神経症

鍼灸臨床でよく診る神経症は、ある事象に執着することで起こる心理的葛藤及び自律神経失調による諸症状タイプが多い。気質的ケースと一過性で起こるケースとがある。

『中医学的解釈』

○まず血の消耗がある。長期の寝不足、心配事、女性ホルモンの減少などが因となりやすい。

○中医学では血を精神の栄養と捉えている。血の消耗により、思考回路の停止や、さらなる不安な感情が起こる。思考停止は、ボッーとして考えがまとまらないこともあるが、過去に捉われて、そこから頭が離れない感じになりやすい。不安は自身の存在に対する自信を失う感じになる。人の言葉に過敏に反応することもある。

○血の不足が進行するすると陰虚になり、虚熱による自律神経失調があらわれやすい。不眠、動悸、便秘あるいは排尿異常が多い。

○血の不足から気血両虚に展開すると、鬱的状態が加わる。極度の倦怠感、全身の重だるさ、食欲不振などが顕在化する。

 

『問題点』

思考回路の変更不可。捉われている間は考え方を切り替えるのがなかなか難しい。

不安の呼び込み。不安が不安を増大させる悪循環に陥りやすい。思考が内に内に入りやすいため、世間との隔離を感じやすく、そのため焦燥感があらわれる。

喜び、楽しさの減少。笑うことが少なくなり、日々の感動や幸福感が損なわれる。

 

 『目標』

○思考回路の論理性や穏やかな感情を思い出す。穏やかな感情を思い出すには、今の一瞬を大事にする。それには一つ一つの日常の所作に注意を向けながら、丁寧に行うようにする。

○治療は補血を主体に、気血両虚では補気にウェートをかけ、陰虚では滋陰降下にウェートをかけ、まずは肉体症状の改善を図る。

○補血で精神状態にアプローチしながら、 『具体的な処方箋』として 自己認識の改善に心がける。最善の方法のひとつとして自身を思考を聞く。つまり、自身が何を頭の中でしゃべっているかを聴くもうひとりの自分を想定する(決して善悪は決めないこと)。

血虚が高レベルな人ほど、頭内言語は過去の嫌な体験、不安、嫉妬、愚痴、怒りなどで埋められていることがわかる。

また 逆転思考(終わりから考える)なども効果的である。思考転換でなりたい自分になったと仮定して、行動する(演技的行動学習法)。