5診を終えた患者さん。
主訴は「リュックを背負ったような背中(左右)」の重だるさ。
幸い主訴の軽減は確認できるが、新たに「右側の側胸部」の重だるい痛みを訴えられる。
そこで、今回のブログでは「側胸部の痛み」について解説したいと思います。
中医書には「脇痛」との記載があるが、側胸部のほか・腋下〜肋骨の一番下(第12肋骨まで)の範囲を指している。
この「脇部」には五臓六腑の「肝」と「胆」と密接なかかわりがある経絡(気・血の運行ルート)が循行している。ゆえに側胸部の痛みの多くは「肝」「胆」の機能失調と多くの関連性があるとされている。
◆肝鬱気結タイプ
激しい感情の変化(刺激)や長期間によるストレスが原因で、「肝」が担う生理物質の運行をスムーズに行う役割に影響が生じる。主に側胸部の運行ルートに滞りが生じて痛みとして出現する。
(痛みの性質)張った痛み・痛みの部位は移動する・感情の変化で痛みが増減する
(その他の症状)よくため息をつく・精神的抑うつ・食事量の減少等
◇肝陰不足タイプ
「肝」の保有する保湿成分が失われることで経絡内を潤すことができないために側胸部の痛みとなって出現する。(原因は他の臓腑への供給・熱による陰液損傷などが挙げられる)。
(痛みの性質)耐えることでできるほどの軽微な痛み
(その他の症状)口が乾く・目の乾き・両頬の赤らみ・眩暈症状等
◆肝胆湿熱タイプ
飲食の不摂生(甘いもの・油こいもの・味の濃いもの・アルコールの取りすぎ)・湿気が原因となって水液に滞りが生じる。停滞した水液が熱化し、「肝」「胆」を侵襲することによって側胸部の気の運行が阻害される。ゆえに側胸部の痛みとして生じる。
(痛みの性質)張った痛み・灼熱感を伴うような痛み
(その他の症状)口が苦く粘る・食欲不振・目が赤い・黄疸等
◇気候タイプ
寒さや気圧などの気候が体表面を侵襲することによって生じる。「胆」に関与する経絡が侵襲されることによって側胸部の痛みが生じる。
(その他の症状)発熱と寒気が交互に現れる・飲食物がほしくない・口が苦い・のどが渇く・眩暈等
◆水液べトべドタイプ
消化器機能の低下+気候や飲食不摂生が加わることによって水液代謝に関与する臓腑(脾・肺・腎)の異常が生じる。この3つの臓器の異常が互いに関与することで水飲が停留し、側胸部に注がれることで痛みとなって現れる。
(痛みの性質)張った痛み・不快感を伴う・呼吸するとき痛みが強まる
(その他の症状)唾液がよく出る・呼吸が浅く回数が多い等
◇オ血タイプ
運行の滞り・外傷・手術などが原因となりオ血が生じる。このオ血が側胸部に停滞するために側胸痛みが生じる。
(痛みの性質)刺すような痛み・痛みの部位は一定
(その他の症状)患部に腫塊が見られる・顔いろがどす黒い等
以上、代表的な6つの原因を解説させていただきました。思いの他、長くなってしまいました。
このように側胸部の痛みひとつとってもいろいろな原因が考えられます。
お困りの方は一度当院までご相談いただければ幸いです。
スタッフ 杉本
※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載にない症状》に収められています。