今回は「経色が赤みが濃い」という状態について東洋医学的に解説していきたいと思います。
「正常な経色」について・「経色が薄い」という状態の解説はコチラから。
●経色が暗くなるということはどのような状態か?
ポイントとしては、「血の運行障害」が考えられる。どうして運行障害が生じるのか?主な理由としては、血液循環が「滞る」こと・「冷え」により血分が凝集すること(脈管が収縮することも考えられる)・「熱」により血分が煎じ詰めることなどが挙げられる。以下、中医書に記載される4パターンについて解説を行うので詳細はそちらを参照にしていただきたい。
①オ熱内結経色紫暗(熱タイプ)
熱により血分が煎じ詰められることで、水分が蒸発し、血分濃度が上がることで経色が暗くなるイメージ。熱が生じる原因としては①産後・月経時など子宮が弱っている状態に外的環境(ここでは熱性)が侵襲すること・②素体として子宮に血が残留しており、長時間停留することで熱化することなどが挙げられる。
(特徴)経血はネバネバした性質・血塊を伴う
(身体症状)唇赤い・口あ淡く・お腹を押されると痛い・黄色く粘稠性あるおりものが出るなど
②気滞血オ経色紫暗(滞りタイプ)
ストレスなどの精神的な刺激が身体に作用し、全身の循環力が低下する。血液運行においても滞りが生じてしまい、子宮の血流も滞ってしまうことで経色が暗くなってしまう。精神的な刺激は、精神抑鬱・急激な感情の変化(急に怒る)など
(特徴)血塊を伴うことが多い
(身体症状)精神抑鬱感・胸の張り・腹部が刺すように痛いなど
③寒気凝滞経色紫暗(冷えタイプ)
冷えによる血液運行の滞りが原因となる。冷えは産後・月経期に身体を冷やす食べ物を摂取すること・雨に濡れたままの放置していること・あるいは寒冷な環境に身を置くことなどにより生じる。停滞した血液は冷えにより凝集することで血液濃度は上がり、経色は濃く(暗く)なる。
(特徴)経血はサラサラした性質・血塊を伴う・腹痛は月経期・月経前に生じることは多い・絞られるような腹痛を伴う(冷やすと悪化し温めると緩和される)
(身体症状)手足の冷え・顔は青白い・唇は青いなど
④血虚有寒経色紫暗(冷え+血液不足タイプ)
③同様に子宮の冷えによるものであるが、子宮の血液不足が主として挙げられる。失血過多・慢性病などにより子宮の血液が不足した上に環境からの冷えが加わる。③と比較し、全身的な血液不足症状が出現する。
(特徴)あんこ状の経血・サラサラとした性質・腹部はシクシクと痛む
(身体症状)顔色は血色ない・頭がクラクラする・目がかすむ・動悸など
スタッフ 杉本
◎参考文献
「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社
「漢方用語大辞典」燎原
「問診のすすめ」 東洋学術出版社
「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社
「中医病因病機学」東洋学術出版社