の強い地域に居住する人・長時間雨水で濡れるなどの湿邪を感受すること。
或いは生もの・冷たいもの・味の濃いもの・甘いもの・飲酒の過度により脾胃が損傷する。
陽気を昇らず頭がはっきりせず嗜睡が生じる。
(身体症状)
頭が重い・中夜問わず眠い・四肢が重だるい・食欲が減少・お腹のはり・口粘り水分はほしくない・大便はゆるい・むくみ・舌にこけがベッタリしている
(治療)
温中化湿・健脾醒神
②心脾両虚
同様に消化機の低下によりエネルギー・栄養を生み出せないことがにより生じる
多くの原因は病後の失調・思慮過度・飲食不摂・失血など
(鑑別ポイント)
倦怠感を伴う・顔色に色どりがない・動悸息切れ・食事量少なく下しやすい
(治療)
補益心脾
③腎陽虚
長患いにより五臓「腎」が損傷する、あとは治療の失敗などが原因。
これらは身体の陽気を消耗し、陽気が不足してしまうことで頭がはっきりしない。
(鑑別ポイント)
寒さを嫌がる・膝腰以下がむくんで身体が重いだるい・足が冷える・精神疲労・ボソボソ声で話すなど
(治療)
温補元陽
④腎精不足
働きすぎ、高齢で身体が衰えることが原因。
腎精が損傷し、髄海(頭部・脳のイメージが近い)が満たされないことで眠気が生じる。
(鑑別ポイント)
頭がくらくらする・精神疲労・耳鳴り・難聴など
(治療)
填精補腎
⑤オ血阻キョウ
頭部外傷や精神緊張・などによる身体の循環が停滞することによって生じる。
気血の運行がスムーズでなくなることで血脈の滞りが生じ、陽気が詰まった結果、嗜眠が生じる。
(鑑別)
頭痛・嗜眠・舌が赤黒い
(治法)活血通絡
スタッフ 杉本