月経が正常の周期よりも1週間以上早くことを「経行先期」・「月経先期」・「経早」などという。
甚だしい場合には、生理が1カ月に二回くるものもある。
生理周期が早まる原因は東洋医学上では、『熱(ねつ)』や『気虚(ききょ)』によるものが多い。
今回は、『熱タイプにおける生理周期が早まる原因』を解説していきたいと思う。
●熱タイプの経行先期について
体内に生じた熱が子宮の活動および子宮へ血液などを供給するルートに作用することで経行先期が生じる。子宮内へ流入する血液のスピードが早まる、子宮の活動が活発になるイメージか。
どこの五臓が失調するか、熱の程度などによって、経血の量や色・身体に出現する症状が異なる。
①腎陰虚による経行先期(潤い不足タイプ)
体内の保湿物質が不足することで相対的な熱が生じ、生じた熱が子宮の活動を活発にさせることで経行先期が生じる。体内の潤い物質が不足は、出産過多・多産・長期間病を患うこと・加齢などにより出現する。
経血は鮮紅、暗紅でねばり気がある、量は少ないといった特徴がある。
痩せ、両頬が赤い、寝汗、手足胸がほてるなどの身体症状が見られる。
②血熱による経行先期(熱盛タイプ)
熱が血流スピードを上げ子宮内に流入することで生じる。もともと身体を温める力が盛んであったり、辛い食べ物の食べ過ぎ、高温な気候が体内に作用することなどが熱が生じる原因となる。
血量は比較的多く、紫紅色でネバネバすることが多いといった特徴がある。
口が乾いて冷たいものを飲みたがる、顔が赤い、便秘、小便は黄色いなどの症状が出現する。
③肝火による経行先期(ストレスタイプ)
熱が血流スピードを上げ子宮内に流入することが原因となる。熱が生じる原因としては精神抑鬱などで体の巡りが停滞した後、更に長期間停滞することや急激な精神刺激が加わることが挙げられる。
経血の量に増減が見られたり、色は赤、時に血塊が混ざることが特徴。
胸部やお腹の張った痛み、怒りやすいといった身体症状が見られる。
スタッフ 杉本
◎参考文献
「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社
「わかる中医学入門」 燎原出版社
「中医病因病機学」 東洋学術出版社
「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社
「漢方用語大辞典」 燎原出版社
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