鼻を摘んで水を飲むとしゃっくりは止まる、びっくりすると止まる。
しゃっくりに関する知恵袋はいくつか知られているが、では、何故しゃっくりが出るのか?
中医学的には胃は食物を溜め、腐らせ、腸へと運ぶ役割があるとされている。
口→胃→腸の流れはいづれも上から下へ物が移動し、この流れ方が正常な消化器官の働きかたであるが
何らかの原因で下へ流れなくなる・むしろ逆走する、と言った現象が起こる。
この時、逆走つまりは上向きの力が働いた状態をしゃっくりと呼んでいる。
どんな原因で流れが阻害されるのか、さっそく見てゆきたいと思う。
胃寒気逆
不摂生な食事、なまの食物の食べ過ぎ、風邪などによって寒邪が胃腸の機能に障害を与える。
胃は食べ物を貯蔵し、腸へ送る。つまりは下へ下げる作用を持っている。
寒邪によってこの作用が障害を受けると、胃の気は下げられなくなってしまう。
下がらなくなった気は上に登るしかなく、それがしゃっくりとなって現れる。
主に「寒さ」に原因を置く為、身体を温める事で症状が和らぐ。
胃火
こちらは「熱」を原因とする。辛い物の食べ過ぎ、風邪により胃に熱邪が籠る。
温かい空気が上に向かっていくように、身体の中の熱邪も気を上へ持ち上げてしまうのだが
それ故に、胃の気が上に持ち上がる現象がしゃっくりとして現れる。
熱に起因するしゃっくりなので、口臭や胸苦しさ(心煩)を伴う事もある。
熱を冷ますこと、上がった気を下げる事で症状が治る。
同じ様な熱→上に上がる原理で、怒りの感情によるしゃっくりがある。
頭に血が昇るという事は、気は上に上がっている。
この上がった気が胃に影響すると、しゃっくりとなって現れる。
脾腎陽虚
陽とはいわゆる「気」の事。気の温める力が落ちるという事だ。
気とは身体を動かすエネルギー、機械で言えば電気の様な存在。
脾(消化器)や腎(下に降す力を持つ)の気が不足する事で食物が下へ降りなくなり、しゃっくりが出る。
名前が「気虚」ではなく「陽虚」になっているが、これはしゃっくりと併発して冷え症状が現れる為である。
具体的にはお腹や手足の冷え、下痢が現れる。
また、疲労が溜まる事でしゃっくりが現れる特徴もある。
胃陰不足
「陰」とは、いくつかある身体を潤す成分の総称(中医学的には血や津液、精をまとめて呼んだもの)。
胃を潤す事ができないと胃の動きが悪くなり、食べ物が腸へ進めなくなり、溜まった気が口の方へ向かうとしゃっくりとなる。
潤いは水分を多く含むが、それが不足するので「乾き」や「熱」の症状が一緒に現れる事が多い。口や喉が渇きやすい、頭がザワザワする(煩わしい)・不安になりやすくなる、舌が赤くなる、等だ。
人によっては肌の乾燥なども現れる。
渇き+しゃっくりがでたらこのタイプだろう。
どのしゃっくりにも言える事だが、「胃の気を下に下げれるようにする」というのが大事だ。
「びっくり」すると腰が抜けるように、「恐る」という感情は気を下に降す力を持っている。それ故にびっくりさせるとしゃっくりは止まるのである。
驚かせるのではなく、恐れさせるのが止めるコツなのかもしれない。
スタッフ伊澤