『チャングムの誓い』はいわば韓国版大河ドラマです。 BSで毎週木曜日10:00:から連載中です。その後1チャンネル、TBSで再放送しました。
鍼灸、漢方の話がふんだんに出てきます。『冬ソナ』を発火点とする一連の韓ドラブーム。中でも異彩を放つのが『大長今』(邦名:チャングムの誓い)である。
異彩といっても、歴史に残る医女を扱ったという点や儒教国家の有り様がよくわかるという意味でのことあり、人物構成はお決まりのパターンを踏襲する。基本の1人−2人−多数は変わらない。主役が医女ソ・チャングム、準主役は怨念抱くチェ一族の賢女グミョンと、二人が淡い恋心の抱く武官ミン・ジョンホの二人。その3人との関わりから様々な人物が登場するという設定である。
いわば純愛的三角関係という視点なら『冬ソナ』と何ら変わらない構成であるが…。
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チャングムの生き様、とくに医女としての成長過程は、我々臨床家に幾つかの教訓を示す。まずは医療人としての心構えを挙げよう。
ドラマでは師匠チャンドクを通し『料理の失敗は後口の悪さで終わるが、医術の失敗は人の命に関わる』と言わせている。不覚にもテレビの前に座して腕組みをしながら反省している自分自身がいるではないか。これには我ながら驚いた。また即断即決も戒めも説く。
才女チャングムはとかく頭の回転が早い。脈診と2,3の問診で証を割り出す。
そのため、ややもすると患者の生活習慣や食生活などを、情報源という意味で疎んじる壁をもつ。この手の失敗は優秀な臨床家ほど陥りやすいものだ。電光石火も悪くはないが、一旦引いて検証する習慣も肝要と心得る。
最後に名医シン教授の言葉を送ろう。
「医療に携わる者は聡明な人より深みある人になりなさい」。医療人の本質ここにあり。
韓ドラはただ者ではない(笑)
○医道の日本誌8月号《特集・夏のエッセイ》 で記載される文章に準じ たものです。