このようなご時世の中でもたくさんの新規の患者様にご予約をいただいている状況です。
中でも最近は「不妊症」と「陰部神経痛」を主訴の患者様が多くお見えになるように感じています。
先日「陰部神経痛」を訴えられて来院される方の治療に携わる機会があったのですが、「陰部神経痛様」であるケースも多く見受けられます。この陰部神経痛様としては、子宮内膜症や内痔由来のものもございます。ゆえに先日から数回にわたり「痔」についての解説を行っていきました。
今回のテーマは「脱肛」。「いぼ痔」をそのまま放置してしまったがゆえ生じる症状といえますが、以下東洋医学的解説を行っていきたいと思います。よろしければお付き合いください。
●「脱肛」とは何か?
直腸粘膜・肛門管・直腸・S字結腸の一部が肛門の外へ脱出する症状を指す。長時間歩いたり、排便時に力むと生じる。脱出部分には腫脹・びらん・出血・疼痛・掻痒感などが現れる。また息切れ・無力感・食欲不振・大便がすっきり出ないなどの全身症状を伴うことが多い。
主な原因としては、飲食の不摂生、過労、分娩時のいきみ、長期間病まいを患うことによる気血の消耗であり、気血が不足し中気が下陥すること(消化器を一定位置にとどめておく機能で不足することで下垂を起こす)によって生じることが多い。
常に脱出する場合も力んだ時に脱出する場合も同様の原因と考えられている。脱肛を構成する原因は以下の通り。
●「脱肛」の東洋医学的解説
①中気下陥による脱肛
心身疲労、産後の消耗、慢性の下痢、長期に渡る咳症状などによって気(エネルギー)が消耗する。内蔵を一定位置にとどめておくエネルギーが虚損し、加工することでに脱肛となる。
(特徴)排便、咳込むことによって肛門が脱出・自力では戻らず手で戻さないと戻らない
(そのほかの症状)顔色は青白い・唇色も淡い・息切れ、咳が出るなど。
②腎陽虚による脱肛
加齢・長期間病気を患う・出産による消耗、過剰な性生活・「①中気下陥」からの発展などによって腎のエネルギーが虚損し、肛門部を約束するエネルギーが不足し脱肛が生じる。
(特徴)慢性症状として脱肛が生じる
(そのほかの症状)物忘れ・朝方に生じる下痢・膝腰の重だるさ・寒がりなど。
③湿熱(大腸)による脱肛
味の濃いもの、アルコールの過剰摂取などにより胃腸に粘着度の高い「湿」が生じる。この「湿」は粘着度の高さゆえ停滞をもたらす。「湿」は停滞することで「熱」をおびる。この生じた「湿熱」が下降し、大腸に流入する、あるいは長期に渡る便秘や痔疾の影響で脱肛となる。
(特徴)肛門が脱出して赤みをおびて腫れ痛みを生じる 悪臭が強く黄色い粥状の便あるいは膿血便を下痢する。
(そのほかの症状)口が乾き便は乾燥する・顔色、唇とも赤いなど。
スタッフ 杉本
※新着時期を過ぎると左サイドバー《痔》に収められています。