妊娠した女性の半数以上が経験するというつわり
お腹はへれども気持ちが悪くて食べられない。匂いすらにも嫌に感じる
妊娠の初期に現れるこれらの症状の原因はなに?
中医学的な目線で説明してゆこうと思います。
・胃気虚型
胃の気の不足を素因とする悪阻です。
妊娠をすると受精卵の保持・胎児の育成の為に子宮に気血を溜め込むのですが、子宮に気を溜め込むルートから胃の経絡に気が溢れてきます。
この時、胃の気が健全でないと溢れてきた気に上へ上へと流されて悪阻になります。
普段よりお腹が弱い人がなりやすいタイプです。
症状としては食べたものをすぐに吐く、頻繁な嘔吐があるといったものがあります。
・胃寒型
上記の胃気虚より発展したものです。
こちらも普段からお腹の調子が悪い人がなりがちですが、特にお腹に冷えがある人に起こりがちです。
気血を子宮に溜め込む際に冷えも一緒に溜め込み、強い冷えと化して逆上する事で悪阻となります。
症状としては、お腹を冷やすと強い痛み(切られるような痛み)が現れ、吐瀉物は水っぽさが強くなります。
冷えや顔色の悪さ(白っぽい)、お腹の張りが現れることもあります。
・痰湿型
痰湿とは、水の流れが滞って停滞したものです。日本人は湿気の多い国に住んでいる分、体の水捌けが悪い人が多いためにしばしば見受けられます。
症状としては胸や胃(みぞおち)のつかえ感、動悸、息の吸いづらさなど。いづれも胃の辺りのつかえを起点に、呼吸や心拍を妨げられる事で起こります。
そして吐瀉物の粘りは強く、水分の粘稠度が高くなっていることがよく表れています。
胃熱型と肝熱型
胃と肝に熱が溜まって起こるもので、それぞれ別の素因ではありますが、同じ熱による影響を受けたものです。
温かい空気が上に登るように、熱によって気が上逆する為に吐き気や嘔吐に繋がります。
胃熱では胃の熱によって、口の渇き・冷たい食べ物を好む・便秘などが一緒に現れ
肝熱では肝が上に昇る性質がある事から、目眩・口の苦味感・口臭などが現れます。
上記のような嘔吐が続くと、想像に容易いですが、胃液を消耗し胃の栄養状態が悪くなります。
そうなると口や周りや便秘といった「渇き」の症状が現れるようになります。
吐きすぎて渇きの症状が出た場合には「陰虚型」に移行したと考えられるでしょう。