白内障は眼の中に濁りが現れ、だんだんと視界を遮り、視力低下や失明を引き起こします。
古い時代では「内障」や「圓翳内障」など呼ばれていました。
白内障の中医学的な機序を見てゆきます。
①脾虚白内障
消化器系の失調により気が不足し、目に気が回らなくなり、目がぼんやりとしてゆくタイプ。
瞳に濁りが現れ、だんだんと悪化して最後は白内障に発展するのが特徴です。
消化器の不調により、身体が痩せこけたり肌艶が白っぽく不健康に見えたり
倦怠感や気力の低下、食欲の低下などをきたします。
②陰虚によるもの
年齢を重ねる事で身体の水分量がへり、身体の全体的な栄養不足が眼の霞を引き起こし
これもだんだんと白内障に発展するタイプ。
古典では「精散ればすなわち眼に分かれる、故に物を見られる」という文があり、"精"という栄養源が眼を養う事で眼が見えています。
年齢を重ねると精が減少する為、眼がぼやけてゆくのです。
随伴症状としては精の不足が関わるものが多く
眩暈(ふらふら)や耳鳴り(低い音)、足腰の虚弱化をていします。
③火盛によるもの
体内の熱が強まる事で眼の水分を蒸発させ、濁りを生じます。
濁りは、熱が影響した特徴である黄色を帯びた色をしており、それにより目の霞みや飛蚊症のような異物漂う感じ、やがては失明へと至ります。
熱が口や頭などにも影響すると、口の渇き・焦感・不眠なども現れます。
熱の出所としては
考え事のしすぎが原因の心火
辛い食べ物や熱い食べ物の食べ過ぎ
激しい怒りによる肝火
などが挙げられます。
④胎患白内障
新生児の白内障で、眼の濁りを確認できます。
もちろん、赤ちゃんが「見えづらい」や「視界が変」と教えてくれる事はないので、よく観察しなければ発見できません。
原因の多くは母親の胎内にいる時に、不摂生な食事であったり何かの病であったり
発育に影響があった事で起こります。
⑤外傷によるもの
外傷によって水晶体を損傷し、白内障を起こします。
中医学では、「精」と呼ばれる物質がある事で視力や聴覚などの力が発揮されるとされているのですが
これが白っぽい色をしており、外傷によって漏れ出ることで白い濁りが現れると考えられています。
スタッフ伊澤