2020/11
経絡中の気血の流れには大きく3つある。
停滞、枯渇、そして逆流の3つ。
停滞とは気血の流れが悪くなること。
神経痛などに多く、外邪、精神的抑鬱などを因とする。
枯渇は気血の総量が毀損すること。
臓腑の失調、外邪の長期化でなることが多いが、上部の経絡の停滞が原因で、その下部の経絡の気血の総量が減ることもある。
逆流は部分的な気血の逆行現象を指す。
停滞の次の段階として起こりやすい。たとえば下降を常とする胃の気が逆行すると嘔吐するなど。
直近の患者さんだったが、抗癌剤使用際の太陽膀胱経の逆流の例を聞く。
使用後は自身の体調にもよるのだが、概ね倦怠感があらわれる。
ある時の話として顔面部が眼を中心におもいきっり腫れあがった、そうである。
これが太陽経の逆流である。
逆流は経絡が表層部から体内に分け入る場所で起こりやすい。太陽経なら頭頂部から脳に入るところと膝窩から腓腹筋に入ることである。
このケースは別ルートで脳に入るところの逆流として捉える。この時の常見症状が面頭部の腫れなのである。
抗癌剤がいつも以上に腎に影響を及ぼし、表裏の太陽経の逆流を起こしたのか?たまたま正気が弱くなったところに外邪が入り、停滞から即座に逆流を起こしたかのどちらかであろう。
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