いつもお見えになっている患者さんの本日の主訴が「顔が痒い」という内容であった。
もともと体の中の保湿成分が少ない「陰虚タイプ」である体質であることから、身体のいたる部分に以前から痒みとして出現していた。保湿できないゆえに乾燥し痒くなってしまったのである。
そんな方であるが今週に入ってなって顔の痒みが出てきたのである。
この時期の特性としては、「春」へと徐々に移行し、風が猛烈に音をたてて吹いている。
風によって運ばれた花粉などが人体へ影響を及ぼす。
漢方でいうところの「風邪(ふうじゃ)」も痒みの原因のひとつとして挙げられるだろう。
ざっと考えてみたが「陰虚(乾燥タイプ)」・「風邪(気候タイプ)」以外に何が考えられるであろう?
中医書(中医症状鑑別診断学)を開いてみる。
どうやら顔面の掻痒感は「顔面掻痒(がんめんそうよう)」というらしい。
●「顔が痒い(顔面掻痒)」について
顔面掻痒は「頭部(あたま)」・「顔面部(かお)」・「頚部(くび)」に出現する限局性の痒みである。
少しマニアックであるが、古典に記載してある「白屑風」・「油風」は「顔面掻痒」に含まれる。
●「顔面掻痒」の東洋医学的3分類
①風熱上襲タイプ
気候に由来する。発汗などにより開いた皮膚表面の毛穴から花粉などが付着することで皮膚に炎症が生じる。痒みは頭・顔・首などのあらゆる身体上部に出現する。虫の這うような独特な痒みを伴う。乾燥症状も伴い頭部がフケっぽくなることも。
②血熱風燥タイプ
体質的に熱がこもったタイプに多い。熱は栄養素をもやしてしまい全身的な栄養不足が生じる。供給できる栄養が少なく頭部が養われないことにより痒みが生じる。栄養不足ゆえに痒みが生じるイメージ。痒みは頭皮に限局しており、頭部が養われないこともあるため抜け毛も多い。熱が精神面におよべば自律神経失調症状が出現・不眠や口の渇き・心がざわざわして落ち着かないなどの症状が出現する。
③虫毒侵襲
微生物が原因。特に外的影響から身体を守る力が弱い小児に生じやすい。頭や顔に虫が影響を及ぼすことで痒みが出現する。目視で確認することができ、はっきりとした原因が挙げられることが特徴である。
「乾燥」・「花粉」を上げましたが、中医書では「栄養不足」・「熱」・「虫」も挙げられていました。
痒みひとつでもいろいろな原因が挙げられることがわかるのではないかと思います。
原因がはっきりしているものもあれば、体質由来のものもある。
体質由来のものに関しては比較的治療に時間を要します。
日常的な養生方法含めて、症状の改善のお手伝いができればと思いますのでお悩みの方はぜひご相談くださいませ。
スタッフ 杉本
※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。