脇を通る経絡は主に2つ。
足の厥陰肝経と、足の少陽胆経。これらの経絡あるいは肝や胆に不具合があると脇が痛くなります。
厳密には脇から肋骨の側面にかけてに痛みが現れます。
どんな原因で痛みが出るのか、詳しく見て行きましょう。
①邪入少陽
冷気によって経絡が侵されて痛みを生じます。
脇を通る経絡が侵されると脇の痛みが生じます。
特徴としては脇や胸部の痛みや張った感じが現れ、発熱や寒気を繰り返す事です。
②痰飲内阻
消化器の働きが弱まっている時に外からの冷えや不摂生な食事を行うと、水分代謝が悪くなり、
貯留した水分が脇に留まると気の動きが悪くなって痛みを生じる様になります。
脇に詰まりがある為に呼吸運動を妨げ
息が吸いづらい、吸った時に脇の痛みが強くなる、唾液の多い咳が出るといった症状を伴います。
③肝鬱気滞
怒った後やストレスによって肝の働きが弱くなり、気の流れが悪くなって発生する脇痛です。
肝は気の流れの調節をする臓腑ですが、怒りやストレスの影響を強く受ける性質を持っています。
また、肝に繋がる経絡が脇や横腹などの身体の側面を通っているために痛みが脇に現れるのです。
痛みは張った様な痛みで、場所が移動するかの如く変わります。
ストレス症状のため息や精神の抑うつ感が現れるのは言うまでもないでしょう。
④瘀血阻絡
③のストレスや怒りによる脇痛が長く続き、性質が変わりこのタイプになります。
気の流れが悪いまま時間が経ち、今度血のは血の流れまでわるくなります。
血は気の「物を流す力」を受けて流れてゆきますから、気の力が落ちれば血の流れも悪くなります。
そうなると痛み方も悪化し、刺す様な痛みが、場所は固定される様になります。
また、舌の色が瘀血を表す紫色など、悪い色になる事も特徴です。
⑤肝胆湿熱
高温多湿な外的状況や、食事の不摂生による消化器の機能低下が引き起こす水捌けの悪さにより
身体に余分な水分が溜まる
それが熱を帯びて肝や胆の機能に影響すると発生します。
脇が痛くなるのは肝や胆の経絡が脇を通るから。
痛みはかなり強く、胸の痞え感が起こるほどです。
熱の症状を含みますから、小便は黄色くなり、舌の苔は黄色くなります。
⑥肝陰虚
肝に栄養を送る血がを肝血と呼び、肝のエネルギー管理や熱冷ましの役割を持っているのですが
この肝血の不足で肝の効能失調や、熱冷まし作用の低下により熱を帯びるタイプです。
こちらは「不足」が起因する経絡の痛みの為、痛みの程度は鈍く、またずっと痛み続けます。
熱の症状である口の乾き、顔の火照り、頰の赤み、胸の辺りの暑さ悶え、眩暈や耳鳴り、目のチカチカ感などが同時に現れます。
脇の痛みには肝が大きく影響をしているようです。
上述していますが、肝はストレスや怒りに弱い臓腑です。
ストレスはどんな時にもつきものではありますが、なるべく心穏やかに過ごしましょう。
スタッフ伊澤