2014/5/10
《症例・排卵時の眩暈》
月経時の痛みや違和感は日常よく診る
しかし、この例は月経時以上に排卵時に違和感が出ている。
33歳/女性。
主訴は排卵時の下腹部痛および眩暈である。
以前に月経時の失神の例を診たが、それ以来に希少な臨床例であった。
排卵時は、月経時とともに肝の気を動かす働き(疏泄)が重要になる。
この働きが正常を逸すると、通常の排卵時期のズレという形で現れる。
このケースでは、元よりこの働きが弱いため、排卵という働きに気を費やした分、ほかの部位の気を動かすことが疎かになる。
それが頭部に気を送れない理由、つまり眩暈を起こした原因と考えられる。
例えれば、この方の肝は弱く10の気を動かす力しかない(10馬力の肝パワーのイメージ)。
排卵という作業が加わったことで11の気を動かさなければならないとき、元より10しかないので、どこかの部位が疎かになる。
それが頭部というふうに見たわけである。
したがって証は肝気虚とした。