先日、『帯状疱疹の東洋医学的な記載』について簡単に紹介させてもらった。
『帯状疱疹』は初期では皮膚の発熱や灼熱痛あるいは軽度の発熱などの熱症状が出現する。
その後、皮膚が赤らみ・大小さまざまな大きさの水泡が形成される。
自分自身がひっかかっているのだが、初期の炎症症状の後にどうして水泡が出現するのだろう?
そこで水泡の発症機序について少し調べてみることとした。
前回のブログから少し流れがそれてしまうかもしれないが、少しお付き合いいただきたい。
●「皮膚水泡」について
「水泡」は皮膚表面に水泡が発症することを指す。水痘などとも表記される。
大小さまざまな大きさが存在し、単発でいたるところに存在することもあれば、一部に集まって存在することもある。
隆起している皮膚は薄い場合も厚い場合もあり、液体は透明であったり混濁してあったりする。
皮膚科疾患ではよく見られる症状の一つではあるが、病種は同じでなく水泡の表現形式も多様である。
中国伝統医学では、場所・色・疱内の液体の性質などによって分類している。
多くは平素から湿熱が体内に存在しているところ感染症を感受し、湿熱が体内から肌表までのぼってくることですることで発症するとされる。
●皮膚水泡についての東洋医学的分類
多くは「湿」(体内の余剰水分)について記述されているものが多い。
この「湿」がどのようにして形成されるのか?おおきくは「気候を感受したもの」・「消化器の機能低下」などが原因として挙げられている。以下、見ていきたい。
①風湿水泡(温暖気候タイプ)
春〜秋の季節の温暖な気候に出現しやすい。温暖な気候により皮膚表面が柔軟になることで肌表は気候の影響を受けやすい状態となる。湿性が強い気候を感受し、散布されることなく一定位置に湿気が停滞することから水泡が出現する。
発症部位は一定でなく、水泡はわずかに赤味を帯びている。破れたあとの水量は少なく汗腺の多く存在するところに出現しやすいとされる。
②寒湿水泡(寒冷気候タイプ)
冬季などの寒冷な気候に出現しやすい。寒冷な気候が人体に作用することで全身の巡りが停滞する。水液物質の流れも同様に停滞し肌表部に底流することによって水泡が形成される。手足・顔・頬に出現しやすく水泡の色は白い。なかなか治りにくいことも特徴として挙げられる。
③湿熱水泡(余剰水分+熱タイプ)
消化機能の低下による水液代謝が弱まることで生じる「余剰水分」や急激な精神刺激などから「熱」が体内生じてしまうことに由来する。この体内に存在する「湿」と「火」が結合した後に皮膚へと燻蒸されることで水湿が形成される。発症は急激であり熱感も強く伴うことが多い。小さな水泡が多数出現し水泡はパンパンに張れ光沢を伴うような性状であることが特徴である。
④脾虚湿水泡(余剰水分タイプ)
消化機能の低下による水液代謝が弱まることで生じる「余剰水分」が原因。身体内部から皮膚表面へと水液があふれるような形で出現する。そのため発症は緩やかである。熱感も伴わない。
⑤虫毒水泡
小さな水疱があっており、身体あらゆる部分に形成されているとの記載であるが、中国伝統医学以外での治療が長けているとされているため詳細の記述は控えさせていただく。
①〜⑤の分類に基づくと、帯状疱疹における水泡形成においては、「③湿熱」パターンが多いように感じる。
発症初期の「炎症(熱)」と体内に存在する「余剰水分(湿)」が結合し、皮膚表面まで燻蒸することが原因となっているのではないかと推測する。
症状の経過を追うことで見えてくることもあることがわかってきたような気もする。
まだまだ理論は甘い気もするのでもう少し詰めて考えていきたい。そしてよろしければもう少しこの「帯状疱疹シリーズ」にお付き合いいただきたい…。
スタッフ 杉本