味覚の減退や飲食物の香りがしないものを「口淡(こうたん)」「口淡無味(こうたんむみ)」という。
古典(霊枢・脈度編)では「味覚」と「脾・胃」の関連性を説いておりとされている。五臓の「脾・胃」の機能が弱まることによって味覚の減退が起こるものとされている。
(飲食物の入り口は「口」であり、受け止め先は「胃」であることから関係性はイメージできるであろう。このことから「脾胃」の不調は「口」にも及ぶ)
中医書では原因は3種類記載されているが、いずれも脾胃が弱まることで生じている。
ゆえに食欲不振を伴うことが非常に多い。
●口淡無味の東洋医学的解説●
①脾胃気虚(ひいききょ)タイプ食べ過ぎ・嘔吐・下痢などによって消化器が弱ってしまうことが原因となる。また大病を患い、食事の量が極端に減ったり、体力が低下してしまったことも原因となる。
飲食の消化系統のはたらきがが低下し、食欲不振や下痢が出現する。入口である口においては味覚の減退が出現する。
②湿困脾胃(しっこんひい)タイプ
余剰水分が消化器のはたらきを阻害することが原因となる。余剰な水分は飲食の不摂生ほか、湿気を感受することによっても生じる。同様に消化系統のはたらきの悪さが口におよぶことで味覚の減退が生じる。ただ余剰な水分が存在することから口の中が粘々したり、胃のもたれ感を伴うことがこのタイプの鑑別ポイントである。 舌の苔がベッタリついていることも特徴か。
発熱後などの体力低下や水分不足の状況が原因となる。体力(=エネルギー)・水分の不足が消化器の活動におよび、口のはたらきにも及ぶことで味覚を感受する力が弱まる。気力体力ともに落ちている状況の他、口やのどの渇きが伴うこともこのタイプの特徴。舌の苔は少なく舌の色は赤いことが多い。
多くは脾胃の失調ですが、「何が原因で脾胃が弱ったのか?」という鑑別のもと治療をおこなっていきます。お困りの方はぜひ一度当院までご相談ください。
スタッフ 杉本
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