三陰交は内踝の上3寸骨際にあるツボです。婦人科の名穴と言われます。
ところが戦前までは妊婦に禁忌とされていました。
これに挑んだのが、産婦人科医・漢方医の石野信安です。
石野氏は昭和25年に三陰交と逆子の関係を東洋医学学会で発表します。
ほとんどの妊婦に三陰交のお灸をしたとあります。
その成果を漸次公にします。
母体と胎児それぞれに好影響を与えたという内容でした。
以来、我が国では婦人科の三陰交といわれるようになります。
ただし、中国古典の一部には三陰交は妊婦に禁忌とあります。
戦前はこれを重く見たということです。
この違いは何なのでしょうか?
ポイントは三陰交の刺激に何を使ったかということです。
石野氏はお灸を使っています。
お灸を使うと三陰交の子宮や脾肝腎の気を調節に傾きます。
鍼を使うと三陰交の子宮や脾肝腎の気を調血に傾きます。
妊娠初期に調血の治療をすると子宮内の血の微妙なバランスを崩し、流産に導くことがないわけではありません。
これが古典にある記載や戦前の妊婦には禁忌の真意だと個人的には考えています。
お灸を使い調気するのなら問題ないといえるでしょう。