暑くなったこの季節、治療中の患者さんのお洋服を捲る時に皆さんそろってこうおっしゃいます
「汗かいちゃっててごめんね。」
暑くてしっかり汗をかいているのは寧ろ良いこと
中医学的にいえば、心や肺の機能が働いている証拠でもあります
それでもあえて、疑問を問いかけて見ましょう。
なぜ人間は汗をかくのか?
暑くなれば当たり前にかく汗。
哺乳類の中には汗をかく動物は他にもいますが、体温調節の為に、全身的に汗をかく動物は珍しいのです。
なぜ我々はこんなにも汗だくになっているのでしょうかね
その答えは人類の進化の歴史にあります。
人類が初めて地球上に現れたのはおよそ400〜500万年前。
アフリカの森林に生息していた我々の祖先は、木の根や木の実を食べる菜食家で、見た目もチンパンジーやゴリラのように毛むくじゃらな姿をしていました。
しかし、約258万年になるとアフリカの乾燥化が始まり、森が減る事で、木の根や木の実が少なくなり食糧難となっていったのです。
そこで彼らは仕方なく狩りへ出るようになるのですが、ここで1つ問題がありました。
それは、当時の猛獣の存在です。
アフリカといえばライオンやハイエナと言った肉食動物が生息しますが、それらの様な、当時の肉食動物との狩猟競争に打ち勝てなかったのです。
困った先祖たちはどういう行動をとったか
それは、肉食動物の活動しない時間帯を狙って狩をするという方法でした。
具体的には、肉食動物が活発的に狩を行う夜間、明け方を避け
それらが活動を休止する日中に狩をする様になりました。
実に策士ですよね
この方法は大成功し、人類は新たに肉食を手にする事になります。
しかし、昼間に狩を行うのにも問題点がありました。
それは「暑さ」です。
毛むくじゃらな祖先達はアフリカの蒸し暑い日中に狩りを行うのにとても困難な身体をしていました。
この暑さを解決するべく発達したのが、「汗腺」
祖先達は、毛むくじゃらな体毛を重要な部位以外は消し去り、代わりに汗腺を発達させる事で
暑い中狩を行っても汗が身体を冷却し、暑さに耐える事ができる様になったのです。
そう、狩をする為に昼行性になる為、素晴らしい冷却装置を身体に備えたのです。
これが、我々人類が汗を沢山かく様になって、毛が少なくなったプロセスです
(「冷却装置の仮説」と呼ばれ、人類が他の霊長類に比べて体毛が少ない理由として、もっとも信ぴょう性の高い仮説とされています。)
汗をかいたおかげで肉を食べれる様になり、摂取カロリーが増える事で脳が発達し、人類は更に高度な頭脳を得て、文明が発達し
今の我々へと進化してゆきました。
うっとうしい様な「汗」、この冷却装置のおかげで今の我々が在ると考えると、なんだか有難いものの様に感じますね。
汗と進化と我々のお話でした
スタッフ伊澤
ソース)サイエンスドリーム