暑い…本日は気温が異常に高く、暑さゆえに来院を控えられる方が続出するという変わった一日でした。
少し外を歩くだけでも、何をしてても汗が出てきます。ただ汗のかく場所については本当に人それぞれ。(杉本は特に胸に汗をかきます←解説はこちらから)
今回は『脇汗』について東洋医学的な解説を行っていきたいと思います。
●脇汗の東洋医学的な解説
脇窩から側胸部にかけてのみ発汗が見られる状況を指す。中医書には『脇汗(えきかん)』という。また脇の臭いである脇がとも密接に関係している。
●脇と五臓六腑の関係性について
東洋医学的な人体の生理物質は経絡(気・血の通り道)を通じて循環されている。
「脇」に分布している経絡を五臓の『肝』『胆』の担当エリアであると言われる。
五臓の『肝』『胆』の機能が失調することで、担当エリアである『脇』にも脇汗が生じることが多い。
●脇汗が生じる代表的2パターン
汗が生じる原因としては、『汗腺開閉のコントロールが出来なくなること』・『体内の熱が水分を体外に押し出すさせること』が多い。
つまり身体の虚弱・疲労などによるエネルギー不足・体表面と密接にかかわる五臓の『肺』の損傷なども考えられるが、今回は『肝』『胆』から考えていきたい。
①肝虚内熱による脇汗
長期間病気を患うことで体が弱ること・働き過ぎることで体内の栄養レベルが低下する。栄養不足は「肝」の活動量の低下を招き、体内の巡る力の低下を生じさせる。栄養潤い物質の不足や巡りの悪さは体内に熱を生じさせ、熱が水分を押し出すことによって脇汗が生じる。
(発汗の特徴)希薄な脇汗・臭気はないことが多い
(身体に見られる症状)目の渇き・頬の赤らみ・寝汗・不眠・痩せる・膝腰の重だるさ・便秘・手足のひきつれなど
②肝胆湿熱による脇汗
体内に生じた湿気や熱が水分を蒸しあげて外に押し上げることにより生じる脇汗である。
油濃いもの・甘いもの・味の濃いものの食べ過ぎやアルコールの常飲、多湿な環境が原因となる。
生じた湿気・熱が肝胆に鬱滞し、脇部に存在するために生じる。
(発汗の特徴)汗はベタベタしている・臭いが伴うことが多い(ワキガの原因にもなる)
(身体症状)胸肋部の張り感・口が苦い・口の中がネバネバする・体が熱い・食欲不振・小便は黄色い(赤い)・泥状便(下痢)
今年も暑さに負けずに汗の観察をしていきたいと思います…。
スタッフ 杉本
◎参考文献◎
「中医基本用語辞典」 東洋学術出版
「漢方用語大辞典」 創医会学術部
「中医症状鑑別診断学」人民衛生出版社
「中医証侯鑑別診断学」人民衛生出版社