月経の性状を「経質」という。正常な経血は、薄からず濃からず、凝結や血塊なく特殊な臭気をもたないものを指す。経質の変化(経血がネバネバすること)は重要な情報となることが多い。
●経血がネバネバするということ
理由の多くは「熱により血液が濃縮されること」が挙げられる。この「熱」がどのように発症するかによって分類が行われる。「感情」・「循環力低下(滞り)」・「余剰水分」などが代表的である。詳細については、下記3パターンを参照いただきたい。
①心肝火旺経質粘稠(ストレス・精神疲労タイプ)
熱により子宮の血液が濃縮されることにより生じる。体質として身体を温める力が旺盛であること・辛いものの食べ過ぎ・鬱々とした気分が長時間続くこと・心労などが熱を生じる原因となる。
(特徴)経血は紫赤色・量は多い(甚だしければ勢いよく排出される・ポタポタと点滴される)
(身体症状)動悸・怒りやすい・顔や目が赤い・眩暈・不眠・鼻血など
②オ熱内結経質粘稠(滞りタイプ)
熱により子宮の血液が濃縮されることにより生じる。多くは体内の循環力が低下し血流が緩慢になっる事に加えて、長期間滞ってしまうことで熱化してしまうことが原因となる。その他、月経時や産後に熱性を伴った外的環境(気温・気候など)が子宮に侵襲することが挙げられる。
(特徴)月経周期が早まる・量は多い・経色は紫暗色・血塊を伴う
(身体症状)下腹部の刺すような痛み(押されると苦しい)・口の渇きなど
③湿熱結経質粘稠(水液余剰タイプ)
熱により子宮の血液が濃縮されることにより生じる。熱の発生原因は飲食の不摂生・働き過ぎ・考えすぎなどのよる消化機能の低下に由来する。消化・吸収機能の低下は体内に余剰な水分を生み出し、また長期間巡らず排出もされないことで水液物質は熱気をおびてしまう。熱気をおびた余剰水分が子宮へ侵襲することで子宮の血液が濃縮される。
(特徴)月経周期が早まる・経血量は多い・臭気を伴う・暗赤色
(身体症状)頭の張りや重さ・大便がベドベドしている・臭気を伴うおりものが多く排出される・陰部の痒みなど
スタッフ 杉本
◎参考文献
「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社
「漢方用語大辞典」燎原
「問診のすすめ」 東洋学術出版社
「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社
「中医病因病機学」東洋学術出版社