"風者、百病之長也、至其変化、及他病也 "
(風なる者、百病の長なり、至って変化し、他の病に及ぶ)
この名言、一言で表すとしたら「風邪(かぜ)は万病の元」です。
今回はこの風邪(かぜ)とはなんなのか、なぜ万病の元になるのかを解説してゆきたいと思います。
西洋医学では風邪(かぜ)は細菌やウイルスによる感染症とされていますが 中医学が生まれたのは2000年以上も昔のこと。
細菌もウイルスも,その概念すらない時期からある医学なので、風邪(かぜ)の考え方も異なります。
ではどの様に考えているのか?
中医学では、自然界には水の気や空気、風の気といった様々なものに気が宿り、人の身体に恩恵を与えているとしていました。
その自然界の気が身体にとって良くない影響を及ぼした時、病が起こると考えたのですが
その中でも風の気が身体に悪さをした時に起こるのが風邪(かぜ)という病と考えられていたのです。
(ちなみに、中医学では自然の気が悪さをすると「邪気」と呼ばれる様になるのですが、 風の邪気は「風邪」と書いて「ふうじゃ」と呼びます。「風邪」かぜを引き起こす「風邪」ふうじゃで同じ漢字を使います!)
本来であれば、自然の気が身体の中に入って悪さをしないように、人体の気が皮膚表面を覆ってバリアを作っています
水の気や空気の気なんかは簡単に中に入ることはできません。
しかし、風の気はこのバリアを壊しやすい性質があるのです。
身体が元気であれば、バリアがしっかりしてますから壊される事はありませんが
元気でない時にヒュと吹く風に当たってしまうと 皮膚のバリアが壊され、そこから風の気が入ります。
そして発熱などの風邪(かぜ)症状が現れていくのです。
さらに壊されたバリアから他の自然の気も中に入ってきて一緒に悪さをしだして症状が悪化します。
それはどの自然の気が入ったかによって変わっていて、
暖かい空気の気が入れば高熱になり易い
冷たい空気の気だと酷い寒気がする
水の気が入ると長引き易くなる
などなど、それぞれの自然の気の特徴が現れてゆきます。
こうして本格的な風邪(かぜ)症状となるのです。
この後は自然の気を外に出せれば治る
出せなければ症状が残ったり、更に悪化して違う症状が現れる
などのルートを辿ってゆきます。
改めて見てみますと
風の気が他の自然の気と一緒に体内に入り 他の自然の気の特徴が有する病に変化してゆく。
これが万病の元と言われる様になった所以なのです。
「元」というよりかは、他の自然の気を中に引き込む先導者の様な役回りのようですね。
スタッフ 伊澤