狂(きょう)について

先日解説した「癲(てん)」。今回解説する「狂(きょう)」とともに精神錯乱の疾病を指す。

「癲」は精神抑鬱・無表情・独りを言うなどの症状が見られるが、

狂はイライラした興奮状態・奇声を発する・人をののしるなど粗暴にふるまう・奇妙な行動をとる(屋根に上ったりする)といった症状が見られる。

抑鬱状態である癲に対して、狂は興奮状態である。

陽気が盛んになり、精神活動に影響が及ぶことが「狂」の発症原因とされている。

以下、解説に移っていきたい。


@痰火狂

「痰」と「火」が結びつき、心および精神活動に悪さをすることが原因となる。

「痰」は身体内の水液物質が停滞することで生じる。これは思慮過多などによって五臓の「脾」の機能が低下することによって起こる。

「火」については、激怒などの急激な感情変化や長期間の抑鬱状態により生じる。

症状は、発症が急激・イライラ・頭痛・顔面紅潮・目の充血・不眠・食欲不振・睡眠障害などが見られる。


A陰気傷狂

「気」や「陰」が不足することが原因。「陰」は身体の潤い成分を指しており、不足することで体内に微弱な熱を生じさせる。生じた熱が上に昇り、心および精神活動に影響を及ぼす。陰の不足は慢性病などによって生じる。

症状は、身体は痩せており弱弱しい・時折煩躁がある・精神状態は疲弊・言葉数が多い・驚きやすい・顔が赤いなどが見られる。


B陽明熱盛狂

胃に熱が生じたことが原因となる。熱が心に入り精神を昏迷させることで生じる。

症状としては、衣服を脱いで走り回る・高いところに上って歌を唄うなど奇行に走る・数日何も食べない・お腹が張って横になりたがらない・小便が黄色いなどが見られる。

 

C肝胆鬱火狂

熱が心に入り精神を昏迷させることで生じる。過度な精神刺激は五臓の「肝」が担う「気」の運搬を停滞させる。長期間停滞することで熱が生じ、熱が上部(心)に昇ることが狂の原因となる。

症状としては、発語が流暢でない・おどおどして落ち着かない・胸肋部の張り・怒りっぽいなどの症状がみられる。

 

Dオ血内阻狂

「熱」と「血」が結びつき、上に昇って心および精神活動に影響を及ぼすことが原因となる。

「熱」は気候由来の熱を感受し、体内に侵入することにより生じる。

「血」は体内の血液が停滞し流れないことにより生じる。

症状としては、精神が落ち着かない・休みなくしゃべるかと思えば時には黙り込む・下腹部は脹り固い・押されると苦しいなどが見られる。

 

スタッフ 杉本

 

※新着時期を過ぎると左サイドバー《神経症/鬱/自律神経失調症など》に収められています。