
許浚(ホジュン)は、あの有名な「東医宝鑑」の著者である。
東医宝鑑は僕も時折御世話になる。主に論文の参考資料として用いるが、漢方大百科事典のような趣がある。
確か1613年に完成したと記憶する。その少し前には秀吉の朝鮮侵略があり、首都・漢陽も落城寸前の憂き目に遭う。比較的安定政権だった李氏朝鮮の中では動乱期といってもよいだろう。
このホジュンの小説をドラマ化したものが「宮廷医官・ホジュン」である。両斑の子と生まれながら、正妻の子でないため、科挙試験を受けることが適わず、かつ両斑の身分も保障されない中、医学と出会い心医としての道を切り開いてゆく。
心医とはホジュンの師匠の言葉で、患者の苦しみを受け止めて、その存在自身で相手の心を癒してしまうような医家を指す。ホジュンの素晴らしきところは、この目指す方向性に一点の曇りもない点であろう。生き方の基準に全くぶれがない。貧乏のどん底を味わうが、意に介さないところが素晴らしい。心が貧乏と正反対にある。ただしホジュンにも弱点がある。〜そこが人間らしくてよいのだが〜。
愛する人の苦労を見てられないのである、ホジュンは…。妻や母親が飢え苦しむ姿に耐えられない。思わずお金儲けに走っちゃおうかと考えたりする(言い過ぎです−正当報酬を貰うだけなのですが…)。
人は志があると、いかような苦労にも耐えることが出来ます。しかし、愛する者が苦労する姿を見るほど辛いことはありません。しかし、愛する者が何故苦労するかは、あなたの志を支持したからに他ありません。男性はここをよく間違えます。テレビの前でがんばれホジュンと叫んでしまいました(笑)。