以前、「味がしない」という症状についての東洋医学的な解説を行った。
ツボには「定位=どこに効くか」・「定性=何に効くか」という特性が存在するが、「舌」オンリーで少し調べてみることにした。
舌に関する疾患としては、「味覚」を除けば
☆言語がスムーズに出ない(舌の動きが円滑に行えないため)
☆飲食物の飲み込みがうまくできない(嚥下動作に障害があるため)
☆できものが出来て痛い(炎症・栄養失調) などが考えられる。
●「舌」の穴性を有する4つのツボ●
中医書で調べてみたところ、「舌」を含むツボを4つみつけることができた。記載の多かったものから順に紹介していきたい。セルフケアの際にどうか役立ててほしい。
①廉泉(れんせん)
(ツボの場所)前頚部、前正中線上、喉頭隆起上方、舌骨の上方陥凹部
→喉ぼとけの上の凹み
◎効果・・・『補益舌本』常用兪穴臨床発揮・『通利舌咽』鍼灸学・『開キョウ利候舌』中国灸療法・『利候舌』鍼灸兪穴学・『通利こう舌』百症鍼灸用穴指南
→「通利」の記載の大きさから舌の動きが円滑でないケースで用いるのことが多いと考えられる。
「補益」からエネルギー・栄養不足タイプにも対応できるか。
②通里(つうり)
(ツボの場所)前腕前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節横紋の上方1寸
→小指側手首のシワから親指1本分下降する
◎効果・・・『通利こう舌』実用鍼灸学・『益舌絡』常用兪穴臨床発揮・『和舌和営』中国灸療法
→「益」「和営」などから栄養不足型に対応か。「通利」の記載から動きが円滑でない場合も用いられることが考えられる。
③関衝(かんしょう)
(ツボの場所)薬指・末節骨尺側・爪甲角から近位内方1分(指寸)、爪甲尺側縁の垂線と爪甲基底部の水平線との交点→薬指の爪外側で爪の生え際あたり
◎効果・・・『消腫利舌』鍼灸学・『利こう舌』鍼灸兪穴学
→「利」の記載があり舌の動きが円滑でないケースに用いるか。「消腫」の記載もあることから舌がむくんでしまい動きが円滑でない場合に特に効果があることが考えられる。
④あ門(あもん)
(ツボの場所)後頭部の中心線上にあり、生え際から上に指0.5本分
→首のうしろ・生え際から上にのぼったときにあたる凹みの部分
◎効果・・・『利舌増音』百症鍼灸用穴指南
→「増音」の表記から、舌の動きが悪いタイプの言語障害に用いるのではないかと考える。
4つのツボを紹介しましたが、せんねん灸でのケアは「②通里」・「③関衝」がおすすめです。
「①廉泉」・「④あ門」については自身の指で押すなどをしてセルフケアに使っていただければと思います。
スタッフ 杉本