艮山の愛称に『湯熊灸艮山』とある。
これは温泉療法、熊の胆嚢、お灸を多用した艮山に由来する愛称である。
この3法はいづれも気を動かす力、専門的には行気作用の強い治療法である。
気を勢いよく動くかす。
これは艮山の病気認識である『一気留滞説』に基づくものである。
万病は気の滞りからなり、それを動かせば治ると考えた艮山。彼が注目したのが前述した治療法ということである。この病因論は日本独特の病因論として異才を放つ。
門人は200名を超え、高弟にはあの香川修庵、山脇東洋がおり、後に古方派というオリジナル性の高い流派につながってゆく。
彼は、これまでの医者の習いであった、剃髪&袈裟というお坊さんスタイルを改め、束髪&平服というスタイルに切り替える。1700年前後である。
○現代の鍼灸家も彼に学ぶことが大である。とくにお灸を用い、気を動かすことの重要性を捨ててはならない。
追伸:以前属していた研究会ではよく湯河原温泉のままねの湯で 夏合宿を張った。46℃くらいはありそうな激熱温泉である。お湯が痛いのである。もちろん一気留滞説を体現するためである。